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新規就農のいろは: 脱サラから農業の始め方

本書は、私が新規就農するまでの日々を綴りました。私と同じように「農業を始めたい!」という方に少しでも参考になれば幸いです。私は 37歳で仕事を辞め、農業で生活していくと決めました。フルーツファーム果楽土でイチゴの栽培 3年間、兵庫県立農業大学で 1年間の実践研修を受けて、 2021年11月に兵庫県で農業をスタートしました。まだビニールハウスを自作している途中で、売り上げなんてほとんどありません。大阪在住なので、兵庫県で農業するにあたっていろいろ障害もありました。県境にお住みの方は、気を付けてください。私は非農家の出身で、農地はなく、もちろん農機具なんかありませんでした。トラクターを買おうとすれば、 100万は余裕でします。生活費を工面するのも大変な状態です。いろんな先輩方に相談をすれば「農業なんか儲からないから辞めといた方がいいよ」と一度は忠告を受けると思います。ですが「それでも農業をするんだ!」と決意すれば、その先輩方は本当に親身になってくれます。農業は大変で、とても楽しいという事を知っているからだと思います。私もそんな新規就農者を助けてあげられる先輩になれるように、その第一歩として、この本を書きました。インスタグラムもしていますので、質問、感想など、なんでもお気軽にコメントください。実際に農地に来てもらっても全然かまいません。私でわかる範囲であればお答え致します。どうぞよろしくお願いします。【目次】 1、はじめに 2、研修先を決める 3、農協、市役所、農業普及センターに相談 4、農地の確保は出来るだけ早めに 5、補助金について 6、ビニールハウスの有る無し 7、作物の選び方 8、販売方法はどうするか 9、資金とコストダウンを考える 10、おわりに

内容新規就農のいろは脱サラから農業の始め方 1、はじめに【ポイント】 2、研修先を決める【ポイント】 3、農協、市役所、農業普及センターに相談【ポイント】 4、農地の確保は出来るだけ早めに【ポイント】 5、補助金について【ポイント】 6、ビニールハウスの有る無し【ポイント】 7、作物の選び方【ポイント】 8、販売方法はどうするか【ポイント】 9、資金とコストダウンを考える【ポイント】 10、おわりに

1、はじめに脱サラして農業を始めるとなると、不安や疑問が生れるかと思います。「何から始めればいいのだろう?」「どこに相談にいけばいいのだろう?」「農業でこれから食べていけるのだろうか?」 ……などなど、悩みは尽きないかもしれません。私も知識経験 0からのスタートだったので、よく覚えています。どうすればいいのか全くわからなかったので、大阪南港咲洲庁舎や、京都ジョブパークに行って農業の相談をしていました。「ブルーベリーの食べ放題できる場所を作りたいから農地を貸してくれ」農業経験もない人が、いきなりこんな相談しにきても困ると思います。今考えると恥ずかしいです。それどころか、わざわざ遠い所に相談しにいかなくても、近くの農協か普及センターに行く方が、話が早かったです。そこでは「いきなり独立就農するより、どこかに研修に行きなさい」という事を言われました。今思えば、大阪南港咲洲庁舎の方や京都ジョブパークの方も、遠まわしに優しくそう言ってくれていたのですが、すぐにでも独立就農するつもりで相談していた私は気付けなかったのです。研修に行くなんて考えてもいませんでした。もちろん親が農家だったり、農地があったり、農業経験があれば研修なんかしなくても就農はできると思います。ですが、私のような非農家出身で経験がない人は研修に行くのが、 1番いいと実際に行ってみた今は感じています。それも研修期間は長ければ長いほどいいと思うくらい感じています。

【ポイント】新規就農をするにあたって最初にするのは情報収集。そのために行く所は、農協か普及センター。最終的には両方行くので、どちらからでも構わない。お互いに情報共有しているので、話はスムーズに進む。大切なのは、どんな農業をやりたいのかを具体的にイメージしていること。

2、研修先を決める研修先は多くはないですが、いくつかあります。農協か、普及センターにいけば教えてくれるかと思います。私の場合は「兵庫県立農業大学の実践研修」を選びました。決めた理由は宿泊できる施設が用意されていたからです。私が住んでいる場所から、どの研修地も遠く、毎日通うのは大変だと考えたからです。研修中は週末にだけ大阪に帰って、平日はずっと泊まり込みで作業していました。ただ、本当は帰らない方がいいです。月曜日に戻って来た時、キュウリは売り物にならないほど大きくなっています。良いふうに捉えれば、その辺りの仕事の配分と、どの野菜を作るかなどの勉強ができたとも言えます。研修に行く事で、妻には負担をかけてしまいましたが(今も現在進行形でかけていますが)農業についてとても勉強できました。「どの野菜を作るのか」「どのような栽培方法なのか」「どのくらいの規模なのか」「販売ルートは」「費用はいくらかかるか」「使う機械や設備は」 ……などなど、実践的にいろいろ学べます。私の場合は考えが不十分なまま、研修を開始しましたが、本来はキッチリと計画を立ててから研修を始める方がいいです。イメージをきちんと固め、そのために必要な知識と技術を明確にした上で始めれば、研修をさらに有意義にできたなと感じています。漠然と「ブルーベリーを栽培してみたい」「なんでもいいから農業がしたい」と言うだけではダメです。研修は、実際に農作業で体を動かして汗を流しますので、健康的でストレス解消にもなります。自分が作ったトマトやきゅうりを、その場でもぎ取って食べると、とても美味しいおやつにもなりました。座学が苦手な私でも、大自然の中で新しい命を育み、 1から自分の手で成長させる喜びを経験として覚える事ができました。たくさんの方と知り合うチャンスにもなりますので、研修は参加したほうがいいかと思います。

【ポイント】研修は出来るならした方がいい。農業について学べる事はもちろん、一緒に農業をしていく同志が出来るのが心強い。困った時など気軽に相談できるというのもありがたい。研修の間に、この先何をすれば良いのかを考えてしっかり準備をすること。自分がどんな農業に向いているのか、体力面も考慮しながら、研修中に確認しておく。

3、農協、市役所、農業普及センターに相談最近は国も就農に力をいれているので、年々就農への敷居は低くなっています。ですが、就農の仕方って意外と調べにくく、非農家の方にはイメージもしにくいかと思います。私も実際に農業をすると決めてから研修に参加するまで、途中で諦めようかと悩む事もあって 3年以上かかりました。そんな時は、近くの農協か、市役所、農業普及センターに相談すれば道が見えてきます。ちゃんと相談窓口が用意されています。最近はコロナが原因なのか、研修先にもたくさんの応募があったと言っていました。不景気になると就農を目指す人が増えるそうです。新規就農する人が増えているので、「新規就農したいのですが……」といった相談もしやすいかと思います。私も農地の確保から販売まで、何度も相談に乗ってもらいました。就農した今も、ずっとサポートしてくれていれます。時に厳しい事も言われますが、夢見がちな私に現実の農業を教えてくれる頼もしい方々です。

【ポイント】相談は何でも誰でも聞いてくれる。電話で「新規就農についてお聞きしたいのですが……」と伝えるだけで話は進む。気になる事があれば、不安がらず電話してみてほしい。

4、農地の確保は出来るだけ早めに農業をするにあたって、これがないと始まらない農地ですが、取得するには想像以上に時間がかかります。研修期間中に目星をつけておくといいかもしれません。農地の取得には、いくつか方法がありますが、新規就農するのでしたら、市によって決められた最低下限面積以上の農地を用意する必要があります。(だいたい 20 a ~ 30 aくらいです)そういった場合は、農地中間管理機構(農地バンク)を通して借りる方法が 1番楽かもしれません。私もこの方法でお借りしています。手続きは簡単で、市役所に行って、農地中間管理機構(農地バンク)を通して借りるといった紙を数枚書くだけです。農地バンクとは、農地所有者等が耕作または管理できなくなった農地を登録し、その登録された農地情報を就農希望者や経営の規模拡大をしたい農業者へ提供し、農地の貸借・売買と有効利用を促進する制度です。地主さんに知り合いがいて、直接交渉で借してもらえるなら、それでもいいのですが、農地中間管理機構を通せば、ある程度希望の農地を探して紹介してくれます。地主さんと会う日付の調整もしてくれて、書面できちんと契約を交わすので、突然「農地を返してくれ」と言われる事もありません。市が間に入ってくれるので、貸し手も借り手もお互いに安心できるのです。賃料の心配もいりません。私が調べた所は、ほとんどが無料でした。ただし、時間はかかります。私も研修中には準備を済ませたかったのですが、農業大学の実践研修が 2021年9月で終わって、実際に新規就農を開始できたのは11月でした。そこからビニールハウスの建設となりますので、野菜を本格的に販売するのは春になりそうです。同じ研修仲間は卒業後すぐに新規就農していましたので、私の計画性がないのも問題なのですが、一応気を付けてください。

【ポイント】農地選びは、今後の収入などにも大きく関わってくるので、どこでもいいわけではない。時間をかけてでも、日当たりと、水場と水はけ、近くの害獣対策、忘れがちですがトイレが近くにあるのかは最低限確認してほしい。農地も機械も揃っている農家出身者とは違い、ゼロからスタートする新規就農者は大変だが、難しすぎる訳でもない。

5、補助金について農業を始めると貰える補助金がいくつかあります。他の業界は知りませんが、優遇されているなと私は感じました。代表的なものを紹介しておきます。 ①農業次世代人材投資資金(準備型)独立や脱サラで就農を目指す新規就農者に向けた補助金で、研修機関や農業法人で研修を積んでいる間の所得を援助してくれます。最長 2年で 1年間最大 150万円もらえます。 ②農業次世代人材投資資金(経営開始型)就農直後の生活の安定を支援する事を目的としています。農業は作物が育つまでに時間がかかり就農開始後すぐに収入が得られる事はありません。また新規就農者は経験が少なく、収穫できたとしても販売に耐えうるような品質ではない可能性があり、収入がなくなってしまいますので、事業が軌道に乗るまでの補助として活用されています。最長 5年間、年間最大 150万円を支給してくれます。妻と一緒に就農する場合は、家族経営協定を結ぶ事で、 1、 5倍にあたる年間最大 225万円が支給されます。 ③青年等就農資金補助金ではありませんが、新規で農業経営を開始しようとする認定新規就農者に対し、無利子で長期貸付する制度です。農業を本格的に始める際、トラクターなどの大型機械を購入したり、ビニールハウスを新設したりするなど、一度に大きな出費が必要な場合もあります。その際に、前述した「農業次世代人材投資資金」の認定を取っていれば、最大 3700万円の融資を無利子で受ける事が出来ます。返済は、農業収入が安定するであろう、就農 5年後からでも大丈夫です。他にも「経営体育成強化資金」「農業近代化資金」などいろいろありますので、「農林水産省の逆引き辞典」なんかも参照してください。市町村によってもサポートしてくれる内容はかなり違います。私もいろんな地域で話を聞きましたが、やはり農業に力を入れている市町村の方が、補助も多く、普及員の積極性からして違いました。あなたも農業を始めたいと考えている地域で一度確認してみてください。1つだけ注意しなくてはいけないのは、税金を使った補助金なので、誰にでも簡単に給付してもらえるというわけではありません。農地の面積や、普及員との面接、妻や母をつれての面談、書類作成、半年に一度のレポート提出など、いくつもの条件をクリアしなければなりません。お金を借りる際は、返せる目途があるのかどうか通帳を見せてほしいと言われます。最低 300万の預金がないと貸してくれないと普及センターの方は言っていました。条件を満たしていても、数カ月待たされたりもしますので、農地と同じく早めに申請しておくのがいいかと思います。ちなみに私は ①農業次世代人材投資資金(準備型)を貰いました。現在、 ②農業次世代人材投資資金(経営開始型)の申請をしましたが、まだビニールハウスがないので認めてもらえませ

ません。もう手続きが面倒くさいので、貰うのを辞めようかなと思っています。最長 5年の 150万が貰えないとなると躊躇いますが、もともと補助金がもらえるなんて知らずに農業しようとしていたので、最初からないものだと思えばなんともありません。そして ②農業次世代人材投資資金(経営開始型)を貰ってないと、 ③青年等就農資金が使えませんので、資金を借りる事はできません。貸してもらえないと、私の手持ちのお金では JAにビニールハウスを建ててもらう事ができません。一応見積もりはしてもらったので参考にしてください。一棟、幅 8 m ×奥行 26 mの 208 ㎡で 215万円でした。そんな理由から、私は貰ってきたパイプで今ビニールハウスを自分で組み立てているという訳です。古いパイプなのでサビたり、曲がったりしていますが、素人の私が建てているので逆に真っ直ぐに見えていいかもしれません。ビニールハウスなんて組み立てた事なかったのですが、案外やればできるものですし、楽しいです。インスタグラムにも写真を載せているので、良かったら見てください。こちらも同じく研修仲間は全ての申請に通っていましたので、私の計画性がないのが問題になっただけですが、一応注意してください。補助金はもらえるのなら、もらうに越したことはありません。

【ポイント】計画性が大事。

6、ビニールハウスの有る無し資金を借りられなかったのだから、ハウス栽培じゃなく、露地ですればいいじゃないか、という意見もありました。確かにその通りなのですが、露地栽培をしていくなら、農地をもっと広げなければ、収益が見込めません。私は基本 1人で農業をしていきますので、農地の面積を増やすと手が回らなくなる恐れがあるのです。さらに露地だと天候や気温に左右されてしまいますので、他の農家の方と同じ時期に有って、同じ時期に無くなってしまいます。市場にたくさん出回っていれば、せっかく作った野菜を安く売らなければなりません。ハウスだと、時期をずらして作る事ができるので、同じ作業時間でも高く売る事ができます。ハウスを建てた方が、 1人農業の場合、収益が見込めると思ったのです。それにやはりハウスの方が、水や温度を管理しやすいので、野菜の味を高められます。私は研修期間中に甘いトマトを作っていたので、新規就農してからも糖度の高いトマトを作っていきたいのです。そのために、やはりハウスは必要不可欠でした。

【ポイント】ビニールハウスがなくても農業はできるが、 1人もしくは、少人数でする農業なら、大量生産の大量出荷は作業時間的にも厳しい。ハウスを作り、量より質で勝負していく方向性がいいかと思う。どんな農業をしたいのか、ビニールハウスの有る無し、ハウスの設備を考えてみると、見えてくるかもしれない。

7、作物の選び方ここまできて、ようやく野菜作りが始まります。どの作物を作るかは、恐らく最初に考えたのではないでしょうか。私も最初は「ブルーベリーを作りたい」という気持ちから農業の道に進みました。もちろん自分が作りたいものを作るのが 1番良いのですが、作物によって年間の農作業のサイクルや利益率も違いますし、栽培に適した地域性や施設設備も違います。収入の目標額や、畑の面積にもよってある程度の妥協は必要かもしれません。作っていく内に、この野菜は違う、この作業は苦手だなと得手不得手もハッキリと見えてきます。現に私は今ブルーベリーより、ミニトマトを主軸に農業をしています。ブルーベリーを諦めた訳ではないのですが、農業で生活をしていくためには様々な視点から作物を選んだ方がいいかと思います。(お米、キノコ、果物、などなど農業には色々な作物がありますが、ここでは野菜に絞って書きます) ①【根菜類】主に根や地下の茎を食べる野菜の事です。山芋など根を食べるものや、ジャガイモなど地下の茎を食べるものです。作業時間を抑えたい方は、根菜類が良いかと思います。種まきや苗植え時期を大きく間違わなければ、後は勝手に育っていきます。水やりの頻度が少なくて済み、肥料が少なくて済み、収穫タイミングが長い、日持ちする等のメリットがあります。 ③【葉茎菜類】主に葉や茎を食べる野菜の事です。ホウレンソウやレタスなど葉を食べるものやアスパラガスなどの茎を食べるものです。播種から収穫までの時間が短い品種が多く、すぐに現金化できるのが強みです。すぐに収穫しますので、水やり、肥料の手間が少なくて済みます。ホウレンソウ農家では 1年に 5 ~ 6回ホウレンソウを収穫しています。収穫後の日持ちはあまりしませんが、すぐに卸せる販路をお持ちなら、いろんな料理に使うので売れやすく問題ありません。 ②【果菜類】主に果実や種を食べる野菜の事です。ナスや枝豆など、私が主に栽培しているトマトも果菜類です。作付面積が狭くても育てられるので、広い畑を持っていない方に特におすすめです。収穫期間が長いのが特徴で、うまくいけば数カ月は毎日収穫を続けられます。その反面、水やり、肥料、農薬などの管理に手間がかかります。私が栽培しているミニトマトでいうと、茎を支える支柱も用意しなくてはいけません。急激な水分の上昇や多湿な環境を嫌うので、手間はかかりますが、雨よけを作ってあげると味も濃くなります。種からではなく、苗を買う方が無難なので、初期費用が少しかかります。

トマトには、春植え4月と秋植え9月があります。私は、秋植えの方が涼しくて作業しやすく、実も美味しい気がしています。茎に脇芽がでてきたら、脇芽かきを行います。これが意外と手間なので、ほったらかしのソバージュ栽培といった方法もあります。栽培方法がいろいろあるので、自分にあった栽培方法で作るのがいいかと思います。基本的には、脇芽をしっかり取る管理が必要になります。定植後 2ヶ月くらいで収穫時期となり、ここからほぼ毎日収穫出来ます。収穫が遅れると実がはじけてしまいます。単価が高く、その場で簡単に味見もできるので、作っていて楽しい野菜です。いろんな野菜がある中、何故ミニトマトをメインに作っていこうかと考えたのは、自分が好きというのもあるのですが、【付加価値】を着けやすいと思ったからです。付加価値とは何か?「水耕栽培」「ハウス栽培」「コンパニオンプランツを利用した無農薬栽培」「こだわりの肥料をつかっています」「堆肥は ○ ○のところです」「厳選した水で栽培しています」「高糖度」 ……など、なんでもいいのですが、自分なりの野菜の特徴を出す事です。いかに付加価値がある野菜を作るかが、量より質を重視した少人数農業では必須かと思うのです。斬新な付加価値をキャッチコピーにできれば、それはあなたの強みになります。1つ簡単に付加価値をつけられるのが「品種」です。どの野菜を作る時でも、品種はしっかりと考えてください。直接、売り上げに関係してきます。ミニトマトにはわかりやすく形、色など違う品種がたくさんあります。黒色、オレンジ、黄色、緑色の品種があり、見た目でも楽しめます。味の好みもありますので、あなたが美味しいと感じる、なるべく「珍しい品種」を選んでください。「食べた事のない品種だ」「なかなか手に入らない」という付加価値があると、一般的な品種より高値をつけられます。同じミニトマトでも倍以上に値段が変わる時があります。ネット販売での需要もあるため、離れた場所からでも注文が入ります。実際に私もメルカリとポケットマルシェで販売していましたが、すぐに売れました。その際もミニトマトは写真映えが良く、発送しやすいのが、思わぬ収穫でした。付加価値があると、家族や知人におすそ分けした時もすごく喜んでもらえますので、想像以上に充実感が得られます。あなたも是非、付加価値を高められる方法で栽培してください。

【ポイント】作物選びで大事なのは、自分が好きという理由以外にも、考えなくてはいけない事がある。適切な知識と技術等を明確にした上で農業を始める。他の農家さんとの差別化を図り、自分の野菜の付加価値を高めていく。

8、販売方法はどうするか野菜の種を撒いたら、並行して販路の開拓を行ってください。私は研修中、野菜が収穫できてから、大慌てで販路を探したのですが、前もってしておかないと収穫したはいいが、売る場所が無いとなってしまいます。大事に育てた野菜も、売らなければお金になりません。売り先がないからと手元に置いておけば、野菜が傷んでしまいます。種を撒いたら、最低1つは販路を作っておく事をオススメします。ここでは代表的な方法を紹介していきます。 ①【直売所で販売】全国各地にある野菜の直売所や、道の駅で野菜を直接販売する方法です。年間利用料と販売価格の一部を支払う事で、場所を借りて販売できる仕組みになっています。私の所では売り上げの 12パーセントが手数料で自動的に引かれます。 1番簡単な方法なので、とりあえず登録はしておいて損はないかと思います。価格設定が自由に可能で、少量からでも販売できます。野菜が希少な時は価格を上げられて、余りそうな時は価格を下げられる等、価格設定が出来るメリットは大きいです。当日に、直売所を見て回り、農作物の状態を確認してから値付け考えられますし、朝は高値に設定しておいて、夕方に値引きをお願いしておくといった事も出来ます。ただ、みんな同じようにするので価格競争に巻き込まれてしまう事もあります。それでも、他の農家さんとのコミュニケーションは勉強にもなりますし、直売所や道の駅がいっぱいある地域なら複数個所の登録をしておいて損はないかと思います。 ②【市場や JAに買い取ってもらう】市場や、農業共同組合である JAに作物を販売する方法です。育てた野菜を買い取ってくれるので、すぐに収益をあげられます。相談もしやすく便利なのですが、形や大きさ等の規格が厳しく、価格も自分では決められないので、私のような小さな畑では利益を上げるのは難しいかもしれません。売れない規格外をどうするか考えなくてはいけないので、他の販売方法も考えなくてはいけません。研修中はお世話になっていたのですが、今の農地では市場出荷はしないかもしれません。 ③【スーパーと契約】直接スーパーと契約してもいいですし、スーパーと契約している集荷場みたいな所と契約してもスーパーまで持って行ってくれます。たくさんの量を買い取ってくれるのですが、ある程度の量がないと利益が出ないです。私が研修中に契約したところでは、年間契約料 5000円と売り上げ 35パーセント + 5パーセントが手数料でした。安定した量と、品質を求められるので、慣れない内は厳しいかもしれません。小さな農地で野菜を作るなら不向きかなと思い、今は利用していません。 ④【喫茶店やレストランにお願いする】店の中で小物を売っている所や、産地直送やこだわりの野菜でご飯を作っている所に相談にいけば、案外野菜を置いてくれたり、買い取ってくれたりします。お店の人と仲良くなれるし、ランチやコーヒーを飲むついでに行くといった感じで利用するといいかもしれません。

私は 3店舗、行きつけのお店に卸させてもらっています。いつも話が弾んでしまい、休憩時間が長くなってしまうのに問題はありますが、楽しい時間です。ただ、買いとってくれる量は少ないので、たくさん収穫があると、配達に行く時間などを考えたら、直売所や市場の方が楽だったりします。販路が喫茶店やレストランだけだと心許ないので、この販路は何かと組み合わせた1つにするのがいいかと思います。 ⑤【ネット販売】インターネットで野菜を販売する方法です。 BASE、 STORESなど、自分でネットショップを作ったり、メルカリ、メルカリショップなどのフリマアプリに出品したりする事で、収益を上げられます。ポケットマルシェ、食べチョクといった通販サイトもオススメです。多くの人の目に留まりやすいのが「ネット販売」です。配送の手続きが手間ですが、価格設定も出来ますし、送料の分以上に直売所より高い値をつけても売れます。送料があるので重たい野菜より、ミニトマトのような小さくて軽い野菜の方が売りやすいと販売していて感じました。ミニトマトの収穫時期は毎日ヤマト運輸にお世話になっていました。 SNSやブログからの流入も狙え、 Instagramなどで育てる過程を発信すると、購入してくれる可能性も広がります。ネット販売を考えている方は、種まきと同時に SNSやブログをスタートするといいかもしれません。ネット販売が経験上 1番高く売れましたが、販路は何かと組み合わせた方が、売れなかった時の保険ができていいかと思います。 ⑥【農地で直売、無人販売】まだ実践できてないのですがコストもかからず、いつか実現させたい販売方法です。私が出荷や食事などでいない時は、無人販売になってしまいますが、それもまた面白いかもしれません。万引きなどはあるかもしれませんが、それは残念ながら直売所でもあります。直売だけで野菜全て完売すればいいのですが、やはり販路は何かと組み合わせる必要が出てくるかと思います。作物と同じで、販路にも地域の特性や、あなたの得手不得手が出てきます。いくつかの販路を開拓して、試していく内に自分なりにしっくりくる売り方が見えてくるかと思います。 ⑦【番外編、自分で食べる、周りの人にあげる】よく農家は収入が少ない、食べていけないと言われがちです。野菜を売って得た収入だけで判断すれば確かにそう見えるかもしれません。サラリーマン的な生き方が一般的なために、多くの人が、月給や年収いくらかという考え方をしていますが、何もかも現金に換算して考える必要はないと私は思うのです。自分で食べる分を自分で作れば、生活費の大きな部分である食費を浮かす事ができます。現金として目には見えませんが、生きていく上で必須な食糧を買わずとも手に入れられるのも農業の強みです。売り上げを全て現金化しなくていいので、別に日本円でなくてもいいという感覚を持つことが大事です。あげてしまうのも1つの手です。お金のやりとりをしない事で、お客様と販売者の関係から 人と人の関係にする事ができます。その時に日本円を得られなかったとしても、何か別のもので不思議と返ってきます。

【ポイント】販路は1つではなく、複数を組み合わせた方が安心できる。当たり前だが、美味しい野菜を作っただけでは収入を得られない、お客様に買ってもらって始めて現金を得られる。栽培と販路、 1人で農業するならどちらにも力を入れなければならない。

9、資金とコストダウンを考える最後にやっぱり気になるお金の話をしたいと思います。農業を始めるのに一体いくら必要なのか?もちろんやりたい農業の形態によって変わってくるのですが、私の場合は資金 0でスタートしました。ここまで読んでいただいていたら、私の見通しの甘さはよくわかると思います。貯金するのが苦手という感覚はないのですが、 37歳妻子持ちで貯金は 0です。今は収入もほとんどないので、家族や親戚、友達、周りの人に助けてもらいながら生きています。コロナで給付されたお金もすぐに無くなってしまいました……。実際に農業を始めると、予想していた以上にお金がかかります。トラクターや噴霧器などの農機具は高価ですし、種、苗、肥料、支柱、ビニールハウス、作業机、袋、箱、収穫カゴ、農薬など、書き切れない程いろんな物を買う必要がでてきます。資金が沢山あれば問題はないのですが、私のようにあまりない、全くないという方はコストダウンを常に考えてください。初めて野菜を育てる場合、「種」より「苗」から育てた方が失敗の確率が低くなるので、その分コストはかかりますが、苗を購入して始める方が多いかと思います。私も最初は苗から始めました。種は、植えても全てが発芽するわけではないし、発芽しても新芽はとても弱いので虫の被害などを受けやすいです。コストの面で考えれば、種から植えるほうがはるかに安いです。稼ぐためには種からが効率的だと言えます。さらに言えば、自分で作った野菜から種をとればコストは 0です。私はビニールハウスは貰ってきたパイプで自作しています。支柱もビニールハウス用の貰ってきたパイプの余りを、ハンマーで U字に叩いて曲げて使っています。念の為、竹も貰ってきたのですが、今の所、余ったパイプでなんとかなりそうです。虫や害獣対策も考えなくてはいけません。柵を作ったり、農薬を撒いたりすれば、被害は抑えられるのですが、その分コストがかかってしまいます。私は出来るだけ農薬を使わず、柵は鉄網を貰ってきました。堆肥は私が農業している猪名川町では市が無料で配ってくれます。肥料もなるべく買わず、今後は自分で作っていこうと考えています。椅子と作業机も貰ってきた木で自作しました。トラクターは中古で安いのが出るまで、地主さんに無料で貸してもらっています。なるべくコストを掛けずに農業している私ですが、レシートを見るとそれでもやっぱり使っています。予想外の出費もでてきます。雨が続いたり、台風が来たり、高気温が続くと作物が枯れてしまう事だってあります。虫や獣に食べられて、販売できなくなる可能性もあります。コストダウンどころか大損害で悲しい出来事なのですが、そういった時も保険があるので収入の何%は保証されています。この保険も農業は優遇されていると感じる1つです。結論としては、私のように資金 0からスタートする事も出来ますが、資金があると材料を貰って来たり、自分で作ったり

たりする必要がないので楽ができます。資金 0で農業を始めると、いかにコストを掛けずに農業するか更に深く考えなくてはいけません。そういうのが楽しめる方なら、資金が無くてもやっていけます。まわりの先輩農家さんが、余っている物をくれるといったラッキーもあり、私もなんとかやっています。

【ポイント】利益を上げるにはコストダウンも重要。資金、時間の使い方、働き方、全て自分で決める仕事の創意工夫が、直接収入に繋がる。どんな農業ライフを送るかは自分の価値観で決められる。

研修中の記録を載せておくので、何かの参考に使ってください。

売り上げ9月 ~2月

売り上げ3月 ~8月

1年間でかかった費用と研修時間

10、おわりに「農業は儲からない」と言う人は多いです。確かに農業をしているとサラリーマン生活に比べて年収は少なくなるかもしれません。ですが、自然の中で土をいじって、汗をかく良い運動して、家に戻って採れたての新鮮野菜でビールを飲むといった充実したシンプルな幸せがあるので、他にお金を使う事は減っていきます。消費ではなく、生産して暮らす楽しさが溢れています。休みたい時に休めるし、「子供が熱を出しました」と学校から電話がかかってくれば、すぐに飛んでいけます。仕事と生活の時間や工夫や考えを全て自分の責任で、自由にできる事が、私には気軽で合っていました。成功しても失敗しても全て自分の責任なので、ストレスをあまり感じません。売り上げが少なくても、作業が忙しくても、それはもう生活の一部です。会社のオフィスでパソコン作業をしたり、工場で淡々と作業したりする労働と違って、生きていく上で直接必要な「食」を作っている事に、使命感と安心感みたいな感覚が私にはあるのです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。私は親も親戚も友達もみんな非農家だったので、「農業」をイメージしにくい環境でした。本書は、そんな方でもわかるように農業の入門書のような気持ちで書きました。少しでも参考になったなら幸いです。

質問、感想などは、インスタグラムになんでもお気軽にコメントください。本のレビューなども書いて下さると嬉しいです。兵庫県猪名川町にある農地に実際に見学に来てもらっても全然かまいません。質問、相談などあれば、私で良ければお答え致します。本当にありがとうございました。兵庫農業いろは https:// www. instagram. com/ iroha_ agri

 

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