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情熱だけでビジネスをするな

 アメリカのコンサル会社が行ったある調査によると、日本の社員の熱意度がかなり低いというデータがあります。  組織でのエンゲージメント、つまりやる気あふれる社員の割合は、アメリカが 32%に対して日本は約 5%だそうです(図 1参照)。  また、やる気のない社員の比率は約 7割、やる気がないを通り越して無気力な社員は 2割強とのことです。  このデータからわかるように、日本のほとんどの社員にとって仕事とは「生活するための手段」になってしまっています。  このような社員のやる気を底上げして真剣に仕事に取り組んでもらうためには、社長が情熱を持って仕事をしていくしかありません。  社長の熱が社員一人一人に伝わっていき、最終的に全員が情熱を持って仕事をする集団に変化するのが理想の形といえます。  しかし、社長が情熱だけでビジネスをしてしまうと逆に会社にとってマイナスになることもあります。 使命感のジレンマ  社長の中には自分が身を置く業界に使命感を持って働かれている方がいます。  特に上場してさらにどんどん会社を伸ばしている方はこのタイプがほとんどです。  僕は会社のバイアウトを数社経験していますが、上場した社長と比べると業界に対する使命感はあまりないのかもしれません。  使命感があり、業界に対して情熱がある方ほど上場できるのだと僕はまわりを見て実感していますし、上場しないにしても業界に使命感を持っている方は尊敬しています。  ただ、使命感があることにより、つまずいてしまう場合もあります。  僕の会社の近くに僕が通いつめていた居酒屋がありました。  そこは本日のおすすめで仕入れが大変そうな鮮魚や A 5ランクの和牛などを揃え、またお酒も種類が豊富で僕にとっては大変ありがたいお店でした。  また、坪数も 80坪程度あり、都内一等地の居酒屋としては大きな面積の居酒屋でもありました。  味も雰囲気も良く、さらに値段もリーズナブルだったのですが、集客がうまくいっていないのか、いつ行っても座れるお店でもありました。  数カ月通ううちにさすがに心配になり、店長兼オーナーにどの料理も美味しいのでもっと値段をあげた方がいいのではと話してみたのですが、オーナーは恐縮しながらも首をたてにはふりませんでした。  オーナーは、「居酒屋は皆さんが気楽にきて楽しむところなので値上げは考えていません。皆さんの明日の活力になるのがこの店の使命です」と力強く答えてくれました。

オーナーの使命感は立派ですが、結局それから数カ月で閉店となってしまい、その店のファンだった僕は今でも残念に思っています。 情熱と利益  使命感で会社を運営するのは素晴らしいことですが、それは会社に利益が残るのが前提とした話です。  利益も出ず、使命感や情熱だけで働いていたら、お客様はよくてもまわりの従業員はたまったものではありません。  結局、会社がつぶれてしまったらお客様にとってもマイナスです。  社長が情熱を持ち使命感を持って働くためには、大前提として会社が儲かる仕組みがあるということが大切です。  先ほどの居酒屋の例でいうなら、まずは固定費である家賃を下げて 15坪くらいから始めることで、浮いた家賃分で広告を強化するということを事業戦略として考えることができたでしょう。  たとえ使命感に燃えていたとしても、いきなり大きな勝負をする必要はなく、まずは小さなところで力を蓄えてから勝負する姿勢が大事です。  あらためて、会社経営で一番大事なことは利益を出してつぶさないことです。  情熱や使命感はもちろん大事なのですが、本末転倒にならないようにしましょう。黒字社長のルール ②経営の基本中の基本「利益を出して会社をつぶさない」。社長の情熱だけで経営せずに常に「利益が出るか」を考える、冷静さを忘れない。

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