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数量を売れ、増客を行なえ

売上げの増大は、あらゆる企業にとって元気の源である。数の増大はすべての問題を隠し

てくれるし、次の手を打つ時間も与えてくれる。前項で述べた単価の引き上げより容易であ

るのか、ほとんどの経営者は数量に走りがちだ。

ゼロサム、低成長、成熟社会と言われ、数量の増大は求めるべくもない時代に入ったよう

に思われるかもしれないが、やはり数量を伸ばしている企業は存在する。私が診てきたこの

平成不況下でも数量を伸ばした企業の処方箋は、

●成長チャネル開拓

●新商品開発

●劇的コストダウンによる客数増

●新業態開発

のいずれか、または組み合わせであった。いまや数量の拡大は、即席営業マンを大量に投

入して、ローラー作戦を展開して数量を伸ばしてゆく時代ではなく、まさにマーケティング

のなかのマーチャンダイジング(とくに商品計画)と革新技術の導入、さらに国際化によって

実現するものである。

売上高=単価×数量

なのだから、もし、前年と同じ平均単価で同じだけの得意先から同じ注文があれば、前年

の売上高は確保できる。単価を上げなくても、単価を下げないように努力すれば半分は解決

済みである。そうなると次には、客数の減少に歯止めをかける経営努力をすればよいのであ

る。

客数=固定客数十新規客数

固定客は、前年と比較して売上げ減少する顧客もあり、また、逆に増加する客もある。真

面目に経営努力をすれば前年とトントンに近い数字は出せるはずである。社歴一〇年くらい

以上の企業には、この固定客はいるはずである。固定客の管理、フォローを営業マンがいか

に実行しているかは、平素の管理職の大切な管理項目である。

そうすれば、月に二二日の企業活動のなかで二〇%に相当する約五日間を新規開拓に、経

営トップ以下全員が努力を傾注すればよいのである。つねに、新規増客を目指すのは経営者

の務めである。

建設業のように毎年が新規開拓ばかりと思われる業界でも、そのなかには、官庁需要や生

保・損保などからの発注のように、毎年施エクライアントとなる固定客がいるほか、既存の

得意先のメンテナンスエ事の売上げなどもある。

売上げ点数=既存商品売上げ点数+新規商品売上げ点数

単価が同じで客数も同じなら、売上げは伸びるはずがない。その一つの理由は、従来から

ある商品を従来からの得意先に売っているからである。人間はすべからく保守的であり、変

化を望んでいるように言っても、企業で働く古参社員は実際は変化を望まない。新商品の取

り扱いは希望していても、実際に新商品を販売せよとなると、困難であるからか、また楽を

したいためか、いろいると難癖をつけて、こんな新商品は売れないと決めつけて、売ろうと

しない古手の社員が多い。売上げを伸ばすためには、新商品を積極的に売ろうとする挑戦的

な姿勢が求められる。

私はチャレンジ精神のある若い企業、若い社員が好きだ。何にでも挑戦するから。それと

逆に「その商品は昔、手掛けて失敗した」とか「あの企業は○○系なので、わが社が行っても

ムダだ」などと言って、数量の増大を苦労せずに成し遂げようとする老人(精神年齢の面で)

社員が嫌いである。

商品によっては、価格を下げることで数量が増大するもの、あるいは価格破壊によってラ

イバル企業からシェアを一気に奪い取ってしまう方策もある。

現代は従来の思考方法、経験では考えられない新しい業種、業態システム、新商品の開発

が急ピッチで進んでいる。これは自由主義経済における競争社会の素晴らしい点であろう。

その流れは一日も休むことがない。このため、数量ベースではもう伸びないと言われてい

るにもかかわらず、実際には伸び続けている商品がある。その一方で、テレビや洗濯機など

の家電製品をはじめ、身体にまとう衣料も、アクセサリーも薬までもがどんどん変わり、古

い商品は見向きもされない陳腐化作戦が実施されている。

そんな社会にわれわれはいま、活動しているのである。新しい商品、市場システムに積極

的に挑戦し、新しい顧客を相手に販売数量を増大していく策を、いまこそ、積極的に考案し、

実践していかなくてはならない。

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