パートを戦力化すると会社が儲かる
パートは「時給を高くして、短時間働いていただく」のが正しい
多くの会社にとって、パートは、雇用の調整弁になっています。非正規雇用の立場を正規雇用よりも下に位置付けて、「主婦の小遣い稼ぎ」「空いている時間を利用した副業」「軽い腰かけ」と見なす社長もいます。
「安く、都合良く使える労働力」くらいの認識で、「正社員の補助職」程度の存在として扱っている。そしてそのことを、社長はもとより、パート自身も疑問に思ってはいません。
ですが私は、パートを雇用調整的な役割にとどめておくつもりはありません。パートの戦力は、もはや武蔵野にはなくてはならないものです。
パートでも、優秀な仕事をすれば相応の地位を与えます。わが社の全従業員のおよそ4分の3は、パート・アルバイト(非正規雇用のスタッフ)です。
中には、勤続40年以上の大ベテランや、「課長」の肩書を持つパートが6人います。わが社のパートは実力派揃いで、「パートに正社員が叱られる」光景もめずらしくありません。
お客様は、パートと正社員を区別しません。どちらも同じ「会社のスタッフ」です。パートに相応の責任を担ってもらい、責任を担わせるから、しかるべき待遇も与えます。
パートの雇用に関しては、「時給を高くして、短時間働いていただく」のがわが社の基本方針です。多くの社長は、「パートの給与を高くすると、人件費がもったいない」と考え、安い時給で雇います。
パートを安い時給で使うと考えるのは、売上に対して、労働分配率が低いほうがいいと思っているからです。ですが私は、そうは思いません。
「パートの時給を高くしたほうが、会社は得をする」と考えています。
高時給・短時間労働の4つのメリット
時給を高くすると会社が得をする理由は、次の「4つ」です。
- 「能力が高い人」を採用できる
- 優秀な人が辞めない
- 残業(残業代)が減る
- パートが子育てに時間を使える
①「能力が高い人」を採用できる
武蔵野は、非正規雇用のスタッフにも、職務内容・勤務時間帯・職責に応じた給与を払っているため、優秀なパートが集まっています。能力が低い人を雇って、仕事が長引き残業代を払うよりも、時給が高くても能力が高い人を雇ったほうが生産性は上がります。
②優秀な人が辞めない
パートの給与は、時給制です。ですが、一般的な会社のように、「一律給与を基本として、勤続期間に応じて昇給させる」わけではありません。
給与水準が一律だと、優秀なパートは、「私はあの人よりも大変な仕事をしているのに、時給が一緒なのは不公平だ。納得できない」と不満を抱え、辞めます。
そこでわが社では、困難な仕事や専門性が要求される仕事をしている人と、補助的な簡易労働をしている人とでは、昇給幅(時給)に差をつけます。だから、優秀な人が辞めません。
「仕事ができる人は稼ぐことができて、仕事ができない人は稼げない」が私の考え方です。人が辞めると、新たなパート採用に募集費用がかかります。
また、新人パートを一から教育すると、教育・研修費が余計にかかります。時給を高くしても、人が辞めなければ、採用コストや引き継ぎによる機会損失を防ぐことができます。
③残業(残業代)が減る
武蔵野は、「不要な残業を減らす」方向で業務改善を進めています。残業50時間以内の基準を満たしたパートは、賞与を200%(2倍)にする決まりです。
勤務時間が減ると、「時給」として受け取る額は減るが、その代わり、「賞与」が増えるので、結果的には年収(年間総可処分所得)が上がります(次の図参照)。
時給を高くすると人件費がかさむと思いがちですが、わが社は、逆です。残業改革前と比較し、たった2年強で、社員換算で「1億円」、パート・アルバイトも含めると「1億5000万円」の人件費削減に成功しています。そして、残業削減によって増えた利益はパートに還元するため賞与増額の原資に充てています。
④パートが子育てに時間を使える
「子育てが終わるまでは、家庭(子ども)最優先」が私の基本的な考え方です。子どもが帰ってくる時間は、家にいてあげるのが「母親の理想」と思っています。高い時給で短く働いてもらえば、子育てに使える時間が増えるから、家庭を犠牲にすることがありません。
本社の「コールセンター」で働く村瀬由紀子は、「武蔵野は、主婦にとってはありがたい職場」だと感じています。その理由は、「子どもに何かあったときも、融通がきくから」です。
「以前も、別の会社でコールセンターの仕事をしていました。前の会社はとても厳しくて、子どもが病気になっても仕事を休むことができなかったんです。子どもが熱を出したら、親や兄弟に頼ったり、病児・病後児保育(病気の子どもを預かってくれる保育園)に預けたりしなければなりませんでした。
ですが武蔵野は、そんなことがありません。今から4年半ほど前、面接に来たときに聞いてみたんですね、『もし子どもが急に熱を出したときは、どうしたらいいですか?』と。
すると、面接を担当された方が、こう言ってくださったんです。『もちろん、お子さんを大事にしてあげてください。子どもがいる母親なら、お互いさまじゃないですか。休んでくださっていいですよ』って。
実際にその通りでした。子どもが熱を出して私が仕事を休んでも、誰ひとり不機嫌な顔をしなかったんです。それどころか、『明日も、無理しなくていいよ』とみなさんが言ってくださいました。とても嬉しかったですね」(村瀬)
「ダスキン国分寺支店」の福田すず江も、「武蔵野は、子どもがいる主婦には働きやすい」と評価しています。「今から8年くらい前ですね、入社したばかりのとき、上司に『携帯電話はOKですか?仕事中に子どもから電話がかかってきても大丈夫ですか?』と質問をしたことがあります。
小学3年生の子どもに、『学校から帰ってきたときに私がいなかったら、自分で鍵を開けて入りなさい。そして〝帰ってきた〟と私の携帯に電話を入れなさい』と言っておきたかったんです。
すると上司は、『大丈夫です。かまいませんよ』と。職場と家も近かったので、子どもが夏休みのときは、私もお昼休みに家に帰っていました。
安否確認じゃないですけど、『何していた?』みたいな(笑)。職場にいても子どもと連絡が取れるのは、とてもありがたいですね」(福田)
パートは、「一緒に夢を実現するパートナー」
わが社の幹部社員は、毎朝駅でタクシーを拾い、持ち回りで私を迎えにきます(当番制)。自宅から会社までの所要時間は、約30分。この時間は、私にとって欠かせない情報収集の時間です。
幹部は会社に到着するまで、①「部下の情報」、②「お客様の情報」、③「ライバルの情報」の3つを、「固有名詞を入れて」私に報告する決まりです。
「部下の情報」の中には、パートも含まれていて、報告は、家族、育児、住居、恋愛、人間関係など、プライベートにまで及びます。
悩みを抱えているパートには、私が直接アドバイスを送ることもあります。悩みを抱えたまま、いい仕事をすることはできません。
以前、不登校の娘さんを持つ「ホームインステッド事業部」の金本裕美に、「こうしてはどうか」とアドバイスをしたことがあります。すると、娘さんは学校に通うようになり、成績も上がって、自信を取り戻すことができました。
娘さんが、私の本の読者だったので、『小山昇の超速仕事術』(PHPビジネス新書)に「『いつかいつかと思うなら今』小山昇」とサインを入れて差し上げたところ、金本から、お礼のボイスメール(音声版のe-mail)が届きました。
ボイスメールには、次のようなメッセージが吹き込まれていました。「『娘が学校に行くのを嫌がっている』という話を耳にされた小山さんより、直接アドバイスを頂戴し、ありがとうございました。一パートの私の家族にまで思いを寄せていただいたこと、本当に嬉しく思いました。
そのうえ、『記念に』と、サインの入った本までいただき、以前から小山さんの本を読んでいた娘は、とても感激しておりました。娘は、武蔵野に対して、そして、小山さんに対して、とても魅力を感じているようです。私も、同じ思いです。
小山さんの思いを心に留めて、『少しでも恩返しができたら』と考えています。このたびは、本当にありがとうございました」
多くの社長は、パートを社員より下だと思っているから、関心を持とうとしません。中には、パートの名前すら知らない社長もいます。武蔵野が小さな組織だった頃、私は、全社員(正社員)の氏名はもちろん、誕生日、配偶者の名前、結婚記念日などをそらんじていました。
要所でお祝いのメッセージを送ったり、勉強会や社内レクリエーション、飲み会などを積極的に催したりして、泥臭く人間関係を構築しました。
パートは人数が多いため、さすがにすべての情報を覚えているわけではありませんが、それでもできるかぎり、関心を持って接しています。なぜなら、わが社にとってパートは、「一緒に夢を実現するパートナー」だからです。
私が武蔵野の社長になったとき(1989年)、武蔵野の売上は「7億円」でした。現在、売上は「60億円」で経常利益「7億円」を超えました。高い目標を達成することができたのは、パートのみなさんが、私と一緒に夢を追いかけてくれた結果です。
パートと社員の区別をなくしなさい
パートにも、社員と同じレベルの仕事を与える
武蔵野は、パートも、社員と同じ仕事内容(仕事のレベル)を要求しています。正社員でも、パートでも、アルバイトでも、お客様から見れば、同じ「武蔵野のスタッフ」で、パートだからといって手を抜いてもいいわけではありません。
レストランでパートのホールスタッフにハンバーグを注文して、運ばれてきたハンバーグが、「パートだから」という理由で半分しかなかったら、お客様は文句を言うでしょう。
誰がつくっても、誰が運んできても、同じ大きさのハンバーグでなければお客様は当然怒ります。それと同じです。ところがパートの中には、「社員よりも給与は少ないのに、同じ仕事をするのはおかしい」と文句を言う人が出てきます。
そんなとき私は、「雇用形態に不満があるのなら、社員になってください」とお願いします。すると、ひとりの例外もなく「すみませんでした」と発言を取り消します。正社員になれば、仕事の拘束時間が長くなり、自分都合の休みが取りにくくなります。
また、賞与の評価は「相対評価」で(パートは絶対評価)、評価結果に順位がつきます。早朝勉強会などのイベントに積極的に参加をしないと、高い評価をもらうことができないため、育児と仕事の両立が難しい。
したがって「パートのまま」でいたほうが働き勝手がいいわけです。武蔵野の男性パート、「クリーンサービス立川センター」の宮崎敏弘は、一般家庭向けホームサービスの新規開拓業務を担当しています。
セールス部門の「成績優秀者」に「6度」も選ばれた、非常に優秀なパートです。週5日(あるいは6日)、9時から18時まで、フルタイムで働いてくれています。
宮崎のモチベーションを支える要因は、大きく2つあります。「従業員教育」と「雇用契約にとらわれない平等性」です。「武蔵野は、成長意欲を満たしてくれる会社です。パートも、社員と同じように『勉強する機会』をたくさん提供してくれるので、61歳になった今でも、自分の知識やスキルが成長していくことを実感できるんです。
セールスマンとしての能力を磨いていけることに、大きなモチベーションを感じています。普通の会社なら、パートと社員の間には一線を引かれると思うのですが、武蔵野にはそれがありません。
『パートと社員の違いは、雇用形態だけ』です。セールスは歩合給ですから、成果次第では高収入も可能です。分け隔てなく力を発揮できる環境が武蔵野にはあると思います」(宮崎)
パート戦力化の鍵は、社員とパートを差別しないこと
「日昭工業株式会社」(東京都/久保寛一社長)は、特注トランス(電力を変換する機器)、半導体製造装置などの設計から製造までを行う電源機器開発メーカーです。
久保社長は、パート戦力化のファーストステップとして、「社員とパートを公平に扱うこと」を重視しています。
「パートは、『知らない』ことに対して不公平感を抱きやすいので、パートにも経営計画書を渡して、会社のルールや方針、数字を明確にしています。
経営計画書には、『どうすれば給与や賞与が上がるのか』が明記されていますから、評価に対する不満もありません」(久保社長)
久保社長は、社員であれパートであれ、隔たりなく情報をオープンにしています。パートは、「会社が今、銀行からいくら借入をしているのか」まで知っているそうです。
「先日、信金の支店長がお見えになったとき、私がパートさんのひとりに、『うちには、いくら借金があるんだっけ?』と聞いたら、『○億円です!』とビタッと答えたんです(笑)。
支店長は、『現場で製造作業をしているパートさんが、会社の借金を知っているんですか?』とビックリしていました。
また、私が『今度、銀行さんが来るから、みんな、挨拶頼むよ』と言ったら、『また借りるんですか?(笑)』と茶化されたこともありましたね」(久保社長)「株式会社エネチタ」(愛知県/後藤康之社長)は、エネルギー(サービスステーション運営、LPガス販売など)や不動産仲介、リフォーム、フードサービス業(餃子の王将)などを展開しています。事業の拡大とともにパートの数も増え、現在、パートは200名。
6~7割が女性で、主に、飲食とサービスステーションで活躍しています。後藤社長は、「パート戦力化の鍵は、社員とパートを差別しないこと」だと考えています。
「経営計画書に、『お客様から見たら、パートと社員の差別はない』と書いておきながら、実際は私自身が、『パートと社員を差別していた』事実に気がついたんです。
『パートは面倒なことはやりたがらない』とか、『パートは教育を受けたがらない』と、先入観で決めつけていました。でも実は、パートさんの中にも、『もっと会社に協力したい』『社員の手助けをしたい』と考えている人がいるんですね。
あるパートさんが、私にこんなことを言いました。『会社がどんどん変わっていくから、店長も困っていると思う。店長を手伝いたいのだけれど、会社が何を変えようとして、どういう方向に進むのか、パートの多くがわかっていない。だから、何をどう手伝ってあげたらいいのか悩んでいる』。
私はこの言葉を聞いて、『そうだったのか。私がパートと社員を差別していたんだ』と気がつきました。それ以降、パートさんにも社員と同じ教育を受けてもらったり、ミーティングにも参加してもらっています。
人事評価のしくみも、社員と同じにしています。経営計画書も、今までは、社員用は黒いカバーが付いていて、パート用はカバーがありませんでしたが、パート用にも黒いカバーを付けました。細かいことですが『社員もパートも一緒である』という私の意思表示です」(後藤社長)
後藤社長は、「社長とパートの距離が近くなったことで、パートが力を発揮するようになった」と感じています。「お恥ずかしい話ですが、パートさんが私を見て『誰、この人?』という顔をしたことがあったんです(笑)。
無理もありません。以前の私は、地元の異業種交流会にしょっちゅう参加していましたし、『健康のためだから』と言い訳して、トライアスロンやゴルフばかりやって、会社をほったらかしていたんですから(笑)。
ですが今はまったく違います。パートさんとの距離が本当に近くなって、コミュニケーションが良くなりましたね」(後藤社長)
パートの資質を見極められないと、戦力を無駄にする
「美樹観光株式会社」(千葉県/浅川剛司社長)は、不動産事業、温浴事業を主体とした
事業を展開しています。従業員50名のうち、35名がパート・アルバイトで、温浴事業(石と光の楽園みきの湯)の受付、清掃、備品管理などに関わっています。
「美樹観光」では、各従業員の労働条件に配慮した「準社員」という雇用形態を採用し、実力のあるパートを戦力化しています。
「現在、準社員は2名いて、この2名には役職を与えています。いずれも主婦なので正社員と同じ勤務体系(勤務時間)では働くことができないが、限定された時間の中で、正社員と同じか、それ以上の実力を発揮してくれています。正社員Aと準社員Bに同じ仕事を与えたときに、『準社員Bのほうが仕事が速い』ということはよくある。
つまり、正社員だからパートよりも優れているわけではないし、パートだから正社員よりも劣っているわけでもない、ということです」(浅川社長)
浅川社長は、「会社がパートの能力を発掘できていないことが、パートの戦力化を遅らせる要因になっている」と分析をしています。
「一般的に、雇用形態には、正社員、契約社員、準社員、アルバイト・パートなどがありますが、私をはじめ、多くの会社の社長が『アルバイト・パートの仕事はここまでだろう』と決めつけている気がします。
パートが力を発揮できないとしたら、それは、パートが正社員よりも劣っているからではなくて、会社側が、パート一人ひとりの能力や資質を見極めていないからかもしれません。
人には、得意、不得意があります。対面接客が得意な人もいれば、人がやりたがらない汚れ仕事を進んでやる人もいます。パートを戦力化するには、正社員だから、パートだからと差別をしないで、『その人は何が得意なのか』『どういうことをやりたいのか』をきちんと把握したうえで仕事を任せることが大切だと思います。
『パートだから、ここまでの仕事しかできない』『パートだから、ここまでの仕事をしてもらえれば十分』と決めずに、パートの能力、資質、やる気を見極めながら仕事を与えたほうが、戦力化できるのではないでしょうか」(浅川社長)
会社は、もうひとつの「家族」である
「まるか食品株式会社」(広島県/川原一展社長)は、スルメフライを主体に、海産珍味やスナック類の製造販売をする会社です。
「イカ天瀬戸内れもん味」は、「日経トレンディ2015今年のヒット商品ご当地ヒット大賞」を受賞しています。「まるか食品」の総従業員数は、106名。うち、58名がパートです。
川原社長は、「会社は家族である」と考えて、社員とパートを分け隔てなくフラットに見ています。「当社では、創業以来ずっと、女性を戦力とみなしています。時給社員がいないと成り立たないため、8時間のフルタイムパートも『社員』と呼んでいました。
基本的には、社員とパートに仕事内容の差はありません。給与のしくみ以外でパートと社員の区別はなく、パートにも、社員旅行や経営計画発表会に参加してもらっています。
以前、パートの声を拾ってみたところ、『気軽にいつでも休めるので、働きやすいです』という意見が出ました。気軽に休んでもらっては困るのですが(笑)、賞与もあるし、退職金もあるし、時間も自由だし、雇用契約はパートといえども手厚いので、働きやすい環境だと思います。
入社して3週間続けば、その人は辞めません。ですから、当社はベテランのパートさんが多く、20年以上働いてくれている方が15名います」(川原社長)
パートに、若手社員を「子ども扱い」していただく
「株式会社関通」(大阪府/達城久裕社長)は、配送センター代行業務を中心とした物流サービス・システムを提供する会社です。従業員は約540名。そのうち350名がパートです。パートの9割、そして社員の7割が女性です。
「関通」の社員の平均年齢は、約28歳。一方、パートさんの年齢層でもっとも多いのは、30代後半から40代後半です。
達城社長は、パートさんに、「社員をあなたたちの子どもだと思って扱ってください」とお願いしています。「パートさんに、『社員のほうが偉い』という思いを抱かせてはダメなんです。
『社員だから偉い』という風潮があると、面倒くさいだけです(笑)。パートさんの都合を優先して『パート』という有期雇用契約(期間の定めのある労働契約)を結んでいるだけであって、お客様から見たら、社員もパートさんも、何も変わりません。
大切なのは、お客様がどう見ているかです。だから当社には、パート部長、パート課長もいます。もうじき、パートさんから役員も誕生する予定です。
「関通」は、全国に14拠点ありますが、東大阪の通販物流センターは、女性パートだけで運営しています。社員はいません。パートだけで回せるのは、パートさんの意識の中に、『パートだから、社員だから』と区別する気持ちがないからです。
『お客様の役に立つにはどうしたら良いのか』を最優先にして仕事をすれば、雇用契約がどうであろうと関係ないんですね。『社員はなぜ偉いのですか』と聞かれたら、どう答えますか?契約書が違うだけですよね。だから、パートでも月給にしていますよ、当社は。『もう月給でいい、あなたは』って(笑)」(達城社長)
歩のない将棋は負け将棋
多くの社長は、建前として、「パートにも主体的、自発的に仕事をしてもらいたい」と言います。しかし、そういう社長に限って、パートを「駒」のように扱っています。
将棋の駒なら、パートを「歩」と見なしている。「歩」は将棋の中でいちばん身分の低い駒です。だから、戦力化する必要はないと思っています。ですが、私は違います。
「歩」を「捨て駒」として使うことはありません。たしかに「歩」は最弱の駒ですが、それでも相手陣地に入ったときは、金に「成る」。呼び方は「と金」に変わり、香車や桂馬よりも強くなります。
「歩のない将棋は負け将棋」という格言があるように、「歩」は、攻防ともになくてはならない必要な存在です。
新人社員が太刀打ちできないほどの実力がパートにあるのは、パートを戦力として大切に接して、手厚い教育を施し、「歩」を「と金」にしているからです。
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