商品開発の重要性は、先に述べたように、会社の体質とか自社の持っている特徴をいかに
生かすかにあるが、さらに重要なことは、経営哲学だ。特に中小。中堅の場合には、これが
重要なポイントを占める。
商品哲学というようなもので、商品そのもののバックボーンとしてきわめて重要である。
これは、商品開発に限らず会社の運営の場合には、必要であることはいうまでもない。
要するに考え方の明確な基本である。これが、背骨として一本通っていて、そこへ他社の
良い面を吸収する。あるいは、真似るとか、また、行動する価値判断の原点として、特に重
要である。
商品開発を推進しているとき、必ず生ずるものに迷いがある。それは思い通りに売れない
ということがあるからだ。
何でも思い通りにいかないのが世の常であるし、経営もまたしかりである。そうしたとき
に、持続する力を支えてくれるのが、バックボーンである。
このバックボーンがしっかりしていれば、迷いは払拭できるはずだ。迷いのない状態で徹
することが重要になってくるわけだ。これはトップ一人の問題ではないので、従業員全員の
協力のもとに推進し持続しなければならない。
しかし、ここで肝心なのは社内の多数の声があればあるほどピントが甘くなりずれてくる。
言い換えれば、鳥合の衆の集まりであっては、まとまるどころか何の特徴もない、まとまり
のない商品という結果になりかねない。
ピントをはずさない行動の徹底には、迷いのない強いバックボーンとなる信念、哲学、商
品原点を重要視せねばならない。
かみくだいていうと、こだわりということだ。「なぜ、我が社はこの商品をやるのか」「なぜ、
この考えでやるのか」というこだわりである。この精神がなかったら継続は不可能である。
世間的には「今年のヒット商品ではあれが良かった」とかいうか、良かった商品で、根なし
草みたいな商品はいくらヒット商品でもあっても見抜かれてしまい短命に終わってしまう。
大阪、京都の高島屋百貨店、名古屋の松坂屋本店の地下に出店しているカレーの店「サン
マルコ」がある。
カレーショップヘの進出が社内で提案されたとき、同社のメンバーのほとんどが「カレー
などは、西を向いても、東を見ても出店されている」「今さら、カレーの店をとは」と異口同
音にクェッションマークが出された。
一般的に市場を見渡せば、確かにこういう意見、もっともである。
だが、同社のトップは、カレーを自社の生産面と技術面と販売の面で持っているノウハウ
を駆使して新開店、成功へともっていった。
カレーライスの欠点は、食べ終えたときに胸やけすることだ。だから我が社は、胸やけし
ないカレーをつくるというのが開発主眼の一つ。
お客様はいつも感動を求めて、それを探している。感動を得るために情報を求めて、その
ためにはお金を使っていただけるのである。さらに、食べるときには辛くなく、店を出たと
きにカレーの辛さとうまさが「ジュワー」と日の中に広がるそんなうまいカレーをつくる。
もう一つは、カレーの店はやすっぽい雰囲気がある。そうしたイメージをぬぐい、いかに
豪華さを打ち出し、洗練された雰囲気の中で、女性も気軽に気持ちよく食べられるようにす
るかに重点がおかれた。
昔からある商品については、消費者の苦情、不平不満が少なからずあるものだ。実はその
中にこそ、新しい商品の創造へ結びつく秘密があることを見抜かねばいけない。
現在ある商品の欠点を商品改良への「天の声」として、受けとめるかとめないかが、商品を
殺すか生かすか、また新商品を誕生させるか否かにかかってくるのである。
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