人のマネジメントをするうえで、バランスを取るのが難しいのが、「給料」でしょう。 給料は会社組織を存続させていくうえで大事なドライバーになります。「ロマンとそろばん」と言われるように、いくら崇高なビジョンを持って社会的な意義の大きい事業をしていたとしても、給料が少なければ、社員のモチベーションは上がりません。社員の頑張りにきちんと報いる給料を支払うことが望ましいのは言うまでもないでしょう。 ただ、スタートアップは特に、原資がどうしても限られていますから、十分に給料を払うのが難しい。人件費を払いすぎると、その分だけ成長に向けた投資が少なくなり、成長スピードが減速します。全体の人件費の水準が上がりすぎると、利益を圧迫し会社の運営の難易度も上がります。どうすれば「ロマン」と「そろばん」を両立できる組織になるか、社長の悩みは尽きません(*)。 ありがちな失敗例は、「前職の水準に合わせて給料を支払い、不公平が生じること」です。 創業初期に社員を採用するときは、新卒ではなく中途がメインになるでしょう。その場合、給料をいくらに設定するかを決める際、前職の給料をベースにすることがよくあるパターンです。 前職ほどは出せないけど、あまりにも前職より低い給料だと来てもらえないので、前職と同じか、せめてちょっと低いぐらいに設定しておこうと考えるのです。 社員の人数が 1 ~ 2人のうちは、問題は起きないでしょう。しかし、社員が 5人、 10人、 20人と増えていくと、前職をベースにした場当たり的な給料の決め方では、今の仕事で発揮している価値よりも、給料を多くもらっている人が出てきてしまいます。 それでも、自分がもらっている給料の金額を誰もしゃべらなければ、いざこざは生じないかもしれません。 しかし、ふとしたときに、月給やボーナスの金額について誰かがポロリと口にすると、「えっ、なんでそんな高いの?」「私のほうが仕事をやっているのに」とめちゃくちゃ揉めることになるのです。*給料の話は公に話しにくい話題なので、起業家同士の集まりでも話題にのぼることは少ないと思います。「どうやって設定していますか?」とクライアントからよく相談されるテーマです。
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