なぜ、改訂ISO22000:2018なのか
● 食品の安全性確保とlS0 22000:2018 [さらに高まる消費者の食品安全意識] 生命の源である食の安全を脅かす不祥事や事件が後を絶たないが,流通してい る食品は,ますます喫食前非加熱食品が増力日している。
国内の高齢化が進むな力` 未調理で喫食できる食品には,高い安全性が要求さねる。
そのため,フードチ正一ンに関わる人々の食品安全に対する正しい知識と認識 の向上が不可欠である。
より詳細な食品表示の義務づけによつて,,肖費者の食品安全に対する関心はま すます高まつており,フードチェーン利害関係者,特に原材料供給者や食品製造 関係者のより高度な,食品安全モラルが求められる。
[高まる食のグローバル化と食品安全] わが国の食料自給率(供給エネルギーベース)は,依然として40%未満で推 移している。
この現状をどう考えればよいのだろう。
同じ島国で先進国イギリス では,98%近い食料自給率を確保しているというのに。
よつてわが国は,必然的にあらゆる食材を世界中に求めなければ生きていけな い。
それだけに,食品製造リスク以外に,余分な食品安全リスクを負つている。
[食品の連鎖性(フードチェーン)] 農作物のような食品は,直接,生産者から消費者に届けられるように思わねる が,消費者の□に入るまで,農薬・肥料製造業,冷蔵・輸送業が連鎖している。
畜肉食品であれば,飼料製造業,飼料添加物製造業,畜産業,屠場。
精肉業, 冷蔵・輸送業などが連鎖している。
養殖漁業においても同様の連鎖関係がある。
したがつて,それぞれの業種でそれぞれの食品安全認識が要求され,どのフー ドチェーンがつまずいても食の安全性は確保できない。
消費者の安全性を確保す るためには,クリントン元米大統領(1997年)の言つた「Farm to Table」まで の安全性を確保しなければならない。
[改訂iS022000の求める食品関係経営者の責任と認識] 食品不祥事。
事件の多くは,経営者のモラル低下と食に対する認識不足, リー ダーシップの欠女日に起因している。
改訂IS022000:2018は「FSSC」を超え,これまで以上に,食品関係経営 者の責任と認識の向上,リーダーシップを要求する,洗練された申し分のない食 品安全マネジメントシステム規格となった。
[食品安全と国際規格] 食品安全衛生手法であるHACCPは,NASA航空宇自局生まねの国際規格と してあまりにも有名であり,わが国でも,近年,HACCPの採用を法制化した。
食のグローバル化による食品安全衛生に関する世界的な要求の高まりに対応して, 2007年6月,正式にlS0 22000:2005(食品安全マネジメントシステム)が誕 生したが,それ以来,13年が経過し,IS0 22000の大改訂が待ち望まねていた。
衛生管理手法であれば,HACCPでも,IS0 22000:2005でも,何ら支障 はないが,やはり, トータル的な総合食品安全マネジメントシステムとしては, 不足な部分があり,IS0 22000の改訂を待たずして,FSSCが誕生した。
しかし,大改訂したIS022000:2018は,それらの団体規格を完全にクリ アして,食品安全の最高峰ともいえる国際規格として新しくスタートした。
[食品安全基本法の理念とlS0 22000:2018] IS0 22000の全体に流れる思想は,食品安全基本法の理念である,国民の健 康への悪影響の未然防止および食品健康影響評価に対する考え方と全く一致する ものであり,IS0 22000は,IS0 9001とHACCPとを融合させた,食品安全 マネジメントシステムである。
大改訂された22000:2018の大きな特徴とし ては,ISOの原則の一つであるリーダーシップがさらに強調さねたこと,食品関 係組織のリスクマネジメントならびにPRPにその技術仕様書ISO/TS22002シ リーズの採用を要求事項にあげていること,また二つのPDCAサイクル(P[an― Do― Check―Act)による運用を基本としていることなどである。
● IS0 22000 1 2018の基本原則と骨格 食品安全は,消費者に対する食品安全ハザードに関わり,そのハザードは, フードチェーンのどの段階においてでも発生しうるため,すべてのフードチェー ンに不可欠な要素である。
そのため,IS022000:2018規格は,次の主要素を組み合わせた食品安全マ ネジメントシステム(FSMS)に対する要求事項を規定している。
① 相互コミュニケーション ② システムマネジメント ③ 前提条件プログラム ④ ハザード分析および重要管理点(HACCP)の原則 また,IS022000:2018規格は,次のISOマネジメントシステムすべてに 共通する原則に基づいている。
① 顧客重視 ② リーダーシップ ③ 人々の積極的参加 ④ プロセスアプローチ ⑤ 改善 ⑥ 客観的事実に基づく意志決定 ② 関係者管理 IS02200:2018は,消費者により安全な製品およびサービスを提供するた めに,プロセスアプローチの採用を強調している。
プロセスアプローチは,食品 安全方針および戦略的方向性に従つて,食品安全の意図した結果を達成するため に,プロセスとその相互作用を体系的に定義し,PDCAサイクルの運用により, プロセスおよび食品安全マネジメントシステムをマネジメントすることを目指し ている。
序文
● 規格のポイント・解説 *食品安全マネジメントシステム採用の目的 食品安全マネジメントシステムは,フードチ正一ンすべての組織のパフォー マンスの改善と持続的な発展を期待したシステムであり,その採用により, 次のような有利性があるとしている。
a)顧客要求事項や適用する法規制を満足した安全な食品,サービスを提供 できる。
b)組織の目標に沿ったリスク管理に取り組むことができる。
c)組織が規定した食品安全マネジメントシステム要求事項への適合を実証 することができる。
*フードチェーン全体の相互関係を重視 食品安全は,,肖費者に消費さねる食品安全ハザードの存在とその程度によつ て影響を受ける。
食品安全ハザードは,すべてのフードチェーンのあらゆる 段階でその混入の可能性を秘めている。
したがつて,食品安全ハザードは, 自己の食品企業だけでは防御することが不可能であるため,フードチェーン 全体の相互関係が不可欠な要素となる。
フードチ正一ンは,魚餌・畜産飼料生産者,養殖業・農場などの―次生産者, 食品製造業者,配送業者,保管業者,小売業者,食品サービス業者(食品製 造設備・機器,包装材料,添加物,洗剤等)などの直接,間接に関わるすべ ての組織がその対象である。
*IS022000:2018規格は,PDCAサイクルとリスクに基づく考え方のプロ セスアプローチを強調 改訂されたこの規格は,安全な製品およびサービスの生産を増強し,食品安 全要求事項を満足させるために,食品安全マネジメントシステムを構築し, 実施し,その有効性を改善するためにプロセスアプローチの採用を強調して いる。
プロセスアプローチとは,例えば,この規格では,食品安全に係る「運用計 画及び管理」の各プロセスのPDCAサイクルと「組織の計画及び管理」のプロ セスのPDCAサイクルの2つのPDCAサイクルをマネジメントすることで ある。
*IS022000:2018規格は, リスクマネジメントを採用 リスクという言葉は,一般的に,危険とか良くない予感などをイメージするが, ISOでは,「不確かさの影響」と定義し,その不確かさは,好ましい影響と好 ましくない影響があるとしている。
改訂IS022000では,組織のリスクに対応する取り組みを計画し,実施す ることを要求している。
リスクに対応することによって,食品安全マネジメントシステムの有効性の 向上。
改善策の結果,好ましくない影響を防止することの基礎が確立できる としている。
*機会の定義 機会は,意図した結果を達成する好ましい状況のことで,顧客の増加,新製 品の開発の成功,無駄の削減,あるいは,生産性の向上などを可能にするよ うな状況を指している。
審査のポイント
*食品安全マネジメントシステム「IS022000:2018」は,10項目の主要要 素について,それぞれのプロセスに関わる具体的な要求事項の適切な運用状 況が監査される。
*食品は,原材料から製造,流通および販売のすべてのフードチェーンの関わ りによって,消費者に提供されるが,あらゆる種類の「食品安全ハザード」の 混入を防止するシステムとして,すべての関係要員に周知さね,有効に機能, 管理されているかが問わねる。
審査指摘事例
*食品安全マネジメントシステム審査を経験したなかから,食品企業にとつてより有効と思わねる指摘事例を規格の理解を目的に列記した。
【参考解説】 *食品安全マネジメントを確立,実施,維持するうえでの,用語の定義に係る 事項など,IS09001:2015要求事項も引用し記述した。
食品安全基礎知識
* 食品安全を限りなく追及し,食品安全マネジメントシステムの構築と運 用に役立つ,そして食品技術者に,矢□つてほしい食品安全知識を,微生 物から食品科学まで,特に,食品現場でその必要性に直面した事項を中 心に抜粋し,解説を加え抄録した。
(詳細は巻末の「引用・参考文献」参照)
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