創業時に自転車操業に陥らないためにも、「今どれだけお金を使っていて」「これから何にどれだけお金を使いそうか」といった視点で、先々の見通しを立てることが必要です。 今を見るのではなく、少し先の未来を見てカネをマネジメントすること。 先を見る期間は長いに越したことはないですが、理想を言えば短くてもまずは 1年以上、少なくとも 6カ月先まで見越して手を打ちたいところです。 しかし残念ながら、特に創業初期のスタートアップや中小企業では、半年から 1年以上先まで「ちゃんと」見られている社長はほとんどいないのが現実です(*)。 そもそも利益が予想通り出ていない会社であれば、資金繰りの問題よりも、「利益が出ていない状況」を直視すべきです。まずは、ここから改善する必要があります。 極めて単純に言えば、利益とは売上からコスト(費用)を引いた「余り」ですが、利益を出し続けるのは容易ではありません。 よりシンプルに言い換えると、利益を出す方法は、売上を持続的に増やし続けるか、費用を減らすか、どちらかです。 費用には、変動費と固定費があります。 変動費というのは売上に応じて変わる費用で、固定費はオフィスや工場の賃料や固定で雇っている社員の人件費など、変わらない費用です。 ここのバランスは難しく、会社によっていろいろな考え方があります。 たとえば会社経営には「ゴーイング・コンサーン」という概念のように、会社が続いていくことに意味があるという考え方があります。ただ、悩ましいことに、持続することばかり考えると、何もチャレンジできなくなってしまうのです。 先行して人を雇わないとビジネスは大きくならないし、先行して設備投資もしないとそもそも売上が立ちません。逆に先行投資をせずに守りに入れば、事業の競争優位がなくなって、もはや投資もできないし、いい人も集められない。いずれ事業が停滞していくという悪循環に陥ります。 そう考えると、先行してお金を使っていくべきかもしれませんが、それはそれで難しい。 人材を例に挙げると、採用した段階ではその人は 1円も売上を生んでいない状況で、採用費もかかるし、人件費もかかります。「利益の範囲の中でしか費用は使わない」と決めれば、赤字にはなりにくいのですが、ビジネスが立ち上がり投資を回収するまでに時間がかかります。このあたりのマネジメントがうまくいかないと、利益が出ない一方で、どんどんお金は減っていきます。 そのため、未来を見据えたスタートアップは、将来的な成長を前提にお金を調達して、事業を前進させます。言い換えれば、限られた「今」の原資をもとに経営を成り立たせながら、「中長期的な」売上成長を実現していかないといけないのです。 リソースは減っていく一方なのに、未来の成長を加速させ続けないといけないというパラドックスの中で戦っているわけです。 経営原資のマネジメントと成長の実現という、「時間軸」が違う両者のつじつまを合わせなければならないわけですから、これは非常に困難です。それに、赤字だったらお金がなくなるし、黒字だったら税金がかかるし、どちらのケースでも資金繰りは大変です。 したがって、どのゴールを目指すかを常に確認しながら、ゴール到達までにどの時期から資金を手当てすべきなのかも併せて計画しておく。進むべき方向を見据えた先手先手の舵取りが、社長には求められます。 *「ちゃんと」とは、会社を持続的に運営するために必要な「カネ」の状態を維持することです。
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