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建物は狭く使うほうがよい。

とくに東京など大都市では地価が高いから、家賃も当然、高

くなる。ところで、現実に東京という市場には何万人の人がいるのだろうか。 一般に東京都

民一〇〇〇万人と言われるが、昼間の人口は三倍の二〇〇〇万人はいるだろう。だから東京

では、商売のネタはいくらでもあると言える。そうであれば、大消費市場である東京に工場

をつくる有利さもある。これからは工場はアジアだ、中国だ、さらにアメリカだと言っても、

東京でも加工・配送などいろいろな新商売の組み合わせができるはずである。

私が指導したある中小企業は東京で工場をつくって成功させているが、大変に狭い。当た

り前である。もちろん、建物は平面ではなく、立体にしなければならない。ワンフロアーに

したほうが効率はいいのだが、狭い東京では地価が高いので、有効利用しなければならない。

逆に地価が安いところでは、人の動線からも機械のラインピッチが見渡せるような平屋がよ

い。そこの工場長は、

「先生、見てください。尺取り虫みたいな建物です。ここは何年にひっ付けました。ここ

もそのあとでひっ付けました。ここは横に出して、継ぎはぎだらけです」、と説明する。

「でも、上手に使われているのではないですか」

「いやぁ―、わが社の問題点でもあるのですが、経営トップに先見性がないから、こんな

工場になってしまうのですよ。実は最初からこうなると私たちは言っているのですよ。最初

から将来を描いて工場なり建物をつくっておけばよいのに」、としたり顔で言う。

「アホちゃうか! 最初からそんな工場をつくっていたら、途中で潰れてしまうがな」と、

たまりかねて私は言ってしまう。

一般に技術系の重役が社長になると、立派な工場をつくって立派な設備をつくりがちだ。

サンウエーブエ業という会社は昭和四〇年(一九六五)に一度潰れた。分不相応な設備を備え

た工場を建てたのである。そのときの社長は技術系の人だった。

鹿児島空港へ行くとき、機上からずっと見ていると、京セラの鹿児島工場が見える。その

たびに稲盛和夫社長の叱り声が思い出される。稲盛社長は厳しい口調で、

「機械と機械をひっ付けなさい!」

「社長、それは無理ですよ。こっちは一分間に三〇〇個できる、こっちは一分間に二〇〇

個しかできない。機械をひっ付けたら、この間は滞荷してしまいますよ」

「ラインピッチの速いほうに合わせなさい!」

「しかし、保守点検のときに、人間が通らないといけないので」

すると、「その幅だけ開けたらいい」と。「いいえ、見学者の方も通ります」と社員が答えると、

「見学者は来なくてよろしい」― すごい合理主義者なのである。つねに、その土地をいかに

狭くするか、小さく使うか、という着眼こそ、効率経営と言える。

狭い場所で効率販売をしているキョスク。この店舗の場合は、固定資産回転率が素晴らし

いと言える。固定資産のなかには土地だけでなく、保証金、建屋も入っている。キョスクは

朝七時から夜九時までの長時間稼働で稼いでいる。土地は二四時間稼働の休みなし、という

思考が実現すれば、素晴らしいことである。

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