次は売上総利益の予測である。D精機の場合、過去三年間の傾向を見ると、売上総利益率
の低下が目立つ。直前三期に六〇%あった売上総利益率が、直前二期には五八・五%となり、
一。五%下がっている。それが直前期にくると五七・六%となって、さらに○ 。九%下がっ
ているのである。売上の拡大に伴って売上総利益率がどんどん下がる傾向にあることは否定
できない事実だ。
外注費や改良部品の単価が高騰している反面、売上単価が低下してきているなどの理由が
あげられるが、そういう要素を含めて考えれば、今後高い売上総利益率を想定することは非
常に危険だということが、第10表からも読み取れよう。
そうかといって、これまでの傾向に従ってそのまま売上総利益率を下げていったら、先に
も指摘したように会社経営は成り立たない。粗利率の低下傾向をどのへんで抑えるか、それ
が問題である。
そこで、D社長は決断した。売上総利益率の低下はやむをえない。だが、この低下を最小
限度に食い止めよう。これまでは毎年一・五%、〇。九%と下がってきたが、こんな下がり
方では会社経営は不可能だ。したがって、製造関係も営業関係もともに全員で努力し、毎年の売上総利益率の低下を何とか○ ・五%以内にとどめるようにしたいと。経営者にとっては、
こういう決断が非常に重要だろう。
第10表の売上総利益は、こうして算出されたものだ。すなわち、まず初年度の粗利率を、
直前期の粗利率五七・六%から○ ・五%下げて五七。一%にし、二年度の粗利率はさらにそ
れより○ ・五%下げて五六・六%にする。こうして五年度までの粗利率を決め、それぞれの
粗利率を各年度の売上高に掛けて算出していった。
後は、前項で説明したやり方で、各年度の売上総利益にその年度の各配分目標数値を掛け、
それぞれの絶対額を計算して、それを書き入れていく。
この運営基本計画に書き入れられた数字には、すべてD社長の夢やポリシーが投影されて
いる。特に五年度の「営業外損益」の欄をご覧いただきたい。金利支払いゼロ、無借金の方
針はここに明示されている。しかも売上は直前期の一・七六倍、利益率を二・五%落として
いるのに、税引前利益は直前期の約四倍となっている。確実に高収益会社へ変身する計画と
なったわけだ。
ただし、この数字どおりに計画が実現していくかどうかは、現段階ではまだ分からない。
それには、次章以降で行う「実証作業」を経なければならないわけだが、その説明に入る前
に、もう一社、Jスポーツのケーススタディも行っておこう。
6`ヽ
《ケーススタディ2》Jスポーツの運営基本計画
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