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投資家は「未来」を見て、銀行は「過去」を見る

 一方で、銀行は投資家のようにはいきません。  デットによる資金調達、特に創業初期に銀行から借り入れることは難しいと先述しましたが、その理由として、銀行は融資の判断をするとき、企業の「過去」しか見ないからです。  誤解を恐れずに言えば、将来の価値はまったく関係ありません。  投資家は「未来」を見ますが、銀行は「過去」を見るのです。  メガバンクや地銀のような大きな銀行は、過去 3期分の財務諸表を金融機関の与信管理システムに入力すると、与信ランクや倒産確率などが出て、それで融資するかどうかの判断を下します。 3期経っていないスタートアップはこれができないので、難しいというわけです。   1期分の P/ L(損益計算書)だけでも判断してくれたりもしますが、赤字だと、融資のハードルが一気に上がります。つまり、

創業初期は構造的に一定以上の融資を期待するのは難しいのです。  最近こそようやくベンチャーにも融資をしていく流れが生まれつつありますが、そもそもメガバンクは与信のない会社には銀行口座すら開設してくれないケースもまだあります。  私自身も創業期、あるメガバンクに何度も資料を提出したものの、当時は信用のなかった当社に対して融資の話はおろか銀行口座すらも開設させてもらえませんでした(のちに成長した後、支店長から苦笑いで謝られましたが……)。  ようやく融資を受けられたとしても、金融機関は厳しく経営をチェックします。  どんな会社も、売上の波があり、時には利益水準が悪化するものですが、そんなことはお構いなしです。  ある会社の話です。事業が順調なときは、銀行から追加融資の営業がありました。ところが、あるとき、事業環境が大きく変わるタイミングで、収支が大幅に悪化しました。  すると、金融機関の担当者から手のひらを返したように「(内諾していた)新規の融資は取りやめたい」と告げられ、さらに「月次の決算状況はどうですか」と電話がかかってきたといいます。  財務状況が悪化し負債が増えすぎると、銀行内で査定ランクが下がる。最悪の場合「破綻懸念先」に指定されるので、担当者としては敏感にならざるをえないのです。  こうした例はよくありますが、銀行や金融機関が悪いわけではもちろんありません。お金を貸すのは非常にリスクのある行為ですから、銀行がリスクヘッジをするのは当然のことです(*)。  とはいえ、銀行も人の集まり。ルールに対して厳格ではありますが、なかには担当者が親身になってくれるケースもあります。想いを持った担当者が、審査部や支店長と掛け合い、与信審査を通してくれた例もありました。  だからこそ、銀行とは苦しいときにお金を貸してほしいと頼るだけではなく、仮に順調であっても、円満な関係を築いておくに越したことはありません。私の過去を思い返しても、決して簡単に融資がおりるような状況ではなかったにもかかわらず、支店長に自ら掛け合いながら、融資実行を決めてくれた当時の担当者には今も頭が上がりません。  スタートアップに限らず、会社が一定以上の規模になると、運転資金の確保や設備投資などで、銀行からの借り入れは必須になってきます。金融機関とうまく付き合っていくためには、相手の論理を知っておいて損はありません。*私も社長として事業を一生懸命やっているのに、銀行の担当者から「いや、債務超過になると私の成績が」という話をされて、ちょっとイラッとしたこともありました(笑)。

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