経営課題の進行、管理に当たっては、常に効率が先にあり、顧客の効果が忘れ去られてい
ることが意外と多いのに驚く。
この考えは、私の提唱する先効果。後効率に逆行するもので、昔からいわれている「先憂
後楽」が死語になってしまっているといわぎるを得ない。
経営とは、先に商品を提供することによって、顧客がどのように喜び、満足し、感動する
か。すなわちどのような効果があったかが先でなければならない。
常に効率を先に考えるのは、コストダウン、生産性、利益の出る価格等をまず頭に入れる
からで、当然効率を追求しない経営はあり得ないが、これが先にいってしまうところに問題
がある。
一つの商品を考える場合、原価計算をして、損益を判断する。「これでは儲からない」と机
上だけで、市場実勢価格より高めの価格の設定などをしてしまうミスを犯す。
私はまず先に効果を考えることにしている。顧客優先、先にお客様に喜ばれて、受け入れ
られることを考えるべきだ。儲かるか儲からないかは、顧客の手に商品が渡ってからの話で
ある。商品を手にした人達が感動して、「もう一度買ってみよう」という気にならないと、経
営を継続することはできないのだ。
ディズニーランドは、東京へ進出して連日賑わっているが、私はかつて、アメリカ・フロ
リダにあるディズニーワールド本部の教育訓練所で、講習を受けたことがある。
ディズニーのポリシーは、次ページの表のIに示すサービス精神にそって、Ⅱにある一〇
項目の接遇信条の具現化を実行していることを知らされた。
最初に感じたことは、ディズニーワールド、ディズニーランドと他の遊園地○○ ランドと
の大きな違いは、ディズニーは基本的にはク設備を売らないクということであった。
ジェットコースター、急流下り、回転展望台等々、遊技設備を一回いくらで売ろうとして
いるのが一般の遊園地の運営である。ディズニーでは、売るのは設備ではなく、エンターテ
イメントを提供するという方針を貫き、ショーを提供する。これが、基本的なコンセプトに
なっている。
その実際の運営は、ものの見事に先に効果― ‐顧客が喜び、感動するさまを期待して提供
されているのである。

接遇信条のHについてみると〔日ぎ∽ぎ妻〓“∽一〇oOづ〕全従業員がこのショー精神にそっ
て行動している。 一例として、ディズニーのあの広大な地域には、チリ一つ落ちていないこ
とに気づいた人は多いというが、清掃の仕方が全然違うからである。
一般の遊園地では、清掃員と分かるそれら高齢な人達が、巡回して清掃している姿を見受
ける。
ディズニーでは所定のディズニールックのスタイルで清掃器具を持ち、玉でも打つように
ゴミを吸い込ませる。その動作は、リズミカルなショーでもみているようで楽しい。
また、ポップコーンなどの販売も、音楽に合わせて、リズミカルに子供などにジョークを
投げながら、楽しませる。
これらは、パフォーマンスとして、顧客によりよき印象を植え付ける。
ボートで探検するコースがある。日本はこうしたときのガイドは同工異曲、木で鼻をくくっ
たアナウンスであるが、ディズニーのそれは、まさにショー気分で臨場感を盛り上げる。
「あっワニがきた」とか「土人が斬りつけるぞ」というトークの演出効果でスリルが迫ってくる
仕組みである。
ディズニーでは、このように各所にいわばク舞台″とかク劇場″とでもいうべきものがある。
また、ディズニーワールドの入口まで、遠く離れた超近代的なコンテンポラリーホテルか
ら、モノレールが敷かれているが、そのドアは手動開閉式である。
今や自動のほうが、サービスだとみる向きが一般的で、効率主義優先なら自動化だ。
ディズニーは、先に効果を考えている。子供やお年寄りとか女性が多いが、ともかくすべ
ては最高級のお客様。ディズニールックのドアマンがリズミカルに間髪いれず走りよって
ショー風に開け閉めして、楽しさと人間タッチと手動による安全を考えている。
ディズニーの接遇信条一〇カ条の具体化は、モノレールのドアが、自動であってはならな
いのである。信条のE〔日r①『①あ8巴弓o鷹こなのである。
信条のE〔日Fの「のあo〓一日8oこは、入場券の引き換えにもみられる。
東京ディズニーでも同じだが、入場券は代理店では売っていない。引替券だけだ。ゲート
ヘ行って入場券に換えるわけで、ここにパーソナルタッチがある。みんな笑顔で挨拶する。
今や「モノ」の時代ではなく「心」の時代だと誰もがいう。経営にもこれらの反映がいわれて久しい。
そういわれ、わかっていながら、経営者はまず、効率ばかりを先にする。顧客の効果、満
足はアト回し、だから供給過剰となるのではないか。あくまで効果を先に考える。それから
が効率であることを強調したい。
遊園地の運営は設備を必要以上にしたり、売店の売上をあおったり、設備で料金をとった
り、また、自動販売機をやたらと増やしたり効率を優先的に考えるべきではない。
ソフト化の時代、心の時代こそ、先に効果、後に効率を考えるべきだ。ディズニーでは、
創業以来、この精神を貫いている。特にショー効果の重要性について、ディズニー翁は、次
のようにコメントしている。
「ショービジネスは非常にのぞまれているのだ、ショーをやってほしいというお客さんが
いかに多いことか。だから私たちのやるパフォーマンスは、昼も夜もないし、夏も冬もない。
ともかく毎日続けねばいけない。なぜなら、お客さんは、数千マイルのドライブ、また世界
各国から飛行機でこのディズニーヘ、少ない貴重な休暇を楽しむために集まってくださる。
我々は、そうしたお客様に、だから、ショーを続けねばいけないのだ。
お客さまは、ディズニーヘ来て、最初に私たちに出合う。私達の相手はいつも初めての人
だ。だから私達のやっているショーは、同じことであっても、見てくださるのは常に初めて
の人だ。だから新鮮な効果を上げねばならない」と。
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