そうならないためには、全員のニーズやペインを満たそうとせず、先に述べた「熱狂者」になりうる一部のコアなユーザーの課題(ニーズやペイン)だけを満たすようにすることです。 ここから少し専門的な話になりますが、プロダクト開発には欠かせない視点なので、興味のある方は参考にしてください。 どんな消費財でも、日本国民全員に向けて商品を開発するようなケースはまずありえません。資本力の乏しいスタートアップであればあるほど「どのペルソナに寄せるか」を決めるのと同時に、「このペルソナには寄せない」という意思を明確にしておくことが重要です(のちのち、軌道修正して対象を広げることは可能です)。
そうなってくると、悩ましいのは「どのペルソナの意見」に寄せるか、です。判断軸はいくつかありますが、ここでは代表的な五つを紹介しましょう。 まずは「ニーズや課題の深さ」です。 ユーザーにはどんな課題があり、それがどれくらい本質的な悩みや課題なのか、その度合いで決めるのです。先ほどのマネジメントスキル向上研修の例で言えば、受講環境の課題がすごく深刻なもので、それが解消されればめちゃくちゃ大ファンになりえるようなポジティブなものなのか、それとも「あったらいいよね」程度の浅いものなのか。 一方、それを重視しないユーザーのニーズは、「あっても良いけど、ないほうがいいんじゃないか」程度なのか、「それがあるだけで、かかわりたくない」ぐらいネガティブな影響があるのか。その度合いを見極めて、より深いニーズや課題を持つユーザーの声を受け入れることを検討するのです。 二つ目の判断軸は、「人数のボリューム」です。研修を受講しやすい環境を必要とする人と要らない人の割合が半々なのか、 9対 1あるいは 99対 1なのかによって、判断は変わってきます。半々は難しいですが、たいがいはどちらかに寄っていることでしょう。 多数決がすべてではなく、「うちは少数派のほうで行く」という固い意志があるならそれを貫き通しても良いですが、一つの参考にはなります。 三つ目の判断軸は、「課題の解決可能性」です。非常に深く、ボリュームがある課題に対して、自社のアセットや強みを活かすとどれだけ解決可能性を見いだせるかを判断します。 もちろん、すぐに解決できるほど簡単な課題はそもそも扱わないでしょうが、最初から箸にも棒にも掛からない、解決策の選択肢すら何ら見いだせないような課題は「解決可能性はない」として除けることができます。 四つ目の「どちらが競争優位性をつくりやすいか」も重要な判断軸です。競争優位性とは、そのサービスやプロダクトが、競合他社よりも有利な状況になる性質を意味します。 ライトに学びたい層は取り込みやすいけど学習姿勢が弱いため、他社のサービスになびきやすい。一方、ストイックな学びが好きな人は 1回取り込んでしまえば他社のサービスに移りづらく、むしろ自社のファンになって広めてもらいやすいといった具合です。 こういう競争優位性を考えながら、ターゲットから見た魅力度を、自社の強みやアセットを踏まえたうえで考えていくのも一つの手です。 最後の判断軸は、「収益の観点」。顧客の数だけではなくて、単価や粗利率、購買頻度などを考慮して、どちらのサービスがより粗利が高く、また継続してもらいやすいかという観点で判断します。
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