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人事考課マニュアルの作成 ― オリジナルのマニユアルをどうつくるか

目次

人事考課マニュアルは借りものではダメ

人事考課が脚光を浴びている。

右肩上がりの経済成長が望めず、限ら れたパイを奪い合う時代を迎えて久しい。

このきびしい環境の中で、経 営者にすれば、「もうけの多い社員には相応に報いたい」だろうし、社 員にすれば、「会社の利益に貢献した分、適正に処遇してもらいたい」 だろう。

「もうけの多い」とか、「会社の利益に貢献した」ということを 数字で定量的に表現し、昇給・昇進・昇格・賞与などの処遇に結びつけ る、人事考課が両者共通の関心時となっているわけである。

ところが、困った現象がおきている。

街の本屋さんで2,000円ほどで 「人事考課マニュアル」を購入し、マニュアルに書いてあるとおりにす れば、人事考課などお茶のこさいさい、と思っている企業が多いという ことである。

パソコンソフトのマニュアルを買うのと同じ気分なのであ る。

パソコンのアプリケーションマニュアルなら、A社でもB社でもま ったく同じものを使っても支障はない。

しかし人事考課制度は、親企業と子会社という関係であったとして も、A社とB社がまったく同じであることはありえない。

「どのような 貢献をした社員を厚く処遇したいか」について、企業ごとに考えが異な っているからである。

「礼儀知らずで、ライバルを陥れてでも、自分の 売上を達成しようとする」人材か、「売上目標達成にはそれほど関心は ないが、マナーを身につけ、チームワークを大事にする」人材か、どち らを厚遇したいか。

つまり、企業のあるべき「人材像」の明確化が出発 点となる。

その「人材像」は、企業固有の「もうけるしくみ」で決まる。

「もう けるしくみ」とは、企業がきびしい競争に打ち勝っていくための仕事の ノウハウである。

ディスカウントストアなら、「大量に安く仕入れ、高 回転で売りきる」というしくみをつくらねばならない。

そのしくみがな りたつように、仕事をしくみ、その仕事をなし遂げる能力・資質を明ら かにし、あるべき人材像を明確にするのである。

人材像の明確化を軸に、具体的には左の図のように、6つのステップ にしたがって、人事考課マニュアルを作成する。

人事諸制度全体の整備

ステップ1とステップ2は、人事諸制度全体を整備することを目的と しており、人事考課マニュアル作成の前提となる。

ステップ1のねらいは、徹底的に自社の仕事のあり方を問い直し、仕 事のすすめ方を再構築して、他社との差別化を図ることにある。

具体的 には、中機能(販売・生産。

購買……人事など)別に単位業務一覧表など を作成しモレ小機能やモレ単位業務(必要なのに欠けている仕事)または 不必要な機能を発見し、あるべき仕事の体系をつくりあげる。

その際、 同業種・他業種を問わず、基準とすべき企業を定めて、自社の現状と比 較することが有効である。

ステップ2は、仕事のあるべき姿を実現し、企業の収益向上に直接貢 献する度合いにより、人材の社内的価値を明確にすることがねらいとな る。

コース・職種ごとに、①収益貢献度、②要求能力の区分などにより 価値を決め、そのちがいを賃金に反映させる。

仕事の価値を賃金にダイレ クトに反映させる点は職務評価および職務給の考え方と似ているが、職 能資格制度の利点も導入する。

つまり、同一コース・同一職種内で等級 (たとえば10等級)を設定し、能力保有度合いや目標達成度などにより、 昇給だけでなく、昇格(等級が上がること)するしくみを設ける。

職務 給のように、高賃金を得るためだけに、転職により、職種をわざわざ変え なくてもすむようにする。

同時に、コース間・職種間の異動も可能とし、 より社内的価値の高い人材のポジョションに挑戦することも奨励する。

このステップは、個性豊かで多様な人材が存在することを認めてい る。

そのうえで、人材をコア(中核)人材と流動人材に分ける。

前者は 「企業のもうけに直接貢献する人材で、コア業務を担当する」。

後者は、 「もうけに直接は貢献しないが、コアを補助する人材で、決まった範囲 の仕事が与えられる」としている。

コア人材は、もうける能力を保有し ているのは当然であり、能力の発揮具合つまり、業績(売上高・利益な ど)で考課・処遇される。

企業のもうけを直接左右できる立場にあるか らである。

他方、流動人材はコア人材がつくりだすもうけるしくみをサ ポートする仕事を遂行する能力の保有度合いで考課。

処遇される。

人事考課のしくみの整備

ステップ2では、2分された人材はさらに細分化される。

①経営職コ ース、②専門職コース、③一般職コースである。

① はコア人材、② と③ は流動人材にあたる。

②の方が高度な専門能力が要求されるのに対し、 ③ は定型的な業務を確実にこなす能力が求められる。

コースは、さらに 担当している具体的な仕事により職種に分類される。

収益貢献の度合いに応じて人材を分類するのが、ヨコの分類とするな ら、各コース内で、等級を設定し人材に序列をつけるのがタテの分類で ある。

等級は各コース内で用いられている評価基準の高低で設定され る。

高い評価基準をクリアすれば、より高い等級が与えられ、それに応じ た処遇も与えられる。

一般職コースでは、「日常業務を遂行する能力」 の保有程度によって等級が決まる。

この能力を記述したのが、職能基準 書である。

これに対して、経営職コースでは、「年度事業計画にもとづい た目標達成度」によって評価され格付けされる。

以上のタテとヨコの分 類により、各社員は社内でポジションが与えられる。

Aさんは一般職コ ース ・営業事務03等級というように。

このポジションは前述した社内 の明確な人材像にもとづいて与えられていることが重要である。

こうして、ステップ2で自社のあるべき人材像を明らかにしてから、 ステップ3で、誰を、どのような内容(要素)について考課し、どのよ うに処遇するか、を明確化する。

コース・職種別の処遇ごとに、考課の 要素を決定する。

つまり、考課される者(被考課者二部下)の人材像に より、何を考課し、その考課をどのような処遇に結びつけるか、が異な ることになる。

先述のAさんを考課する場合を考えてみよう。

Aさんは 一般職であるから、昇給については、①職務遂行能力の保有度、②勤務 行動という内容について、考課する。

また、昇格(等級が上がること、A さんの場合は、3等級から4等級へ上がること)時は職務遂行能力保有度 の継続的評価という要素以外に、経験年数が昇格要素となる。

さらに、 賞与に関しては、基本賞与以外の業績賞与部分のみが考課の対象となる が、一般職であるので、Aさん個人ではなく、Aさんの所属する部門の 目標達成度に応じて支払われる。

人事考課の仕事の整理

ステップ4ではステップ1で述べた一連の仕事の流れを「人事考課の 仕事の整理」としてまとめる。

つまり、ステップ1と同じ要領で人事考 課(単位業務872)をまとまり仕事まで分解するのである。

具体的には機能 分類表・単位業務一覧表。

まとまり仕事一覧表を作成する作業となる。

人事考課(広義)は、8人事(中機能)087人事管理(小機能)中の、872 人事考課0873昇格・878賞与などという単位業務からなる。

各単位業務は、複数のまとまり仕事に分けられる。

通常、単位業務は 何人かの人が分担して行なっており、単位業務を細分化したまとまり仕 事のいくつかを個人が担当している。

このレベルまで仕事を分解すると 具体的な作業が明らかとなり、人事考課マニュアル作成の基礎となる。

この仕事の整理のためには、単位業務別にまとまり仕事一覧表を作成す るとよい。

この表は、単位業務(コード・名称)について、まとまり仕 事の各内容(コード・名称・担当部署・難易度・仕事頻度・アウトプット) を記述するものである。

このうち、難易度というのは、まとまり仕事 を、必要とされる技術・技能・知識レベルや判断を要する程度などを基 準にして、 1が定型的なやさしい仕事、5が高度な判断・技術・技能・ 知識を要するむずかしい仕事というような段階を設け、序列化するもの である。

アウトプットというのは、まとまり仕事を遂行した結果、作 成・発行される帳票類のことである。

具体的に見てみよう。

たとえば872人事考課は、01人事考課関連帳票に記入する、02人事考 課関連帳票を収集する、03人事考課関連帳票を確認する……08考課面接 を実施する、に細分類される。

それぞれのまとまり仕事は、各部署の考課 者(共通)・総務が担当する。

このうち、まとまり仕事01を見てみると、 「みずから応用判断を一部必要とする、比較的高度な専門的知識を要す る非定型業務」なので、難易度は3と判定されている。

この仕事を遂行 すると、自己申告書・考課用課題設定書・チャレンジシート・適性カー ドというアウトプットがだされる。

「現状の人事考課業務」を改善しながら、このような業務の整理を行 なうことがマニュアル作成にあたって必要となる。

人事考課の仕事をスケジューノイヒする

業務の流れを整理することにより、大・中・小というように業務の大 きさのレベルを合わせて、人事考課に必要な作業を展開することができ る。

ここまでで、①誰を、② どういう考課要素で、③ どのような処遇に 結びつけ、そのために、④ どんな作業が必要で ⑤誰が担当するか、わ かった。

今度は、⑥ どういう順序で作業するのか、をあらわさねばなら ない。

そのためには、フローチャート(FC)を作成すると便利である。

「誰が」については、会社の規模や方針によってさまざまであるが、こ こでは従業員500名ほどのメーカーの事例をとりあげた。

考課される者(被考課者二部下)に加えて、人事考課にかかわる当事 者には、考課する者(考課者=上司)0人事担当者がいる。

さらに、考課 者は第1次考課者・第2次考課者に分かれる。

また、人事担当者には、 本社総務部(人事担当)・各支店(工場)総務課・人事委員会・本社電算 部・社長がある。

企業規模が大きいほど、当事者はふえる。

① FCを作成するには、A3など大判の用紙の左端の所に、上端か ら下端へという方向へ当事者を並べてゆく。

たとえば、上端から順 番にいくと、被考課者、 1次考課者(係長。

課長・部長)、 2次考課 者(課長・部長)… …というように。

② 上端の左端から右端にかけては、12月・1月……というように月 の名前を記す。

つまり、時間は左から右へ流れるようにあらわす。

③ ① と②にはさまれた所へまとまり仕事名を記す。

図の□で囲まれ たものである。

こうして、当事者が、どんな順序で、いつ、何をす るかが一目瞭然となる。

たとえば、総務部は、3月の下旬に、 87206「評点集計」を行なうことがわかる。

もちろん、スペースが 限られており、まとまり仕事レベルの業務すべてを記入することは 不可能であるので、主要なものに限る。

FCをつくると以下のメリットがある。

①人事考課制度が人事諸制度全体のうち、どのような仕事に位置づけ られているか、がわかる。

②前工程と後工程がはっきりするので、各当 事者の中に、担当している業務の納期遵守意識がめばえる。

人事考課用紙記入マニュアルの作,鳳1)

いよいよ、ステップ6である。

ここでは、狭義の人事考課マニュアル、 つまり、人事考課用紙記入マニュアル(次項参照)を作成する。

ステッ プ3で述べたように、考課要素は、一般的に①業績、②勤務行動、③能 力に分けられる。

考課者は、昇格・昇給・賞与という各処遇について、考 課要素別に被考課者を考課する。

業績賞与(賞与のうち個人の業積で変動 する分)を例にとってみよう。

被考課者は、マネジメントコース(経営職 コース)・7等級に格付けされ、○×製品の営業を担当しているとする。

各考課要素にはウエイトが付けらている。

ウエイトとは重みであり、大 きければ大きいほど、業績賞与に与える影響が大きいことを示す。

この ウエイトの大小は、企業の人材像により決定される。

表のように、経営 職コースでは、業績の比重が大きい。

業績は90%、勤務行動は10%であ る。

人事考課用紙記入マニュアル作成の注意事項は以下のようになる。

① 誰が使うマニュアルかを明確にする 単位業務872人事考課は、01「人事考課関連帳票に記入する」……08 「考課面接を実施する」に細分化される。

次頁のものは、04「1次 考課を実施する」、05「2次考課を実施する」ことを担当する者、 つまり、考課者が使用するためのマニュアルである。

07「評点を調 整する」ことを担当するものには、別のマニュアルが必要になる。

② マニュアルであらわそうとする業務の特性を理解したうえで、文 字だけでなく図表を効果的に使いビジュアルなマニュアルにする。

現物の使用帳票を使い、帳票上にどのように情報を記入してゆく か、ステップを追って記述すると効果的である。

考課という作業 は、直接的には、帳票に情報を書き込む事務作業であるからである。

③ 考課者が何をしたらよいか、段階的に理解することができるよう に考課のステップを大から小へと分解して記述する。

大ステップは、まとまり仕事04「1次(業績)考課を実施する」と05 「2次(業績)考課を実施する」に分かれる。

さらに、04は、(1)1次考 課者は被考課者の考課内容を確認する、(2)1次考課者は被考課者の業績 を評価する、という中ステップに分かれる。

人事考課用紙記入マニュアルの作劇2)

中ステップはさらに細かい小ステップの単位に分解される。

たとえ ば、中ステップ1の(2)、「1次考課者は被考課者の業績を評価する」は 以下のように分解される。

①b.方針展開実施計画書(または目標カード) を読んで実績を確認する、②c.課題困難度・挑戦度および課題達成度判 定表で課題達成度を判定する、③課題ごとにc.判定表を見て課題の評価 (5段階)を決定し、a.賞与考課表の1次考課の欄に記入する。

小ステップでは、実際考課するときに使用する帳票(次頁の図)を示 しながら、具体的作業を説明する。

小ステップ①では、b.方針展開実 施計画書(または目標カード)を示す。

具体的作業は、「帳票b.を読んで 実績を確認する」であるからである。

さらに帳票上に、具体的作業上必 要となる情報の所在位置を示す。

小ステップ① を行なうには帳票上の 「1(2)①→」の記号を探せばよい。

また、各ステップについて、ポイント・コツの欄を設けて、注意事項 などを記す。

この欄には、ステップ欄で示した仕事の流れでは、説明し きれないことを書く。

たとえば、「1(2)」のポイント・コツ欄の「ア」 は「総合考課の欄は電算によリウエイト分を処理し、記入される」と記 してある。

もし、この補足説明がないと、考課者は「総合点を記入すべ きか、すべきでないか」迷ってしまう。

このような事務的な注意だけでなく、ポイント・コツ欄は、考課制度 の考え方そのものを考課者に伝えるためにも活用される。

「1(1)」の同欄中の「ア」には「b.方針展開実施計画書(または目標カ ード)にある重点実施項目・アウトプットロ標のすべてを考課項目にす る必要はなく、重点的に選ぶ」とある。

「重点的」ということを、この 考課制度では強調していることを、考課者に伝えるためである。

つま り、総花的に業績を評価するのではない、重点主義でいこう、という考 えを理解させようとしているのである。

以上のようにポイントとコツ欄を活用することにより、たんにステッ プを機械的に追ってゆくのではなく、人事考課制度の根本的考え方を理 解させながら、考課させることができる。

人事考課用紙記入マニュアルの作成X3)

ポイント・コツ欄は、簡潔に記すことが肝要である。

まさにポイント だからである。

また、なるべく冗長にならないよう、マニュアルの枚数 を抑えたいためでもある。

前述のように、「重点的」など、伝えたいこ とをキーワードを使って表現することが大切である。

しかし、0907の図の1(2)ウのように、ポイント0コツ欄に記述するだ けでは、具体的に意味を正確に伝えることができないこともある。

そう いう場合は、やはり、人事考課研修などの形で、考課者に対して口頭で 説明し、理解させることも必要である。

0907の図の1(2)イは、「⊆当定表は目安であり、課題設定の都度、実 情に合わせて設定する」とある。

続いて、左図の課題2(考課項目2) 「販売先への販売商品の選定」のアウトプットを「C製品群の売上比率 を51%から56%まで伸ばす」とした事例を説明している(1(2)ウ)。

① 56%をあくまでも目標値と考えた場合 実績53%と考えると、達成度95%(53%÷ 56%)となり、90~ 110% の範囲に入っている。

また、難易度はBだから、評価は3となる。

② 5%を目標値と考える場合 伸び率を目標と考えると、日標値は5%(56%-51%)となる。

ま た実績は2%(53%-51%)となるので、達成度は40%(2%÷ 5%) となる。

難易度はBだから、評価は1となる。

③ 51%を基準と考える場合 前年の値51%を基準と考えると、達成度は104%(53%÷ 51%)とな る。

この場合、評価は3となる。

はたして、どの考え方が正しいのか。

②の考え方をとると、被考課者 にとってはかなりきびしい点がついてしまう。

③の考え方だと、逆に甘 い点がつく。

どれをとっても絶対的に正しいものはない。

重要なのは、 あらかじめ達成度を算出する公式と難易度を決め、難易度と達成度から 評点を割りだす判定表(c.参照)をつくっておくことである。

② はきび しいようにみえるが、判定表そのものを適正なものにすれば、評価が1と はかぎらない。

納得のいく勤務行動考課の基準づくり

前項では、業績考課は、考課の対象となる課題について、①難易度の 設定、②達成度を求める公式の決定、③難易度と達成度の両要素と考課 段階の対照表の作成が事前に必要となる、ことを述べた。

逆にいうとこ れらをきちんと決めていさえすれば、業績は自黒がはっきりしやすくな るので、被考課者から納得性が得られやすい。

納得性に問題がありがちなのは、勤務行動考課である。

俗に「情意」 といわれている。

名称のとおり、この考課要素については考課者が「情 け」をかけやすい。

また「恣意的に」評価する傾向が強い。

業績0能力 で評価の芳しくない部下に「情け」をかけ評点を高くする「寛大化傾 向」。

1つ評価の高い考課項目(例、協調性)があると、別の考課項目 (例、責任性)までいっしょに高い評価を与えてしまう「ハロー効果」 などの評定誤差が現れやすい。

とくに、後者のハロー効果は始末が悪 い。

いわく「チームプレーに徹することは、組織の一員として責任ある 態度だ」というもっともらしい論理で、協調性を「4」とすれば、当然 であるかのように責任性を「4」としてしまう考課者は多い。

こういう現象が多いのは、チームプレーを重視する風土が根づいてい るからといえば聞こえはよい。

しかし、それも程度問題である。

そうい う風潮が蔓延すると、責任の所在がはっきりしない、無責任な組織をつ くりあげる可能性もある。

ある特定の個人の責任であっても、「組織全 体の問題である」とすりかえて、結局はどの個人も責任をとらないこと になりかねない。

そういった観点から、勤務行動マニュアルの中で、責任性、協調性そ れぞれ、対象となる仕事の範囲をあらかじめ明示しておくことが必要で ある。

まとまり仕事51303「仕入量総括表を記入する」は、被考課者 「一般職・3等級◆購買」にとって、担当業務ではないから、責任性の 対象とはならない。

この仕事を担当している経理が忙しくて、被考課者 に応援を頼んだところ拒否されても責任性は間われない。

問われるのは 協調性である。

逆に、51303へ協力して協調性が高くても、担当業務が 中途半端であるなら責任性についてはきびしく評価する。

具体的で考課しやすい能力考課のためには

能力考課の成否は、考課の対象となる能力を選びだし、職能基準書と して記述する作業がカギを握っている。

つまり、被考課者について、① どの能力を、どのような表現を使って記述したら、考課者が評価しやす いのか、また、②企業の仕事のすすめ方が改善され、ひいては、その収 益性向上に貢献するのか、ということである。

まず、評価のしやすさのためには被考課者の持つすべての能力のう ち、評価する価値のあるものだけを厳選する。

価値のあるものとは、被 考課者の多くが担当している業務を遂行するのに必要な能力であり、考 課者が複数の被考課者の能力保有度の差を判定しやすいものということ である。

次に、評価の対象となる仕事がコア業務、すなわち、この仕事 のすすめ方いかんで、企業の収益性に大きな影響を与えうる仕事である かどうか、という点である。

収益に影響を与えない業務をとりだして評 価していても、会社がもうからなくなってしまっては元も子もない。

たとえば、単位業務252「得意先訪問折衝実施」は、営業部門在籍の 営業という職務に従事している被考課者の大部分が担当しているので、 考課者は考課しやすい。

また、この企業は産業資材の製造・販売をして おり、いわゆる外回り営業の正否が会社の業績向上に圧倒的な影響をも っているのはいうまでもない。

この点から「得意先訪間折衝実施」をと りあげて評価する価値はあるといえる。

具体的には、エキスパート3等 級に対して「担当先を訪問し、指示事項を伝達、先方意向等を聴取し、 正確に報告することができる」という能力が求められることになる。

こ れに関連して、能力の記述(表現)方法も考課のしやすさを左右する。

よくあるのは「折衝力を有する」などと、具体性に欠けた表現である。

そうではなく、「指示事項の伝達」と「先方の意向を聴取する」という 具体的な業務を遂行する力が折衝力であると記述する必要がある。

つま り、職能基準書作成に考課者が参加し、具体的に能力を表現すること が、能力考課実施の前提条件といえる。

以上のように、6つのステップを確実に踏めば、あるべき人材像を反 映した人事考課マニュアルを作成することができる。

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