どんな会社でも日々、仕事をしていると、会計処理をしたときに、つじつまが合わないお金が出てくることがあるものです。
たとえば、社員が領収書をもらうのを忘れたとか、成り行き上領収書のもらえないお金など。こうしたお金をどのように処理するか。そこで会社の経理の質がはっきり分かれます。
多くの場合、こうした使途不明金が出ると、社長の貸付金として処理してしまいます。そのほうが一手間ですみ、税理士がめんどうでないからです。
ところが、この社長貸付金は後々になって、大きなツケになる場合が少なくないのです。
社長貸付金が多いと、それを見た銀行は、「この社長は会社のお金をポケットに入れているな」と判断し、社長の信用はガタ落ちになることがあるのです。
実際にお金は出ていっているので、なんらかの処理はしなければなりません。
では、どうしたらいいか?
❖経営のかけ引きがわかる税理士に育てていく
先日、相談に見えた社長もまさにこの問題で悩んでいました。「銀行に『このお金、何に使ったんですか』と突っ込まれたんですが、私、実際は使っていないんですよ。でも、銀行に『私は使っていません』なんていえません。
そしたら、銀行に『このお金、ちゃんと返して、きれいに消しておいてください』なんていわれましてね。このうえは、社長の給料をもっと上げて、そこからこのお金を消していくしか方法はないとしか考えられないんです……。先生、それで問題はないでしょうか」「いや、大ありですよ。そんなことしたら、『そんなに業績がいいわけじゃないのに、なぜ、給料を上げるのか』と銀行はもっと突っついてきますよ」
私がそう答えると、この社長はうろたえるばかりです。こうした例はけっして珍しくありません。
この顧問税理士は帳簿上のお金の帳尻を合わせて会計処理をし、税務署に責められない方法を選んでいる、と言い切ってもいいくらいです。
もちろん、帳簿上、スキのない会計処理をしてくれる税理士もいるでしょう。しかし、彼らはお金を借りた経験がないので、銀行対策までは考えない。いや、考えることができません。
その結果、この社長のように、銀行からつつかれ、窮地に立つことが起きてしまうのです。
説明すると長くなるので詳しくは書けませんが、私なら、こうした使途不明金は、たとえばいったん経費で処理するなど、銀行の信用を落とさないやり方で処理をするなどして乗り切ります。
それから徐々に本格的な処理方法を財務状況に応じて処理していきます。
もともと税理士の職分は銀行対策ではないので、そこまで考えて会計処理をする税理士はめったにいないでしょう。
しかし、税理士の考え方を変えさせるのも社長の役割です。
顧問税理士は、顧問先の会社を守る立場です。
自分のプライドや名誉だけを考えるべきではありません。
実際、私はこれまで、何人かの税理士を、社長を守る税理士へと思考転換させました。
社長は、税理士に向かって、「誰からお金をもらっているのか考えてみてくださいよ。税務署からもらっているわけじゃないでしょ。
お金を払っているのは私なんだから、この会社を守る会計処理をしてください」などといって、社長を守る決算書類をまとめてくれる税理士へと育てる努力が必要なのです。
もちろん粉飾をしろということとはまったく違います。
❖税理士費用として月に最低
5万円は使う もちろん会社の規模や業種によっても違いますが、私は「税理士のお金はケチらないように。できるかぎり最大の報酬を用意して、質のよい税理士を確保するべきだ」とよくお話ししています。
ネット検索などすると、最近は月に 1万円、 2万円でも税理士が見つかるようです。しかし、「安かろう、悪かろう」という言葉は人に対しても当てはまります。
年商 3億円を超えたら、税理士に最低でも月額 5万円から 10万円は支払う。
逆にいえば、そのくらい優秀な税理士と契約するようにしたほうがいいと思います。
このクラスの税理士になると仕事量にもよりますが、伝票処理はもちろん、振込業務などもこなしてくれるケースも多いようです。
こうなれば、経理のスタッフはごく少数ですむようになります。経理のスタッフを 1人雇えば 20万円も 30万円も給料を支払わなければならないでしょう。
正規雇用となれば社会保険料もボーナスも必要になり、コストパフォーマンスはかなり下がるはずです。税理士だけではなく、これからの経営では1つひとつの作業、事柄のコスパを計算し、雇用するか、外注するか。
コスパ本位の方策を選んでお金を使うことも、経営力の大きな要素になってくるはずです。外注を上手に使うことも、効率的な選択肢であることも視野に入れておくべきです。
▼何事においてもコスパを大事に選択する。たとえば税理士費用をケチる前に、会社にとって何が大事かの判断力を働かせ、より効率的にお金を使う。
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