会社を儲からない体質にしている元凶は、特に中小企業にとって営業外損益の金融費だろ
う。そう考えて間違いない。
金融費がいかに利益の上昇にブレーキをかけているかを知るには、売上に対する金融費
の割合ではなく、付加価値に対する金融費の割合を考えてみるといい。仮に付加価値率が
三〇%で、売上に対する金融費の割合が三%だとすると、付加価値に対する金融費の割合は、
一〇%にもなる。ことに商社などになると売上高が大きい割に付加価値は小さいから、この
差はもっと極端なものになる。うっかりすると、人件費よりも金融費のほうが多い会社すら
あるくらいだ。こういう体質はバランスシートを直さないかぎり変わらない。
バランスシートの左側の無駄遣いはそのまま、右側の資金の無駄な調達につながっている
ことが多い。つまり余計な借金をして儲けを減らしていないかどうか、社長は正確にチェッ
クする必要があるのだ。
繰り返し述べるが、総資本を減らすことが利益率を高める一番確実な方法だ。もし儲から
ない体質となっている会社があれば、この総資本に対して金利を払わなければならないお金
がどのくらい占めているのか、を把握しておかなければならない。そのために必要な数値が、
「有利子負債の比率」である。
総資本の中では、短期借入金、長期借入金、社債、割引手形の四つが金利を支払うお金で
ある。したがって、この四つを足して総資本で割れば、資金調達のうち金利を払うお金が何%
あるかという数値が出てくる。これが有利子負債比率だ。この指標も覚えておくと、社長の
ポリシー策定の幅が広がる。
仮に有利子負債の比率が三〇%と出たらどうだろう。その会社は危険水域に入っていると
いっていい。五〇%なら瀕死の重傷だ。おそらく今後、銀行に借金を返すだけのために、あ
くせく仕事をしなければならないだろう。会社は、金利を払うために仕事をするわけではな
いし、銀行のために仕事をするわけでもない。当たり前のことである。ところが世の中の好
・不況のはざまで、必ず五年も一〇年も金利を払うためにだけ仕事をする会社が後を絶たな
い。そのような会社の社長は、「強気が裏目に出た」と言い訳するのが常であるが、バラン
スシートをしっかり読み込んでおけば防げたことも多いのではないだろうか。
かつての高度成長時代には、「借金も実力のうち」と、借金によって手を広げ、事業を拡
大していくことこそ、事業発展の定石のようにいわれていたときがあった。大幅なインフレ
が続くことを前提にすれば、借りたときの一億円は返済時には実質四〇〇〇〜五〇〇〇万円、
借金して設備したり土地を購入しておけば、高い金利を払っても十分に元が取れると多くの
経営者が考えていた。おまけに、必ず利益が出ていれば利子は経費処理できるから、借金し
なければ損だ、とまで公言する経営者も少なくなかった。しかしこれからはどうだろうか。
五年先、 一〇年先の計画を立てるうえで、従来のような借金しなければ損だ、という考え
方は捨てなければならないと思うのである。これからは社長としてバランスシートの要点を
はっきりつかんで、資金を効率よく回すことが一層大事になってくるはずだ。自分の失敗を、
インフレ経済が帳消しにしてくれることを期待してはいけないのだ。
バランスシートの左側の無駄な要素を減らせば、右側の資金調達もそれだけ減らせる。減
らせるなら利息のかかるお金から早く減らした方が得である。こんな簡単な理屈はないだろ
う。経営とは決して難しいものではないということだ。利益はこうすることでも確実に増え
ていく。経営では、この「確実に」というところが肝心なのだ。
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不測の事態にも絶対につぶれない体質
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