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四、作業を改善する基本

【急所41】人手不足への対処方法:ひとでぶそく人手不足と言うな。人不足と手不足に分けて考えよ。

人不足と手不足はまったく別の問題である。人不足とは、技術・技能の蓄積を要する能力の不足で、採用、育成、習熟といった人材への準備を怠ったことが原因だ。即解決は不可能で経営陣による戦略が不可欠だ。

ただし、忙しい人の仕事内容をよく観察してみると、誰でもできる仕事もかなりしていることが多い。その人にしかできない仕事に集中・専念できるように切り分け、アシスタントを付けて解決できることは多い。同様に考えて、 一時的な増産に対しては、手不足部分を時間単位での派

けん

遣増員や他部門からの応援によって解決が可能だ。ただし、注意すべきは恒常化だ。普段からの協力体制や改善活動は重要だが、いつも手不足が発生するなら、生産計画や段取り替えを刷新し、簡易自動化や工程数削減ヽいった本格的な改善に着手しなければならない。

【急所42】作業分割の愚:全員に一人前の仕事を教えよ。

千羽鶴をつくるために人を集めたとする。折り鶴は折ったことがないという人がいるので、紙を一つ折る工程ごと、手分けして折り鶴をつくっていくことにしたらどうなるだろうか。

作業を分割すると、紙を取って一つ折ってまた横に置いて…と、取ったり置いたり、持ち替えたり運んだり…といった余計な作業が増えることになる。さらに、手が速い人と遅い人がいるので、前の人が遅ければ手待ちも生まれる。そもそも、 一ラインで折り鶴を折るときの速さは、最も手が遅い人のスピード以上に上がることはない。

折り鶴を手分けして折ることはない。折つたことがない人には折り方を教えればいいし、その間に得意な人は幾つも折り上げるだろう。現場管理職の仕事は管理ではなく、作業を教え、訓練することにあるのだ。

【急所43】仕事の教え方・教わり方:作業を教えるな、仕事を教えよ。

仕事を教えているつもりでも、よく見てみると手順や動作、配置といった作業しか教えていない人がいる。

作業手順を教えることは確かに重要だが、何のために作業して、今の作業は製品のどの部分を造っていて、どういう品質が必要なのか、そして作業を通じて何を考えて行動しなくてはならないのか…を自ら考えて行動できるように、本当の意味で仕事を教えなければ応用は利かないし、本人の成長もなければ技能も上がらなくなる。OJTと称して、作業ばかり教える監督者がいるが、概して本人の仕事

おぼ    いっこう

力が低い。 一方で、作業ばかり覚えて一向に仕事を覚えない人がいる。「なぜ?」「何のために?」の質問がない人は、作業だけを覚えようとしている表れだ。どちらもレベルが低いことに気づかなければならない。

【急所44】作業訓練のやり方:仕事は、教え方まで合めて「仕組み化」せよ。

教育訓練によってできるようになる、最も難しいことの一つが自動車の運転だ。目、耳、手、足、すべてを使い、次々と起こる変化に一人だけで即座に対応するという作業レベルは並大抵ではない。

だが、大半の人が四〇時間ほどの教習で一通り運転できるようになり、国家資格を手に入れる。習う人が優れているのではない。教育。訓練方法が整備され、どこの教官でも教えられる仕組みができているからだ。

工場の中で車の運転より難しい仕事を探すのは大変だ。ベテラン作業者の技術・技能を若い人が引き継げないという嘆きを聞くが、誰もが理解できる教育・訓練方法がつくられていないことが最大の原因だ。

技術は見て盗め、仕事は自ら習得せよといった姿勢論は別にし、強い企業ほど、仕事は教え方まで含めて仕組み化し、高度化させていっている。

【急所45】仕事の進め方:小さな仕事はパソコンで、大きな仕事は模造紙で。

大きなプロジェクトになればなるほど、多くの人が関わり、準備も手配も複雑になり、協同作業や社外スタッフとの連携も発生してくる。大人数で物事を進めていく時に大切なことは「一覧性」である。自分た

わた

ちはいつまでに何を完成させ、どこに渡すのか。横で何が行なわれ、いつ連携が必要かなどは、パソコンの画面で把握するのは非常に困難だ。

大きな仕事にはできれば専用の部屋を用意する。すべての情報を模造紙に書いて端から順に貼っていけば、進行状況はひと目で分かる。修正や変更の経緯も分かるし、スタッフ同士で指さしながら議論もできる。

一方、日々の受注処理や集計、生産計画、棚卸し…などに必要なのは「正確性と連携性」だ。紙や電卓などを使っていると、担当者によって仕事にバラツキがでるし、他の業務との連携も困難となる。

【急所46】職人の基準:ニセ者の職人がのさばっていないか

職人とは、 一つの困難なことにコツコツと研鑽を重ね、誰にも真似できない卓越した技能を身に付けている人のことだ。いわゆる「職人技」によって、製品の技術的な優位性を発揮したり、誰をも唸らせる仕事ができる人で、企業が大切にするべき本物の人材である。

注意すべきは、それほど難しい仕事ではないが、工場内ではその人しかできないため、本人も周囲も職人と勘違いしている場合だ。彼は自分の仕事をきちんと体系化しておらず、動作でしか表現できないため説明が分かりにくい。しかも、自分の仕事を抱え込んで外から見えなくすることで、現在の地位を守ろうとする。当然ながら人を育てる努力もしない。とんでもないことだが、このような「人罪」を、職人と勘違いしている工場は多い。本物は、社外でも評価される技能を持っている。

【急所47】作業に隠れている問題:作業改善を考えるな。その作業が、会社に利益をもたらす仕事になっているかを考えよ。

現場改善を「作業改善」と捉えている会社が多い。作業を改善することで能率が上がり、その結果、会社経営に貢献できるという理屈だ。

しかし、その作業が本当に会社に利益をもたらす仕事になっているかをよく考えてほしい。意外とその作業そのものが不要であったり、別の問題の結果として発生している作業であったりするからだ。

例えば、段取り替えがスムーズに行なわれていても、それが計画以外の突発の変更によるものであれば別の問題がある。仮組み立てや調整といえば聞こえはいいが、 一発で良品が造れない技術の低さの現れでもある。中でも転記作業はダメな仕事の典型だ。NCマシンで毎回情報をインプットしていたり、事務所でも、パソコンの横にメモや電卓などがあるのは、すべて一発で作業ができていない問題の現れだと思った方がいい。

【急所48】標準化とは:誰もが何万口でも、繰り返し行なえるようにすることをひょうじゅんか標準化という。

標準化を、作業手順やマニュアルづくりと考えている工場が多い。

しかし、真の標準化とは、「誰もが何万回でも繰り返すことができる」というやり方を決めることだ。当然、安全にも配慮され、品質も維持できなければ意味がない。

だから、本当に標準化されていれば、何より作業者は楽で、良品以外は造ることができない状態となる。経営者や工場長も、安心して見ていられ、すべてを任せられるようになるのだ。

標準化を作業者だけでつくり出すことは不可能だ。工程順も作業手順も、そして使用する工具や設備その他も、その仕事に関わるすべての人が考え、チエを出さなければ、単なる作業マニュアルになってしまう。

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標準化はリーダーの責任だが、 一度稼動するとその効果は絶大だ。

【急所49】少数精鋭化の方法:少数精鋭は少数から。上から人を抜くと精鋭化する。

少数精鋭は、少数にすることから始めるとうまくいく。ただし、優秀な人から順に抜いて少数化していくことがポイントだ。人は何人か集まると、お互いに無い部分を補うようになる特性がある。

一〇人いるチームで、ナンバーワンを抜かれたチームは、それまでのナンバーツーがリーダーに育つ。逆に、最も出来ない人を抜くと、少しマシだった人がダルマ落としのようにズリ落ちる。どちらの方法でも九人のチームになるが、後者の方法だと全体のレベルは下がってしまう。

精鋭化には、勇気をもって優秀な人から抜くことだ。抜いた人にはよりレベルの高いチャレンジングな仕事を与えることで「次は自分が」と残った人のヤル気も増す。ダメな人を外すことや精鋭化から始めようとする人がいるが、人の特性やモチベーションを知らなければ鳥合の衆になる。

【急所50】管理スタッフの仕事:管理専門の人がいるということは、うキ一

現場が上手く口っていないことの現れである。

管理部門、管理スタッフの仕事は「管理すること」ではない。ベストの生産ができるように、モノとヒトと設備の動きを見て、調整。改善して管理自体を可能な限リゼロにすることだ。

そもそも、実際の生産は変化の連続であり、生産管理のスタッフが夜なべして立てた計画よりも、現場が独自の工夫で生産をやり繰りしたほうが現実的だ。品質管理も、管理スタッフが不良集計をいくらしても品質は決して良くならない。現場でなぜ不良が起きるのかを見つけ出し、良いモノができるように改良、改善する以外にないのだ。

数字を見る管理スタッフは不要だ。現場を見て改善することが仕事なのだ。生産管理者、購買管理者、品質管理者…、好業績で上手く回っている工場には無用な管理や管理スタッフは存在しない。

【急所51】クレーム処理:クレームは、人海戦術では解決しない

クレームは火事と同じだ。起こさないのが一番だが、起きてしまったら消火が第一優先だ。お客様にお詫びし、代替えの商品を届けたり緊急の修理をしたりと、人海戦術でも何でも一刻も速く対応することだ。

しかし問題はその後だ。クレームの大半は品質に関わる重大事である。転んでもただでは起きないという強い意思をもって、全社あげての改善が必要だ。製造はもちろん、設計も購買も技術も管理も、関わる全部門が現場。現物を前にしてとことん議論し、三度と同じ問題を起こさない強い決意と具体的な対応が必要だ。

クレームを営業任せの処理で終わらせたり、作業担当者の不注意が欠陥の原因だと、厳重注意している会社が多いが、クレームは、人海戦術ではなく、仕組みの欠陥に手を打たない限り、絶対に解決しない。

【急所52】注文がない時の対処:注文がないところに生産はない

多くの工場で、日々たくさんの製品が造られているが、増産することより難しいのが生産量が減った時の対応だ。

最もやってはならないことは、手が空いていてはいけないと考え、造らなくていいモノを造ってしまうことだ。ムダに造ればお金がモノに僣けて

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不良在庫化する上に、管理と廃棄のダブルバンチを喰らうことになる。手が空かないように生産スピードを落とし、ゆっくり造ることも禁物だ。

注文がないところに生産はないのだ。だから生産量を減らすということは注文が減ったということだ。やるべきことは、手が空いた人で注文を取りに行くことと、次に注文があった時に、今より良いモノを造れるように訓練することである。段取り替えの練習や多能工化の訓練、あるいは設備の改善などするべきことは山ほどある。

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