独立、起業した人で最も心配なのは意外にも、営業力に自信があるタイプです。営業 力があるので独立早々から仕事は順調に広がり、売上もきっちり確保。確実な入金があ るので経営にも不安がなく、自信満々、絶好調だと考えがちだからです。
営業1本でやってきた人は売ることには長けているのですが、経営についての知識は 希薄で、素人同然の方が多いのです。
「経営とは何をどうすることなのか」さえわからず、 周囲にそれを教えてくれる人もいないので、ただただ売上を伸ばすことにいっそうエネ ルギーを注ぐだけになってしまいがちです。
このタイプの経営者にとって一番怖いのは、営業力がマツクスに達し、売上の伸びが止まり、さらには売上低下が始まったときです。
営業力で売上を伸ばすことしか知らな いので、攻めから守りに転じたときの切り替えができないのです。
どうしていいかわからず、不安を抱えたまま、それまでどおり、営業拡大1本の経営 を続けていても下降カーブを止めることはできません。
こういう事態を予測して、絶好調のときから、経営についてイチから勉強する努力を 怠らないことが肝心です。きっかけは1冊の本でもいいのです。
私も膨大な借金で苦しんでいたとき、なんとな く書店に足を踏み入れ、偶然、1冊の本に出会ったことで再生への勇気をもらい、そこ から本格的に、再生への道を歩み出しました。
経営セミナーを受講したり、コンサルタントに相談に行くことも経営について勉強す る1つのチャンスです。
私自身、現在、それを仕事にしているのにこんないい方はなん ですが、セミナーもコンサルタントも玉石混交。
うわべだけの話をされ、実践にそぐわ ないところも少なくないのが実情。
しかし、それを経験し、″石のなかから玉を見つけ 出す″ことも貴重な勉強になります。
こうして「経営とは何ぞや」と関心を抱き、知識を深めていくと、しだいに売上を伸 ばすことだけが経営ではないことがわかってくるはずです。
私の相談者のなかにも、「売上を伸ばすのはもう限界だ」というので、とことんヒア リングしてみると、まだ、こんな方法があったんだと見逃している余地が見つかること がよくあります。
経営はパランスですから、その一方で、ロスをしている部分はないか、採算効率を引 き下げる穴がどこかにあいてないか、をチェックすることも大事です。
私の相談者に、こんなケースがありました。
ある紳士靴販売をされている経営者は、売上を伸ばすことばかり考えていました。銀 行借入方法も未熟で、資金調達がうまくできず仕入資金にも悩んでいました。
ですが、 経営とはなんぞやを理解し始めてからは、商品も海外高級ブランドから自社ブランドに 比重を変え、その結果利益率も大きく改善し、いまや売上も利益も絶好調になっています。
別の例では、大手通販会社に商品納入と物流も行っていた会社は、取引のほとんどを占める通販会社に振り回されてきた経営から、自立した経営に転換を図っています。
い ままでのサービスで行っていた物流ノウハウを生かし、物流会社に大きく転換し、将来 性バツグンの会社に変身しようとしています。
こうした例が物語るように、営業数字だけを見るのではなく、事業全体のバランス構 造を眺め、全体的に見直す。
こうした視野がなければ経営は成り立たず、持続していく こともむずかしいことを、いつも脳裏に刻んでおくことです。
▼営業力と経営力の違いがわかっているか。自分に問いかけてみよう。
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