MENU

定石29:先行投資という考え方と言葉を社内に定着させるために、 先行投資の予算枠を毎期必ず設けて、経費を使用せよ

企業の将来のために、常に新しい商品とか新しい業種のことを考えていかなければならないといっても、そうそう簡単に新たな事業の柱というのは生まれるものではない。

「会社の方向づけのための定石」のところで、安易な多角経営は企業を滅ぼす、よって、5年くらいしっかりと時間をかけて一歩一歩、 一つ一つ柱をつくっていくことが大事だと申し上げたとおり、新事業の開発には、相応の資金と時間をかけていかなければならない。

たとえば、何人かのプロジェクトチームを組んでマーケット調査、業界動向、企画、設計、試作…と一連の作業には、それなりの人件費がかかるし、経費もかかる。当然のことながら、ある程度の資金がなければ、新事業や新商品を収益の柱にまで育てることは不可能である。

したがって、先に結論を述べると、社長自身が「先行投資」という科目に対して明確な予算枠を設け、社員に積極的に予算を使わせることが、新事業あるいは新製品の開発の大きな原動力になる。これが定石だと言いたい。

ところで、社長のための損益計算書「佐藤式P/L」を思い出していただきたいのだが、社長がひと目で会社の実態を把握できるように科目を大きく10の分類にまとめて、会社の収益性と健全性が良くなるように、付加価値をバランスよく分配しなさいと申し上げた。

たとえば、内部留保は付加価値の5%〜10%を確実に確保できるように、人件費は野放図に増やさないように、金融費はどんどん減らしてゼロを目指すように…等、会社の収益性と健全性を改善するために5年計画を立てるのだが、その佐藤式P/Lに「先行投資」という経費科目があったのを覚えておられるだろうか。

もう一度、先ほどの佐藤式P/Lを載せておくが、営業経費のなかの「先行投資」という科目をご覧いただきたい。

先行投資とは、新しい商品や事業の調査費や研究開発費、将来の事業拡大に備えた企業広告費、セミナー参加費などの社員への特別教育費などの経費である。社長は、この先行投資に充てる予算を、会社の業種業態に関わらず、少なくとも一律2%くらいは毎年きっちりと付加価値のなかから分配して欲しいのだ。

そして、毎年振り分けた予算を積極的に使う。たとえば、エンジエアの社員が見本市へ勉強をしに行く。それが将来の勉強のためであれば、その出張旅費も先行投資の予算から使う。あるいは、新商品の情報収集を外部に調査依頼したら、その調査の費用、コンサルタント費用も先行投資の予算枠から使う。

その他、営業部員が今ある品物を売りに行く目的ではなくて、多少でも調査的な目的で出張するなら、その費用も先行投資という勘定科目に振り向け、この予算枠から使う。このように、振り分けた予算をきっちり使うことが、じつは非常に大事なことである。なぜなら、「今年は利益が出なかったから来年は先行投資はしない」、「今年は利益が出たから、来年は先行投資を行う」と、社長のきまぐれで先行投資の予算枠を設けたり設けなかったり、あるいは予算枠はあってもそれを有効に使っていなければ、先行投資という言葉なり、考え方なりが、全社になかなか浸透しないからだ。

すなわち、新事業や新商品を常に生み出し続ける社風というのは、 一朝一夕に築かれるものではないということだ。

しかし、先行投資を常にし続けるという風土が会社に定着すると、社員全員に「常に新しいものに挑戦しよう」という高いモチベーションが充満し、ひいては、高付加価値な事業なり商品なりを、将来にわたり開発し続ける企業体勢というのが自然と築かれる。ゆえに、社長は「先行投資を怠っていたら、次の時代の発展はない。目の前の仕事だけではなく、将来の果実を得るために常に投資し続けるのだ」という社長の強い意志を社員に伝えるために、先行投資の予算枠を毎期確保し続けなければならないのだ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次