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付加価値配分目標計画の立て方

社長が計画作成に当たって最初にやるべきことは、まず会社の過去の実績を数字で知るこ

とだ。

①過去三期分の配分実績を記入する

まず、自社の損益計算書の中から付加価値の一〇の配分先に相当する科目を探し出し、そ

こに書かれている数字の比率を計算し、過去三期分にわたって第3表の該当する欄に書き入

れていく。こうすることで直前3期、直前2期、直前期と、過去三期分の付加価値の配分比

率の実績がはっきり社長の目に見えるかたちになっていくのである。

「金融配分が思ったより急に増えている」、「安全配分を無視していたな」、「蓄積配分を大

事にしすぎて、再生産配分にその分のしわ寄せがきてしまった」等というように、過去の比

率を一見するだけで、損益計算書から読み取ることができなかった過去の経営手法の欠点に

改めて気づくに違いない。それらの一つひとつの気づきが、将来の打つ手をより実現性の高

いものへと磨いていくのである。

経営というものは、短所が分かれば時間をかけても直していく、長所は積極的に伸ばして

いく。ただそれだけの連続であり、決して難しいものではない。 一番困ることは、長所にも

短所にも気がつかないことなのだ。

②五年後の配分目標を仮設定する

次に社長は、表に書き入れられた過去三期分の数値をにらみながら、五年後の各配分につ

いて社長としてのとりあえずの方針を決め、ラフでもいいから、それを数字にして表の「五

年度」という欄に書き入れていく。

たとえば、もっと社員に厚くしたいという方針に決めたら、社員配分比率を高くしたり、

何とか借金体質を改善しようという方針を立てたら、金融配分への比率を低くしていくと

いったように、社長のポリシーを反映させながら、意図的に配分比率を設定してみるのであ

る。これらの意図的な設定は、事務や経理の担当には考えも及ばない領域なのだ。会社の中で、

社長にしかできないことなのである。実現可能かどうかは、後で検討すればいい。この段階

では、とにかく社長の五年後の夢を大ざっぱでいいから数字に直して書き入れてみることだ。

ただし、夢とはいえ、実務家としての社長が描く夢であるからには、あまりにも現実離れ

した数字でも困る。実現可能な夢を描くというのが、社長としての夢の描き方というものだ

ろう。そのためにこそ過去三期分の配分比率を書き入れたのである。したがって、過去の数

字とよく相談しながら社長の夢を書き入れていく。

こうして、社長のポリシーが具体的なビジョンとして数字に翻訳され、表の「五年度」の

欄に書き入れられていくわけだが、これで作業が終わったわけではない。空欄のままになっ

ている「初年度」から「四年度」までの欄を数字で埋めていく仕事がまだ残っている。

③初年度から四年度までの配分目標を仮設定する

五年後の社長の方針を決めれば、あとは現状の数字とのギャップを、案分して割り振って

いくだけでいい。この作業は簡単だ。

たとえば、金融配分への比率が現状で一〇%として、これを五年後には二%まで下げてい

きたいという方針であれば、差の人%を五年分で割った一・六%ずつ、初年度から下げてい

くのである。そうすると、初年度八・四%、二年度六・八%、三年度五。二%、四年度三・六%

となり、五年度には目標の二%になっていく。これだけの作業である。

もちろん、必ず均等に一・六%ずつ下げていかなくてもいい。年度によって多少の増減が

出てくる場合もあろう。そのへんは社長の勘で決めていく。ラフでいいのだ。

これでとにかく、現状をふまえ五年後の夢を描き、その夢と現実を結んでいくことによっ

て、各年度のそれぞれの配分率が決まり、五年後の社長の夢の実現までにどのようなプロセ

スをふまえていくかというターゲットが決まったことになる。社長の野望の青写真は、これ

で一応描けたことになるわけだ。

実際にこのとおり実現できるかどうかは、この段階ではまだわからない。これを第五章以

下で説明する「運営基本計画」に落とし、人の面、設備の面、資金の面から実現性をチェッ

クする必要があるc

その実際については、第五章以下で詳しく説明することにして、次に、モデル会社三社の

ケーススタディをとおして、付加価値配分目標計画の立て方を、もっと実務的に突っ込んで

説明しておこう。

3

《ケ‐ススタディー》D精機の付加価値配分目標計画

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