組織が崩壊する前兆として見過ごしてはいけないのが、「社長に悪い情報が上がってこなくなること」です。「バッドニュース・ファースト」と言われるように、悪い情報ほど、素早く報告してもらうに越したことはありません。経営者として早期に手が打てるからです。 最初はそれほど問題ではなかったのに、時間が経つうちに問題が大きくなり、会社に多額の損害をもたらすことはよくあります。
ある企業の例です。 CFO主導で資金調達を進めていました。財務に精通していなかった社長は、着実に資金を調達している様子を見て、その CFOを評価していました。 ところが、うまくいっているように見えたのは表面上だけで、実際は会社の魅力や成長性をまったく伝えられておらず、どちらかというと評判が良くない投資家からやむをえず調達をしていたのです。同時に、金融機関から相当不利な条件で借り入れしていました。 そうしたことを逐一、報告を受けていなかった社長は、数年経って CFOが退任した後に、後任者から「なぜこんな条件で調達したのか」と指摘され、ようやく事の重大さに気づいたそうです。「うまくいっていないことをなんでもっと早く言わなかったんだ」と前任の CFOを問い詰めたところであとの祭りというわけです。 もっとも、悪い情報が上がってこなくなるのは、だいたい社長に原因があります。「悪い報告したら叱責される」と思って、メンバーが報告をためらったり、ポジティブな情報だけを報告したりするようになっていくのです。「厳しい批判も受け止めるので何でも言ってほしい」と言うので口に出したら、怒られた。あるいは怒られなかったけど、その後、ものすごく機嫌が悪くなった……。こうなると誰も悪い情報を報告したくなくなります。 すると「もうちょっと問題を解決してから報告しよう」と自分でこっそり火を消そうとします。ところが、それによってさらに火事が大きくなり、取り返しがつかなくなる……。よくあるパターンですね。 せっかちな人ほど、責任を個人に負わせたくなる気持ちはわかるのですが、社長自身の言動によって悪い情報が上がってこない構造をつくっているからこそ、そういう困った事態が起こるのです。 悪い情報が上がってくるようにするには、社長が、悪い情報でも「早く報告してくれたことには感謝したい」というひと言を忘れないことです。シンプルですが、とても大事な心がけです。 ただ、それでも悪い情報を積極的に話したい人はいません。なので、中間管理職が一般社員から声を吸い上げて、共有するといった具合に、悪い情報を吸い上げる仕組みや風土をつくることも並行して進めたいものです。
3組織の「未達グセ」を変えるには
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