豚骨ラーメンがおいしいという評判のお店がありました。店長は売上を伸ばすために新たに醤油ラーメンを販売することにしました。すると売上が少し上がりました。そこで店長は味噌ラーメンも販売することにしました。しかし売上があまり伸びません。そこで塩ラーメンを販売することにしました。次に担々麺の販売もスタートさせました。その後どうなったかというと、売上は徐々に下がり、豚骨ラーメンだけを売っていた頃よりも売上が落ちてしまいました。 当社は設立当初、パソコン用品、フロッピーやトナーを売っていました。その後はパソコン本体やパソコンソフト、用紙などにも手を広げていきました。前職の私の先輩で、さまざまなパソコン用品やソフトウェアを販売している社長から、「新規のお客様を獲得していくより、ひとりのお客様にいろんなものを売ったほうが売上が上がるよ」とアドバイスを受けたためです。 現在の当社はどうかというと、クラウドサービスのみです。今までやっていたパソコン関連の仕事はすべてやめてしまいました。潔くスパッと全部やめてしまったというとカッコいいのですが、そうではありません。フロッピーをやめ、トナーをやめ、と毎年一つずつ商材をやめていきました。特にトナーは年間 1000万円以上の売上があり、当時はお金もなかったので苦渋の選択でしたが、やめることを決断しました。なぜ次々と商材を切り捨てていった
のかというと、一つの商品に絞って販売しないかぎり成功はないということに気づいたからです。 一つのものに特化して専門知識やノウハウを蓄えなければ、お客様からなんでも屋だと思われてしまいます。広くても浅い知識しか持たない「何でも屋」が、お客様から信用されるはずがありません。 成功しない会社は、取り扱い商品がどんどん増えていきます。売上が伸びないから新しい商材を売ろう、おっ、これも売れそうだ、こういうニーズもありそうだと、どんどん商品が増えていきます。そして最後はなんでも屋になってしまうのです。 何でも屋の末路はデパートです。デパートには何でもありますが、専門店ではありません。店員も専門知識を持っていません。単に、たくさんの商品が並んでいるだけです。だから本当にいいもの、欲しいものを探している人は、その分野に特化した専門店で買うのです。 会社経営で重要なのは商材を切り捨てる勇気です。何でも売りたいのはわかります。事実、売上も少し増えるのです。しかしその代償として専門店としての信用を失っていくのです。 ちなみに最初に話した先輩の会社は今どうなっているかというと、 30年前に社員が 3人いましたが、今はひとりで「何でも屋」を経営しています。
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