D社長の基本方針でもうひとつ重要なのは、今後五年間で無借金会社にするという点であ
る。この基本方針に従えば、設備投資も当然償却年数のかかるものはやりたくない。最も投
資効果の早い、即効的に付加価値増大に結びつく、それでいて償却率の高いもの、すなわち
新製品開発のための金型とか合理化機械に投資し、収益の改善を目指したい、というのが社
長の本意であるはずだ。
逆にいえば、償却期間の長い建物にはいっさい投資しない。建物が狭くなったら、どこか
近所の借家を借りてもいい。建物に対する投資は五年間禁止する。土地もいっさい買わない。
このくらいの覚悟はあって当然なのであるc
本来、設備投資計画を立てる場合、先にも書いたように、勘定科目を三つぐらいに分けて
資料を作成するべきだろう。 一般設備や工具。金型、建物など、投資対象によって償却率が
大きく異なるからだ。ところが、ここに掲げた第14
表は、勘定科目を償却率二〇%の「一般
設備」と、償却率六五%の「工具。金型」の二つにしか分けていない。
もちろんこれには、D社長の「建物には五年間投資しない」という基本方針が反映されて
いる。つまり、建物の科目はここでは必要ないわけで、あえて三つに分けることもなかった
ためである。
コメント