3、 4カ月の短期間で売上が大きく伸びるケースもあります。 確かにそういう場合もありますが、これは特別な条件があるときだけしか起こりません。 ではその事例を、3つ紹介しましょう。【例 1】 Z社では、差別化力のある新商品を開発しました。「これならいける」と考えて、この新商品の販売をスタートしました。営業地域の決め方も、客層の決め方にも全く問題はなかったのですが、なぜか全く売れませんでした。 そこで実績がある販売コンサルタントに頼んで、原因を調べてもらったところ、新規開拓をするときに欠かせない、営業パーソンのアプローチ技術がひどく低く、訪問した先でことごとく断られ、見込客に商品説明を聞いてもらえる状態になっていなかったことがわかったのです。 そこで社長は、まず営業パーソンを集め、弱者の販売戦術によるアプローチの教育ができる講師に依頼し、営業パーソンの教育と訓練に力を入れました。 こうしたあとで新規開拓を再開すると、見込客と面会できる率が高まり、商品説明も聞いてもらえるようになって、 3、 4カ月で売上が上がり始めました。【例 2】 Y社は新商品を開発し、ダイレクトメールで販売を始めました。差別化力がある商品で、客層の決め方と名簿の選択にも問題はなかったのですが、なぜか売れませんでした。 そこで社長は、 DMに詳しいコンサルタントに頼んで原因を調べてもらったところ、商品説明の文章がひどくわかりづらい上、字が小さくて読みにくいことを指摘されました。 そこで、このコンサルタントに頼み、商品の特徴や用途をわかりやすく説明する文章に変え、読みやすいように文字を大きくしてレイアウトも変えると、 DMの反応が格段に向上したのでした。【例 3】 X社の商品には差別化力があり、客層の決め方も良く、営業のやり方にも問題はなかったので、新規のお客は順調にできていました。ところが一度商品を注文した人のリピート率が悪く、そのために売上が伸び悩んでいました。 そこで実績のある販売コンサルタントに頼んで調査をしてもらったところ、お客からの電話を受ける女性社員の応対が悪く、商品を買ってくれたお客にお礼のはがきも出していないなど、顧客対応がほとんどできていないことがわかりました。 そこでその販売コンサルタントに、電話応対の教育と訓練をしてもらいました。 次に親しみを感じるお礼のはがきのモデル文章をいくつかつくり、商品を買ってくださったお客にはがきを出すことを徹底しました。 その結果、 X社のファンになってくれるお客が増えて、リピート率が上がり、月を追って売上が上がるようになりました。 この 3社の例のように、商品、営業地域・客層の決め方などのレベルには問題はなかったものの、販売戦術の一部に大きな欠点があり、これが原因となって売上が上がらない、というケースがあります。その場合は、戦術の一部を直せば短い期間に売上が上がる可能性があります。 しかし経営システムのそのものが根本的に間違っていたら、短い期間に売上を上向かせることはできないのです。
もちろん、とても短い期間に業績が良くなった事例もないわけではありません。それは予想外に強い競争相手が出てきたときと、大きな経済環境の変化があった場合です。 そうしたときは、せっぱ詰まっているので、それまでのこだわりやとらわれが一気になくなります。生き残るために本気で経営戦略の研究に取り組むので、戦略実力の向上が予想外に進み、決断のスピードも速くなります。その結果、予想以上に速く業績が上向くケースがあるのです。 しかし、これはあくまでも例外です。 ですから社長は、まず自分自身の戦略実力を高め、経営システムをつくり直してそのレベルを高め、強く実行しなければなりません。「簡単に、しかも劇的に業績が良くなる」などという、一部のコンサルタントの言葉に耳を傾けてはいけないのです。
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