「オレがつくつて、オレが育てた会社だ。あれこれいわずにオレのいうとおりにしろ!」 これは、私の父の口ぐせでした。
たしかに、小さなカフェー軒から貸しビル業では三官のシェアトップに成長させたの ですから、父の経営手腕は子どもの私から見ても群を抜いたものがありました。
しかし、父のようなワンマン経営は、私でさえ辟易することが多かったものです。
何 をやっても頭ごなしに怒鳴られる、叱られる。
父に対する反抗心もあり、「なにくそ―」と思い、絶対、父が私に求める以上の結果 を出してやろうと意地になってがんばり、それだけの成果は上げたといい切る自信はあ ります。
でも、気持ちよく、前向きな気分で仕事をしたわけではありません。子どもでなかっ たら、私もそんな経営者が牛耳る会社はさっさとやめてしまっていたかもしれません。
父ほどでなくても、自分が創業し育ててきたという気負いが強い経営者は、仕事には 自分が一番精通しているという思いが強く、いちいち細かく指示を出すので、社員は指 示どおりに動くだけで、自分で考える経験を積むことができません。
その結果、社員はいっこうに育っていかず、ビジネスも低迷するばかり、となってし まうところが非常に多いのです。
人を育て、活用する経営者は、たえず数字や結果をチェックするのはもちろん、その 数字について社員に質問し、日標数字が得られない場合はもちろん、反対に予想以上に 伸びた場合も、社員自身に分析させ、回答を求めます。
社員自らに検証させることで社員が自分の頭で考え、自分で答えを求める訓練をして いるわけです。
自分の頭で考える訓練を続けていくと、社員の考える力は自然に伸びていき、アイデ アが豊富に湧き出る会社に育っていきます。
人を育てる場合の鉄則は、「五つ教えて三つほめ、二つ叱る」。これは二宮尊徳の子育 てに関する教えです。
この原則は何歳になっても同じです。
人はいくつになっても、ほめられればうれしい し、うれしければもっとがんばろうと張り切るものです。
しかし、ほめられるだけではほめられたことの値打ちがわからない。
だから、尊徳は、 「三つほめて二つ叱りなさい」といっています。
ほめることと叱ることを組み合わせ、 ほめられることの価値を身にしみ込ませなさい、ということなのでしょう。
多くの企業を見てきた私の経験からも、叱り飛ばすだけのワンマン経営より、社員に 判断を任せ、ことあるごとに社員をほめる経営者のほうが社員が育ち、その結果、事業 も大きく伸びていくケースが多かったものです。
社員すべてに考えて行動する力がつけ ば、会社は例外なく大きく発展していきます。
▼ことあるごとにほめ、社員のやる気を最大限引き出す。
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