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原価を下げ、粗利益率を上げよ

売上高から原材料費などの製造直接費、あるいは仕入れ原価を差し引いたものが、粗利益

高である。この粗利益は売上総利益とも言う。すべての私企業の経営者は、日夜、売上げを

上げることとコストの低減のために必死に考え、実践している。

このコストを下げる方法には、大きく言って、①仕入れ価格を下げる、②原材料ロスを低

減する、③付加価値を上げる、の三つがある。これらについて、具体的に説明しよう。

①仕入れ価格を下げる

一般に仕入れ原価を下げる方法として言われるのは、三社見積もり一社購買である。たし

かにこの方法は仕入れ原価を低減させる基本であるが、これを常時反復しているだけでは、

必ずしも仕入れ原価は下がらない。実際に仕入れ原価の低減を実現する方策は、次の四つの

条件によって決まる。

①現在の取引量のボリュームがそこそこあるか。

②年間取引量が拡大する可能性、または正確な計画があるか。

6年間取引量が明確に把握されているか。

④支払い態度・信用度と仕入れ関係のクリーン度。

以下、この①〜0について少し説明を加えよう。まず、現在の取引量がそこそこにあるか

どうかである。例えば製麺業で言うならば、小麦粉とかそば粉が、そこそこのボリュームの

取引量がある場合、その実績がメリットになる。そして、取引量拡大の可能性と計画性につ

いて説明する。自社の事業計画書を作成して、仕入れ先のトップを説得し、自社の未来に賭

けてもらうということである。ハラの探り合いでなく、仕入れの年度計画・物量をいかに相

手に植えつけるかということである。対前年度の仕入れ実績が年々増加していけば、もうし

めたものである。計画どおりの仕入れを実行することによって、信用も得られる。要は有言

実行である。

次いで、年間取引量を明確に把握すること。取引はつねに三社見積もりの結果で、取引先

も取引量も不安定でA社、B社、C杜と変わっていては、各社の成約の確率は一〇〇でなく

三〇となり、それではコストダウンをやる方法がなくなってしまう。ある程度の年間取引高

が把握できないことには商談は進まないし、具体的な数量で話し合わないと、値下げの実現

は不可能である。そして、もう一つ大切なことは、支払い態度。信用度がクリーンであるこ

と。人間である以上、代金支払いの履行、その態度、会社の信用度。安定度など、法人も個

人と同様に、これらの企業の品格が先に立つ。仕入れ担当者のバックリベート要求、接待の

強要などは、逆効果である。

私はこれらのことを言い続けているのだが、歴史の長い会社や田合的な地縁関係が強い地

域の企業では、いまだに、古いくされ縁で仕入れ先とつながっているところが多く、またサ

ラリーマン仕入れ担当者がいる大企業や団体組合組織では、担当者が収賄する悪習が後を絶っていない。

②原材料ロスをなくす

人間は現金であれば一円でも大切にするのに、現金が形を変えて、材料、部品、半製品、

製品などのモノになると、途端に扱いが粗雑になる。その結果、仕入れすぎロス、つくりす

ぎロスが発生するほか、伝票がついて回らず、どこかで消えたり、盗まれたり、なくなったり、

わからなくなったりする。こうした管理の悪さは、儲かっていない会社ほどずさんで、ひどい。

ある飲料品メーカーは、バブル後にPB(自社ブランド製品)、NB(全国メーカー製品)を

含めて商品の種類を六〇〇アイテムから一二〇アイテムに絞り込み、驚くほどのコストダウ

ンに成功した。これは、従来がつくりすぎによるロスが大きく、企業の管理能力をはるかに

超えていたことを実証している。

③付加価値を上げる

私は、この本のなかで一貫して販売力よりも商品力を高めよと言っている。もし、日本で

「モノづくり」に携わろうと思うなら、「商品力」を決め手にするしかないと信じているからで

ある。商品力が強いということは、同業他社に比べて粗利益率が高いことを意味する。私の

経験則からも、商品力の強い会社ほどシェアを伸ばしている。

粗利益率が高いかどうかは、企業の運命を大きく変える。これからの時代は、汗を流して

バタバタ動き回るのでなく、頭を使って、デザインカ、研究開発力を生かした経営に徹し、

付加価値を高めるよう努めるべきである。新商品開発費用を使わない、付加価値が低い企業

は、どんなに頑張っても時代の大きな流れのなかで押し流され、消えていかざるを得ない運

命にあるからだ。

`

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