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定石10:経営には「攻める経営」「守る経営」「捨てる経営」の3つがある 儲かるものを伸ばし、儲からないものは縮小または中止せよ

経営には、「攻める経営」と「守る経営」と「捨てる経営」の3つがある。将来性のある商品はどんどん攻める。ほどほどの商品は守る。しかし、成長性のない商品と利益率が低下している商品は捨て去る。

この3つを同時にやらなければ、会社の将来はない。「攻める」だけでもダメ。「捨てる」だけでもダメ。もちろん「守る」だけでもいけない。3つの経営を同時に使い分けることが重要なのだ。

「攻める経営」「守る経営」「捨てる経営」の実際については、前項で挙げたA商事、B社、C社の将来の方向づけを思い出していただきたい。

たとえばA商事でいえば、年々、利益率の減少し続けている卸部門はまったく将来性がないと判断し、「捨てる経営」を決断した。 一方、驚異的な伸びを示している通販部門は、経営資源を集中させて事業の拡大を図る「攻める経営」とした。

そして、小売については、現在および将来の過当競争をしのぐべく、商品アイテムをある程度絞ったり、商圏は小さくなるが不採算店については、成り行きまかせでテコ入れを行わず閉店したりしながら、「攻めの経営」ではなく、ある程度の利益を確保する「守りの経営」に徹することに決めた。

あるいは、序章で述べた我が社のここ5年の経営においても、リーマンショックの前から大型プリンター事業からの撤退を進めていた。これは前述のとおり、過去3年の利益推移の下降トレンドがあまりにも激しかったため、赤字になる前に斜陽化するものと判断して「捨てる」ことを決めた事業である。

この事業撤退の途中にリーマンショックが起こり、市場の景気低迷の波に飲まれて売上を大幅に落とした結果、2008年738億円あった売上はわずか2年後の2010年には291億円と3分の1に急減、経常利益38億円の赤字、最終利益にいたっては85億円の大赤字と、損益計算書(P/L)上は惨愴たるものとなった。

しかし、72億円の売上があった大型プリンター事業から撤退する一方で、その分の利益をカバーすべく、2002年にわずか部門利益6億円だった小型プリンター事業を着々と育て、2008年に利益40億円を出すまでの事業にした。すなわち、大型プリンター事業を「捨てた」余力をもって、小型プリンターの事業を「攻めた」というわけだ。

そして、リーマンショックが来て売上を一気に落としたためにバランスシートを大幅に圧縮し、結果として、赤字前よりも資本の効率、自己資本比率ともに上げることができた。さらに、売上を抑えて斜陽事業から撤退したことにより、原価率と販売管理費比率も下がり、利益の出やすい体質になったのは、申し上げたとおりである。

儲からない事業を捨てたことによって設備も処分して、大連の工場の従業員も削減した。そうやって固定費を中心に下げたので、2010年から翌2011年の売上増加額そのものは60億円とわずかでも、売上高増加分がほぼイコールで営業利益増加になるよう、赤字前の2006年よりむしろ利益の出やすい体質になった。

繰り返しになるが、このような方向づけは、社長でなければできないことである。しかも、非常に勇気のいることだ。とくに、「捨てる経営」はこれからの低成長時代に重要になってくる。しかし、多くの社長はこの「捨てる経営」ができない。なぜなら、捨てることは売上を減らすことだからである。

しかし、よくよく考えてみれば、捨てる経営はそもそも利益率が低いのだから、捨て去っても利益に大きな影響は及ぼさない。それよりも捨てた余力をもって、利益率の高い商品とか、成長性の高い分野にもっと重点的に取り組むことによって増益を図る方が、長期のソロバンで見ると逆に利益が増える。とくに、これからはそういう時代になる。

そのために、部門別や支店別、商品別などで過去の実績をつかみ、売上を見直し、利益率の高いものをどんどん伸ばして、たとえ売上を減らしてでも高収益体勢を再構築することが、好不況に左右されずに会社が永く繁栄する定石なのだ。

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