もちろん、制度は形式だけ整えればうまくいくわけではありません。
今では誰もが知る、ある優良スタートアップの例を挙げて、その理由を説明しましょう(読者の皆さんにはできる限りリアリティのある情報をお伝えしたいので、社名はあえて伏せさせていただきます)。 この会社は「正攻法」に従い、組織成長のフェーズに合わせて、ミッションやバリューを改めて策定し、人事制度を制定、施策の強化に乗り出しました。 それにもかかわらず、あるとき急に組織崩壊が起こったのです。その原因は、社長を含めた経営陣のコミットが薄いという、言うなれば「お飾りの制度」にありました。 組織規模が大きくなり、マネジメントが回らないので、外部に制度策定を委託(実態は丸投げ)。そうして策定されたミッションを、経営陣は追認した程度。バリューと人事評価を連動させる仕組みも導入したのですが、経営陣が深く理解していなかったのです。 そうなると、何が起こるかは容易に想像できるでしょう。 バリューはほぼ無視で、スキルを重視して人を採用するなど、新しい制度にのっとった行動を評価と連動させたにもかかわらず、何より経営陣自身がバリューを体現しているとは言い難い状況でした。 実態が伴わないバリューの施策と運用に、現場からは不満が噴出。創業初期から会社の思想を体現していた中間層はほとんど辞めてしまいました。 どうにか短期成果を出そうにも、離職が増えてそれすらも難しくなりました。新しく入った中途社員も一向に定着せず、形式だけ制度を整えたこの会社は急激に崩壊が進んでいったのです。「売上はすべてを癒す」という言葉があるように、たしかに売上は不可欠です。ですが、事業成長が踊り場に差し掛かると、急激に組織の課題が顕在化します。 そうならないように、組織の思想をきちんと会社の仕組みに反映させ、経営陣こそ先頭を切ってそれを実践する必要があるのです。
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