IPOを目指すといっても、誰でも簡単にできるわけではなく、各証券取引所で設けられた上場基準を満たさなければ上場できません。 たとえば、東京証券取引所のグロース市場では、上場時に見込まれる「株主数が 150人以上」「流通株式時価総額が 5億円以上」といった要件があります(本書執筆時点)。 かみくだいて言うなら、一定以上の事業規模になり、その後も成長が見込まれる事業かどうかが問われます。「継続的に事業成長できるだけの実力」が必要になるということです。新商品を一発当てて今年は大幅に売上を伸ばしたけれども、来年以降はどれだけ売上が立つかわからない、という状況では上場できません。 事業規模は会社のフェーズによっても変わりますし、業態や成長性にもよりますが、年商で少なくとも数十億円はないと上場は難しいでしょう。 また、東証グロース市場の上場審査では次の項目がチェックされます。・企業内容、リスク情報等の開示の適切性・企業経営の健全性・企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性・事業計画の合理性・その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項 どういうことかというと、まず上場すると、パブリックに株式が売買できるようになるので、世界中の投資家が投資できるようになります。そのため、情報が正しく適時適切に公開され、それを守れる体制であることが必要です。 これに加えて、社内の数字がちゃんと適切に管理され、正しい数字が出る構造になっていて、監査法人のお墨付きが出ているか。労働時間の超過や未払い残業代、パワハラ・セクハラなどのコンプライアンス違反がないかなども、審査されます。「事業計画の合理性」については、将来の計画がヤマ勘でつくったものだと投資家は判断しづらいので、上場企業は一定以上の精度の事業計画をタイムリーに開示することが義務付けられています。今は以前よりも開示の頻度が上がっていて、四半期に 1回開示することが義務付けられています。 そのため、「事業計画が不明です」「今年の売上も来年の売上も読めません」というのでは上場できません。事業計画に関しては上場前に「予実」、つまり予算と実績に乖離がないかもチェックされ、少しでもズレているとマイナス評価となります(*)。 このように、情報開示やコンプライアンスが求められるので、上場準備に入ると、管理工数は格段に増えます。非上場企業の頃は事業計画も労働時間も経理も多少どんぶり勘定でもやっていけたかもしれませんが、そうはいかなくなります。経営企画や人事、経理などのコーポレート部門にかかる負担は大きく増します。*情報や数字をまとめる側は大変です。四半期単位になるので、ある意味一年中、事業計画の把握に追われるようになります。
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