組織が崩壊する原因を突き詰めていくと、多くの場合、「ある問題」に行き着きます。 それは、社長自身の潜在的な考え方や価値観に問題があるというケースです。 前項で周りの人間を信用できない社長の例を紹介しました。 この社長は、これまで育ってきた環境の中で人を信用できず、創業してからも当初から苦労して一緒にやってきた人が、会社が苦しいときに離れていった経験をしていました。 その影響からか、「人を信頼している」と口では言うものの、本音では信頼しきれていませんでした。再び裏切られるのが怖くて、仕事を任せきれていなかったのです。 また、優秀な仲間が増えることは嬉しかったのですが、本音では「社長がいないとダメだよね」「社長のおかげで仕事が回っている」という構造を好んでいました。その背景には、自分が承認されたいという潜在的欲求があり、「社長がいなくても問題ないですね」と言われることが我慢ならなかったのです。 だから、優秀な人材が入って活躍し、「社長がやるより良いですね」という反応が周囲で起こると、社長は「俺のほうができる」という態度を無意識のうちにとっていたのです。 つまり、組織の課題はうすうす感じていながらも、社長自ら人が定着しない構図をつくり出していたわけです。「社長の孤独」が間接的に悪影響を与えてしまった典型例です。 こうした社長の行動は潜在意識から来るものなので、本人に自覚はありません。でも言葉の端々からにじみ出る「自分のほうができる」という本音は、組織に伝わっていくものです。何年も同じような組織の課題を抱えているのに一向に解消しない場合は、たいがい社長に何らかの問題があると考えて良いでしょう(*)。*本人が自覚していない潜在意識からの行動を、氷の大半が水中に沈んでいることにたとえて「氷山モデル」と言ったりします。コンプレックスゆえに自分で気づくのは難しいため、我々が社長と対話をしながら自覚を促していくのです。
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