組織の崩壊を防ぐためにもう一つ重要なのは、組織運営の構造を整えることです。 具体的に言えば、「会社のミッションやビジョンを言語化する」「それらを価値基準やバリューに落とし込んで浸透させる」「感覚的なマネジメントではなく最低限の仕組みと制度を入れる」「組織として良い状態にすることを、ちゃんと目標の指標に置く」といったことです。 その一例として、会社が一定の規模になってきたら、「給料のものさし」をつくることが大切です。 第 2章の Column sessionでも触れましたが、実際はそんなことはないのに、「 Aさんは役割以上に給料をもらっている」「社長が好き嫌いで給料を決めている」といった不平や批判が出るものです。人間ですから妬みはどうしても生じます。 だからといって、給料を上げるか下げるかの判断は拙速に行なうべきではありません。そこで、人事考課やポジションと連動して、給料の額を客観的に決められる人事考課制度を整備する、ということです(*)。 人事考課制度で外してはいけないポイントは、会社のポリシーを反映させることです。 たとえば、短期的な成果は出しているけど中長期的な会社の価値基準に合っていない人をどう評価するか。 営業成績は抜群でも、会社が大事にしている価値基準や行動規範を全然守らないタイプの人をどんどん出世させてしまったために、組織崩壊を招いたケースを私は多く見てきました。 要は「成果さえ出していりゃいいんだろう」という雰囲気が社内に漂い出し、ミッションの実現よりも短期成果を追う人が増えてしまうのです。第 2章で挙げた「お山の大将」の例ですね。 中長期的に組織を強くしたいなら、短期的な成果を出している人よりも、価値基準や行動規範をちゃんと体現している人を昇格させる仕組みにしたほうが良いでしょう。 一方、短期的な成果を出している人に対しては、まったく評価しないのではなく、一時的な賞与で報いるようにすれば、組織のバランスが取れていきます。 少し専門的になりますが、「役職(等級) −評価 −報酬」をセットで考えることが大切です。 まず、役職や等級に応じたある程度の給与レンジを明確にします。 評価(目標や査定)のやり方を定め、そのうえで報酬を基本給か賞与どちらで払うのかなどを設計していくのです。小さい組織の場合は、業務内容も変わっていくため、多少は柔軟性を持たせてもいいでしょう。*社員数が数名のときから人事考課制度を整備する余裕はないかもしれませんが、社員数が数十人になったら、「業界平均より低い給料でも来る人しか要らない」といった強気の採用をしていては組織が成り立ちません。したがって、他の会社に引けをとらないような給料を払える仕組みを整えることが大切です。
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