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利益目標o売上目標の立て方

それからもう一つ、損益計算書がある。

損益計算書は、ことし一年間、あるいは去年一年間の経常活動を見るためにある。

たとえば、ことしの四月一日から来年の二月二十一日までの一年なら一年間の経常利益をどうやって出すかという活動を数字で示したものが損益計算書である。財産の状態ではない。経営者は、過去ではなくて、特に、これから先のことを考えていくべきだ。

損益計算書は、経常利益を出す活動をあらわしたものであるから、 一番上に売上がある。二番目に変動費がある。変動費は、メーカーの場合は原材料費と外注加工費で、商社とか問屋とか小売店の場合は仕入費となり、期末棚卸から期首棚卸を差し引いた数値を加減する。

その下に、粗利益がある。

そして、次に固定費がある。固定費は、地震が起こっても、台風が来ても、売上が半分になっても、払わなければならない金だ。人件費が、その代表的なものである。家賃とか光熱費とか電話料は一般の経費だが、これも必ず払わなければならない。

設備投資をして、その減価償却で費用が返ってくる……本当は返ってこないのだが、費用を期間で割り振っていくことができる。

粗利益から固定費を引いた残りを営業利益という。

営業利益の下に、営業外収支がある。これは利息、すなわち受取利息と支払利息の差額である。

そして、営業利益に営業外収支をプラス・マイナスすると、経常利益が出る。経常利益から税金を引いた残りを純利益という。純利益から配当と役員賞与とを払った残りを内部留保金という。

損益計算書は、このようになっている。

今のように変動が非常に激しい時代には、損益計算書を考えるに当たって、順番通り一番上から売上目標を決めていくことは、なるべく避けた方がいい。

そういうやり方もあり、それが悪いわけではないが、会社を安定的に大きくしたいのであれば、最初に売上を入れていくよりも、むしろ下から上ヘロ標数値を入れていった方が間違いない。

どういうことかと言うと、まず、自社の固定費が今年一年で幾らかかるかを計算して欲しい。 一年分を、間違いなく出す。かなり大きな会社でも、百万円とか三百万円ぐらいの誤差で出すことができる。ところが、自社の固定費が一年間に幾らかかるか知らない社長も多数いる。百万円のずれがないぐらいに知っている社長は、ほんの一割もいない。

固定費を、まずつかんで欲しい。とにかく、 一年分の人件費を合計すれば、あらかたの必要人件費がすぐに出てくる。どこで新入社員を入れて、ボーナスをどこで何か月払って……と、具体的な数字が全部出てくる。そのほかの固定費についても同様である。

その固定費は、いかなることがあっても払わなければならない。売上が大幅に減って、粗利が半分になったから、給料は半分、ボーナスはカットなどと言っていたなら、社員はみんな辞めてしまう。したがって、何が何でも、まず固定費分だけは稼がなければならないのである。

二番目に、営業利益を稼ぐ。

借金の元金返済は、最終的に内部留保金で払う。そのためには、営業利益を絶対に出さなければならない。もちろん、経常利益も出さなければならない。ただし、借金がない会社は利息がいらないから、受取利息だけとなる。

たとえば経常利益を一億円出したとする。税金が六割で、六千万円を払った。そうすると、純利益は四千万円である。役員賞与と配当を一千万円としたなら、内部留保金は三千万円しか出ない。 一億の経常利益を出した会社で、こんなものである。もし、二億円の借金をしていて、均等に十年間にわたって毎年、元金の返済に二千万円を払わなければならない会社の場合、三千万円の内部留保金で返済金に二千万円使い、資本繰り入れは、わずか一千万円となる。経常利益で一億円は必ず出さないといけない。計算は、実に簡単だ。アッという間に計算できる。

一億円の経常利益を出した会社でも、資本への繰り入れ分をゼロとしてマックス三千万円しか借金返済できない。三千万円を払ってしまえば、現金はすでに原材料などに化けていて、一銭もない状態になってしまう。つまり、三千万円を返さなければならない会社は、経常利益で一億円必要だ。借金二億円の利息を三%とすれば、営業利益は六百万円を加算し、 一億六百万円を出さないといけない。このように、逆算していけば、すぐに計算できる。

もっと経営状態が悪い会社は、この三千万円を返すために、経常利益を二億円出さないといけないというケースもある。借金がたくさんあって、莫大な利息を払わなければならない会社である。

そうすると、自分の会社は幾らの営業利益を出さなければならないか、すぐにわかるはずだ。最低限、営業利益と固定費とを足した分の粗利益を出さないと、会社は潰れる。

この一年間、自分の会社が稼がなければならない粗利益が幾らになるか、今すぐ計算してみるべきだ。この必要粗利益を掴まないで、上からそのまま売上目標を掲げていって、結局、赤字だったということをやっていたら、会社は絶対だめになる。そんなのは、経営者の掴むべき数字ではない。いかなることがあっても、まず営業利益に固定費を足して、ことし稼がなければならない粗利益を出していくべきだ。

そして、粗利益の総額を粗利益率で割ると、最低限の必要売上が出てくる。そうして出した売上は、いかなることがあっても達成せずにはおかないという強い覚悟が必要だ。それができなければ、会社は潰れてしまう。そのように決まっている。だから、潰れないためには、最低必要売上高を何としてもクリアしていかなければならない。以上の数値目標を踏まえたうえで、自社の将来のビジョンを描いていく。

いま、かりに自分の会社の年商が五十億円だとする。それを、「五百億円までに何年でする」「五百億円にするためには、いまの事業以外に何をつけ加えていかなければならないか」……そういう目標を順次、書いていく。

「自分が先代からバトンタッチされたときは、年商四十億円だった。自分が大体六十五歳まで事業をやるとして、これから二十五年ある。そのとき、父親から引き継いだ事業を十倍にしたいが、そのためには、どういう事業や商品をつけ加えていかないといけないか。この五年で何をし、次の五年で何をし、次の五年でまた何をしていって……」というように、二十五年の計画を立てる。さらに、自分の子供、父親からいうと孫に、どこでバトンタッチをするかということも、「事業発展計画書」のなかに書いておかなければならない。このようなビジョンの描き方を、明確に教え続けていくことが大切である。

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