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外部の「壁打ち役」をつくる

 社長の意思決定は、誰かに頼らず、社長自身で行なうのが大原則です。  というのも、社長は自分の意思決定に責任を負わなくてはならないからです。「相談役から、やれって言われたからさ」というような社長に、社員も投資家もついていこうとは思わないでしょう。  しかし私自身がそうですし、また、たくさんの社長のサポートをしていても思うのは、誰かに「壁打ち役」となってもらって話をするのは、意思決定をするうえでとても有効だということです。  読者の皆さんも、誰かに話をすることで、自分の頭の中が整理されたという経験はあるのではないかと思います。じつは社長にとっては、それ以上の意味があります。  そもそも社長というのは、本音で誰かに相談することが構造的に難しいのです。「社長」である以上、社員たちに心配な顔を見せるわけにはいきません。投資家や銀行に対しても、どれだけ不安を抱えていても、自信があるように装う必要があります。「じつは、悩んでいまして」とは、口が裂けても言えないのです。  しかも、毎日のように数えきれない数の意思決定にさらされていると(しかもそれが楽しい案件ばかりではない)、社長自身も、何を基準にして意思決定をしていたかわからなくなるときがあります。  すると気づかないうちに、自身でしっかり考えていた社長でさえも、波風が立ちにくいような意思決定に流されてしまうこともありえます。  社長に限らずですが、自分のことは客観的に見れないものです。そんなとき、意思決定の拠り所を取り戻すうえでも、フラットな目を持つ第三者と話すことには大きな意味があります(* 1)。  ややこしい問題に関しては自分一人では整理しきれないこともあるでしょうし、企業経営は放っておけば独りよがりになりがちです。そんなとき、誰かと対話をすれば、「あ、こういうことが大事だったな」「原点はこれだった」と客観的な視点を取り戻せたり、心の奥底で思っていたことに気づけたりもします。  経営陣のなかで互いに対話をしながら壁打ちするのが理想ですが、社外に信用できる方がいるのなら、その方に「壁打ち役」をしてもらえば良いでしょう。  相談先を置くにしても、社長がすべてを決めないといけないのは大変だと思ったかもしれませんが、なにも社長がすべてのことを決める必要はないのです。  テーマに応じて誰かに意思決定を任せてもいいでしょう。  ただその場合、「誰に何を任せるか」については、社長が意思決定をする必要があるということです(* 2)。 *1私が知る限り、単独で自走し続けている社長はほとんどいません。表に出さないだけで、社外のコーチをつけるなど、社内外問わず相談先を持っている社長は意外に多いです。私自身、たくさんの社長の伴走支援をする立場でもありますが、外部のメンターやコーチをそばに置いています。 *2的確な意思決定を行なうには、耳の痛いことを言ってくれる人を周囲に置くことが重要です。「この人の言うことなら聞いても良い」と思えるような人を経営メンバーに入れてもいいし、社外の方でも良いでしょう。自分の信念を持たないといけませんが、一方で、ある種自分を否定してもらえるような構造を意図的につくるのです。

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