融資を依頼するときに「苦しい」「厳しい」というばかりではうまく借入はできません。
決算書を提出している、決算書の内容はけっして悪くない。
そういって融資は当然受けられると思っていても、思いどおりに事が運ばないことも珍しくないのです。
銀行が何よりも知りたいのは、その会社の将来がどうなるかという展望です。
先が見えないとか、先が知れているという企業には銀行も魅力を感じないはずです。
❖自社のミッションを具体的に認識している 私は相談に見えた方には、必ず「あなたは事業を通じて社会に何を提供したいのですか?」と尋ねます。
社会に何を提供するか。
つまり、その会社の社会的ミッションを自覚しているかどうか。
これが大事です。
ミッションなしで、ただお金を稼ぎたいと思った。
そんな会社が成功するほど世の中はあまくありません。
起業するときはたいていの社長は、「こうしたビジネスを展開して社会の役に立ちたい」という思いをもっているはずです。
「最近はこういう商売がトレンドで儲かっているらしい。
自分もその流れにのって一儲けしたい」というような気持ちから事業をスタートさせた。
こんな二番煎じ、三番煎じで成功した経営者はいないと断言できます。
ミッションを自覚し、会社の存在意義をしっかり自覚している経営者ならば、会社の将来像を描いているし、その将来像を熱く語りたいと思っているものです。
融資の依頼に行った銀行で、その将来像を熱く語れば銀行の心も動き、「ぜひ、融資したい」と気持ちを動かされる銀行員は少なくないはずです。
銀行員だって将来に向けた明るい夢をもちたいと願っているからです。
自分が担当した企業が 5年後、 10年後、大きく育った姿を見ることを生きがいにしている銀行員も少なくありません。
❖孫正義氏のビジョンに惚れ込み、支店長権限枠の 10倍の融資をした銀行支店長 いまや日本経済を牽引する企業の1つとなったソフトバンクは、孫正義氏がまだ学生だった時代、自ら開発した「音声機能つき自動翻訳機」をいろんな企業に持ち込み、シャープがこれを 1億円で買い取った、その資金を元手に起業した会社です。
実は、この話には裏話があります。
孫氏がさらにソフトの流通など事業を拡大しようとしたとき、どの銀行も無名の孫氏に融資しようとはしませんでした。
このとき、融資実現に一役買ったのが、シャープの佐々木正氏と第一勧業銀行麹町支店の御器谷正之支店長(いずれも当時)です。
佐々木氏は、「翻訳機」を買い取ったとき、「これから必ず起こる情報革命を通じて人類と社会に貢献したい」と熱く語る孫氏に心を動かされ、銀行に「孫をよろしく頼みます」と話したそうです。
万一、融資が実現しなかったら、自宅と退職金を担保に入れようと肚をくくっていたというから、並大抵の応援ではありません。
御器谷支店長も孫氏の強い社会的使命意識、さらにはビジネスの将来性をしっかり見据えている姿勢にほれ込み、その当時の支店長権限枠の 10倍の 1億円の融資に踏み切ったのです。
孫氏はこの 2人に深く感謝し、毎年、ソフトバンクが設けている「(創業期の)恩人感謝の日」に感謝する人にノミネートし、それぞれに豪華な花を贈り、いまも心から感謝を表することを怠っていないそうです。
いまではこうした気概のある銀行員はマレになってしまったかもしれません。
でも、社会的な使命感や明るい将来ビジョンが銀行を動かすことは実際にあります。
多少の大風呂敷でもかまいません。
私の得意先でもビジョンを描き、銀行に堂々と話せるようになったら、融資が下りたと報告してくる会社が出てきています。
▼銀行が知りたいのはその会社の将来ビジョン。
明るく発展していくことを印象づける将来像を熱く語れば、銀行のほうから融資したいといってくる可能性も大。
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