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判断以外の仕事は「兼務」

 私は、これまで多くの社長たちと対話してきたが、「社長の唯一の仕事は判断である」ということを、自身が明確に認識している社長は非常に少ない。むしろ、ほとんどいないに等しい。  私自身は、これまで社長業を 30年近くやってきて、この「社長の唯一の仕事は判断である」というパラダイムを覆されたことはない。  時代によって、「社長はかくあるべき」といった流行や、トレンドのようなものは多少なりともあるが、それでも、「判断」が社長の唯一の仕事であるという

考え方が揺らぐことはなく、むしろ社長業を続けるほどに、その確信は強化されるばかりだ。  社長が「判断」以外の仕事をする場合、それは「兼務」ということになる。その際には、「今は本来の社長の仕事ではない別の役割を行っている」と常に意識することが重要になる。  今、社長として判断を行っているのか。それとも兼務で、商品開発担当者として企画を考えているのか。経理担当者として見積書を作成しているのか。顧客対応係として電話応対しているのか。社長は、常にこれを明確に意識する必要がある。  役割の違い、すなわちアイデンティティが分けられていないと、目先の出来事に振り回されるようになる。目先の出来事に振り回されると、重大な欠落や、本来やるべきことができないことになり、時間的生産性、効率性が落ちる。  例えば、営業が忙しくなると、営業に注力するあまり大事な資金繰りがおろそかになったり、組織運営や人事採用に時間を取られるあまり顧客対応がおろそかになったり……という具合に、目先の業務に反射的に動くようになってしまうのだ。  これでは、社長という肩書きを持つ人間( =あなた)は会社にいるものの、社長という業務は手薄になってしまう。兼務のほうを優先するあまり、社長不在の会社になっているも同然だ。そして、判断担当者としての社長がいない会社は、思いのほか小さな出来事で大きなダメージを受けることが多い。  社長がいろいろな役割を兼務的に抱えたままでいると、社長としての本来の仕事である重要な判断ができなくなり、優先順位を立てられなくなる。なぜなら、兼務している仕事の担当者として、その仕事への思い入れが強くなりすぎるあまり、他の仕事を軽んじてしまいがちになるからだ。  例えば、営業が得意な社長は営業に力が入って商品開発が二の次になり、商品開発が得意な社長は商品こそがビジネスの根幹だという信念がより強くなり、営業が手薄になってしまう。  こうなると、それぞれの判断が鈍ってしまう。また、担当者として仕事が忙しくなりすぎて、何をいつ判断したらいいのかわからなくなってしまうこともある。それゆえ、業務に抜け・漏れが出やすくもなる。  こうした事態を防ぐため、社長は、「現在の自分の立場」を常に理解することが重要だ。そして、それぞれの業務から一定の距離を置き、正しく評価した上で、社長として適切な判断を下さなくてはいけない。  自分は今、どんな立場や役割で仕事をしているのか?  この視点は、正しい方向へ進みつつ、 ROI(費用対効果)高く会社の目的に向かうために欠かせない。

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