同族会社の体質とその強み
同族会社の最大の欠点は、人材が集まりにくいことだ。
また、何人かの兄弟で経営している場合、強力なリーダーシップを発揮できる決定権者、良い意味での独裁者が実質的に不在になってしまうことである。
独裁者がいる場合でも、その独裁者のために、かえって老害が起こりやすい。歳をとっても、独裁者は会社をなかなかやめられない。独裁者がやめてしまうと、求心力が失われ、会社全体がまとまらないという事態がよく起こる。いずれにしても、後継者を選びにくい。
内部にいる他人がいつも言うことは、「同族会社なので、非同族の意見が通らない。出世もできない」ということで、不満が常に渦巻いている。
同族間の争いが絶えないという欠点もある。どちらかといえば、愛憎、愛と憎しみの二極が同居しているケースが多い。他人が弟をけなすと、「なに言ってんだ」と怒るくせに、弟といつも喧嘩しているというような、非常におかしな構図ができてしまう。また、弟の言動に対して、兄が体面を保つために「鶴の一声」というのがあって、社員を首にしたりする。これも、同族会社の一つの特色で、大きな欠点である。
さらに、同族会社には、金銭の分配、地位の配置でトラブルが起こりやすい。以上のような欠点が全体的に非常に多い。しかし、そういう欠点をすべて取り除いてしまえば、同族会社ほど強みを発揮できる態勢はない。そのためには、正義に満ちた独裁者、卓抜の手腕をもつ人が強烈に必要とされる。
私は、血族の争いが絶え間ない会社に、次のような手を打ったことがある。
その会社に全く関係ない、財界の大物を私が説得して、「この会社はトラブルが多くてしょうがない。先生ぐらい偉い人の言うことだったら、みんな、ハハーッと聞くだろうから、そこの会長になっていただけないだろうか」と言ったところ、「君が頼むんだったら……」と、すぐに引き受けてくれた。
その会長に、 一々お伺いを立てるようにさせたのだが、すると、その人物のあまりの大きさに、全く争いがなくなってしまった。つまり、独裁はしていないのに、そこにいるだけで独裁の形になってしまう。それぐらいに偉大な人物が会長になったために、その体面を保たなければいけないと、みんなが緊張したからである。
私には、そういう経験がある。現実に今でも、そこの会社はその人に会長を頼んでいる。
とにかく、正義に満ちた独裁者、卓抜の手腕のある人が必要な場合が結構多い。そういう人物がいれば、たちまち争いがなくなる。「君、そんなこと言ったってなあ」といわれたら、それでおしまいになる。その会長は、あまり多くをしゃべらない。会社に行って、まず、「どう?」と聞くと、相手が説明する。そして、「あ、そう。任せた」でおしまいだと、私に話してくれた。
私の知っている社長が、その会長とほとんど同じことを言っている。その社長は、会社に行って、部下に「どう?」「あ、そう」「じゃあ任せた」と二言だけ言って、ゴルフ場へ一日散に行くというほどのゴルフ気違いだ。幸福な人で、私もそうなりたいと思っているのだが、なかなかそうはいかない。
コメント