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六、強いモノづくり

【急所64】モノづくりのレベル:自社の実力は、モノづくり6段階のレベルで把握せよ。

自社のモノづくりの実力を把握することは重要だ。それも、昨年より良くなったとか、同業の中では一番といった相対的な把握ではなく、絶対的な基準に沿った把握が必要である。

地震の震度や武道の段位のように、モノづくりにも基準がある。6段階のレベルがあり、基準に照らせば自社の実力はすぐに分かる。「工程内の流れ」をつくれているのがレベルーだ。レベル2は「工程間の流れ」、レベル3は「工場内の流れ」、レベル4は「工場間の流れ」、レベル5が「お客さまへの流れ」をつくれているレベルだ。

最高のレベル6では「一気通貫」に達し、現在世の中にないモノも全社一九で造れる実力だ。「セル生産」達成程度で満足してはならない。組み立てのみのセル生産であれば「工程内の流れ」でレベルーにすぎないのだ。

【急所65】設計改善:設計改善は、現場改善に一〇〇倍優る。

現場改善は重要であるが、より重要なのが設計改善である。ある製品を造るにあたり、組み付けが難しい部品があるために生産遅れが生じてしまうとき、その解消のために、現場では作業者がチエを出し合って改善を行なうに違いない。

しかし、設計を変更することで、難しい部品の組み付けをもっと簡単に行なえるようにしたり、その部品自体がいらないようにできれば、モノづくりを格段に楽にすることができる。設計者は、とにかく部品点数を減らすことだ。そして設計者自身が作業

わた    く

現場で組み立ててみる。作業者はそれを何年にも渡って繰り返し生産するのだから、なくても済む部品を組み付けるムダは計り知れない。現場改善は問題に対しての対症療法であり、設計改善は根治療法なのだ。

【急所66】注文別モノづくりの視点:商品は、製口”別でなく、お客様ごとに造れ。

世の中で、 一人一人のお客様に向けてモノづくりをしているところは非常に少ない。それは、製造工程やラインを見れば一目瞭然だ。部品でも完成品でも、買ってくれる会社や人がいるから造るのだ。注文がないのに造れば不良在庫の山となり、会社は倒産してしまう。注文があるから造るという原点に立てば、モノづくりは製品別ではなく、お客様ごとに造るのが当然なのだ。

例えば、寿司屋の板前さんがオーダーごとに握って出すようなモノづくりだ。クルマも、車種や色、様々なオプションがあるが、オーダーごとに製造ラインを流れ、新車が納車される。

規模の大小ではなく、モノづくりの強さの現れなのだ。三万点の部品が必要な自動車でできるのだから他でできない理由はない。

目次

【急所67】在庫に対する考え方:理想的な在庫の量は、ゼロである。

多くの工場で「在庫管理」にチエを絞っている。しかし、いくら在庫を管理しても収益が上がることは絶対にない。

在庫の理想的な手持ち量とはゼロである。注文がきて納期に間に合うように造って出荷するというのが理想なのだ。

もちろん、現実的には様々な理由で少なからず在庫を持たぎるを得ないだろう。しかし「しかたがない」と考えた瞬間に在庫は膨らむ。在庫に対する正しい考え方は「ゼロを目指して、常に減らし続ける」である。

本気で在庫を減らすには会社の総合力が必須である。設計から売り方、注文の取り方、情報の流し方、材料の買い方などを変え、段取り替えを磨き、ロットを縮小し、運搬を小口化する。その結果、キャッシュが生まれ収益が上がる。在庫は罪固、管理するのではなく削減するものなのだ。

【急所68】多品種生産の改善ポイント:生産スピードを上げるより、段取り春えのスピードを上げよ。

同じ製品を安く大量に造るなら、生産スピードのアップは効果的だ。しかし、様々な種類を少しずつ造るなら、段取り替えのスピードアップが肝となる。

一時間あたり一〇〇人で五〇〇個生産しているのを、同じ人数で五二〇個生産できないか、または九五人で同じ生産量を維持できないかと、工数削減には皆、チエを絞る。 一方、現在一〇分かかっている段取り替えは、苦労して九分にしても「たった一分の短縮」と軽視されがちだ。しかし、段取り替えの時間が一割短縮されれば、段取り替え回数を一割増やせる。その結果、生産品種を増やすことができ、少量生産により在庫を減らすことができる。多品種少量生産を強みとする日本のモノづくりの肝は、段取り替えにあるのだ。

【急所69】段取り替えの改善ポイント:段取り春えにボルトを見たら、改善できる″ と思え。

一度締めたら緩まないのがボルトの利点だ。モノの固定や製品の組み上げには欠かせないが、付けたり外したりをする用途には、何度も回さなくてはならないし、工具が必要で必ずしも最適ではない。プレス機への金型固定にボルトを使っている工場が多い。しかし、別の金型に付け替えるとき、ボルトの本数だけ時間と手間がかかる。

本当にすべての本数が必要か?。本数を減らせないか? 何種類ものボルトがあったら一つに統一できないか?・せめて分かりやすく色分けできないか?・ちょっと緩めれば全部抜き取る必要がないダルマ穴式を活用できないか?・一一つのものを固定できればいいなら、クランプを活用してボルトをなくせないかなど、作業時間を減らせるもっと簡単な方法に変更する。段取り替えにボルトを見たら、改善できる― と思うことだ。

【急所70】最適な生産スピード:出荷に間に合う、最もゆっくりなスピードで造れ。

モノづくりは、速く造るより、ゆっくり造るほうが生産性は良くなる。スピードを速めると、手作業なら不良が増えるし、設備だと停止が増える。全体にスピードを速めると、工程間のつなぎが難しくなるため、そこに在庫や運搬が必要になり管理も登場する。

出荷にさえ間に合えば、急ぐ必要は何もない。急ごうとするから人手を無間に増やしてしまう。間に合うギリギリのセル生産の人数を用意し、ゆっくり造る。そうすればムダのない生産ができる。

スピードを上げると人は機械の監視者になる。ゆっくりだと一緒に働ける。「高い設備だからスピードを上げなければ」と思い込んでいる人がいるが、造る量は決まっているのだから、早く造れば結局不要な在庫ができるだけである。

【急所71】現場での問題の見つけ方:すぐ使わないモノがあれば買い方に、すぐに動かない中間品があれば、造り方に問題があるど考えよ。

大事故が起きた後の現場検証で、「予兆はあったが誰もそれを正しく認識せず放置した結果、事故につながった」と分析されることが多い。会社においても同じことが言える。全社的な問題は現場に必ず現れている。ただし、担当者はそれが問題だと気づいていないことが多い。

例えば、購買担当者は、部品を切らさないようにと、早めに多めに買うことに罪悪感を感じない。生産管理者も同様に多く造っておこうとする。彼らは悪気なく全社的な問題を悪化させていることが多い。すぐ使わないモノが現場にあれば、買い方に問題がある。すぐに動かない中間品があれば、造り方に問題がある。それらを小さいうちに、早く、現場。現物で発見して改善しないと取り返しのつかないことになる。

【急所72】倉庫を高度に使う発想:モノの管理に、人の日とコンピュータの日の、相乗効果を取り入れよ。

強いモノづくりを進めていくとき、倉庫の活用レベルが非常に重要になってくる。倉庫とは、単なるモノの保管場所などではなく、原料や部品を加工して製品になって出荷する流れを支える拠点である。だから、倉庫が荷物で埋まって出し入れが混乱していたり、どこにモノがあるか分からないようでは強いモノづくりなど到底できない。

置き場所を決める、人間が見てすぐ分かるアナログの仕組みは基本だが、さらにそれをバックアップできるデジタルの仕組みがあれば万全だ。

「どこに何がどれだけあるか」をデータ化することだ。空いている場所にモノを置いてもバーコードなどでコンピュータ管理すれば、利用度を何倍も引き上げられる。先端の流通業や自動倉庫は投資額が凄いのではない。発想を変えることで倉庫を革新でき、モノづくりを強くできるのだ。

【急所73】賢い在庫の持ち方:在庫を持つなら川上で。

お寿司屋さんでは、板前さんが注文どおりに握り寿司やお造りを出す。注文を受けてから、慌ててご飯を炊きだしたり、着替えて魚河岸に買いに行ったりということはないし、冷蔵庫から前に握っておいた寿司を出すということもない。注文を受けてから、材料を加工し、ジャストインタイムで届ける凄い製造業なのだ。

在庫の持ち方も工夫している。すぐ加工できるようにナマの魚を短冊の状態にして持つ。切り方を変えるだけでお造りにしたり、握り寿司にできる。売れなくても明日の昼食のチラシ寿司に使える。ご飯も大量に炊くと余って鮮度が落ちるので、ちょうど良く少しずつ頻繁に炊く。お客様の注文に対して待たせず商品を提供する一方で、中間在庫を可能な限り材料に近いところで持てば、モノづくりは強くなる。

【急所74】モノづくりにおける流れの追求:モノづくりは、付加価値がつく瞬間以外は、ていたいこ投または停滞である。

工場ではたくさんの製品を造っているが、付加価値がつく瞬間とは、例えばペンづくりでは、キャップがはまる「カチン」という音がする瞬間だけで、それ以外は移動や運搬、または停滞である。

部品や中間品が多いなら要注意だ。自分たちはモノづくりをしているつもりでも、付加価値をつけている作業時間は極めて少なく、モノを移動させたり待っている時間に多くを割いている可能性が高い。

もし部品箱が二〇個入りなら、使われている一個以外の残り一九個の部品は必ず停滞中だ。停滞はすべての工程内に蔓延している。 一個ずつ製品を完成させる一個流しができれば、停滞は材料と完成品に集約できる。そしてこれができている状態を「流れている」状態と言う。工場内を歩いて停滞を見ることだ。モノづくりは「流れを追求する」ところに大きな解がある。

【急所75】本物のコストダウン:コストは、生産性向上と在庫削減を同時に行なえば、例外なく下がる。

コストダウンを考える時、「スピードアップによる作業能率向上」のみで突っ走ってはならない。生産性の向上を伴ちていないからだ。

生産性向上を、生産スピードの向上と単純解釈し、スピードを上げればコストダウンになると考えている工場は多い。しかし、いくら速くても在庫が増えれば運搬や管理のコストが増す。早く作業を終えても、後の作業がなければ手持ちぶさたになるだけで結局コストは下がらない。

生産性向上とは、瞬間スピードの向上ではなく、運搬や管理まで考慮したトータルの効率向上でなければ意味がない。ゆっくりでいいから、売れるモノを最少の工程で売れただけ造れる「止まらない流れ」を追求する。コストダウンとは、両立できないと思われがちな「生産性向上と在庫削減を同時に行なう」ところに真の解がある。

【急所76】劇的に生産性を上げるヒント:モノの流し方を疑え。

生産性の向上や効率アップを考えるとき、人や設備は現状のままという前提で改善を考えがちだが、モノの流し方を変えてみると、劇的な改善を起こせる可能性があるので、前提そのものを疑ってみるといい。

例えば、ある自動車メーカーでは、製造ラインに流す自動車の向きを、縦から横に変えてラインを三分の二の長さに短縮した。作業員は移動距離が短くなり、部品も車の前と後ろから同時に取り付けられるようになり、生産性もアップ。工場の建設費を四割も削減したという。こういうものと思い込んでいるだけで、今の方法がベストとは限らない。天地反転、左右逆、縦横を変えてみるとどうなるか。出荷の際の箱詰めでも、今の個数や向きは本当にベストなのか。全員でチエを出し合い、ラインを短縮して作業を大きく変える可能性を探ってみることだ。

【急所77】シンプルなモノづくり色々な情報も、元をたどれば、注文情報ただ一つである。

工場には日々、たくさんの情報が流れている。生産計画や作業員の割り

ふ     だんど   が

振り、段取り替え予定、配送計画など実に様々だ。しかし、いろいろな情報も、元をたどれば「注文情報」ただ一つである。

その他すべては、注文から派生した情報である。作業の都合上、情報を細分化しているが、たくさんの人で作業を手分けすると、あらゆることが複雑になり遅くなる。逆に、注文情報を軸に、可能な限リシンプルに情報が流れるようにすれば、速度が上がリミスも減る。

営業からの注文情報を、生産現場にも購買にも配送にも、直接伝わるようにすると実にシンプルになる。生産計画の立案をやめて、注文情報をそのまま現場に流しても商品が造れるようになるのだ。

【急所78】必要なモノの揃え方:叉妥なモノを揃えておくな。叉妥な時に揃うようにせよ。

食品でも機械でも、モノづくりには、たくさんの種類の材料や部品を用意し、工程ごとに加工や組み付けといった作業が行なわれる。材料が揃っていなければ作業できないため、作業者も資材担当者も、必要なモノが揃っているか、在庫があるかどうかに意識がいきがちだ。

だが、モノづくりに必要なモノが全部で五〇種類あるとき、五〇種類すべて同時に必要になることはまずない。重要なことは必要なモノが必要な時に必要な量だけ揃うことである。最後に使うモノが最初にあっても場所

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を取って邪魔になるし、お金も先に出ている。

倉庫が五分の一になったと思えば考えは変わる。必要なモノをチェックリスト化して確認している工場は多いのだから、 一歩進めて、時間軸も合わせた「必要な時に揃う」ことを意識すると、モノづくりは強くなる。

【急所79】強いモノづくりに必要なこと:多口”種変量生産には、人も設備も多能工化せよ。

同じものを大量に造り続けるなら、各工程ごとに専用機を並べて、作業員も同じ作業だけを繰り返し行なった方が効率は上がる。しかし多品種変量生産を行なうなら、人も設備も、できるだけ臨機応変に対応できる「変幻自在の体制」をつくらなければ、とても対応できなくなってしまう。

たびたび例に出すが、寿司屋の板前さんは、日の前のお客様のご注文に応じて、包丁一本で魚を切り分けて刺身や握り、チラシ寿司などをつくってお待たせすることなく提供する。大きな寿司屋でも、刺身だけを切る専門の人などいないし、魚を三枚におろす専用機など使わない。お客さんが多いカウンターには、別の板前さんが応援に入ればすぐ対応できる。一つの設備で何種類の工程を行なえるか…。専用の機械や人を無くし、色々なことができる「多能工化」をはかればモノづくりは強くなる。

【急所80】社長・工場長・監督者の仕事と眼の付け所:監督者は作業の流れを、工場長はモノづくりの流れを、社長は儲けの流れを見よ。

現場監督者の仕事は、作業の流れを見て、良いモノが造られるよう、不慣れな作業者がいたら作業のやり方を教え、滞っている所があれば応援の手配をするなど、作業が流れるようにするのが仕事だ。

工場長の仕事は、必要な時に必要な材料が揃い、決められた品質の製品を安全に効率よく予定通りに造って出荷するために全体を見てチェックして指示し、モノづくりが流れるようにするのが仕事だ。

経営者の仕事は、会社のみんなが各自仕事をきちんと行なえば確実に利益があがるように、儲けの流れが機能しているかを見ることだ。全社を把握し、モノづくりの方向性を決め、レベルを上げ、仕事をつくって取ってきて、工場が儲かるようにするのが仕事である。一段ずつ上を見て仕事をすれば、モノづくりは必ず強くなる。

【急所81】現場改善で空間を空ける意味:新規事業に叉妥な空間は、現場改善によって生み出せ。

新事業には、新しい設備やラインを設置する「新たな空間」が必要だ。空間を用立てできないために、断念している経営者も多い。

長年の経験から言えることは、どの工場にも「改善によって生み出せる空間が必ずある」ということだ。不要なモノを捨て、ラインを縮め、設計や工程を改善し、在庫を減らす。生み出した空間で新事業を始めるとき、空間の代金はゼロだ。作業員も融通が利き、成功確率は上がる。

毎年、売上が伸びてお金があり余っているならともかく、新事業を始めるための空間や余力は、会社全体での生産効率を密度として考え、社内の最も収益が上がらないモノ、ムダを削ることで生み出すことだ。改善で生み出された空間面積は、新事業へのポテンシャルなのだ。

【急所82】使わないモノを捨てる理由:モノを捨てるどチェが出る。空間をつくるどアイデアが生まれる。

モノであふれている工場は総じて業績が悪い。生産に必要なスペースを減らし、作業効率を悪くしているからだ。そもそも、使わないモノとは、お金がモノになって寝ていることを意味する。

使わないモノは徹底して捨て、置き場をなくすことだ。置き場がなければムダな買い方はなくなり、考えて買うようになる。清掃性も高まり、掃除も楽になる。資材も工具も探さなくてもすぐ分かるようになる。

せいりせいとん

そして、モノを捨てて整理整頓すれば空間が生み出せる。生み出された大きな空間を実際に日で見ると、自然とアイデアが生まれる。

スペースが足りないから外注していた製品の内製化や、場所がないからと諦めていた新規事業への挑戦などができるようになる。モノを捨てるメリットに気づいた企業は、必ず業績が向上するのだ。

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