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息子がいないで娘ばかりの場合、後継者はどうするか

これは、二十年ぐらい半導体関係の電子部品をつくってきた、二十一名のこぢんまりとしたベンチャー企業のB社長の事例である。

娘ばかり二人で、息子は一人もいない。それで、親が婿を決めようと思っていた矢先に、長女が自分で勝手に婿を選んでしまった。来年四月にその婿を自分の会社に入社させ、自社で一応育てつつ様子を見たうえで、後継者にするかどうか判断したいと思っているが、多少迷っているという。

詳しく聞いてみると、相手は一人っ子ではないが、長男で、ほかに姉と弟の二人がいる。そして、現在、B社とは全く畑違いの職業に就いている。ただ、本人のほうから、B社長に、「育ててくれ」と言ってきたという。

社長の本心としては、自社の社員と結婚させたかったのだが、親の目で見ると、いずれの社員も少々頼りない部分もあって、どうしても娘を強く説得できなかった。結婚は、好きか嫌いかで選ぶ時代だから、ある程度まで自然の成り行きに任せるべきだ。

ただし、独身の娘をもっている世の社長なら、自社の優秀な社員と結婚させたいと、心のどこかで思うのが当然である。

もしも、自社の社員と結婚させたい気持ちが本当にあるのなら、それなりの策を用いる必要がある。たとえば、時々、娘を会社に連れてきて、 一緒にお茶を飲んだり、その社員の下でアルバイトをさせたりすれば、相愛の関係が自然にでき上がるものだ。そして、食事をしながら、父親が意中の社員をそれとなく褒めるようなことをして、雰囲気作りをしておけばよかったが、そういう努力をB社長は少しもしなかった。 一言のほのめかしも、まして見合いも何にもしないで、社長一人が心の中で思っていてもだめである。この場合、結婚相手は長男で、あと二人、姉と弟がいるが、完全な養子という形は不可能かもしれない。相手が先方の末っ子だったり次男であれば、問題は少ない。

実は、私も息子一人に娘二人がいて、会社を何社か経営しているので、そのうちのどこかに、いずれ息子や娘婿を当てはめたいと思っている。

長女が結婚した相手は、 一人っ子だった。彼は大企業のサラリーマンで、海外取引の仕事をやっていて、今一番おもしろい時期だから、「こっちへ来い」と言うのも非常に問題が多い。将来的にも、 一人っ子の彼を婿養子として引きずり込むことには、多少の遠慮が私にもある。ところが、次女は、うまい具合に末っ子の相手と結婚した。語弊を覚悟で言えば、もらったも同然だ。現在、彼は合理化協会に籍を置いている。

本気で探せば、いろいろな結婚相手がいる。だから、長女だけで一喜一憂しないことだ。そして、時々、娘に、「相手が一人っ子とか、あるいは男兄弟が一人だと、大変だ。その点、末っ子はいい、気軽で。次男坊もいい」などと、酒飲みながら大きな声で言ったりしておく。

そうすると、父親の影響を意外に受けて、そういう日で結婚相手を見るようになる。さらに、「おしゅうとさんで苦労したくないね」と言って、最後のとどめを刺す。わざわざ、そう言っておくことが大切だ。もちろん、長男と結婚した長女がそこにいるときは、私もそんなことは言わないようにしているが、長女が不憫である。子供への愛情は同等なので、長男と結婚した長女がどこか苦労しているように見えて仕方がない。親として正直な感想であるc

次女と水入らずで食事をしたりする時には、「ママは、苦労しなかったねえ」と、妻と目を見合わせて、ふとつぶやいたものだ。なぜかと言えば、私の父親も母親も、かなり早く死んでしまったからだ。そして、先述の三愛におられた田中先生と一緒に夫婦でゴルフを月に一回やっているのだが、田中先生の奥さんからも、「私ね、おしゅうとさんで苦労したの」と、年じゅう言われているので、私の妻も大いに理解を示してくれる。

次女の前で、「田中さんの奥さんと、この間、ゴルフしたんだよ。おしゅうとさんで、何十年と苦労してこられたと言われてたぞ」と、わざと言う。そうすると、妻が、「そうよねえ。私は、そういう苦労がありませんでしたが……」と言って、掩護射撃をしてくれる。そういう、阿昨の呼吸が大切だ。

考え方としては、自分の子供が女ばかりだったら、次男とか末ち子とかと結婚させるのが一番良い。それには、父親の今後の努力が必要だということだ。心掛けて、そういう場をつくるようにすべきだ。

B社長の長女が結婚した相手は、「育ててください」と言っているのだから、かなり脈がある。父親の日では軟弱に見えても、育つものだ。私は、「後継できると思うし、社長としての勉強をさせなさい」と申しあげた。引き込むタイミングと根回しをよく研究して欲しい。

もう一社の事例を紹介しておこう。この会社は好業績の連続で、これから五、六年で現在の三、四倍の売上を目指しているのだが、やはり、子供が娘ばかり二人で、後継の問題で悩んでいる。だれかが跡を継いでくれるにしても、外部から優秀な人材を求めたいと思っている。ただ、山陰の小さな町なので、なかなか人材が見つからない。これも、直面している間題というよりも、将来についての質問だ。

とにかく、好業績の連続で、うらやましい限りだが、どこの会社にも悩みはあるものだ。娘の一人が何らかの形で跡を継いでくれるのだろうが、地方だと、良い人材がいないということだ。これは、これなりに深刻である。

こういう場合は、できるだけ娘を東京とか大阪の大都会に出すようにする。大都会には人材が数多くいるから、その一人と恋をして連れてくる……何を無責任なと思われるかもしれないが、私は大真面日である。本当に大真面目だ。そもそも、地方に残っている有能な青年は、跡継ぎをしなければならないから地方に残っているというケースが多い。私は、地方にいる社長のそういう苦労を、いやと言うほど身近に知っている。冗談で言っているようだが、すべて本心からだ。大都会には、「田舎へ行ってみたい」と思っている青年も多数いる。娘が二人もいるのであれば、そういう「遊学」もいい。

それから、ゆくゆくは所有と経営を分離するとか、あるいは他人やプロの経営者をピンチヒッターとして登用することを考えているのなら、何歳から何歳までの間は他人に委ねるという方針を、「社長の人生計画」にきちっと書いておく。そうすれば、必ずその通りになる。

書いたことから前後しても、大体二、三年の差にすぎない。いままでの私の経験から言えば、ほとんど書いた通りになる。「社長の人生計画」に、まず書くことが大切だ。娘が何歳で、相手が幾つだと「人生計画」に書いて、時間をかけて探せば、結論がおのずから出てくる。

女ばかりでも、子供がいるのは何よりである。子供が一人もいない場合も多い。そうすると、もっと苦労する。中には、会社ごと売ってしまう人もいるぐらいだ。やはり、相当に残念がる。

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