別の考え方もできる。いまの一〇〇人がもし、三割、四割効率のよい仕事のできる仕組み
を考えたら、人件費総額を増やしても、業績を伸ばしていくことは可能だ。
次のようなおもしろい話を聞いたことがある。
かつてハワイで清掃局員のストライキがあり、ワイキキのきれいな街がゴミだらけになっ
たことがある。清掃局員の言い分は、人手不足なのに安月給でこんな重労働はやってられな
い、大幅増員と大幅昇給を要求する、といったことであったらしい。そこで当時の日系知事
さんが、「担当の地区のゴミを集め終わったら、就業時間内でも帰宅してよろしい」とやっ
たら、何と、街中のゴミはほとんど午前中か、遅くても二時、三時には収集されてしまった
という。局員は約束どおり、時間前に帰宅して、大半が次のアルバイト先に向かったという
のである。
お役目で嫌々やる仕事は、本人もつらいだろうし、能率も上がるはずがない。しかし、も
し自分の会社でも、このような部門があれば大変だ。ところが、何の動機づけも教育もせず
に、旧態依然の配置をしておいて、「今の若い者はどうもやる気がない」「怒るとすぐ辞める」
などと、やる気のない社員を嘆く声は少なくないようだ。いわゆる夕新人類´といわれだし
て久しいが、なにも若い人だけではない。無気力な中堅社員、窓際社員といった存在に悩む
会社が、意外に多いようである。もしこれらの人々が本気でやる気を出したら、人件費増以
上の付加価値を会社にもたらしてくれることは確実だ。
わたしどもの会社でも、毎年二〇人ほどのク新人類クの新卒を採用している。その過程で
気のつくことであるが、確かに、新人類と呼ばれている今の若い人達は、昔の若者と比べて、
自分から何かを進んでやるということが少ないようだ。指示がないと気がつかない、動かな
い、という傾向が確かにあるかもしれない。学校の教育も家庭のしつけも甘やかされて、物
質的にも恵まれ、あまリハングリーな気持ちになったことがないのか、良くいえば総じておっ
とりとしている。
しかし、日標をはっきり決めてやれば、本当に感心するくらいよくやるのも、新人類なのだ。
はっきりした日標を設定して、その目標に彼らが納得したときには、信じられないような熱
意をみせてくれるものである。そして彼らが納得できる目標設定のカギとなるものは、社長
の将来に対する考え方であり、夢であり、それらを具体的な目標に設定した″長期計画クな
のである。
つまりいま実証しようとしている長期計画それ自体が、人件費の重要な解決策なのである。
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