売上は総額表示 VS売上は純額表示 私のクライアントで、電動工具の代理店を営んでいる会社があります。商品はメーカーから直送のため、その会社自体は倉庫を持っていません。つまりお客様に商品を売っても、請求書のやり取りだけの取引になります。 この取引の場合、損益計算書上は売上 1000万円、仕入れ 800万円、粗利益は 200万円です。このように、売上金額を総額で表示することを総額表示と言います。 これに対して、メーカーに販売先を紹介してコミッション(紹介料)を 200万円もらう取引……と考えた場合はどうでしょう。つまり、売上 200万円、粗利益 200万円の取引にするのです。これを純額表示と言います。 どちらも利益は 200万円なので、同じように見えるかもしれません。 しかし、金融機関からの印象と資金繰りの面では、大きく違いが出ます。 というのも、お客様に商品を販売するのではなく、メーカーからコミッションを受け取る純額表示の場合、金融機関からブローカーと認識される可能性があります。金融機関は商売形態が把握しづらいブローカーを嫌う傾向にあるため、この取引においては純額表示はあまりおすすめできないと言えるでしょう。 また、近年、資金繰りの施策としてファクタリングを利用する会社が増えています。 先ほどの取引の場合、総額表示すると売上が 1000万円あるため、仮に売掛金が 1000万円あればファクタリングを通して 1000万円借りることが可能です。しかし、純額表示にしてしまうと、売上が 200万円になるため、最大でも 200万円しか借りられないことになってしまうのです。 経営の実態が何も変わっていないのにもかかわらず、 800万円も借入限度が減ってしまうのですから、これは経営としては大きな問題です。 総額表示と純額表示、どちらにメリットがあるのかと考えると、資金調達という点では総額表示でしょう。 「B/ Sを制するものが商売を制する」という言葉があるように、売掛金をはじめとする資産が大幅に減少してしまう純額表示をあえて選択する必要はありません。総額表示と純額表示、両方がある業種ならどうする? では、総額表示と純額表示の両方がありえる業種についてお話しします。わかりやすいように事例で見ていきましょう。 たとえば太陽光発電の取り付け工事。材料をメーカーから仕入れ、一般住宅に取り付け工事を行います。これは総額表示になります。 では、その太陽光発電のメンテナンスも年間契約で行うとなった場合はどうでしょう? 実は、このメンテナンスの売上は純額表示になるのです。 このようなケースでは、総額表示の事業と純額表示の事業を分けて、別会社にするという選択肢がベターです。理由は消費税の節税を図るため。実は純額表示のビジネスモデルは、こちらに出てきた「簡易課税」を選択すると、売上にもよりますが、ほとんどの場合でそのほうが得になるのです。 たしかに一般的には、売掛債権が多いほうが資金調達面では有利になります。ただ、今お伝えしたようなケースの場合、金融機関は両方の会社の決算書を求めるため、その限りではありません。別会社を作ったほうがメリットになることもあります。 ですので、まずは消費税のシミュレーションを行って、会社を分けたほうが得になるかどうかを確認することをおすすめします。
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