設備投資については、資金に限度があるとはいえ、ある程度積極的にやるという方針を打
ち出さない限り、高収益会社にするという社長の基本方針はとても達成できないだろう。
D社長としても、それは十分に理解しているのである。はたしてどの程度の投資が可能だ
ろうか。今度は運営基本計画で打ち出した方針どおりにいくだろうか。これを具体的に検証
してみなければならない。
第14
表はD精機の「固定資産投資及び償却計画」である。
既存資産の部の初年度の期首残高六億八三〇〇万円は、第2表「D精機のバランスシート」
から転記したものだ。さらにD精機の直前期の固定資産は七億八八〇〇万円、そのうち土地
が一億五〇〇万円、その他が六億八三〇〇万円となっている。土地は償却できないから、そ
の他の六億八三〇〇万円がD精機の償却資産というわけである。
この六億八三〇〇万円という償却資産は、今後五年間でどれだけの償却費を発生させるだ

ろうか。第14
表の既存資産の償却費の欄に書き入れられた数字がそれである。すなわち初年
度の六八〇〇万円から五年度の二三〇〇万円までの合計一億八七〇〇万円が、新たな投資を
一銭もしなくても、今後五年間で発生するD精機の減価償却費なのである。
「設備投資額はその年の減価償却費と同額にする」という定石があることは、先にも述べ
たとおりだ。とすれば、第14
表に書かれた数字が、D精機の今後五年間の設備投資額の総枠
ということになろう。だが、はたしてそれでいいのだろうか。
ここで、第五章で作成したD精機の運営基本計画(第10表)を振り返ってみよう。
これを見れば、D社長は、初年度の八五〇〇万円から五年度の一億四〇〇〇万円まで、大
まかな減価償却の方針を出している。D社長の気持ちからすれば、これは当然の数字だろう。
設備投資額も当然このくらいあっていい。それにD精機の流動比率は五〇九%という常識を
外れた数値になっている。どういうわけか資金だけは余っているのだ。
だとすれば、定石の枠を少し破り、減価償却費を一〜二割超えた資金を設備投資に回すべ
きではなかろうか。当然そういう判断が生まれてくるべきなのである。そうでなければ、人
件費計画で実証されたような、人数もあまり増やせないような状態のなかでは、日標の付加
価値はとうてい達成できないだろう。
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