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定石13:営業経費は付加価値の87%未満とし、できれば80%未満に抑えるべきである

それでは、内部留保率5%を確保するにどうすればいいのか。これには定石があって、だいたい営業経費を付加価値全体の87%未満に、内部留保を10%確保したければ営業経費は80%未満にとどめる体勢を築けば、達成できるのだ。

もちろん内部留保の源泉である付加価値を高められればよいが、これからの時代は企業の生み出す付加価値率が上がることはないと厳しめに見通しておいた方が賢明であろう。そのなかで確実に内部留保を確保していくには、社長が経費の使い方に明確な方針をもたなければ、目標の内部留保額は絶対に確保できないのだ。それでは、付加価値(売上総利益)に対して内部留保を5%確保したい場合から述べていく。

第11表は、先ほどご紹介した佐藤式P/Lである。この表を使って付加価値をどう配分していけば内部留保が5%確保できるか、営業経費以下の科目に数字を入れてみよう。

最初に付加価値の科目に「100」と書き込み、続いて内部留保を5%確保したいのだから、まっ先に表の内部留保のところに「5」と入れておく。そして、下から順番に逆算していくと、最終的に付加価値全体の何割を営業経費に使えるかが算出できるのだ。

まず、内部留保のすぐ上にある科目の「配当金」や「役員賞与」など益金処分であるが、これは株主構成が100%同族のオーナー企業の場合は、「0」とする。なぜなら、配当は税法上、損金とならないいわゆる「損金不算入」だからだ。であれば、社長が株主ならば配当も役員報酬も、社長の取り分に変わりはないのだから、配当は損金算入できる営業経費の科目である、「役員報酬」に一括して計上した方がよい。

同様に、役員賞与も損金不算入であるから、こちらも「0」にして、営業経費の役員報酬で支給するのだ。

このように益金処分をゼロにして、役員報酬に役員の賞与も配当も含めると当期利益がどう変わるかについては、後の「税務署に対する定石」で改めて詳述するとして、とにかくここでは損金不算入の益金処分については「0」とすると覚えておけばよろしい。

さて、役員賞与と配当金をともに「0」とすると、当然、当期利益も「5」のままだ。要するに、当期利益から益金処分を差し引いた残りが内部留保なのだから、逆算すると、内部留保を「5」確保するには、益金処分を「0」にすれば、5(内部留保比率)十0 (役員賞与比率)+0(配当金比率)=5(当期利益比率)となる。

続いて、5%の内部留保を確保するために税引前利益をいくらあげればよいかを計算してみよう。当期利益の上にある項目は法人税充当金だ。これは現在の税率40%に則って、第12表の計算式どおりに算出すると「3・3」と出る。

ついでに事業税引当も第12表の計算式どおりに算出すると、「0・8」となるので、各項目にそれぞれ算出した数字を入れていただきたい。ちなみに、損益計算書なので経費には△ (マイナス)をつけて表示する。そうすると、当期利益の「5」に法人税充当金の「3・3」を足すと、税引前利益は「8。3」となる。つまり、5%の内部留保を確保するために税引前利益は付加価値の8・3%の額をあげなければならないということだ。

もう一度繰り返すと、当期純利益を5%確保するために税引前利益をいくらにしたらいいかというと、税引前利益が付加価値の「8。3」%あって、その40%の法人税3・3%を払うと5%になる。言い換えれば、当期純利益を5%確保するためには、法人税充当金が3・3%になるので、税引前利益を8・3%確保しなければ、5%の当期純利益が確保できない。したがって内部留保も5%確保できない、そういうことになる。

それでは、税引前利益の「8・3」%を確保するためには、経常利益がいくらになったらいいのか。 一般的に特別損益というのは、固定資産の除却損益とか、棚卸資産の除却損益とか、貸倒引当金の繰入だとか、要するにこういった事態の備えとして、常に安全に事業を進めていくための必要経費である。

したがって、最低でも会社として1%は見ておかなければならない経費である。とすると、特別損益を1%確保しておくので、税引前利益を8・3%あげるためには、経常利益は9。3%確保しなければならない。

続いて、経常利益を9。3%確保するには、営業利益は付加価値の何%必要か。金融損益、つまり金融機関への借入または預入れに対する支払利息(損)や受取利息(益)であるが、一般的に見積もると、だいたい付加価値に対して3%くらいが通常の金融費用であろう。したがって、3%の金融費用がかかるとすれば、営業利益は付加価値全体の12。3%必要ということだ。

次の事業税の引当費用については既に0。8%と算出してあるので、営業利益を12・3%あげるためには、税引前営業利益が13・1%ないと、12・3%の営業利益が出ない。さらに、13・1%の税引前営業利益をあげるためには、付加価値100%から13・1%を差し引いて、営業経費を付加価値に対して86・9%以内に納めればよいことがわかる。

ここまでをまとめると、営業経費を86・9%に抑えれば、税引前営業利益が13・1%になり、事業税を払っても営業利益が12・3%になる。さらに金融費を3%払っても経常利益は9。3%出る。特別損益を1%払っても税引前利益が8・3%になる。税引前利益が8・3%の場合には、これの40%すなわち3・3%の法人税充当金が出るから、当期純利益が5%になる。そして、役員賞与と配当金をゼロにすれば、差し引き内部留保を5%確保することができるというわけだ。

もちろん、会社によっては借入の多寡によって金融費が2%で済む会社もあれば5%ある会社もあるだろうが、大きくみて、5%の内部留保を確保するためには、営業経費は売上総利益の約87%未満に抑えなければならないという一つの目安ができる。この目安というのは、企業経営の定石なのだ。

同様の計算方法で、10%の内部留保を確保するためには、役員賞与と配当金を「0」にして、当期純利益は同じく「10」%だ。10%あげるためには、法人税充当金は40%だから、「16・7」%の税引前利益をあげれば、「10」%の当期純利益が出る。

さらに、特別損益が「1」%とすれば、経常利益は「17。7」%あげなくてはならない。

そして、「1」%の金融費用のかかっている会社だと、「17・7」%の経常利益を出すためには、「18・7」%の営業利益を出せばいい。

そして事業税引当は現在税率10%で、法人税率40%の4分の1だから、事業税引当金は法人税充当金「6。7」%の25%で、約「1・7」%となる。

よって、営業利益「18・7」%をあげるためには、税引前の営業利益は「20・4」%なければ、「18。7」%の営業利益は確保出来ない。

したがって、「20・4」%の税引前営業利益を確保するためには、付加価値額全体の「100」%から「20。4」%を差し引いた「79・6」%の営業経費で収めなければならないとわかる。

つまり、こちらも会社によって金融損益などに違いが出るだろうが、それでも10%の内部留保を確保するためには、営業経費は80%未満に抑えることが目安となる。

以上、5%あるいは10%の内部留保率を確保するための経費率87%、80%という数字を定石として覚えておくこと。

そして、定石どおりの経費比率に収めてさえいただければ、無理な売上拡大に走らずとも、確実に5%、10%の内部留保を確保できるのだということを、経費枠という概念で捉えておくことが収益確保のために重要になることをご理解いただきたい。

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