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労働基準法って何?

はじめに本書を手にしていただき、ありがとうございます。この本は、労働基準法のことを知りたい人のための入門書です。入門書とはいいながら、一般的な知識を列挙しただけの本ではありません。「急に労働基準監督署の調査が来ることになったが、どう対応すればいいのか?」「従業員から未払い残業代の請求を受けないためには、どうすればいいのか?」「働き方改革で、会社は何をしなければならないのか?」そんな皆様の実務上の疑問に、ダイレクトに答える1冊、それが本書です。実務で役立つために、難しい法律をできるだけわかりやすい表記で、そして短時間で読んでいただけるように、これ以上は省略できないという情報量で書かせていただきました。この本の内容をご理解いただければ、大きな労務トラブルは防げます。この本を選んでいただいたことが、皆様の会社の労務問題の解決、防止につながりますことを切に願っております。社会保険労務士法人アップル労務管理事務所所長吉田秀子

改訂新版の発行にあたって2019年4月施行「働き方改革」で、何がどう変わる!?2019年4月から、残業時間や年休取得などに関する「働き方改革関連法」が順次施行されています。「働き方改革」とは、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするための改革です。具体的には、長時間労働の解消や、年次有給休暇を取得しやすくするなどにより、多様なライフ・ワーク・バランスの実現を目指すとともに、正規社員と非正規社員の間の不合理な待遇格差をなくすための規定の整備を行うものです。また、その実現のためには事業主だけでなく、働く労働者1人ひとりの意識改革と、業務改革も大切です。会社全体で取り組んでいきましょう。今回の改革で、いつから、何が、どう変わるかを、次表の一覧にまとめましたのでご参考になさってください。

[改訂新版]これだけは知っておきたい「労働基準法」の基本と常識[目次]はじめに〈改訂新版の発行にあたって〉「働き方改革」で、何がどう変わる!?第1章労働基準法って何?1人事関連のルールとは?→法律で定められているものと、事業主が任意で決められるものがある2労働基準法とはどんな法律?→労働条件の最低基準を定めた法律。これを下回る労働契約は無効3労基法を守らないとどうなる?→10年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることも4労働基準監督署は何をするところ?→労基法違反の取り締まりや、労働関係の手続きを管轄する行政機関第2章雇うときのルール1募集するときの注意点は?→募集、選考は制限されている事項があるので注意2青少年を募集・採用する際の注意点は?→募集時には固定残業代ほか労働条件などの明示が不可欠3年少者を雇うときの注意点は?→満18歳未満の人を雇うときは、年齢証明書などが必要4内定と内定取り消しとは?→内定は簡単に取り消せない。解雇と同程度の厳しい制限がある5労働条件通知書とは?→入社時に労働条件などを書面で明示する必要がある6試用期間とは?→試用期間満了で本採用しない場合は、解雇予告が必要7パートタイマーを雇い入れたときは?→非正社員にも労働関連法に沿った雇用ルールが適用される8有期労働契約者の雇用契約の更新とは?→雇用契約を繰り返し更新したときは、雇止めの予告が必要9労働契約法の有期労働契約のルールとは?→有期雇用契約期間が通算5年を超えたら、無期労働契約へ転換10外国人を雇うときは?→外国人の雇入れ時と退職時はハローワークへ届け出る第3章労働時間のルール1労働時間にカウントされる時間は?→実際に作業している時間だけでなく、手待ち時間も含む2法定労働時間、所定労働時間とは?→法律で定められた労働時間と、会社ごとに決める労働時間3法定休日、法定外休日とは?→休日は最低でも週1日、または4週4日以上与えなくてはならない4振替休日、代休のとらせ方は?→振替休日は、事前に労働日と休日を入れ替える5休憩時間とは?→原則、労働時間の途中に、労働者全員に一斉に与える6会社に合わせた労働時間制とは?

→会社の実態に合わせた柔軟な働き方で、残業時間を削減する71年単位の変形労働時間制とは?→1年間のうちで繁閑の差がある業務の、時間外労働を削減する81ヵ月単位の変形労働時間制とは?→1ヵ月のうちで繁閑の差がある業務の、時間外労働を削減する91週間単位の変形労働時間制とは?→1週間以内の短期間で繁閑の差がある業務で、導入のメリットがある10フレックスタイム制とは?→労働者本人が一定の範囲内で出勤、退勤の時間を自由に決められる11専門業務型裁量労働制とは?→19業務に限って認められた、みなし労働時間制度12企画業務型裁量労働制とは?→企画、立案の業務に従事するホワイトカラーの、みなし労働時間制度13事業場外みなし労働時間制とは?→営業や出張などの社外労働のため、労働時間の把握が難しい場合に適用できる14残業させるのに必要な36協定とは?→時間外労働をさせるには、36協定を労基署へ届け出る1536協定の特別条項とは?→特別条項付き協定を結べば、限度時間を超えることが可能第4章残業時間、割増賃金のルール1割増賃金とは?→法定労働時間を超えれば25%以上の割増率だが、法定内は割増なしでOK2割増賃金の計算方法は?→基本給だけでなく、諸手当も含めて時間単価を計算する3残業手当の必要がない役職者とは?→課長や店長でも「名ばかり管理職」は残業手当が必要4固定(定額)残業制とは?→残業手当を固定で支給することで、残業の未払いとならない方法5年俸制では割増賃金はいらない?→年俸制でも割増賃金は必要。賞与分が割増賃金の基礎となる賃金になることも第5章賃金のルール1賃金とは?→賃金には、支払いのルール(賃金支払い5原則)がある2最低賃金とは?→最低賃金を下回る賃金は無効となり、50万円以下の罰金が科されることも3休業手当とは?→事業主都合の休業をする場合は、平均賃金の6割を支払う4平均賃金とは?→3ヵ月間に支払われた賃金総額を、その期間の総日数で割って算出5賞与、退職金は必ず支払わなければならないか?→労基法では定めがない。事業主の判断で慎重に決定する6昇給の定めはどうする?→労基法では「昇給しなければならない」という定めはない7同一労働同一賃金とは?→正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差は禁止第6章年次有給休暇、法定休暇のルール1年次有給休暇とは?→雇入れから6ヵ月後、8割以上の出勤で年次有給休暇を付与2パートタイマー、アルバイトの年次有給休暇とは?

→1週間に1日勤務でも、所定労働日数に応じて付与しなければならない3年次有給休暇の計画付与とは?→年次有給休暇を業務に支障がないように取得させることができる方法4年次有給休暇の「使用者による時季指定」とは?→年次有給休暇の年5日の確実な取得の義務に違反すると罰則も5退職時に残りの年次有給休暇を請求されたら?→年次有給休暇を取得させる必要があり、時季変更権も使えない6法定休暇、特別休暇とは?→法定休暇は必ず与える休暇。特別休暇は事業主が独自に定められる休暇7休職とは?→法律で決められたものではない。期間や内容は自由に設定できる8私傷病休職とは?→休職中の連絡先など、必要事項が記載された休職願をとっておく第7章出産、育児、介護で休むルール1出産、育児にまつわる制度とは?→制度を利用する労働者には、さまざまな手当や給付がある2産前産後休業とは?→産前6週間、産後8週間、多胎の場合は14週間の休み3育児休業とは?→1歳未満の子どもの養育のために、原則1回取得できる4小学校就学前の子どもがいるときは?→短時間勤務制度や、子の看護休暇制度を利用できる5介護休業や介護にまつわる諸制度とは?→介護休業は93日、介護休暇は年5日とれる6女性活躍推進法とは?→出産や育児を抱える女性が、活躍できる職場環境を整える第8章退職時のルール1自己都合退職とは?→退職届と退職願は、法律的に違いがある2退職勧奨による退職とは?→会社が労働者に退職を促し、本人が合意した上で退職すること3定年退職、高年齢者雇用確保措置とは?→3つの方法を選択して、原則希望者全員65歳まで雇用しなければならない4定年後の再雇用制度とは?→平成25年3月以前に有効な労使協定がある場合は経過措置あり5懲戒のルールは?→就業規則などで懲戒の種類、内容を定めておくことが大切6普通解雇、懲戒解雇とは?→解雇が合法と認められる基準は、事業主にとってハードルが高い7リストラによる整理解雇とは?→4つの要件(要素)を総合的に考えて、解雇の正当性が判断される8解雇予告、解雇予告除外認定とは?→労働者をやむなく解雇するときは、30日前の解雇予告が必要9退職(解雇理由)証明書とは?→労働者の請求により、退職事由(解雇理由)などを証明するための書類第9章労災が起きたときの対応1労災とは?労災保険とは?→労災には業務災害と通勤災害があり、いずれも労災保険が使える2業務災害が起きたら?

→休業した最初の3日間は、事業主が平均賃金の6割を支払う3通勤災害が起きたら?→労災認定は通勤途中かどうかで判断。届出の経路でなくてもOK4療養(補償)給付の手続きの仕方は?→労災指定医療機関で受診するか否かで、手続きの流れが違う5休業(補償)給付と休業特別支給金の手続きの仕方は?→事業主と医師の証明を受けて、所定の請求書を労基署に提出6労働者死傷病報告とは?→休業の必要がある業務災害の場合に提出する第10章労働安全衛生法のポイント1安全衛生管理体制とは?→各種管理者の選任、安全衛生委員会の設置、開催など労働災害への対策を行う2安全衛生教育とは?→労働災害などを防止するため、労働者に適切な教育を実施する3ストレスチェックとは?→労働者のメンタルヘルス不調を予防するための制度4健康診断とは?→1年に1回の定期健康診断などを事業主負担で行う第11章就業規則、諸規程のルール1就業規則とは?→会社全体の労働条件などのルールを定めたもの2就業規則で定めることは?→絶対的、相対的記載事項のほかに、任意的記載事項の定めがポイント3正社員就業規則とは?→就業規則の各種規程の中心となるもの4賃金規程とは?→基本給や諸手当、給与改定など賃金に関する詳細をまとめて記載する5パートタイマーなど非正社員就業規則とは?→正社員とは労働条件が違うので、別規程にしたほうがトラブルを防げる6退職金規程とは?→退職金を支給すると定めた場合は規程を作成する7育児・介護休業規程とは?→育児・介護のための休業、休暇、時間短縮などの規程が必要第12章労基署の調査への対応1労働基準監督署はどんな調査をする?→申告監督、定期監督、災害時監督、再監督などを行う2定期監督とは?→事業場の規模、業種、問題のあるなしにかかわらず調査対象となる3申告監督とは?→労働者から労基署への申告により行う調査4労基署の調査の流れは?→監督官の指示に従い、調査に必要な書類を揃える5調査を受けるときのポイントは?→事前に法律違反に気づいたら、すぐに改善策を打っておく6是正勧告書、指導票とは?→法律違反・指導事項に対して、労基署から交付される書面7是正報告書、指導報告書とは?→監督官による指導事項を改善したら、報告書を期限までに提出

第13章労働トラブルの対処法1個別労働紛争とは?→賃金や残業時間など、労働条件をめぐる労働者と会社間のトラブル2労働局のあっせんとは?→個別労働紛争を、無料でスピーディーに解決3団体交渉の申出があったら?→労働組合からの団体交渉は拒むことができない4残業代未払いのトラブル→未払い残業は、原則2年分さかのぼって支払わなければならない5解雇のトラブル→解雇権の濫用と判断されるリスクを減らす6過重労働のトラブル→時間外労働は月45時間以内が目安。過重労働が原因の死傷病は損害賠償が発生する7うつ病のトラブル→会社指定の医師の診断を受けさせるなど、慎重な対応が必要索引コラム労基法の適用範囲は?入社誓約書、身元保証書とは?割増時間のカウント方法は?給与を下げられるか?私傷病休職中の生活保障としてもらえる傷病手当金育児・介護休業中にもらえる雇用保険の給付失業後の手当と退職事由の関係労災保険を使うと労基署の調査が入る?就業規則の不利益変更とは?使用停止等命令とは?職場のハラスメントへの対応は?本書の内容は2019年8月時点の情報をもとに作成しています

1人事関連のルールとは?法律で定められているものと、事業主が任意で決められるものがある最初に、人事関連のさまざまなルールを押さえましょう。ルールには2つあります。まず1つは、法律で必ず守らなければならないと定められたルールです。例えば、社会保険の加入基準を満たす労働者は、必ず社会保険に加入させなければいけませんし、労働者に支払わなければいけない最低賃金は決まっています。また10人以上いる事業場は就業規則を作成して、届出をする必要があります。これらの法律のルールを守らないと、例えば社会保険に加入すべき人を加入させていなければ、原則、さかのぼって過去2年分の社会保険料を請求されますし、最低賃金を払わなければ最悪50万円以下の罰金が科せられることもあります。一方で、事業主が任意で決めることができるルールもあります。例えば、9人以下でも就業規則を作成することができます。ただし、一度定めた規則を事業主の都合で簡単に変更することはできません。任意で定めたルールを破った場合も労務トラブルに発展し、あとで訴えられる可能性もありますので慎重に決めていくことが大切です。

2労働基準法とはどんな法律?労働条件の最低基準を定めた法律。これを下回る労働契約は無効労働基準法(以下、労基法)は、多くの人事関連の法律の中で最もコアとなる法律です。労働者を保護することを目的としている法律で、強制法規といい、この法律に反する契約は無効になるという強制力がある法律です。ですから、この法律を下回る労働条件で、事業主は労働者と契約することはできません。仮に当事者間で同意していたとしても、この法律に違反すればその部分は無効となってしまいます。例えば、入社するとき、労働者が事業主に「残業手当はいらないから働かせてください」と約束し同意書までもらっていたとしても、実際に残業していれば残業手当を支払わなければならないのです。労基法は原則、労働者のいる事業場が一律に守らなければいけない法律ですが、事業場の規模や業種に応じて一部柔軟に適用できるようになっています。例えば、法定労働時間は、原則は1週間40時間ですが、特例で常時10人未満の一部の業種は44時間となっています(第3章2参照)。また残業時間の割増率も、一定条件の中小企業は特例で割増率を当分低くすることが認められています(第4章1参照)。

3労基法を守らないとどうなる?10年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることも労基法は、労働者を保護するための法律なので、これに違反すると思わぬ事態になりかねません。労働基準監督官(以下、監督官)に違反を指摘されれば、是正勧告を受けますが、悪質な場合や改善しない場合は最悪、罰金刑や懲役刑が科されます。また、新聞などで社名や個人名が公表されることにもなりかねず、大きなダメージを受けます。罰金以外にも、多額のお金を払わなければならないケースもあります。例えば、未払い残業手当問題です。監督官などに指摘されると、原則、過去2年分にさかのぼって支払わなければなりません。こうなると、まとまったお金が用意できず、運転資金に影響が出る会社も出てきます。一方、労働者から見れば、会社が労基法違反をしていたと聞くと、他にもいろいろ自分たちに不当なことをしているのではないかと不審を抱くきっかけになります。そうなると個別労働紛争(第13章1参照)につながり、事業主にとっては大きな負担となります。労基法違反はあらゆる面でマイナスとなるので、十分に理解することが大切です。

4労働基準監督署は何をするところ?労基法違反の取り締まりや、労働関係の手続きを管轄する行政機関労働基準監督署(以下、労基署)は、各都道府県にある労働局の出先機関で各地域ごとにあります。業務としては、労基法や最低賃金法、労働安全衛生法などの関連法規が守られているかの監督、指導の他、就業規則の届出、36(サブロク)協定や産業医の届出、労災保険給付の手続きなど労働関係のさまざまな書類の受理、認定なども行っています。また、労働者からの賃金不払いや解雇などの相談にも応じています。事業主が特に注意すべき点は、行政監督制度による強力な権限を持つ監督官による法違反の監督(調査)です。是正指導が行われたり、最悪の場合、送検されることもあります。知らないうちに法律違反をすることがないように、実務ベースでそのつど確認しましょう。また事業主にとって労基署を訪れる機会が多いのは、労働保険料の申告のときではないでしょうか。労基署では法改正や監督(調査)の対象となりやすい事項に関するパンフレットを無料で配布しています。事業主からの質問や相談にも応じてくれるので、労基署を訪れる機会にこのようなサービスを受けるのもいいでしょう。

労基法の適用範囲は?労基法は原則すべての事業に適用されます。適用除外事業とされるのは次のとおりです。・同居親族のみが働く事業・家事使用人・公務員(一部適用される)・船員(一部適用される)また、労基法でいう「労働者」にあたるのは、原則、労基法が適用される事業で賃金をもらって働くすべての者となります。一方、個人事業主や法人の代表、法人の役員などは「労働者」にあたりません。ただし、例外として「兼務役員」があります。これは例えば「取締役部長」といった肩書きを持つ人です。「部長」という従業員部分について労働者と判断されると、この部分のみ労基法の適用を受けることができることになります。労基法は原則、事業場ごとに適用されます。例えば、就業規則は労働者が常時10人以上いる事業場は作成・届出義務(第11章1参照)があります。ここでいう10人以上の事業場とは企業全体の人数ではなく、1つの事業場に10人以上いるかどうかです。ただし、1ヵ月の時間外労働が60時間を超えた部分についての割増賃金は5割以上支払わなければならないという規定(第4章1参照)の適用除外となる中小企業の人数規模要件を見るときは、特殊なケースとして企業全体の人数で判断します。

1募集するときの注意点は?募集、選考は制限されている事項があるので注意人材を募集するときは、どうしても理想の人材を採用したいと思い、いろいろな条件をつけたくなります。しかし法律により募集、選考に際して制限されている事項があるので気をつけなければいけません。まず、性別にかかわりなく均等な機会を与えなければなりませんし、合理的な理由がなく年齢制限を設けることはできません。禁止事項を例えると、営業職なら若い30代の男性を、事務職なら20代の女性を、というような募集はできません。募集方法は、一般の新聞や雑誌、インターネットなどの募集媒体、紹介会社やハローワークなどがあります。ハローワークは無料なのでぜひ活用をおすすめします。募集内容は、誤解を与えるような誇大な内容や、実際とは異なった虚偽の内容は出せません。例えば、募集時の賃金額を実際に支払われる額よりも上回る額で提示したり、人気のない職種だからといって別の職種で採用し、あとで異なる仕事につけるようなことがないようにします。面接のときは、仕事をする上での適性や能力に関係がない個人情報を聞かないようにします。

2青少年を募集・採用する際の注意点は?募集時には固定残業代ほか労働条件などの明示が不可欠青少年の募集や採用にあたっては、「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)」により、青少年(おおむね35歳未満)が適切に職業選択を行い、安定的に働くことができるための措置が求められています。まず募集においては、労働条件などの明示に関する事項を守ること。とくに固定残業制(第4章4参照)を採用する場合は詳細の明示が必要になるので注意しましょう。そして新卒者等の応募者や、応募検討中の人から求められたときは、情報提供することが義務付けられています。次の図にある〈情報提供項目〉のA〜Cのすべてにおいて、それぞれ1つずつは情報提供が必要です。また、採用内定者についても注意が必要です。採用内定者について、安易な内定取り消しをすることはできません(第2章4参照)。内定取り消しを防止するため、最大限の経営努力が求められます。最近はハローワークでも、法令違反があった会社の新卒求人を一定期間受け付けなくなっているので、法令違反には一層の注意が必要です。

3年少者を雇うときの注意点は?満18歳未満の人を雇うときは、年齢証明書などが必要年少者とは「満18歳未満の人」をいいます。年少者を雇うときは、いろいろと法律の制限があるので注意が必要です。これを守らないと重大な労働基準法違反になるからです。まず年少者を雇う場合は、年齢を証明する年齢証明書を事業場内に備え付けます。原則として、時間外、休日労働、変形労働時間制は適用できません。また午後10時から午前5時の間の深夜労働も禁止されています。特に注意が必要なのは、時間外労働です。例えば、朝から働いてもらっていて本人も会社も気づいたときには、法定労働時間をうっかりオーバーしてしまっていたということがあります。原則、1分の時間外労働でも違反なので、そうならないようにまわりの従業員にもよく理解させておく必要があります。また、中学生の年齢以下(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者)は原則雇ってはいけません。ただし、新聞配達など一部例外があります。労基署長の許可を得る必要があり、かつ学業に差し支えがないことを証明する学校長の証明書と親の同意書を事業場内に備え付ける必要があります。

4内定と内定取り消しとは?内定は簡単に取り消せない。解雇と同程度の厳しい制限がある内定とは、始期付解約権留保付労働契約ととらえられています。例えば、7月4日に採用決定し、9月1日が入社日なら、それまでの期間を内定期間と呼びます。内定は口頭でも成立します。しかし、内容をはっきりさせるため、もしくは新卒者などは採用から入社までの期間が長いことから本当に入社できるのか、または入社してもらえるのかといった、お互いの不安を解消するため採用内定通知を発行するのが一般的です。一方、内定取り消しが認められるには「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当である」必要があります。具体的には、学校を卒業できない、病気で就労できない、会社の経営難で、かつ整理解雇の4要件(第8章7参照)を満たすような場合です。訴えられると、和解金として何百万円も支払わなければならないケースもあります。そうならないためにも、内定者に理解してもらえるように誠意をもって説明し、事業主の都合で取り消すなら、場合により給与の1ヵ月〜6ヵ月分を目安に解決金を提示し、内定取り消しの同意書をもらうとよいでしょう。

5労働条件通知書とは?入社時に労働条件などを書面で明示する必要がある雇用契約は口頭でも成立しますが、労基法では事業主が採用の際に明示しなければならない事項が定められています。事業主は、労働者を雇い入れるときは、賃金、労働時間などの一定の労働条件について、原則、書面の交付が必要です。また職業安定法では、求人の際の明示と実際の労働条件が異なる場合には、労働契約を結ぶ前に、新たに通知書で明示することが義務付けられています。この書面のタイトルには「労働条件通知書」や「雇用契約書」などがあります。違いは、通知書が事業主から労働者に一方的に通知するのに対して、契約書は事業主と労働者の双方が内容を確認し合って署名捺印し、1通ずつ保管する点です。あとで「受け取っていない」「納得していなかった」とならないためには、雇用契約書のほうが効果的です。また、パートタイマーなどにも必ず労働条件通知書等は必要です。期間の定めのある労働契約(有期労働契約。第2章6参照)の場合は、パートタイマー、アルバイト、臨時社員などの名称を問わず、更新の有無、更新する場合の判断基準なども明示します。

6試用期間とは?試用期間満了で本採用しない場合は、解雇予告が必要試用期間とは、労働者の勤務態度や職務能力などが本採用に適するかどうか見定める期間です。この試用期間は、法的には何ヵ月と定まっているわけではありませんが、一般的には3ヵ月です。事業主はこの間に研修や指導を行い、労働者が職場に適応できるように努める必要がありますが、それでも中には本採用が難しい人もいるでしょう。試用期間を満了したからといって、簡単には辞めてもらえません。試用期間とは解約権留保付労働契約と考えられるので、労働者と事業主との労働契約はすでに成立しています。そのため本採用しない場合は解雇と同じになります。ただし、本採用してからの解雇よりも解雇が正当だと認められる基準が低く、一方、労働者も本採用されないことに対して納得しやすいので、試用期間は必ず設けるようにしましょう。具体的には、「無断欠勤3回」で本採用しないことは正当という判例があります。また、試用期間が14日を超えた後に辞めてもらう場合には、30日前の解雇予告、もしくは解雇予告手当(第8章8参照)の支払いを忘れないようにします。

7パートタイマーを雇い入れたときは?非正社員にも労働関連法に沿った雇用ルールが適用されるパートタイマーとは、法律的には「同一の事業所に雇用される通常の労働者に比べて、1週間の所定労働時間が短い労働者」を指しますが、実際にはフルタイム勤務であっても「パートさん」などと呼ぶ会社もあります。非正社員(パートタイマー、アルバイト、嘱託、契約社員、準社員など)の呼び方には法律上の決まりがないので、会社の就業規則で定めます(第11章5参照)。非正社員を雇用する際にも、労働条件通知書などによる労働条件の明示が必要です。1日だけ雇用する非正社員にも通知書を交付する必要があります。「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」の項目も文書で明示しなければなりません。注意することは、有期契約の場合は、更新に関する事項を明示する必要があることです(第2章8参照)。非正社員に最低賃金(第5章2参照)に近い金額を支払っている場合は年々上がっている最低賃金の改定も注意が必要です。また、週1回だけの非正社員にも年次有給休暇を付与しなくてはなりません。

8有期労働契約者の雇用契約の更新とは?雇用契約を繰り返し更新したときは、雇止めの予告が必要契約社員やパートタイマーなどの非正社員の多くは、1年契約など、期間を定めて雇用されます。このような期間契約者を有期労働契約者といいます。1回の雇用契約期間の上限は3年(一定の要件に該当する場合は5年)と定められていますが、いきなり3年契約は長いので、1年以内の契約期間で雇用契約を結ぶことがほとんどです。有期労働契約者にも、労働条件を通知する義務があります。特に契約期間の定めがあるため、契約期間や契約更新についての項目(次の図参照)が重要です。正社員と違い、契約を更新しなければそこで終了なので、会社にとっては便利な存在ですが、何回も契約を更新した場合は、労働者は次の更新を期待するので、更新しない場合は前もって契約を終了することを話しておく必要があります。契約を3回以上更新し、または雇入れ日から1年を超えて継続して勤務している有期労働契約者の契約を更新しない場合は、少なくとも30日以上前に雇止め(雇用契約を事業主が更新せずに終了させること)の予告をしなければなりません。

9労働契約法の有期労働契約のルールとは?有期雇用契約期間が通算5年を超えたら、無期労働契約へ転換有期契約労働者の労働契約を繰り返し更新すると、簡単には契約期間満了で雇用を終了(雇止め)することができず、解雇事由に該当するような場合でないと、雇止めが無効と判断される場合があります。また、雇用契約書をきちんと交わしていなかった場合や、契約当初から「長く働いてほしい」などと長期間の契約を期待させるような発言を会社がしていた場合も同様です。これが労働契約法で定められた「雇止めの法理」です。また、平成25年4月以降に開始する有期雇用契約期間が通算5年を超えた場合は、労働者は無期労働契約への転換を申し込むことができる「無期転換ルール」が、平成30年度から本格化されました。この法律では「不合理な労働条件の禁止」も定めています。同一の使用者と労働契約をしている、有期労働契約者と無期労働契約者との間で、期間の定めの有無で不合理に労働条件(賃金、労働時間、災害補償、福利厚生などの一切の待遇)を相違させることも禁止です。雇用形態別の就業規則などの整備が、労働者とのトラブルを防ぐポイントです。

10外国人を雇うときは?外国人の雇入れ時と退職時はハローワークへ届け出る日本に暮らしている外国人は、誰でも就労させてよいとは限りません。入国時に就労目的を認めた「在留資格」を与えられた者だけが、国内で就労できます。就労できる在留資格者以外を雇うことは許されません。しかし、就労活動が認められていない在留資格でも、一定の範囲内で就労を認めることもあります(次の図参照)。では、外国人の在留資格はどのように確認するのでしょうか。平成24年7月より、外国人の在留管理制度が新しくなり、中長期在留者には在留カード(以前は「外国人登録証明書」)が交付され、この在留カードの情報をもとに、就労可否を確認します。万が一、不法就労者を雇った場合も、労基法は「労働の実態がある者」に適用されるため、労災補償や残業手当、年次有給休暇などを与える必要があります。ハローワークへは、雇用保険の加入有無にかかわらず、雇入れ時と退職時に雇用状況を届け出ます。1日だけの就労でも適正な在留資格であることを報告しなくてはなりません。届け出なかった場合は指導、勧告の対象となり、罰金刑の対象にもなります。

入社誓約書、身元保証書とは?入社時に労働者からもらう書類に、入社誓約書と身元保証書があります。法律的に必ず必要な書類ではありませんが、最近では個人情報保護の観点から、「個人情報保護に関する誓約書」をとる会社が多くなっています。一般的な入社誓約書は、「会社の就業規則および個人情報、秘密情報などを守り勤務します」といった内容です。労働者に規則を守らせ、意識を高める目的で提出してもらうものなので、法律的な効力はありません。一方で身元保証書は、身元保証人に対して労働者の身元の保証と、会社に損害を与えたときの損害賠償をしてもらう、法律的な効力があるものです。保証期間は、期間を定めなかった場合は3年、期間を定めた場合は5年が上限です。ただし、実際に損害賠償を請求できるかというと、簡単にはいきません。「身元保証ニ関スル法律」で、身元保証人が労働者の状況を知らないまま、損害賠償責任を負わされることを防ぐために責任の範囲が限定されているからです。例えば、労働者の職務が「広報」から金銭を扱う「経理」に変わった場合は、使用者は身元保証人にその旨を通知しなければ横領などがあったときに保証してもらうことは難しくなります。しかし、身元保証人がいると横領などを防ぐ抑止力にはなりますし、本人と連絡がとれないときの緊急連絡先にもなります。いざというときのために身元保証書をとっておくと安心です。

1労働時間にカウントされる時間は?実際に作業している時間だけでなく、手待ち時間も含む労働時間とは、所定労働時間(第3章2参照)と残業時間だけではなく、手待ち時間も含みます。労基法で労働時間とは、労働者が事業主の指揮命令下に置かれている時間を指し、その指揮命令が暗黙の指示によるものであったとしても、その時間は労働時間とみなされます。休憩とみなされるためには自由利用が保障されているかどうかで判断します。例えば、昼休み中の電話番として職場内に誰か1人が必ず待機しなければならない場合、電話がかかってこなかったとしても、労働者がその時間を自由に使えることが保障されているとはいえないため、この時間は労働時間とみなします。また事業場内外における勉強会などの教育訓練時間は、その参加の有無が労働者の人事考課に反映される場合や、半強制的に参加を促すようなものであれば、建前は自主参加といえども労働時間と判断され、賃金の支払いが必要となります。このように判断に困るときは、実際の労働者の行為が、事業主の指揮命令下においてなされたものか、自由利用が保障されているかどうか、客観的に判断します。

2法定労働時間、所定労働時間とは?法律で定められた労働時間と、会社ごとに決める労働時間労基法では「原則、ここまでなら働かせてもいいですよ」という目安となる時間数を定めています。これを法定労働時間といいます。具体的には、休憩時間を除き原則1日8時間、1週間で40時間までですが、一定の事業については1週間で44時間となります。法定労働時間を超えて働かせる場合は、36(サブロク)協定を結んでおく必要があり(第3章14参照)、超えた部分については割増賃金(第4章1参照)を支払う必要があります。一方、所定労働時間とは、会社が独自に決めた労働時間を指します。「うちは朝9時~夕方5時半(休憩1時間)勤務で、週休2日」という会社であれば、その会社の所定労働時間は1日7時間半、1週37・5時間ということになります。法定労働時間とは、ここまでなら労働者を働かせてもよいという上限ラインなので、所定労働時間を定める際は、この範囲内で定めなければなりません。ただし、変形労働時間制(第3章6参照)を導入すれば、例えば特定の日だけ9時間勤務の日を定めるなど、1日の法定労働時間を超えて働かせることができます。

3法定休日、法定外休日とは?休日は最低でも週1日、または4週4日以上与えなくてはならない休みなく毎日働き続けると、心身にダメージが出て、最悪過労死につながります。ですから、労基法では「最低これだけの休日を労働者に与えるように」と定めているのです。これを法定休日といいます。また法定休日は何曜日でもかまいません。①毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないこれが大原則です。ただし、業種によっては毎週必ず1回の休日を与えるのは難しいという場合も当然あります。そこで、①が難しい場合は、②4週を通じ4日以上の休日を与えればよいとしています(就業規則などに4週間の始まりを定める必要があります)。ただし、1日8時間勤務の会社では、5日間働いた時点で週法定労働時間(40時間)を超えてしまうので、1週間のうち2日間の休日を与えなければなりません。そのうちの1日を法定休日、それ以外の休日で会社がプラスアルファで与えた休日を法定外休日といいます。

4振替休日、代休のとらせ方は?振替休日は、事前に労働日と休日を入れ替える業務などの都合により、労働日と休日を入れ替えることを休日の振り替え(振替休日)といいます。労働者に振替休日をとらせるためには、①就業規則などに休日を振り替えることがある旨を記載し、②少なくとも前日までに「この日とこの日を振り替える」と労働者に示す必要があり、③できるだけ近接した日に振り替えます。もし同じ週内で振り替えれば割増率の支払いは必要ありません。それに対して代休とは、前もって代わりの休日の定めをせず、休日に労働してもらい、その代わりとして事後に特定日の労働を免除することを指します。休日出勤した分については割増賃金を払うので、代休は与えても与えなくてもかまいません。代休は法定休日の振替休日と違い、時間による休みを与えることができます。労働者に代休を与える際には、賃金の二重払いを防ぐために、代休を取得した場合は休んだ時間相当分の賃金は支払わない旨を就業規則などに記載しておきましょう。

5休憩時間とは?原則、労働時間の途中に、労働者全員に一斉に与える労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩を与えなければなりません。そして労基法には休憩の3原則なるものがあります。①休憩時間は労働時間の途中に与えなければならないこれは休憩時間を勤務の始まりと終わりに与えてはならないという意味です。8時間連続で働いたあとに1時間の休憩を与えることはできません。②休憩時間は同じ職場の労働者全員に一斉に与えなければならない原則、休憩は同じ職場の労働者に一斉に与えなければなりません。つまり、昼休みは原則一斉にとらせる必要があります。ただし業務上、一斉付与がなじまない接客業などの一定の業種または労使協定を結んだ場合(届出不要)は一斉でなくてもかまいません。③休憩時間は労働から離し、自由に使わせなければならない休憩時間とは、労働の合間に体を休息させるための時間です。そして休憩時間は、原則として労働者が自由に使ってよい時間とされています。

6会社に合わせた労働時間制とは?会社の実態に合わせた柔軟な働き方で、残業時間を削減する法定労働時間(第3章2参照)は原則1日8時間、1週40時間までと定められています。この原則で働かせると、繁忙期は残業が当たり前となり、残業代が多く発生してしまいます。それならば、もっと柔軟な働き方にできないか、と思ったことはありませんか。労基法では、一定期間内の1週間を平均して原則40時間以内におさまっていれば、1日8時間や1週40時間を超える日や週があったとしても割増賃金を支払わなくてよいという変形労働時間制を定めています。導入には要件がありますが、業務の特性に合わせた変形労働時間制を活用すれば、忙しい時期は多く、暇な時期は少なく、メリハリをつけて働かせることができるので、残業時間を大幅に削減できます。変形労働時間制はいくつか種類があり、次の図以降で順に説明していきます。この他にも、業務の遂行手段や時間配分を本人の裁量に任せる裁量労働制や、直行、直帰など社外での仕事のため労働時間の把握がしにくい場合の事業場外みなし労働時間制などもあるので、会社の実態に合わせてこれらの制度を上手に活用しましょう。

71年単位の変形労働時間制とは?1年間のうちで繁閑の差がある業務の、時間外労働を削減する1ヵ月を超え1年以内で、あらかじめ定めた一定期間において、週の平均所定労働時間を40時間以下にすれば、所定労働時間を変形させることができます。リゾート地のホテルなど季節によって繁閑期がある業務や、お盆やゴールデンウィーク、年末年始などに大型連休がとれるような業種に適しています。例えば、繁忙月は1日9時間、それ以外は1日7時間労働にすることもできますし、1年の期間で変形させた場合、1日の労働時間が8時間であれば年間105日の休日を与えればよいので、繁忙月は月6日、閑散月は月12日などメリハリをつけて休日を設定することもできます。1ヵ月超1年以内の期間であれば、3ヵ月や半年などでも変形させることは可能ですが、その期間の所定労働時間の総枠の上限内におさまるように、業務の繁閑の差に合わせて効率よく配分しなければならないため、1年間で変形させるのが一般的です。導入には労働者代表と労使協定を結び労基署に届け出ることが必要です。

81ヵ月単位の変形労働時間制とは?1ヵ月のうちで繁閑の差がある業務の、時間外労働を削減する1ヵ月単位の変形労働時間制は、前月までにシフトを決めればよく、就業規則に定めておけば労使協定を結ぶ必要がないので、1年単位の変形労働時間制よりも導入が簡単です。1年単位の変形労働時間制と似ていますが、1年単位の変形労働時間制は1日10時間労働が限度なのに対し、この制度は1日の労働時間数を長く設定できるので、夜勤などがある病院やホテルなどに向いています。また、あらかじめ定めた1ヵ月以内の一定期間(変形期間)の週平均所定労働時間を40時間(特例措置対象事業場の場合は44時間)以内にすればよいので、納期などの関係で月末に業務が集中するような会社は、月の前半に休日を集中させ、月の後半は休日を少なくすることも可能です。ただし、この制度は当日の仕事の都合で労働時間を自由に調節できるわけではありません。事前にシフト表などで、変形期間内の各日、各週の労働時間、休日を具体的に定めておくことが必要です。

91週間単位の変形労働時間制とは?1週間以内の短期間で繁閑の差がある業務で、導入のメリットがあるこの制度は、常時30人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店で利用することができます。1週間以内の日々の繁閑の差が激しいこれらの業種は、直前にならないと日ごとの忙しさがわからないので、1週間ごとに日々の所定労働時間を設定できるという制度です。ただし、週44時間の特例措置は適用できません。この制度では、日々の時間を1日最大10時間とすることができるので、週末が忙しい場合は、土日に10時間の日を設定し、お客様の少ない水曜、木曜を6時間、金曜を8時間などと設定することもできます。1日10時間と設定した日は10時間を、1日8時間以下の設定をした日は8時間を超えなければ割増賃金を支払う必要はありませんが、週の労働時間の合計が40時間を超えた場合は、割増賃金を支払う必要があります。導入するには、労働者代表と労使協定を結び、労基署に届け出ることが必要です。1週間の各日の始業、終業などの労働時間は、少なくとも対象となる1週間が開始する前には書面で通知し、日々の労働時間を特定しておく必要があります。

10フレックスタイム制とは?労働者本人が一定の範囲内で出勤、退勤の時間を自由に決められるフレックスタイム制は、3ヵ月以内の一定期間(清算期間)の総労働時間を定め、その枠内で労働者本人が自由に出勤や退勤の時間を決めることができる制度です。個人の業務に合わせて仕事ができ、残業時間が減るメリットがある一方で、客先からの電話に対応できないなどのデメリットもあるので、導入の際はよく検討しましょう。導入する際はまず、1週平均が法定労働時間内になるように清算期間の総労働時間を決めます。例えば清算期間1ヵ月でその月の総労働時間を168時間と決めた場合、その枠内で労働者は1日6時間でも10時間でも自由に毎日、出退勤の時間を決められます。加えて、清算期間が1ヵ月を超える場合は、1ヵ月の労働時間が平均週50時間を超えないことが必要です。①1ヵ月ごとに週平均50時間を超えた時間と、①でカウントした時間を除いた、清算期間全体で総枠を超えた時間は時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要です。導入する場合には、就業規則などに始業、終業の時刻を労働者に委ねる旨を明記し、運用に関する詳細を定めた労使協定を結ぶ必要があります。

11専門業務型裁量労働制とは?19業務に限って認められた、みなし労働時間制度システム開発のSEのように、業務上、仕事の進め方や時間配分を大きく本人の裁量に委ねる必要がある業務があります。こうした業務に携わる人を無理に所定労働時間の枠にあてはめるとかえって効率が悪く、長時間労働になってしまいます。そこで導入したいのが裁量労働制です。こうした業務に従事する場合は、実際に働いた時間にかかわらず、あらかじめ労使協定で定めた時間(通常その業務に必要な時間)働いたものとみなすという制度です。例えば、協定で1日8時間と定めた場合は、本人の判断で1日12時間勤務したとしても時間外手当を支払う必要はありません。1日1時間で勤務を終えたとしても8時間労働したものとみなします。1日まったく勤務しなかった場合は欠勤となります。ただし、休日労働や深夜労働をした場合は、労働に応じた割増賃金が必要です。導入する場合は、労使協定を締結し、労基署に届け出る必要があります。

12企画業務型裁量労働制とは?企画、立案の業務に従事するホワイトカラーの、みなし労働時間制度会社の本社などの中枢で企画、立案などを行っている、経験や知識のあるホワイトカラーの労働者が対象の裁量労働制です。専門業務型裁量労働制(第3章11参照)と同様、仕事の進め方、時間配分を本人の裁量に委ねる必要がある場合、実際に働いた時間にかかわらず、あらかじめ決められた時間働いたものとみなすという制度です。この制度は、対象となる業務の範囲が狭く、導入手続きが非常に複雑です。また、6ヵ月以内ごとに1回、労基署へ定期報告も必要なので、大企業では採用することもありますが、規模が小さい会社ではあまり導入されていません。みなし労働時間の考え方、休日、深夜労働をした場合の取り扱いなど、基本的な部分は専門業務型裁量労働制と同じですが、導入方法が異なります。まず労使委員会(次の図参照)を設置し、委員の5分の4以上の多数の決議により詳細を決定します。決議を労基署に届け出たあと、対象となる労働者個人の同意を得て、初めて制度を実施することができます。

13事業場外みなし労働時間制とは?営業や出張などの社外労働のため、労働時間の把握が難しい場合に適用できる通常、労働者は会社の中で働いているので、実労働時間を把握することができますが、社内におらず、外で働く営業社員や、出張中の労働者は、事業主が労働時間を把握するのは困難です。そこで、その日の実労働時間にかかわらず所定労働時間または通常その業務に必要とされる時間、労働したものとみなす、事業場外みなし労働時間制があります。注意点は、この制度が社外で働くすべての営業社員などに適用できるわけではないことです。その日の行動が細かく指示されるなど、使用者からの指揮命令がある場合、労働時間が把握しがたいとはいえないため適用できません。所定労働時間労働したものとみなす場合は、就業規則などに定めておけばよく、残業手当は必要ありません。所定労働時間を超えて通常その業務に必要とされる時間労働したものとみなす場合は、労使協定が必要です。また通常必要とされる時間が法定労働時間(原則1日8時間)を超える場合は労基署に届け出なければなりません。所定労働時間を超える部分は残業手当を支払う必要があります。

14残業させるのに必要な36協定とは?時間外労働をさせるには、36協定を労基署へ届け出る36(さぶろく)協定は、1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて、もしくは法定休日に労働させる必要がある場合、労働者と使用者との間で協定し、労基署へ届け出る必要があります。この届出なしに、1分でも時間外労働をさせてしまうと、労働基準法違反となります。対象期間の開始日までに届け出て、労働者に常時掲示もしくは交付して周知します。この延長できる時間には限度があります。原則は1ヵ月45時間、1年360時間です。しかし、36協定で定めた限度時間をやむを得ず超えるような特別な事情がある場合、「特別条項」の追記により、さらに延長することができます。ただし、「働き方改革」でこの特別条項での延長時間にも上限が定められました(第3章13参照)。この上限規制の適用が猶予される事業・業務は、①建設事業、②自動車運転の業務、③医師、④その他指定事業です。適用が除外されるのは、⑤新技術、商品などの研究開発です。猶予期間中および猶予後の取扱いは事業・業務ごとに別途規定を確認しましょう。

1536協定の特別条項とは?特別条項付き協定を結べば、限度時間を超えることが可能「臨時的な特別の事情」により、36協定で定められた限度時間を超えてさらに時間外労働をさせるためには「特別条項」を追記します。また「臨時的な特別の事情」とは、一時的または突発的な場合とされており、例えば決算業務や一定時期に集中する納期のひっ迫など、限定的な理由を定めます。次に、1年の半分を超えない(年6回以下など)見込回数を定め、最後に、限度時間を超えた延長時間と割増率を定めます。この延長時間は、時間外労働が年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計が①月100時間未満、②2~6ヵ月平均がどの平均期間をとっても月80時間を超えないようにしなければなりません。36協定の限度時間を超える勤務は、法律違反になります。違法な長時間労働により管理責任者と会社が送検されたニュースもたびたび報道されています。時間外労働が一定時間になったらアラートが出るような管理システムの導入も考えると良いでしょう。

●36協定の特別条項の上限時間のカウント方法36協定で定める時間外労働時間とは、法定労働時間を超えた時間数です。例えば、所定労働時間が1日7時間の場合、所定労働時間を超えた時間数ではなく、法定労働時間8時間を超えた時間数が何時間までなのか定めます。また、36協定で休日労働とは、法定休日の労働を指します。土日休みの会社の場合、土日どちらかが所定休日、もう一方が法定休日です。特別条項なしの36協定での時間外労働目安時間45時間には法定休日労働は含めません。しかし、特別条項の1ヵ月の上限時間は時間外労働と法定休日労働を合算して定め、1年の上限時間は時間外労働時間のみで法定休日労働は含めないので注意が必要です。また、1ヵ月を超えるフレックスタイム制の場合は特別の定めがあります。清算期間中各月の残業時間が清算期間の最終月に合計してカウントされるため、36協定の上限時間を超えやすく、注意が必要です(第3章10参照)。導入する場合は、厚生労働省発行のパンフレット『フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き』などで確認しましょう。

1割増賃金とは?法定労働時間を超えれば25%以上の割増率だが、法定内は割増なしでOK時間外の勤務をさせたときは割増賃金が必要ですが、割増率は法定超と所定超法定内とで異なります。例えば週休2日制の会社は、原則1日の法定労働時間は8時間です。もし1日の所定労働時間が7時間の場合、残業1時間までは法定時間内の残業となります。そのため割増は不要となり、1時間分の時間単価のみ発生します。そして法定労働時間を超えたときは割増率25%以上の時間外割増が必要です。さらに、この法定時間外労働が1ヵ月の間60時間を超える場合は割増率50%以上の時間外割増となります(当分の間、一定の中小企業に関しては適用されません)。ポイントは、雇用契約書などに法定超と所定超法定内とで割増率を区別して明記することです。「残業手当25%増」とだけ明記されているのであれば、法定時間内の残業でも25%増で支払わなければなりません。また休日勤務も法定休日と法定外休日とで割増率が異なります(次の図参照)。深夜の割増賃金も忘れないようにしましょう。午後10時から午前5時までの間の勤務は割増率25%以上となります。

2割増賃金の計算方法は?基本給だけでなく、諸手当も含めて時間単価を計算する割増賃金は、1時間あたりの時間単価に割増率と割増時間を掛けて算出します。月給者の場合、この1時間あたりの時間単価は、割増賃金の基礎となる賃金を1ヵ月の平均所定労働時間で割ることで算出されます。割増賃金の基礎となる賃金とは、基本給だけでなく原則、役職手当などその他手当もすべて含めて考えます。割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくてもよい手当もありますが、その手当は家族手当、通勤手当など厚生労働省令で定められたもののみです。なお、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくてもよい手当は、個人的事情により支給金額が変わるもの、ということが原則になりますので、例えば「住宅手当、全員一律2万円支給」という同じ額で支給されているような手当は該当しません。次に1ヵ月の平均所定労働時間ですが、これは会社により異なり、会社の年間総労働時間(年間所定労働日数に1日の所定労働時間を掛ける)を12ヵ月で割って算出します。これらから1時間あたりの時間単価を割り出し、割増率、割増時間を掛けて割増賃金を計算します。

3残業手当の必要がない役職者とは?課長や店長でも「名ばかり管理職」は残業手当が必要残業や休日割増賃金を支払う必要のない役職者は管理監督者にあたる人です(ただし深夜割増と年次有給休暇に関しては適用対象)。この管理監督者ですが、単に役職名だけでなく、実態を見て管理監督者にあてはまるかどうか判断されます。この判断基準はとてもハードルが高くなっています。例えば、飲食店の店長や地方金融機関の支店長代理が「自分は管理監督者ではない」と訴え、それが認められたケースもあります。というのも、管理監督者の判断基準として、出退勤の自由や、事業主と同じような権限や責任を持って仕事をしていたり、給与などの待遇が他の労働者より優遇されていたりということが必要なのですが、小さい会社の役職者というと一般の労働者と変わらない場合がほとんどなので、それに合致するような条件で勤務していること自体がまれです。そのため、いざ争われたときに役職名と実態とが合致せず、名ばかり管理職ということで否認され、未払い残業を支払わなければならないことがよくあります。

4固定(定額)残業制とは?残業手当を固定で支給することで、残業の未払いとならない方法労働者を雇い入れるとき、例えば「月給25万円で残業手当込み」と給与を提示する会社があります。しかし労基法では、単純に「月給25万円で残業手当込み」ということだけでは残業込みの賃金は認められません。労働者がたとえ納得したとしても、そのような場合は残業手当を別途支給しなくてはなりません。ただし、きちんと手順を踏めば残業手当を別途定額で支給するという固定残業制をとることができます。その場合、就業規則や雇用契約書などに「固定の残業手当」が残業手当の定額払いである旨や、何時間分の固定残業となるのかその時間数などを明記することが必要です。また、固定の残業時間を超える残業をした場合は、その超過分を別途支払うことが必要なので、そのことも明記します。その他に固定残業手当がいくらなのかを、雇用契約書や給与明細上、基本給などと分けて明示する必要もあります。なお、例えば固定残業手当が残業20時間分と定めたときに、その月の実際の残業が1時間だったとしても、翌月に残りの19時間分を繰り越すことはできません。

5年俸制では割増賃金はいらない?年俸制でも割増賃金は必要。賞与分が割増賃金の基礎となる賃金になることも年俸制にすれば、割増賃金も含まれるかというと、労基法では年俸制の場合であっても別途割増賃金の支払いが必要です。年俸の中に割増賃金を含んでいることにするなら、固定残業制(第4章4参照)を導入することになります。また年俸に含まれる賞与分も注意が必要です。よく年俸額を14とか16で割って月々の支給分以外を賞与の時期に支給することがあります。通達で年俸制の場合、毎月払いの分と賞与分を合算した年俸額があらかじめ確定しているときは、賞与分を含めた年俸額から割増賃金の基礎となる賃金を算出することに決まっています。つまり年俸額を12で割ったもので割増賃金の基礎単価を計算することになるので、年俸制の人の年収と年俸制以外の人の年収が同じ金額だとしても、年俸制の人のほうが1時間あたりの割増賃金の基礎単価が高くなります。このような理由で年俸制は残業手当の必要のない管理監督者(第4章3参照)以外にはあまりおすすめできません。

割増時間のカウント方法は?残業などの割増時間の集計の方法は、原則、日々1分単位で計算していかなければなりません。例えば日々の残業時間を「30分未満は切り捨て」などというように労働者に不利になるような計算方法は認められません。ただし、労働者が有利となるように「残業17分働いた分を30分とみなす」とするなど、端数を切り上げる方法は認められています。1ヵ月の労働時間を集計したときに30分未満の端数が出た場合は切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算することは認められています。このカウント方法を間違えて、気がつかないうちに未払い残業が発生している会社がかなりあるので注意しましょう。

1賃金とは?賃金には、支払いのルール(賃金支払い5原則)がある基本給、割増賃金、家族手当や住宅手当などの諸手当、賞与など、労働の対償として労働者に支払うすべてのものが賃金となります。では、退職金(手当)や結婚祝い金、死亡弔慰金、見舞い金は賃金といえるでしょうか?就業規則などで支給条件が明確になっている場合は、これらも賃金となります。逆に、就業規則などで「どんな場面で、誰に、いくら支給する」と明らかにしていない場合は、原則、労基法上では賃金にはなりません。そして賃金とは、お金で支払われるものだけを指すのではありません。実際のもので支給されるものでも、支給要件が就業規則などで明確にされている場合などは賃金とみなすことがあります(実物給与)。例えば、通勤定期券の支給などです。賃金とみなされたものは、法律による支払いの義務が生じます。労基法には賃金支払い5原則があり、事業主は賃金を①通貨で、②直接、③全額を、④毎月1回以上、⑤一定の期日に、労働者に支払わなければなりません。

2最低賃金とは?最低賃金を下回る賃金は無効となり、50万円以下の罰金が科されることも近年、最低賃金は年々上昇しています。景気が悪く、全般的に賃金が下がっている時期でも、最低賃金は上昇しています。なぜなら、最低賃金は政治的な要因で決められるからです。最低賃金には2種類あります。都道府県ごとに決められた地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金です。どちらも時給で見ます。地域別最低賃金は、すべての労働者の賃金の最低ラインを保障するセーフティネットとして、正社員、パートタイマー、アルバイト、嘱託などの雇用形態を問わず適用されます。特定(産業別)最低賃金は、産業ごとに賃金の最低ラインを保障するものです。地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の両方が適用される場合は、高いほうの最低賃金額以上の支払いが必要です。たとえ最低賃金を下回る賃金(時給)を労働者と事業主双方が同意して決めたとしても、それは無効となり、事業主は最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。これを守らない場合は、50万円以下の罰金が科されることもあります。

3休業手当とは?事業主都合の休業をする場合は、平均賃金の6割を支払う休業手当とは、事業主の都合によって休業せざるを得ない場合に、その休業期間中の労働者の生活を最低限保障するために支払うものです。事業主の都合による休業とは、資金難など経営面での不況や材料不足などによる休業、採用内定者の入社日以降の自宅待機などです。事業主都合により労働者を休業させた場合は、平均賃金(第5章4参照)の6割を休業手当として支払わなければなりません。逆に、天災事変などの不可抗力により、やむを得ず事業を休業せざるを得ない場合は、休業手当を支払う必要はありませんが、これは特別な場合に限られ簡単には認められません。休業をする場合は、労働者とのトラブルを避けるためにも、休業手当の支払い義務について労基署に確認するようにしましょう。また、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされて休業した場合は、休業手当や賃金の一部を補助するための助成金が雇用保険から支給されることがありますので、ハローワークに問い合わせてみるとよいでしょう。

4平均賃金とは?3ヵ月間に支払われた賃金総額を、その期間の総日数で割って算出平均賃金が必要になるのは、解雇予告手当を支払うとき、休業手当を支払うとき、業務災害の補償をするとき、年次有給休暇中の賃金を算定するときなどです。平均賃金を求める必要が生じた日を算定事由発生日といい、次のような方法で計算します。①算定事由発生日前3ヵ月を確定する……算定事由発生日は含めません。賃金締日がある場合は、直前の賃金締日から前3ヵ月とします。②その期間の総日数を求める……総日数とは暦の日数を指すので、カレンダーで①の期間内の日数を数えます。③3ヵ月間に支払った賃金の総計を求める……臨時払いの賃金、3ヵ月を超える期間ごとに支払う賃金などは含みません。④前記③の賃金の総計を②の総日数で割る時給や出来高制などの場合は最低保障額があり、右の方法で計算した平均賃金と比べて高いほうを適用します。

5賞与、退職金は必ず支払わなければならないか?労基法では定めがない。事業主の判断で慎重に決定する実は労基法には、賞与と退職金を支払う定めはありません。定めがないということは、支給する必要はないということで、支給するかどうかは事業主の判断に委ねられています。また、その額についても事業主が自由に決めてよいものです。ただし、就業規則などで支給要件を明確に定めている(相対的記載事項、第11章2参照)場合は、その支給要件に沿った金額を支払わなければなりません。ここで注意したいのは、たとえ就業規則に定めがなくても、賞与や退職金を慣例として支払っている場合は、慣習法により賃金とみなされるという点です。このような慣例のある会社では、就業規則などに定めがないからといって、突然支給をやめることはできません。日本では多くの企業で夏と冬に賞与が支給されているので、自分の会社では支給されないとなると労働者が不満に感じることがあります。事業主が自由に設定できるものだからこそ、労働者のモチベーションを上げるような工夫をするとよいでしょう。

6昇給の定めはどうする?労基法では「昇給しなければならない」という定めはない今日では高度成長期と違い、労働者全員の給与を毎年必ず昇給させるのは難しい状況です。その反面、中小企業の場合は、労働者のモチベーションを考えて少しでも昇給させないと人材確保が難しい現実もあります。毎年バランスを考えて決定しましょう。昇給の時期については、会社で自由に決められます。例えば、全体に4月や決算期、個人ごとに入社日ベースで時期を定める場合もあります。また、昇給の時期が決まってなく、会社の業績や個人の勤務成績などによって随時昇給する場合もあります。いずれにしても、会社ごとの定めを就業規則に明示します。気をつけなくてはいけないのは、就業規則で「昇給」という項目がある場合です。例えば、毎年昇給するような定めがある場合は、定期的に昇給しなければなりません。現在は「給与改定」として「上がる場合も、下がる場合もある」と定める会社が多くなりました。しかし、一度上げた給与は簡単に下げられません。給与を上げ下げするよりは、その分を評価によって賞与で調整するほうがおすすめです。

7同一労働同一賃金とは?正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差は禁止同じ企業で働く、正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規社員(パートタイム・有期雇用・派遣労働者)との間で、あらゆる待遇について不合理な差を設けることが禁止となります。考え方の基準は主に「均等待遇規定」と「均衡待遇規定」の2つです。均等待遇規定とは、正社員と非正規社員が全く同じ業務の内容・責任の程度であり、職務の内容・配置の変更等も同じであれば、同じ待遇をすることです。しかし、正社員と非正規社員等では業務内容等が違うことがよくあります。その場合、違いに応じた範囲内でバランスを取った待遇を決定することが均衡待遇規定です。厚生労働省のガイドラインでは、わかりやすい具体例が示されています。例えば、福利厚生面では食堂・休憩室等について正社員が利用している場合は非正規社員にも利用の機会を与えること、賃金面では精皆勤手当は同一の業務内容の場合は同様の手当を支給することなどです。また、非正規社員から正社員との待遇差の内容やその理由等を求められた時の説明義務も強化されます。いつでも明確に説明できるよう待遇等を見直しておくことが大切です。

給与を下げられるか?給与は、労働条件の中でも特に重要な項目です。原則的に、本人の同意があれば最低賃金までは下げられます。しかし実際には、同意を得ることは難しく、一方的に事業主が給与を下げると、不利益変更として争われた場合に負ける可能性が高いので、できるだけ個別同意を文書でとるようにしましょう。給与を下げるには合理的な根拠が必要です。例えば、営業職などの場合は、雇用契約の段階で「○○(数値)の成績で、○○(金額)」など、昇降の基準をはっきりと数値化しておくとよいでしょう。数値化できない基準などの場合は、例えば能力不足を理由として会社が給与を下げる判断をしても、判断基準に客観性がないため、裁判などで争われると認められるのは難しくなります。また、就業規則に給与を下げる旨の定めがあるか(昇給制度の定めのみの会社があるので注意)、それが社会通念上妥当か、合理的な範囲の額か、事前に説明を十分にしたか、周知期間を十分においたか、同種事項に関する日本の一般的状況も重要なポイントとなります。経営状況が悪化し、事業主が整理解雇回避のため高度な合理的理由で労働者全員の賃金カットをする場合も同様に、就業規則に定めが必要です。実際にカットする際は、給与の低い労働者には生活が困難になる人も出るため、例えば一律に管理職は8%、一般職は5%カットのように差を設ける考慮が必要です。

1年次有給休暇とは?雇入れから6ヵ月後、8割以上の出勤で年次有給休暇を付与年次有給休暇は、労働者を雇い入れた日から6ヵ月間継続勤務し、その間の出勤率が8割以上の者に対して、正社員なら通常10日間付与され、それ以後は勤続年数に応じて次の図の表のように付与日数が増えていきます。半日単位の年次有給休暇も、労働者が希望し、事業主が同意した場合であれば認められます。また1年に5日分は時間単位で与えることもできます。ただし時間単位の場合は労使協定が必要です。注意点は、例えば半日単位で与えた場合、年次有給休暇が20日間ある人は、40日分の半休を取得できてしまうことになります。業務に支障が出る可能性が高いので、半日単位の付与日数もある程度限定したほうがよいでしょう。年次有給休暇の時効は2年です。この年次有給休暇は労働者が希望する日にとらせる必要がありますが、事業の正常な運営を妨げる場合は別の日にとらせるように求めることができます。これを時季変更権(第6章5参照)といいます。ただし、これはよほどの理由でなければ変更することはできません。

2パートタイマー、アルバイトの年次有給休暇とは?1週間に1日勤務でも、所定労働日数に応じて付与しなければならない短時間のパートタイマー、アルバイトでも、所定労働日数に応じて年次有給休暇を与えなくてはなりません。ルールとしては正社員と同じですが(第6章1参照)、付与日数は所定労働日数に比例して変わります。具体的には次の図の表のとおりです。ここで難しいのは、年次有給休暇を取得した日に対して、いくら支払うかです。普通、正社員は通常の賃金を支払います。つまり、休んでもその月の給与は減りません。ただしパートタイマー、アルバイトは時間給で、また曜日ごとに就業時間が違うこともあるので通常の賃金か平均賃金で計算します。例えば、シフトでいつも火曜に3時間、水曜に2時間働いている人が、火曜に年次有給休暇を取得したときは、通常の賃金で計算する場合、3時間分の賃金を支払います。いつ休んでも同じ賃金を支払いたい場合は、平均賃金(第5章4参照)を使います。しかし平均賃金は、計算方法が大変な上、毎月、年次有給休暇をとるたびに再計算しなければいけないので、前者の計算のほうが簡単です。どちらの方法を選択するかは就業規則や労使協定などの定めによります。

3年次有給休暇の計画付与とは?年次有給休暇を業務に支障がないように取得させることができる方法年次有給休暇をすべて自由な日に取得されると業務に支障が出る場合もあります。また忙しくて、年次有給休暇を取得できない人にも会社が決めた日に計画的にとってもらえるように計画付与制度を導入するとよいでしょう。年次有給休暇の計画付与制度は、付与日数のうち5日を除いた残りの日数を計画付与の対象として、いつ取得するかを事業主が計画的に決めることができます。計画付与を行う際には、就業規則による定めと労使協定を締結する必要があります。計画付与制度の活用方法は、①企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方式、②班、グループ別の交替制付与方式、③年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式などがあります。①や②は、例えば会社全体や部署ごとに年末年始の休日に合わせて年次有給休暇を2日間与え、5日間の連休にするという方法です。③は、例えば6~9月の間に2日間を個人別に会社が指定して付与するような方法です。その際、5日を超える年次有給休暇の権利がない人は、出社させるか、特別有給休暇を与えるかなどを労使で定めます。

4年次有給休暇の「使用者による時季指定」とは?年次有給休暇の年5日の確実な取得の義務に違反すると罰則もすべての企業で、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日については使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。これが「使用者による時季指定」です。指定する場合は、その時季に関して労働者の意見を聴取すること、そしてできる限りその意見を尊重する必要があります。就業規則にも使用者の時季指定に関する記載が義務付けられています。この年5日の管理方法ですが、年次有給休暇の付与日(基準日)の定め方により異なります。入社して半年後が基準日という法定基準だとわかりやすいのですが、4月1日などに一斉付与されている場合、法定の基準日よりも前倒しして付与されている場合などは、管理方法に注意が必要です。また、必ずしも時季指定を行わなくても、①労働者自らの請求・取得、②計画付与、③使用者による時季指定のいずれかの方法で、年5日以上取得させることができればよいとされています。企業ごと、個人ごとに業務や現状の有休取得率を考えて、確実に年5日以上とれる方法を選択し、組み合わせるとよいでしょう。

5退職時に残りの年次有給休暇を請求されたら?年次有給休暇を取得させる必要があり、時季変更権も使えない退職日までに取得できずに残った年次有給休暇は、原則消滅します。労働者から退職の際、「辞めるまでに、残っている有給休暇を全部使用して辞めたい」と申し出られた場合は、年次有給休暇をとらせなくてはいけません。また、退職日までに年次有給休暇をとりきれない場合は、時季変更権は行使できません。例えば、1ヵ月後に退職する労働者から「明日から退職日までの間、有給休暇を全部使わせてもらうので、もう出社しません」といわれたら、認めざるを得ません。引き継ぎのためにどうしても出勤してもらいたい場合は、取引先や職場の人たちに迷惑がかかることなどを労働者と話し合い、退職日を延ばしてもらったり、取得できず残った年次有給休暇をやむを得ず買い取ることなどが考えられます。また、年次有給休暇を取得中に次の年次有給休暇を付与する基準日が来ることもあります。その場合、新たな年次有給休暇が追加で発生します。労働者から「有給休暇を全部使い終わったあとの日付を退職日にしたい」といわれたときは新たな年次有給休暇もとらせることになります。

6法定休暇、特別休暇とは?法定休暇は必ず与える休暇。特別休暇は事業主が独自に定められる休暇法定休暇とは、労基法などの法律で労働者に与える必要がある休暇です。その中には、年次有給休暇、産前産後休業、育児休業、介護休業、介護休暇、子の看護休暇、生理休暇、公民権行使のための休暇があります。法定休暇のうち、年次有給休暇を除くその他の休暇は、無給としても問題ありません。ただし、休暇を取得したことにより、昇給させなかったり、解雇やその他の不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されています。また特別休暇とは、法律の規定ではなく就業規則などで事業主によって定められた休暇です。一般的には、慶弔休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇、法定休暇に上乗せした休暇などがあります。事業主が独自に定められるので、社員のやる気にもつながるような制度をつくることが大切です。また、定める際はいつからいつまでの間に取得できるかを明確にしましょう。例えば結婚休暇の場合、昔は入籍、結婚式、新婚旅行が一緒だったので取得日はわかりやすかったのですが、今は入籍から新婚旅行までに期間があることが多いので、「入籍日から6ヵ月以内」など、就業規則などに取得時期を明示します。

7休職とは?法律で決められたものではない。期間や内容は自由に設定できる休職とは、しばらくの間働くことができないと見込まれたときに、雇用関係を維持したままで一定期間働く義務を免除することです。一般的には、私傷病休職や自己都合休職、関連企業への出向休職などがあります。休職制度は、法律で必ず設けなければいけないものではありません。しかし、例えば私傷病で働けなくなった正社員を急に辞めさせることは社会通念上できません。そこで通常、正社員には休職制度を定めています。気をつけなければいけないのは、自己都合休職です。単に1ヵ月認めるという規定だと、例えば世界一周旅行をしたいという理由でも休職を認めることになってしまいます。会社がやむを得ないと認める場合に限るという旨を、就業規則に定めることが大切です。休職の際の賃金は、私傷病休職や自己都合休職の場合は事業主の都合ではないので支払う義務はありません。

8私傷病休職とは?休職中の連絡先など、必要事項が記載された休職願をとっておく私傷病休職とは、労働者が業務外の病気やケガによって働けなくなり、会社を長期間休まなければならない場合、雇用関係を維持したままで休むことができる制度です。会社が就業規則に定める休職期間を満了しても職場に復帰できなかった場合は、就業規則に「退職とする」旨を定めていれば自然退職となります。定めていなかった場合は解雇となります。会社にとっては、退職のほうが何かと問題は起こりません。実務面では、休職前に本人から「休職願」の書面を提出してもらいます。また休職中の連絡先や、社会保険料、住民税の自己負担分をどうするかも決めておきます。復帰に際しては、休職期間満了1ヵ月くらい前に本人と連絡をとり、復帰できるかなどを確認します。復帰時には会社が指定する医師の診断書を持ってきてもらいましょう。なぜなら、主治医が専門医ではなかったり、労働者の意向に沿った診断書を作成することがあるからです。会社の業務内容を理解した上で、就労可能かを相談できる産業医にも診断してもらうこともおすすめです。

私傷病休職中の生活保障としてもらえる傷病手当金労働者が業務外の病気やケガの療養で、働くことができずに会社を休んだ場合、社会保険の健康保険から「傷病手当金(※)」が支給されます。支給要件は、①業務外の病気やケガの療養のために労働ができないことを医師が証明していること、②労務不能のため会社を休んだ期間が連続して3日間あること、③休んでいる間会社から給与をもらっていないことです。このすべてに該当した場合に、休業4日目から支給対象となります。支給期間は、支給開始日から1年6ヵ月の間です。注意点は、会社が休職の間、一部給与を支払う場合には、傷病手当金は支払われた給与額に応じて減額または不支給となることです。そこで年次有給休暇との関係ですが、傷病手当金が出ない3日間の待期期間中は年次有給休暇をとっても問題ありませんが、4日目以降の傷病手当金の支給対象日にとった場合はその日の傷病手当金は支給されません。また、資格喪失時に傷病手当金を受けている(または受ける条件を満たしている)労働者が退職した場合は、退職日までに1年以上、健康保険の被保険者期間があれば、退職後も引き続き傷病手当金をもらうことができます。退職日にすべての条件を満たしている必要があるので必ず確認しましょう。※(支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×3分の2

1出産、育児にまつわる制度とは?制度を利用する労働者には、さまざまな手当や給付がある出産、育児に関しては、制度を最大限利用する労働者が増えています。事業主は、制度の利用や申出をした労働者について不利な扱いをしてはならないと定められています。労働していない時間については無給でかまいませんが、その旨を就業規則や育児・介護休業規程などで定める必要があります。労働者の誰かが出産することになったら、まず権利や全体の流れを確認しましょう。出産、育児の最中は、国からさまざまな手当や給付(次の図参照)があります。例えば、健康保険からは産前産後休業中に対する出産手当金や、出産に対する出産育児一時金の支給があります。雇用保険からは育児休業期間に対して育児休業給付の支給があります。また、社会保険については産前産後休業期間中と育児休業期間中の社会保険料が免除になる制度や、復帰後に短時間勤務などで給与が下がった場合、一定の条件を満たせば復帰前の高い保険料を支払わなくて済むように産前産後休業終了時改定または育児休業等終了時改定を行う制度もあります。手続きを忘れやすいので注意しましょう。

2産前産後休業とは?産前6週間、産後8週間、多胎の場合は14週間の休み産前産後休業は、母体を保護するためのもので、出産前後のお休みです。産前については、事業主は6週間以内(多胎の場合は14週間)に出産を予定している女性が休業を請求した場合、働かせてはいけないと定められています。つまり、本人から休業の請求がない場合は、引き続き働いてもらってかまいません。ところが産後については、産後8週間を経過しない女性を原則働かせてはいけません。ただし、産後6週間を経過した女性が請求をした場合で、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えないとされています。なお、出産日当日は産前に含むため、産後休業は出産日の翌日からカウントします。また、産前産後休業期間中、事業主は賃金を支払う義務はありませんし、年金事務所に申請すれば社会保険料も負担する必要はありません。労働者の社会保険料も免除されます。社会保険に加入している労働者は、健康保険から出産手当金を受けることができます。出産手当金は1日あたり支給開始日以前12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均して30日で除した額の3分の2が支給されます。

3育児休業とは?1歳未満の子どもの養育のために、原則1回取得できる1歳未満の子どもを養育するために、原則として1回に限り育児休業をすることができます。ただし、保育所に入所を希望していても入所できない場合や、1歳以降に子どもを養育する予定であった配偶者が死亡、負傷、疾病などにより養育することが困難になった場合は、1歳6ヵ月まで、同様の理由でさらに休業が必要な場合に限っては、再度の申出によって2歳まで(※)、休業を延長することができます。また、両親がともに育児休業を取得する場合は、1歳2ヵ月まで延長することができます(パパ・ママ育休プラス)。一方、事業主は育児休業期間中、賃金を支払う必要はありませんし、年金事務所に申請すれば社会保険料を負担する必要もありません。労働者の社会保険料も免除されます。労働者には育児休業期間中は育児休業給付が支給されますが、一部賃金を受ける場合(賃金日数×支払日数の30%を超える場合)は、その額に応じて減額または不支給となります。育児休業期間も退職金の算定期間になるかどうかでもめることがあります。算定期間に入らないのであれば、就業規則などでその旨を定めておきましょう。

4小学校就学前の子どもがいるときは?短時間勤務制度や、子の看護休暇制度を利用できる育児休業以外にも、小学校にあがる前の子どもがいる場合は特別な制度があります。短時間勤務制度とは、1日の労働時間を原則6時間とする制度のことです。3歳に満たない子どもを養育する労働者が申し出た場合、この制度の使用を認めなければなりません。実際に行われているだけでは不十分で、就業規則などに規定するなど制度化された状態にする必要があります。子の看護休暇とは、労働者が申し出たら与えなければならない休みのことです。1年度に、小学校就学前の子どもが1人いる場合は5日、2人以上いる場合は10日を限度とし、1日単位または半日単位で取得することができます。1年度とは、原則、小学校就学前までの毎年4月1日から翌年3月31日です。子どもが風邪をひいたときの看護や予防接種のためなど、労働者が必要なときに申し出ることができます。その他、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限などの制度もあります。いずれの制度も働かなかった時間に対して無給でもかまいません。

5介護休業や介護にまつわる諸制度とは?介護休業は93日、介護休暇は年5日とれる要介護状態にある家族を介護する労働者は、要介護状態の対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として介護休業を分割してとることができます。要介護状態とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態です。家族の範囲は、配偶者、父母、子ども、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。休業中は無給でかまいません。その間、労働者には一定の条件を満たせば雇用保険から介護休業給付があります(休業開始時賃金日額×支給日数×67%)。介護休暇とは、要介護状態にある対象家族の介護などを行う労働者が、対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位または半日単位で取得できる休暇です。また、介護のための短時間勤務制度もあります。介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上利用することができます。その他にもさまざまな制度があります。いずれも働かなかった時間に対して無給でもかまいません。規程で定めておきましょう。

6女性活躍推進法とは?出産や育児を抱える女性が、活躍できる職場環境を整える女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は、労働者301人以上の会社に対して、①女性の活躍状況を分析して課題を洗い出し、②課題に対する目標を設置し、行動計画を策定して社内周知・社外公表する、③行動計画の策定を労働局に届け出ることを義務付けています。例えば、女性労働者の採用割合が低い職種はないか、性別にかかわらず、評価や管理職登用が行われているか、出産や子育てを機に女性が退職する傾向にないかなど、自社の状況を分析します。そして「営業職で働く女性の人数を○人以上とする」「管理職に占める女性比率を○%とする」「男女の勤続年数の差を○年以下とする」といった、数値などの目標を定め、具体的な行動計画を策定し、社内に周知します。パート社員なども含め、幅広い労働者の理解と協力を得て取り組むことが重要です。なお、労働者300人以下の民間事業主については努力義務とされていますが、日本の労働人口減少を補うためにも、またダイバーシティ(多様な人材の活用)の観点からも積極的な取り組みが期待されます。

育児・介護休業中にもらえる雇用保険の給付育児休業、介護休業中に、事業主は賃金を支払う必要はありません。労働者はハローワークで手続きを行うことで、雇用保険から給付を受けることができます。まず、支給を受けられる対象者かを確認しましょう。原則、一般被保険者で、育児休業、介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上ある人が対象となります。育児休業給付は、休業中に賃金が支払われなかった場合、育児休業開始時の賃金の約67%程度(6ヵ月経過後は50%)が支給されます。支給期間は、育児休業開始日から子どもが1歳の誕生日の前々日まで(一定の場合は1歳6ヵ月まで)です。申請手続きは2ヵ月に1度(本人が希望する場合は1ヵ月に1度)行います。介護休業給付は、休業中に賃金が支払われなかった場合、介護休業開始日の賃金の約67%程度が支給されます。介護休業給付の場合、対象家族1人につき介護休業開始日から最長93日まで、3回を上限として分割して取得可能です。申請手続きの期限は、介護休業終了日(介護休業が3ヵ月以上の場合は、介護休業開始日から3ヵ月経過した日)の翌日から起算して2ヵ月を経過する日の属する月の末日までです。育児休業給付、介護休業給付は、ともに賃金の支払いがあった場合、給付が減額または支給停止となる場合があるので注意しましょう。

1自己都合退職とは?退職届と退職願は、法律的に違いがある労働者から「辞めさせてください」といわれて退職に至ることを自己都合退職といいます。あとでもめないように書面を提出してもらうことがポイントです。書面には退職届と退職願があります。退職届とは、「退職します」という一方的な届出です(辞職)。いったん本人が退職届を提出したあとは、本人がやはり会社に残りたいと思っても、会社が合意しなければ退職を撤回することはできません。退職願とは、文字どおり「退職させてもらえませんか」という労働者からのお願いの書類です。会社がこれを受け取って「いいですよ」と承認をします(合意解約)。承認されるまでの間、本人は退職願を撤回することができます。ただし、この2つの法律的な違いを会社も従業員も理解していないことが多いので、その場合は一般的には合意解約ととらえられます。退職の申出日ですが、民法上では原則、会社が退職を認めなくても14日経過後には退職できます(ただし月給者は例外あり。次の図左上の解説を参照)。引き継ぎなどを考えて就業規則などで「1ヵ月前までに申し出る」と定めたほうがいいでしょう。

2退職勧奨による退職とは?会社が労働者に退職を促し、本人が合意した上で退職すること解雇は、使用者側からの一方的な契約解除ですが、使用者が労働者に退職を働きかけ、労働者がそれに応じて退職する場合は合意退職となります。例えば「もしかしたら君にはこの会社は向いていないかもしれないね」という話し合いの中で、本人が「辞めさせていただきます」といった場合です。合意退職は解雇と異なり、辞めてくれと一方的にいっているわけではありませんし、また本人自ら辞めることに合意しているので、解雇予告手当の必要がなく、不当解雇で争われることも原則ありません。ポイントは、あとでもめないように退職届をもらっておくことです。もちろん「むりやり書かせられて退職を強要された」といわれないようにすることが大切です。また、整理解雇を回避するために希望退職者を募集することがあります。この場合、一般的に使用者が退職金の上乗せや再就職支援など、通常の退職よりも有利な条件を示して退職希望者を募り、労働者が自分の意思で退職を申し込みます。これも合意退職なので、解雇予告の必要も不当解雇の問題も原則発生しません。

3定年退職、高年齢者雇用確保措置とは?3つの方法を選択して、原則希望者全員65歳まで雇用しなければならない労働者が就業規則などで定められた年齢に達したとき、年齢を理由に雇用契約が終了することを定年退職といいます。定年年齢は60歳を下回ることはできません。さらに、厚生年金の支給開始年齢の段階的な引き上げにより、現在は原則、希望者全員65歳まで雇用しなければならなくなりました(平成25年3月末までに再雇用対象者の基準を労使協定で設けている場合は経過措置あり)。65歳未満の定年を定めている会社は、①定年の引き上げ、②継続雇用制度(再雇用制度)の導入、③定年制の廃止のいずれかの措置を行わなければなりません。この中では再雇用制度が会社にとっては一番導入しやすい制度です。なぜなら再雇用なので、定年により社員としての雇用契約はいったん終了し、新たな雇用内容で再び契約できるからです。本人が希望し、定年退職時に解雇事由などに該当しなければ会社は再雇用をしなければなりませんが、仕事内容、勤務時間、給与などは新たに提示できるため、定年の引き上げや定年制の廃止よりも人件費などの面でもリスクが少なくて済みます。

4定年後の再雇用制度とは?平成25年3月以前に有効な労使協定がある場合は経過措置あり高年齢者雇用安定法改正で、継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大と高年齢者雇用確保措置(第8章3参照)義務違反をする企業に対して企業名を公表できる規定が追加されました。また、再雇用制度(第8章3参照)を導入した場合、平成25年3月以前は労使協定を結ぶことにより、再雇用対象者をある程度限定できましたが、法改正により平成25年4月以降、再雇用対象者を限定できる仕組みが廃止されました。ただし、すでに平成25年3月31日までに再雇用対象者の基準を労使協定で定めていた会社は、年金支給開始年齢以降の再雇用は、労使協定の基準により再雇用対象者を限定できる経過措置が認められています。この経過措置に該当する場合を除き、希望者全員を再雇用対象者としなければなりませんが、就業規則などに定めている解雇事由や退職事由(年齢によるものを除く)に該当する場合はこの限りではありません。心身の故障により業務に耐えられないなど、若者でも解雇になるような客観的に合理的な理由があれば再雇用の対象としないこともできます。

5懲戒のルールは?就業規則などで懲戒の種類、内容を定めておくことが大切懲戒にはその程度に応じ、主に次の図にあげたものがあります。ポイントは、合理的な理由があり、社会通念上認められる範囲で労働者の違反行動の程度に応じた処分をすることです。例えば、正当な理由なく遅刻をした場合は始末書、遅刻を繰り返すようなら減給、無断欠勤が連続5日なら出勤停止というように、程度や状況に応じて処分のバランスを考えます。人によって処分に差が出ないように公平に行うことが大切です。また、1つの事案で2つの懲罰を行うことは禁止されています。例えば、横領で出勤停止したあとに懲戒解雇することは認められていません。間違いやすいのは減給についてです。労働基準法で上限が定められています。降格に伴い、賃金が減少する賃金制度によって給料が減るような場合は、この上限には該当しません。手続きにも注意が必要です。まず、懲戒処分を行う前に本人の言い分をよく聞くようにしましょう。また就業規則などで懲戒委員会を開くことが決められているのにもかかわらず、開催せずに処分を行うと、手続き上の不備で無効となるので気をつけましょう。

6普通解雇、懲戒解雇とは?解雇が合法と認められる基準は、事業主にとってハードルが高い解雇は簡単に行えるものではなく、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められた場合」に限られます。解雇には懲戒解雇、普通解雇、整理解雇(第8章7参照)があります。普通解雇とは、雇用関係を継続しがたい、やむを得ない理由があった場合に、使用者が一方的な意思で労働契約を解約することです。例として、能力不足、心身の故障で業務に耐えられない場合などがあげられます。懲戒解雇よりは解雇が有効と認められる範囲は広いですが、解雇不当で裁判で争われると解雇権濫用と判断されるケースも多いので、解雇する場合は慎重に行います。懲戒解雇とは、会社が辞めさせなければならないほど、企業秩序に違反した従業員に対して重い懲罰として解雇することです。原則、どういう場合に懲戒解雇になるかを就業規則などで限定列挙で明示し、それに基づいた理由で懲戒解雇を行わなければなりません。普通解雇以上の厳格性が求められます。

7リストラによる整理解雇とは?4つの要件(要素)を総合的に考えて、解雇の正当性が判断される整理解雇で大切なことは、いかに従業員に誠意を尽くすかです。トラブルを生む大きな原因は、従業員もこの難局をわかっているはずだと会社側は考えていたのに、従業員側では自分が解雇されると思わず、突然の解雇に「なぜだ」と納得できないためです。会社が十分な経営努力をして、それを従業員に説明した上でなら、従業員もリストラを受け入れやすいので、不当解雇で訴えられることは避けられます。具体的には、「解雇の正当性」のための4つの要件(要素)を総合的に満たすことが必要です(次の図参照)。まず、整理解雇しなければならないだけの理由があることです。単に余剰人員が出たというだけで整理解雇を行うと、争われた場合に解雇権濫用で無効となります。次に雇用を守るために経費削減や配置転換、出向、希望退職の募集(第8章2参照)などの解雇を避ける努力をすることです。それでも解雇が必要なら、整理解雇の対象者を合理的に公平に選びます。そして、従業員に誠意を持って十分に説明します。そのためには、あらかじめ従業員に納得してもらえるような、しっかりとしたリストラ計画を準備しましょう。

8解雇予告、解雇予告除外認定とは?労働者をやむなく解雇するときは、30日前の解雇予告が必要労働者を解雇する場合、30日前までに解雇予告ができなかったときは、解雇予告手当として解雇予告日の翌日から最大で30日分の平均賃金を支払う必要があります。必要な30日分は休日を含む暦日で計算し、予告日によって解雇予告手当の支払い日数が変わります。中には、解雇予告がいらない労働者もいます。例えば、2ヵ月以内の期間雇用者や入社から14日以内で試用期間中の労働者など、または労基署に解雇予告除外認定を申請して認められた労働者なども対象です。除外認定となるケースは、よほどの事情がある場合のみです。原則、解雇を本人に伝える前に、労基署に除外認定を申請して認めてもらいます。天災、または横領などの懲戒解雇のようなケースでも、除外認定の申請がなければ解雇予告または解雇予告手当は必要となります。ただし、労基法に則り30日前までに解雇予告などを適切に行ったとしても、解雇理由に正当性が認められない場合は解雇無効となります。

9退職(解雇理由)証明書とは?労働者の請求により、退職事由(解雇理由)などを証明するための書類退職する労働者から退職事由、使用期間などの証明を請求されたときは、事業主は原則、退職証明書が必要です。労働者はこの証明を退職から2年の間、何回でも請求できます。また解雇予告日から解雇日までの間に、労働者から解雇理由証明書を請求されることもあります。解雇理由については、具体的に示す(就業規則の定めにある解雇理由に該当する場合は第○条第○項も記載)必要があります。しかし、解雇予告された日以後に任意退職(自己都合退職など)をした場合は、交付する必要はありません。なお、退職後の請求では、解雇理由証明書ではなく、原則、退職証明書として交付します。では、この退職(解雇理由)証明書が必要となるのは、どんなときでしょうか?一般的によくあるのは、国民健康保険など他の保険者に加入するときです。しかし、最近増えているのが、労働者が会社へ不当解雇などを訴える準備のために、退職理由をはっきりさせることが目的のケースです。特に懲戒解雇の場合は、争いの場で事業主が証明書に記載した理由に拘束されるので、解雇の場合は内容を慎重に検討しましょう。

失業後の手当と退職事由の関係「退職するときは、一般的に自己都合より会社都合のほうが得」という話を聞いたことがあるかもしれません。その理由の1つは、退職後にハローワークで手続きする失業手当の受給要件の違いです。では、どのように受給要件が異なるのでしょうか?●給付制限……通常、自己都合退職は「事業主都合以外の退職」となり、待期期間7日間を経過後、3ヵ月程度の給付制限をされてから受給開始となります。退職勧奨(第8章2参照)や解雇(懲戒解雇を除く)などは事業主都合退職となり給付制限はありません。●受給日数……原則1年以上の勤続につき、90~150日まで受給日数が定められています。しかし、これが事業主都合退職者には、年齢、勤続年数ごとに最大330日までの受給日数を優遇します。ときに、事業主が離職理由を自己都合退職として処理したのに、労働者が事業主都合退職であると主張することがあります。この場合、ハローワークから事業主へ「離職理由の経緯」の報告を求められます。事業主側も、よく調べたら事業主都合退職だった場合、雇用保険被保険者離職票記載内容補正願などで離職理由を補正します。そうでない場合は、経過理由書のような任意書式で、会社が自己都合退職と認識した経過理由を記載します。あとでこのような食い違いが起こらないよう、自己都合退職の場合は必ず退職届を受け取りましょう。

1労災とは?労災保険とは?労災には業務災害と通勤災害があり、いずれも労災保険が使える労働災害(以下、労災)には、業務災害(業務上の災害)と通勤災害(通勤途中の災害)の2つがあります。業務災害は、事業主が労働者に責任を負う必要がある災害です。原則、健康保険が使えないので、補償が医療費だけでも莫大になることがありますが、労働者災害補償保険(以下、労災保険)からその多くが給付されます。通勤災害は、事業主の責任はありませんが、労働者は業務災害とほぼ同じように労災保険から給付を受けられます。そのため、事業主は労働者を1人でも雇った場合、必ず労災保険に加入しなければなりません。労災保険は会社全体で加入するため、1人ひとりの入退社の手続きは必要ありません。保険料も全額事業主が負担します。正社員だけではなく、賃金を支払っているすべての労働者が対象になります。ただし、社長や役員は労働者ではないため、労災保険の対象にはなりません。そこで、社長、役員のための特別加入という制度があります。社会保険労務士に頼めば、労働保険事務組合に業務を委託して特別加入することができます。

2業務災害が起きたら?休業した最初の3日間は、事業主が平均賃金の6割を支払う業務災害とは、仕事が原因でケガや病気をしたり、障害が残ったり、死亡したりする災害のことです。事業場内で起こったケガでも、私的な行為は業務災害ではありません。例えば、昼休みにお弁当のリンゴを切ろうとして手をケガしても業務災害ではありません。業務災害が起こったら、まず病院で治療を受けてもらいます。健康保険は使用できないので、「労災」であることを病院に伝えて健康保険証を提示せずに受診します。治療費は、手続きをすれば労災保険から全額補償されます(第9章4参照)。また、療養のために会社を休まなければならない場合、待期期間と呼ばれる最初の3日間は事業主が平均賃金(第5章4参照)の6割を支払う必要があります(通勤災害の場合は支払い義務はない)。ただし、4日目以降は労災保険から平均賃金のおよそ8割が従業員に給付されます。また、業務災害で労働者が死亡または休業する場合は、労基署の安全衛生課に「労働者死傷病報告」を提出しなければなりません(第9章6参照)。4日以上の休業か、4日未満の休業かで届出用紙が異なります。通勤災害の場合は提出の必要はありません。

3通勤災害が起きたら?労災認定は通勤途中かどうかで判断。届出の経路でなくてもOK通勤災害は、業務災害とは違い、事業主の責任ではないので、休業給付が出るまでの待期期間3日間の補償はいりません。また、労働者死傷病報告も提出する必要はありません。しかし、労働者には労災保険から業務災害とほぼ同様な給付があるので安心です。労災保険上、通勤災害と認められるには、通勤途中か否かがポイントになります。通勤とは「就業に関し」「住居と就業の場所との間を」「合理的な経路および方法により往復すること」をいいます。「合理的な経路および方法」とは、会社に届け出ている経路や方法以外でも認められます。例えば、バイク通勤を禁止している会社の労働者が、内緒でバイク通勤をしたとしても、これが合理的な経路ならば通勤災害になります。また、通勤経路を逸脱および中断した場合は、それ以降、通勤とは認められません。同僚とお店に立ち寄り、お酒を呑んだ帰り道で転んで骨折をしても、通勤災害にはならないのです。ただし、日常生活上必要な行為として認められたもの(日用品の購入など)は、逸脱、中断した間を除いて通勤と認められます。

4療養(補償)給付の手続きの仕方は?労災指定医療機関で受診するか否かで、手続きの流れが違う病院で受診した治療費は、原則、労災保険から全額支給されるため個人負担はありません。ただし通勤災害の場合、一部負担金として200円(日雇特例被保険者については100円)が、休業給付を受けた場合に限り、初回の休業給付から控除されます。労災保険における療養(補償)給付は、労災指定医療機関で必要な診療、薬剤そのものを受ける現物給付が原則です。労災指定医療機関で受診した場合、病院の窓口に健康保険証を提出する代わりに、療養補償給付たる療養の給付請求書に必要事項を記載し、事業主の証明を受けて提出します。被災者本人は治療費の支払いをすることなく受診ができます。実際は緊急でまず病院で受診したあとに書類を作成、提出することがほとんどです。近くに労災指定病院がなく、労災指定医療機関以外で受診した場合、治療費を一度全額支払います。療養補償給付たる療養の費用請求書に医師の証明および事業主の証明を受けたら、医療機関でもらった領収書を添付して労基署に提出します。労基署で受理されたあと、原則、被災者本人が希望した振込口座に治療費全額が返金されます。

5休業(補償)給付と休業特別支給金の手続きの仕方は?事業主と医師の証明を受けて、所定の請求書を労基署に提出労働者が労災により労働することができない場合、労災保険から休業(補償)給付と休業特別支給金が支給されます(同じ用紙で申請)。支給されるには、①業務上または通勤途中による負傷や疾病の療養で労働ができないこと、②賃金の支給がないこと、③待期期間3日間(第9章2参照)が完了していることの3つの条件が満たされる必要があります。まだ労働することができないという医師による労務不能の証明がなければ、休業(補償)給付を受けることはできません。例えば、自己判断で勝手に仕事を休んでいる場合には補償を受けられないので、必ず通院して医師による証明をもらう必要があります。手続きの流れは、休業補償給付支給請求書(様式第8号)に療養のため労働できなかった期間を記載し、労基署に提出します(通勤災害の場合は、休業給付支給請求書〈様式第16号の6〉)。その期間にかかる事業主の証明、医師の証明を記載します。休業が長く続く場合は、給料のように1ヵ月くらいの期間に区切って請求するとよいでしょう。

6労働者死傷病報告とは?休業の必要がある業務災害の場合に提出する業務災害で休業する場合、労働者死傷病報告を労基署に提出します。1日も休業しない場合は、提出の必要はありません。また、通勤災害の場合は事業主の責任ではないので、休業したとしてもやはり提出する必要はありません。労働者死傷病報告は、4日以上の休業か4日未満の休業かで、提出する用紙が違うので注意しましょう。4日未満の休業の場合、発生した業務災害を期間ごとにまとめて報告します(1~3月分は4月末日まで/4〜6月分は7月末日まで/7〜9月分は10月末日まで/10~12月分は1月末日まで)。注意点は、労災が起こったときに、「軽微な事故だし、手続きするのは大変だから」と労災保険を使わずに会社で補償する場合です。労災保険を使わなくても休業が必要な事故の場合は、必ず労働者死傷病報告を提出しなければなりません。提出を忘れると労働安全衛生法違反となり、罰則(50万円以下の罰金)の対象になります。「労災隠し」を疑われることにもなるので、必ず提出を忘れないようにしましょう。

労災保険を使うと労基署の調査が入る?労災保険を使うと、すぐに労働基準監督官の臨検が行われると思っている人が大勢います。実はこれらの監督指導は、通常は重大な事故が起こった場合や、頻繁に事故が発生した場合に行われます。うっかり階段で足を滑らせて、ちょっとケガをしてしまった程度のことでは滅多に来ません。調査の可能性が高いのは、業務用の機械などを使って事故が起こった場合や、労災がたびたび続く場合、切断や死亡事故のように重大な事故の場合です。ただし、労働者死傷病報告を提出すると、労働災害再発防止対策書の作成と労働災害再発防止講習会への参加案内が来ることもあります。これらが来たからといって、事業場全体がすぐに調査されるものではなく、対策書に記入して、講習会には責任者が参加することが大切です。また、ケガをしたのは労働者の過失だから、労災保険からの補償は出ないと思っている人もいます。でも、ケガのほとんどは本人に過失があって起こるものです。少しでも過失があったら支給しないのであれば、労災保険の意味がなくなってしまいます。労災保険は原則労働者が故意または重大な過失により発生させた事故でなければ支給されることになっています。労災と認められるかどうかは労基署が判断するので、おりるかどうかわからない場合は、とりあえず申請してみましょう。

1安全衛生管理体制とは?各種管理者の選任、安全衛生委員会の設置、開催など労働災害への対策を行う安全衛生管理というと、一般的な業種とは縁が薄いように思われますが、例えばサービス業の会社でも労基署の調査があると、よく不備を指摘される事項です。労働者10人以上50人未満の規模の事業場では、衛生推進者(業種によっては安全衛生推進者)の選任をします。また、労働者50人以上の規模の事業場であれば、衛生管理者(業種によっては加えて安全管理者)と産業医を選任し労基署への届け出もします。特に衛生管理者は、通常は指定された試験を受けて合格した人がなるので(その他条件で認められる人あり)、有資格者が会社にいない場合には、労働者を試験に合格させるか、新たに資格を持っている労働者を雇い入れなければなりません。衛生推進者も衛生管理者も、誰が選任されたか労働者に周知します。選任した者に対して辞令などを交付して額などに入れ、任命の旨を掲示しておくとよいでしょう。また、労働者が多いと安全委員会(労働者50人以上の建設業など、労働者100人以上の各種商品卸売業、旅館業など)、衛生委員会(労働者50人以上の全業種)の設置と開催が必要です。

2安全衛生教育とは?労働災害などを防止するため、労働者に適切な教育を実施する現場作業員の多い、建設業、貨物運送業、製造業などは、重大事故につながる可能性が高く、また、社会福祉施設では労働災害が増加しています。事業主は大切な労働者の安全を守るために、安全衛生教育に力を注ぐ必要があります。「機械の作業方法の教育」「熱中症の防止対策」「健康診断の実施」など、日頃から労働災害防止対策をしっかりしておかないと、業務災害があったときには事業主が安全衛生配慮義務違反を問われ、損害賠償が発生します。また、行政処分で業務停止や、労働安全衛生法違反や、業務上過失致死による刑事処分などで新聞に載ることもあります。労働者に対する安全衛生教育や訓練については、法令上実施することが義務づけられているものと、個々の事業場が独自の判断で実施するものとがあります。法令のものは最低でも実施します。労基署には、各業界向けの安全衛生管理のハンドブックなども置いてあります。こういったものを参考にして、業界に合った安全衛生教育を行いましょう。

3ストレスチェックとは?労働者のメンタルヘルス不調を予防するための制度ストレスチェックは、ストレスに関する質問票に労働者が回答し、それを集計・分析することで、各人のストレス状態を調べる検査です。目的は、労働者が自分のストレスを把握した上で解消に努め、また高ストレスの場合は、医師の面接による指導のもと、必要に応じて会社に業務軽減などの措置の実施を促すことで、メンタルヘルス不調を予防することにあります。また、対象労働者は常時使用する労働者となり、契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の4分の3未満の労働者は対象外です。ストレスチェックは、従業員50人以上の事業場で、毎年1回以上の実施が義務付けられています。実施のポイントは、制度担当者(人事権を持つ者も可)、実施者(医師・保健師等)、実施事務従事者(人事権を持つ者は不可)、面接指導を実施する医師を決めることです。調査には国が推奨する職業性ストレス簡易調査票(57項目)を使うことがほとんどで、調査結果は実施者から直接労働者に通知されます。労働者の同意なく会社へ通知はできません。プライバシー保護に留意し、労働者が安心して受けられる仕組みが必要です。

4健康診断とは?1年に1回の定期健康診断などを事業主負担で行う労働安全衛生法では、事業主は常時使用する労働者に対して健康診断を実施する義務があります。またパートタイマーも、一定の要件に該当する場合は実施が必要です。一般健康診断には、「雇入れ時の健康診断」「定期健康診断(1年以内ごとに1回)」「特定業務従事者の健康診断(深夜業を含む業務などに従事する者について、配置替えおよびその後6ヵ月ごとに実施)」などがあります。特殊健康診断は、危険有害業務(粉じん作業、有機溶剤取扱作業など)に常時従事する労働者に対して、雇入れの際と、その業務への配置替えの際、および定期的に実施します。健康診断の費用は事業主が負担します。一般健康診断に必要な時間に賃金を支払うか否かは任意です。正社員は一般的に業務時間内に健康診断を行いますが、労働日数の少ないパートタイマーなどの場合は、賃金を支払わない場合もあります。一方、特殊健康診断は業務の一環と解釈されるため、賃金を支給しなければなりません。また異常所見がある場合は二次健診を受けさせたり、医師などの意見を聴いて、必要に応じて措置を講じます。

1就業規則とは?会社全体の労働条件などのルールを定めたもの労働者数10人以上の事業場は、就業規則を作成し労基署へ届け出なければなりません。就業規則とは、守るべき規律や労働条件など事業場全体のルールを定めたものです。会社と労働者相互に効力を発揮します。例えば事業主はルールを守れない労働者に対し、就業規則での記載を根拠として懲戒などを行うことができます。反対に労働者は記載された権利を主張できます。また、労働者数10人未満の事業場は就業規則の作成義務はありませんが、例えば私傷病で認める休職期間を個人ごとにその場その場で決めるのは大変ですし、不公平にもなるので、事前に定めておいたほうが問題が起きません。就業規則を作成したら、労働者代表の意見書を添付し、労基署へ提出します。労働者の代表とは、事業場ごとに①労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、②労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者をいいます。就業規則は労働者へ周知しなければ効力を持ちません。周知とは、労働者がいつでも見られる状態にしておくことです。配布、休憩室に設置、社内イントラネットでの掲載なども方法の1つです。

2就業規則で定めることは?絶対的、相対的記載事項のほかに、任意的記載事項の定めがポイント就業規則に記載する内容には、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項があります。必ず記載しなければいけないのが絶対的記載事項、会社で定めた場合は必ず記載しなければならないのが相対的記載事項、記載するしないは自由なのが任意的記載事項です。絶対的記載事項には、賃金や労働時間および退職など、労働者にとって一番大事な部分を記載します。相対的記載事項の一例としては、退職金があります。退職金を支給するかしないかは会社の自由ですが、支給することにした場合、支給対象者や金額などのルールを定めなければなりません(第5章5参照)。任意的記載事項には、近年、個人・顧客情報などデータ流出防止や、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメントなどに関することを記載することが大切です。なぜなら、ひとたび問題が起きれば会社の責任を問われることになるので、就業規則の服務規程、懲戒規程に記載するなどして、会社としてできる限りの対策をする必要があるからです。

3正社員就業規則とは?就業規則の各種規程の中心となるもの正社員に適用する規則のことを一般的に、正社員就業規則、または正社員規程といいます。就業規則の本則部分とも呼ばれ、正社員以外のパート社員などの就業規則を作成する際にはこちらを基とします。就業規則に盛り込む事項は前項であげたとおりですが、実際に何を定めたらよいか迷うかもしれません。正社員就業規則の構成は、ある程度決まったパターンがあり、そのパターンにあてはめて作成すれば要点を盛り込めます。会社によって多少違いはありますが、次のような構成が一般的です。①総則、②人事、③勤務、④服務規律、⑤賃金、⑥安全及び衛生、⑦表彰及び懲戒、⑧その他厚生労働省などが公開しているモデル就業規則もあるので参考にするとよいでしょう。ただし、モデル就業規則は雇用形態別に分かれていなかったり、企業規模が考慮されていないなど、丸写しすると実態と合わなくなり、会社にとって不利益につながります。自社の現状に合った内容に適宜変更することが重要です。

4賃金規程とは?基本給や諸手当、給与改定など賃金に関する詳細をまとめて記載する賃金に関することは絶対的記載事項なので、必ず記載しなければなりません。就業規則の中に盛り込むとわかりにくくなるため、通常は別途、賃金規程で定めます。給与の種類は、基本給以外の諸手当についても記載します。諸手当には次のようなものがあり、それぞれどういう条件の人に、いくら支給するかを明示しておきましょう。①役職手当、②家族手当、③住宅手当、④通勤手当、⑤残業手当など。また、昇給に関する事項も絶対的記載事項ですので、昇給があるなしにかかわらずその旨を記載しなければなりません。今では、昔と違って昇給だけでなく降給する場合も少なくないので、どちらにも対応できるように給与改定(第5章6参照)としたほうがよいでしょう。一般的に、正社員は臨時の賃金として賞与もあるので、賞与に関しても記載します。賞与に関しては相対的記載事項なので、支給する場合には記載しなければなりませんが、支給しない場合であっても支給しない旨を記載しておくとトラブルが防げます。

5パートタイマーなど非正社員就業規則とは?正社員とは労働条件が違うので、別規程にしたほうがトラブルを防げる正社員以外にも、契約社員、パートタイマーやアルバイト、嘱託社員など(以下、非正社員)を雇っている会社も多くあります。正社員と同じ規程にしてしまうと、退職金や休職制度など異なる事項も多いのでトラブルにつながります。わかりやすくするためにも別途規程を作成しておいたほうがよいでしょう。また、正社員の就業規則で「非正社員などは別途定める」と記載してあっても、その別規程がない会社もあります。その場合は、正社員の規程が非正社員などにも適用されるので注意しましょう。具体的には、正社員の就業規則の中で「ただし、契約社員、パートタイマーについては、別途定める規程を適用する」といった文を入れた上で、別規程を作成します。非正社員の場合、人によって勤務時間などが異なるので、就業規則では大枠を示し、詳細は個別の契約で定めます。また、一般的に正社員と違い休職制度を設けることは少ないです。賞与、退職金に関しても、支給する場合はもちろんのこと、支給しないならしないと、きちんと定めておくことがトラブルを防ぐ上で大切です。

6退職金規程とは?退職金を支給すると定めた場合は規程を作成する退職金は就業規則の相対的記載事項なので、制度がある場合は記載する必要があります。就業規則の本文に盛り込むと長くてわかりにくいので、通常、別に退職金規程として作成します。文章量が少なければ賃金規程に盛り込んでもよいでしょう。退職金は必ず支払わなければならないわけではありません。退職金制度がない場合は、退職金を支給しない旨を記載しておけばトラブルを避けられます。また、パート社員などに支給しない場合も明確に記載しておきましょう。退職金制度を定めると廃止するのは難しいので、継続可能な制度を選ぶことが大切です。退職金算定方法はさまざまですが、中小企業でよく利用されているのは次の2つです。①中小企業退職金共済制度(中退共制度)を利用し、掛金の基準を定め、支給金額は制度に委ねる方法(正社員は5000円~。掛金金額は経費算入)。②最終基本給や一定の金額(1年間に5万円など)×勤続年数別の会社都合退職(自己都合退職)掛率で計算する方法。

7育児・介護休業規程とは?育児・介護のための休業、休暇、時間短縮などの規程が必要育児休業、介護休業は、就業規則で必ず定めなければいけない休暇に含まれます。育児・介護休業の付与要件、取得手続き、休業期間などを記載する必要がありますが、改正頻度が高く、細かな内容になるので、就業規則に盛り込まず別規程で定めたほうがよいでしょう。法律自体が、育児・介護休業法なので、育児と介護の2つの内容が合わさった雛形が出ています。それを利用すると改正に対応しやすくなるのでおすすめです。育児・介護休業法では、育児休業について「労働者は1歳に満たない子について事業主に申し出ることにより子を養育するため休業をすることができる」と定めています。その他、子育て中の短時間勤務制度や所定外労働免除、子の看護休暇なども設けられているので、規程に要件や手続きを記載します。介護休業についても類似した制度があるので同じように作成を進めます。育児・介護休業を取得できる労働者について、労使協定で一定の範囲の労働者を適用除外とすることができます。なお、育児・介護休業中など働かなかった時間について、給与はノーワーク・ノーペイの考え方で無給として問題ありません。

就業規則の不利益変更とは?使用者は、労働者と合意することなく、就業規則の変更により労働者に不利益になるような労働条件に変更することはできません。ただし、「変更後の就業規則を労働者に周知し」、かつ「変更が合理的なものである」という要件を満たせば変更することができます。合理的かどうかは次の判断要素によります。①労働者の受ける不利益の程度②(使用者にとって)労働条件の変更の必要性③変更後の就業規則の内容の相当性④労働組合など(労働者の過半数を代表する者など)との交渉状況⑤その他の就業規則の変更に係る事情・代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況・他の労働組合や他の労働者の対応・同種事項に関するわが国社会における一般的状況変更可能な例として、給与支払い日の変更があります。給与計算期間が短く、労働者の増加によって支払い日に対応できなくなったような場合です。事前に労働者によく説明し、実施までの期間を十分設け、支払い日が延びることによりローンの返済に困るようなことがあれば貸付金制度などの措置をとります。不利益変更で特に注意が必要なのは、賃金、退職金の変更です。労働組合が納得しても、個別で訴えられて負ける場合もよくあります。できるだけ個別同意の文書をとりましょう。

1労働基準監督署はどんな調査をする?申告監督、定期監督、災害時監督、再監督などを行う税務署の税務調査と同じように、労働基準監督署(以下、労基署)も定期、臨時に調査を行っています。調査では労基法や労働安全衛生法など法律違反がないかをチェックされ、もし法律違反があれば是正勧告、また法律違反以外で改善する必要があることは指導を受け、事業主は指摘事項を一定期日までに改善して報告する必要があります。主な調査は次の4つです。申告監督とは、労働者からの内部告発や相談によって行われる調査です。サービス残業や解雇予告手当が支払われないなど、労働者からの申告があった場合に実態を調査します。定期監督とは、監督署が管轄する事業場のリストから任意に選んで行う調査です。法律違反がないか、一般的な事項を調査します。これは問題のない会社でも、また労働者数名の小さい会社でも調査の対象となりますので日頃から備えておく必要があります。災害時監督とは、大きな業務災害が起こったときなどに行われます。再監督とは、是正に従わない事業場への再調査や、監督後の状況などを再調査します。

2定期監督とは?事業場の規模、業種、問題のあるなしにかかわらず調査対象となる定期監督は、税務調査と違って数年に一度必ずあるとは限りません。そのため、労基署から調査の知らせがあると、誰かが労基署へ相談に行ったのではないかと考えがちです。労働者からの相談を隠して、定期監督として調査することもあります。しかし原則、問題がない事業場であっても、規模が大きくても小さくても、どんな業種であっても定期監督は行われます。定期監督で指摘されて困ることは、やはり未払い残業代の問題です(第13章4参照)。指摘されると、原則はさかのぼって2年間分の未払い残業代を、従業員に一定期日までに支払わなくてはならないため大問題になります。また、労働安全衛生法関係の不備もよく指摘されます。事業場に必要な各種管理者が選任されていない、健康診断を定期的に受けさせていない、健診結果通知が会社に保管されていない、再健診の指導をしていないことなどです。日頃からチェック事項を確認し、問題がないようにしておきましょう。

3申告監督とは?労働者から労基署への申告により行う調査最近、労働者が労基署に「賃金が支払われない」「有給休暇をとれない」といった相談に訪れるケースが増えています。労働者の申告により調査することを、申告監督といいます。例えば、Aさんから「突然解雇されたにもかかわらず、解雇予告手当が支払われていない」という申告があり調査する、といったケースです。この場合は、特に該当者の雇入通知書や賃金台帳、タイムカードなどの労働条件の書類を重点的に求められます。ただし、監督官は必ずしも「誰からの申告か」を明かすとは限りません。事業主に労基署に相談に行ったことを明かさないでほしいという相談者の場合は、「定期監督です」といわれることもあります。また、同じ事業場から、未払い残業があるというような複数の訴えがある場合も、特定の個人というより事業場全体が調査の対象となります。調査は、監督官が事業場へ来訪する(臨検)ことも、事業主や総務担当者が労基署へ訪問する(呼出し調査)こともあります。もし相談者が誰かがわかっている場合は、事前に事情のわかっている職場の上司や関係者からよく話を聞いておきましょう。

4労基署の調査の流れは?監督官の指示に従い、調査に必要な書類を揃える突然、事業場に監督官が訪問することがあります(臨検)。訪問されたら、最初に身分証を見せてもらいましょう。身分を確認した上で、責任者がいないときは「今わかる人がいない」とはっきり伝えて、再度訪問してもらうほうがいいでしょう。すぐにその場で調査する必要がなければ、改めて日時を設定してもらえます。最初の段階で、調査の目的、調査日時、監督官が事業場へ来るのか、こちらが行くのか、準備書類は何かを教えてくれます。また、事前連絡が来ることもあります。調査のお知らせの通知が書面で送られて来る、または監督官から一度電話がかかってきて、その後書面が郵送やファクスで送られて来ます。調査が行われる場所は、労基署か事業場です。監督官の指示に従います。調査の日時は、指定された日時で都合がつかないなら、すぐに担当の監督官に連絡を入れて変更してもらいましょう。2、3候補日をあげると調整してくれます。調査までに、必要な書類(第12章5参照)を揃えておきましょう。調査が終了するまでの流れは、次の図のとおりです。

5調査を受けるときのポイントは?事前に法律違反に気づいたら、すぐに改善策を打っておく調査のお知らせが届いた場合は、準備書類(次の図参照)を用意します。その確認中に、今まで気づかなかった法律違反に気づくことがあります。例えば、準備書類の中に36協定があった場合、万が一、労基署に36協定を提出していなければ、調査を待たずただちに提出します。健康診断を受けさせていなければ、急いで受けさせましょう。法律違反は、気づいたときにすぐに改善します。調査日以前に、法律違反を改善しておくことは、調査を受ける上でプラスにもなります。一方、法律違反があるからといって書類を改ざんしてはいけません。例えば、賃金台帳やタイムカードを未払い残業を隠す目的で書き直すなどは、悪質な行為となります。また調査の折に事業主の中には、「小さい会社が法律どおりしていたら潰れてしまう」と話す方もいます。しかし監督官は、法令の定め方が正しいかを判断する権限はありません。事業場があくまでも法令の定めを遵守しているかを調査するのが職務です。礼儀正しく、指摘に対しては素直に応じることが、調査をスムーズに終わらせるポイントです。

6是正勧告書、指導票とは?法律違反・指導事項に対して、労基署から交付される書面監督官により法律違反が見つかれば、是正勧告書が交付されます。法律違反とまでいかないが改善する必要があれば指導票になります。事業主は、その指導内容に従い、是正、改善をした上で、最終的にその内容を監督官へ報告することになります。是正勧告書、指導票は、調査の終了と同時に渡してくれる場合もありますが、あとで事業主が労基署へ受け取りに行く場合もあります。交付されたらよく内容を確認し、①いつまでに、②具体的に何をしなければいけないかなど、監督官に詳しく確認しましょう。例えば、残業時間の端数処理が誤っていたという場合は、本来の正しい処理方法がわからなければ改善できません。報告書以外に改善された証拠となる書類の提出を求められることもあります。必要な添付書類も、併せて確認しましょう。また、内容によっては期限までに改善できないこともあります。例えば、就業規則の作成、届出などは、一度作成するとそれが会社のルールとなるため、慎重に作成する必要があり時間がかかります。こうした場合は監督官に事情を説明して期限の延期を交渉します。

7是正報告書、指導報告書とは?監督官による指導事項を改善したら、報告書を期限までに提出是正(指導)報告書の作成は、任意の様式でかまいません。監督官が雛形をくれるのでそこに記入するか、パソコンで作成します。報告内容は、是正勧告書や指導票から違反事項もしくは指導事項の内容を写し、「○○○しました」と改善報告します。また、この報告書を提出する他に、改善の証拠書類の添付が必要な場合もあります。例えば、未払い残業代の支払い報告は賃金台帳などの添付を求められます。管理監督者の勤怠記録がなかったような場合は、「勤怠表を作成して雛形を提出」などと指示されるので添付します。期限までに改善が間に合わない場合は、すぐに監督官に相談します。合理的な理由があれば期限を延期してくれます。その際は経過報告を入れることを求められたり、すでに改善が終わった部分の報告書をいったん提出して、遅れている部分は後日報告するなど、監督官の指示に従います。報告書が作成できたら、監督官へ提出する前に、電話やファクスなどで「内容はこれでよいか」と確認をとっておくとスムーズに処理できます。

使用停止等命令とは?使用停止等命令とは、使用停止、立入禁止、変更命令などのことです。施設、設備に不備があり、労働者に急迫した危険がある場合、労働災害防止のために出されます。災害時監督やそれ以外の場合でも出されることがあります。例えば監督官が、労災事故が起こりやすい工場や建設現場などに、現場の安全を確認に立入調査することがあります。そこで監督官は、安全対策がきちんとされているか、危険箇所はないかを調べます。例えば、建設現場に手すりがあるか、工場の機械に安全装置があるかなどです。もし危険だと判断されたら、すぐに改善を求められ、使用停止等命令が出されることになります。再び監督官の調査(再検)などにより、安全性が確保されたと判断され、使用停止等命令が解除されるまでは使用ができなくなります。大手ゼネコン会社の建設現場のように人材が揃っているため、その場で改善できることもありますが、通常はすぐに改善することが難しいので、使用停止状態が続くことになります。こうなると場合によっては、売り上げに響くことになりかねませんが、これも人命にかかわることですから仕方がありません。日頃から安全対策を施し、従業員の安全のため、また納期が遅れて取引先に迷惑がかかることのないように、万全を期しておきましょう。

1個別労働紛争とは?賃金や残業時間など、労働条件をめぐる労働者と会社間のトラブル個別労働紛争とは、個々の労働者と事業主との人事労務管理上の紛争をいいます。例えば、賃金や残業時間、解雇などの個人の労働条件をめぐるトラブルのことです。このようなトラブルが起こった場合、通常、労働者は会社に直接交渉をしますが、最近ではさまざまなところに相談するようになってきました。労基署や社外の合同労働組合、弁護士事務所などです。こういったところから突然、調査(監督)や交渉の通知などが送られてくることもあります。どこから来たのかよく調べて対処します。労基法違反は、労基署が取り締まります。申告監督(第12章3参照)で是正勧告が出た場合は素直に従いましょう。また不当解雇、配置転換などの労基法以外の民事に関する問題は、労働紛争解決機関(労働局の紛争調整委員会)などが対応します。解決しなければ最終的には裁判所が判断します。相手に対して論理的に毅然と対抗することは必要ですが、最後まで争うと時間もコストもかかります。どこかで和解を考えることも大切です。早期解決をはかるためにも専門家に相談することをおすすめします。

2労働局のあっせんとは?個別労働紛争を、無料でスピーディーに解決事業主と労働者の間で紛争が起こったとき、最終的には裁判によって解決することがありますが、裁判となると時間や費用が膨大にかかります。当事者同士だけでは話が平行線になってしまい、なかなか解決できないのであれば、都道府県労働局の紛争調整委員会によるあっせんを申請し、無料でスピーディーな解決に持っていく方法もあります。この紛争調整委員会とは、各都道府県労働局に設置されており、弁護士や大学教授、社会保険労務士など労務問題の専門家から組織されています。紛争調整委員が事業主と労働者双方の間に立ち、紛争の解決に向けて話し合いを行います。紛争調整委員会にあっせんの申請をすると、紛争調整委員から相手方に、あっせんに参加するかどうかの通知がされます。あっせんに参加となると、あっせんの行われる日が設定されて、あっせんが実施されます。当日、当事者同士は別々の部屋に入り、紛争調整委員が中立的な立場で問題解決に向けたあっせん案の提示などをしてくれます。希望すれば和解書も作成してくれますので、双方にとって有益な制度といえます。

3団体交渉の申出があったら?労働組合からの団体交渉は拒むことができないある日突然、労働組合から団体交渉の申入書が来たら、どう対応したらよいのでしょうか。ポイントを押さえながら見ていきましょう。基本的に、団体交渉に応じないことは不当労働行為にあたるためできません。ただし、労働組合からの要求に対して、すべて応じなければならないわけではありません。通常は、労働組合から日時、場所を指定されますが、従わなくてもかまいません。日時は事業主側からも都合のよい日時を提案したり、組合側から「場所は会社の一室を利用したい」と申出があった場合は他の労働者への影響もあるので社外の貸会議室などを指定することもあります。また労働組合からの要求に関しては、内容が法律に則っているものかを確認しましょう(わからない場合は専門家に相談)。法律的に正しい主張であれば、その部分は受け入れます。もしそれ以外の主張であれば、双方で話し合い、落とし所を考える場合も、拒否をする場合もあります。こじれる前に早めに専門家に相談しましょう。最終的に和解となった場合は、あとでもめないように和解書を作成します。

4残業代未払いのトラブル未払い残業は、原則2年分さかのぼって支払わなければならない昨今では、残業代未払いのトラブルが労働問題の中で一番多く見られます。まず、役職者の管理監督者性を否認されたケースです(第4章3参照)。「名ばかり管理職」という言葉があるように、実態として管理監督者とはいえない役職者を、残業代なしで勤務させ、訴訟となる場合があります。あるファストフード店の店長からの訴えで、過去の未払い残業代など合わせて約750万円(うち未払い残業分は約500万円)の支払いを命じられ、話題にもなりました。その他、残業をしているにもかかわらず残業代を支給しないという、サービス残業の問題で訴えられるケースもあります。また勤怠管理で残業時間を切り捨ててしまっていたり、残業単価自体を間違っていたために残業代が未払いとなっているケースもあります。毎日の差額は微々たる金額でも、2年分さかのぼって計算すると、大きな金額になります。固定的な割増手当(第4章4参照)を支給するなど、事前に防衛措置を講じておきましょう。

5解雇のトラブル解雇権の濫用と判断されるリスクを減らす労働者を簡単に解雇することはできません。解雇する場合はリスクを考えて行いましょう。労働契約法では、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と定められています。実際に労働者が「この解雇は不当だ!」と訴え、解雇無効となるケースも多数あります。解雇無効となった場合、裁判期間の賃金をさかのぼって支払わなければなりませんし、損害賠償も請求され、加えて労働者を再び勤務させなければなりません。ただし、一度解雇を言い渡された労働者が元の職場に復帰した例はあまりなく、結果的に金銭解決となり、さらにプラスアルファの和解金を労働者へ支払うことになります。その金額も、裁判の期間が長ければ長いほど高額となり、およそ1500万円以上の支払いを求められたケースもあります。解雇する場合は、あとでトラブルにならないように専門家に相談しましょう。

6過重労働のトラブル時間外労働は月45時間以内が目安。過重労働が原因の死傷病は損害賠償が発生する過重労働による病気や死亡となると、会社の責任が問われます。過重労働が死亡の原因となった場合、5000万〜1億円以上の支払命令が出たケースもあります。そもそも、仕事中に急性心筋梗塞で倒れたとしても、通常、業務災害とはなりません。なぜなら、急性心筋梗塞発生は労働者本人の持病や体質によるところも大きいからです。しかし、その発症の原因が過重労働だと判断されると、倒れたのが業務中でなくても会社の責任となります。そこで、特に気をつけなければならないのは長時間労働です。長時間労働をしている労働者に対して何も措置をせず、万が一何かあった場合は事業主も責任が問われるので、労働者の時間管理や健康管理に配慮する必要があります。労働者に月45時間を超える時間外労働が見られる場合は、まず時間外労働を月45時間以内に抑えるようにしましょう。また、長時間労働者に対して医師による面談を行うこと、長時間労働を制限したり、配置転換をさせたりするなどの措置も必要です。

7うつ病のトラブル会社指定の医師の診断を受けさせるなど、慎重な対応が必要労働者のうつ病発症は、最近では過重労働による業務災害とみなされる場合があるので注意が必要です。過重労働からうつ病、自殺に至り、会社に1億円以上の支払命令が出されたケースもあります。業務上であるか否かを問わず、労働者がうつ病となった場合、残業時間の短縮や仕事の負担を軽減するなどの配慮をします。また勤務を続けることができるか、それとも休職させるかの判断も必要です。本人が「大丈夫」と申し出ただけでは勤務ができるとはいえません。万一のことがあった場合は安全配慮義務違反で会社の責任が問われることもあります。会社の指定する専門医の診断や産業医の意見を聴いて、会社が慎重に判断する必要があります。うつ病の場合、休職期間に入ると本人と連絡がとれなくなり、会社が本人の状況を把握できないまま休職期間が満了し、その後突然、本人が出社することもあります。会社として復職前に本人が復職できるか判断する必要があるので、休職期間中も必ず本人や家族と連絡がとれるように、休職願に緊急連絡先を記載してもらいましょう。

職場のハラスメントへの対応は?「うちの会社にセクハラはないし、パワハラを心配していたら部下の指導はできない」という会社がよくあります。また育児中の社員が、「1人だけ早く帰るなんて」などと嫌みや皮肉をいわれる会社もまだあるようです。こうしたハラスメント(いじめ、嫌がらせ)が起こると会社が管理責任を問われます。被害者が相談に行った第三者機関から連絡が入ったり、加害者とともに損害賠償を請求されたり、あるいは加害者、被害者ともに辞めてしまい、優秀な人材を失うこともあります。大切なのは、起こる前の予防です。まず社内規程でハラスメントの定義と懲戒内容を定め、相談窓口を設けて全社員に周知します。セクハラ、マタハラ対応のためにも1名は女性の対応者を任命しましょう。そしてハラスメント研修を定期的に全社員に実施します。それでも問題が起こったら、真剣に対応することです。問題が大きくなるケースは、被害者から「会社に相談しても何もしてくれなかった。気にする私のほうが悪いという態度だったのが許せない」といわれる場合です。まず、当事者双方の言い分をよく聞きます。該当する事実があれば、加害者に謝らせ、二度と同じことを繰り返さないことを伝え、被害者を安心させます。配置転換や席を離すなどの配慮も考えます。とくに妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメント(マタハラ)対策は、平成29年以降、事業主の義務となっています。

索引あ行(労働局の)あっせん……230安全衛生委員会……184安全衛生管理体制……184安全衛生教育……188育児・介護休業規程……208育児休業……140・148育児休業給付……136〜141・1481年単位の変形労働時間制…701ヵ月単位の変形労働時間制……721ヵ月の平均所定労働時間…921週間単位の変形労働時間制……74(通勤経路の)逸脱……174うつ病……240か行解雇……152・160〜167・236解雇権濫用……160・162解雇予告……46・164解雇理由証明書……166介護休暇……144介護休業……144・148・208介護休業給付……144・148外国人を雇う……54過重労働……238管理監督者……94・234企画業務型裁量労働制……80希望退職者……152休業(補償)給付……178休業手当……106休憩時間……66休日の割増賃金……90休職……130休職願……132給与改定……112業務災害……170・172慶弔休暇……128減給……158健康診断……192合意退職……152固定残業制……96子の看護休暇……128・142個別労働紛争……228雇用契約書……42さ行再雇用制度……154〜157最低賃金……104採用内定通知……40在留資格……54裁量労働制……68・78〜8136(さぶろく)協定……8436協定の特別条項……86〜88残業代未払い……234産前産後休業……128・138時間外の割増賃金……90時間外労働の限度時間……84時季指定……124時季変更権……1

事業場外みなし労働時間制…82自己都合休職……130自己都合退職……150私傷病休職……132失業手当……168指導報告書……224指導票……222就業規則……196〜210出産育児一時金……136〜139出産手当金……136〜139試用期間……46昇給……112傷病手当金……134賞与……110女性活躍推進法……146所定労働時間……60申告監督……212・216深夜の割増賃金……90正社員就業規則(正社員規程)……200ストレスチェック……190整理解雇……162セクハラ……242(採用の)選考……34是正勧告書……222是正報告書……224専門業務型裁量労働制……78た行待期期間……172代休……64退職勧奨……152退職金……110・206退職金規程……206退職証明書……166退職届……150退職願……150短時間勤務制度……142〜145団体交渉……232(通勤災害の)中断……174懲戒……158懲戒解雇……160長時間労働……238賃金……102賃金規程……202通勤災害……170・174定期監督……212・214定年退職……154同一労働同一賃金……114特別休暇……128な行内定取り消し……40名ばかり管理職……94入社誓約書……56年次有給休暇……118〜127年少者を雇う……38年俸制……98は行パートタイマー……48〜51・204働き方改革……4〜7、84ハローワーク……54パワハラ……242非正社員就業規則(非正社員規程)…204普通解雇……1

不当解雇……237不当労働行為……232(就業規則の)不利益変更……210振替休日……64フレックスタイム制……76紛争調整委員会……230平均賃金……108変形労働時間制……68〜75法定休暇……128法定外休日……62法定休日……62法定労働時間……60募集、選考の制限……34ま行みなし労働時間制度……78〜83身元保証書……56や行雇止め……50〜52有期労働契約者……50〜53ら行リストラ……162療養(補償)給付……176臨検……213・216労基法の適用範囲……32労使委員会……80労働基準監督官(監督官)……28・30・213労働基準監督署(労基署)……30・212労働基準監督署の調査…218〜221労働基準法(労基法)…25〜29労働契約法……52労働災害(労災)……170労働時間……58労働者災害補償保険……170労働者死傷病報告…172・174・180労働条件通知書……42〜45・51わ行若者雇用促進法……36割増賃金……90〜93・98・1

〈著者プロフィール〉吉田秀子(よしだ・ひでこ)社会保険労務士法人アップル労務管理事務所所長。特定社会保険労務士、行政書士。東京都社会保険労務士会豊島支部研修委員長。財団法人介護安定センター・雇用管理コンサルタント。東京・池袋で女性スタッフ中心の労務管理事務所を経営。社長1人から東証一部上場会社まで、また個人事業から外資系グローバル企業まで幅広いクライアントを持つ。初めて従業員を雇うときの実務作業から、上場のための労務管理コンサルタントまで幅広い業務をカバー。また就業規則の整備や労働基準監督署の調査、労働組合団体交渉なども多数手がける。雇用管理、労務管理、賃金制度、人事制度などのセミナー講師としても活躍中。著書に『最新知りたいことがパッとわかる社会保険と労働保険の届け出・手続きができる本』(ソーテック社)、『最新小さな会社の総務・経理の仕事がわかる本』『最新知りたいことがパッとわかる契約書式の読み方・つくり方がわかる本』(ともにソーテック社、共著)、『トコトンわかる株式会社のつくり方』(新星出版社、共著)がある。

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