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五、設備を改善する基本

【急所53】理想的な設備ライン:みじかラインを短くすれば、品質は上がり、コストは下がる。

離れている工程間を無理やり長いローラー設備でつないだり、変な位置にある機械に橋渡しするためにラインを蛇行させたり、ほんの少しだけ離れているために、わざわざ運搬道具を使っている工場がある。

聞けば色々な理由が上がってくるが、設備の設置が優先され、後で工程間をつなごうとしているのが本質的な原因だ。工程や設備を単体で考えず、工程全体で考え、工程間をどうつなぐかも含めて、可能な限り直線で短くなるように配置するのが理想的だ。

ラインは短いほど管理やメンテナンスが楽になり、作業者も移動が減る。照明や運搬、空調、スペース、すべてにおいて有利になるのだから、

一度設置した設備でも、動かせないものと考えずにライン短縮、単純化を実行すれば、必ず品質は上がり、コストは下がる。

【急所54】工程表示:機械や設備には、工程の順承と流れレイアウトが確認できる春子表示をせよ。

工場では、よく設備や機械ごとに様々な情報が表示されている。例え

けんま    ようせつ                めいしょう

ば、研磨とか溶接といった「工程の名称」であったり、あるいは機械の番号や取得年月日といったものだ。

これらは確かに必要な情報かもしれない。しかし、表示すべき最も重要な情報は「工程の順番と流れレイアウトを確認できる番号表示」である。全部で8つの工程があるなら、工程順に1/8から8/8までの番号札を付ける。機械のレイアウトが番号通りに自然につながっていれば「流れ

とぎ

ている」と、ひと日で判断できる。逆に、番号が飛んでいれば流れが途切れている証拠だ。ムダな動きが必ず入っている。工程を番号表示すると、どういった順に生産されているか誰でもすぐに分かるし、どこに一番の問題があるかもすぐ分かるようになる。

【急所55】製造情報の扱い方:製造情報は、データベース化して流れるようにせよ。

多くの工場の現場では、ホワイトボードに生産計画が書かれていたり、工程ごとに指示書が貼られている。しかし、それが現場のみの活動なのか、データサポートのスタッフが加わった活動なのかで大きな違いが出る。

前に造ったことがある製品なのに、初めての作業のようにモタついたりするならデータベース化されていない証拠だ。作業者が「頭の中にすべて記憶している」というのは論外として、材料や部品、作業方法まで含めて、製造に関する情報をデータ化していなければ、毎回、経験と勘によるあやふやなモノづくりになってしまう。

モノの流れを追求するのと同様に、注文が入ればデータベースから造る量と納期、部材、造り方…などが関係者に滞りなく伝達されるようにする。特に外部と連携をはかるためにはデータベース化は必須である。

【急所56】生産性向上の急所:全工程の十で、最も遅い工程の速さでしかモノづくりはできない。

生産性を上げるために、各工程の担当者が苦労しながら日夜改善を行なっている工場が多い。しかし、生産性を本当に向上させるなら、全工程の中で最も生産速度が遅い工程に集中し、まさに全社員でチエを絞って改善することだ。モノづくりは、最も生産スピードが遅い工程の速さでしか生産できないからだ。

一日に五〇個しか造れない工程があれば、他の工程で一日に千個造れる能力があっても機械を止めておくしかない。ビンで細くなっている部分の

●)ゅうとたい

ように、最も遅くて渋滞の原因になっている部分を解消しない限り、全体の生産性は決して向上しない。この問題の発見のためには、部分だけを見ていないで、全工程を歩いて

はあく

見て回り、実際の生産数を正しく把握することだ。

【急所57】システム導入に対する考え方:工程間の流れをつくれていない限り、システム導入によってかえって管理が発生し、在庫が増える。

システムを万能のように考え、導入すれば生産性は飛躍的に高まると妄信している会社が多い。しかし、システム導入によってかえって管理のための人が増え、在庫が増えたりする。借金まで増えて、完全に経営の足を引っ張っているケースも多い。

システムは、特定の作業を高速に行なうことを得意としている。型にはまれば素晴らしい能力を発揮するが、応用性には乏しく、別の作業と連携

ひんど

したり変更の頻度が高い場合には、その不得意な面が

あらわ

現れてくる。

モノづくりにはたくさんの複雑な工程がある。最低限、工程間の流れ をた

つくれていなければ、システム導入によってつなぎの部分で中間在庫が貯まる。工程数を減らし、中間在庫を持たなくても工程がつながるような流れをつくることで、はじめてシステム導入が活きてくるのだ。

【急所58】流れ設備の内製化:流れ生産してくれる設備は売っていない。

設備メーカーが売っている機械は基本的に単機能だ。旋盤や研削機、プレス機、あるいは塗装機など、それぞれの専門メーカーが出しているが、どこの工場でも使えるように汎用機しか売っていない。

だから、流れ生産をするためには、汎用機と汎用機の間を自分たちでつなぐ必要がある。機種別に並べるのでなく、工程順に並べる「流れレイアウト」にし、工程間をつなぐ仕掛けを自社で造ることだ。つなぐだけのシンプルな専用機なら造れるし、生産性もリードタイムもレベルアップできる。独自の強いモノづくりができるようになるのだ。

もし、自社に最適な流れ生産の設備が売っているとしたら、フルオーダー設備で途方もない金額になるか、誰にでもできる程度のモノづくりしか行なっていないかのどちらかである。

【急所59】重力の利用:材料は上に、製品は下に。

モノづくりは、原材料から加工が進むほど、取り扱いに慎重さが求められる。最終的に出荷するときには瓶詰めや箱詰めにし、荷造りした商品がトラックに詰まれて運ばれていく姿をみれば一目瞭然だ。

取り扱いが最も簡単なのは材料なのだ。もし複数階ある工場であれば、必ず材料を一番上の階に運び、工程ごとに下の階に下ろしていくことだ。上から下の移動なら、重力を生かしてタダで運ぶこともできる。

材料の入庫を基準に下から順に工程ごとに上に運んでいる工場があるが、モノを上に運ぶのに気を使ってエレベータなどで運んでいてはコストも労力も増えるだけだ。

ワンフロアの工場でも、材料は最も高いところに置くようにする。トラけいしゃックヘの荷積みも、傾斜を利用できれば大いに人手が助かるのだ。

【急所60】モノの動かし方:モノを持って理ばない。移動させるのに動力を使わない

たった五〇〇グラムでも、 一日中、繰り返し持ち上げたり下ろしたりするとなると大変な労力となる。 一方、 一トンの重さがあっても、レールの上を台車で滑らせれば軽々と動かせる。

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自然の摂理で分かっているはずなのに、わざわざ持って運んだり、上げ下ろしに労力を使っている工場が非常に多い。フォークリフトなど機械を使っているところも多いが、工場内の運搬とは、前工程から後工程への横移動なのだから、基本的に滑らせることだ。

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さらに言えば、傾斜があればモノは何もしないでも動く。後工程に渡すときに傾斜があれば動力を使わずにタダで運べる。傾斜が無くても、製品の重みを利用して動かすこともできる。モノを運んでも付加価値は一円も増えないのだから、極力、人手や動力を使わないことだ。

【急所61】設備と節約への考え方:電気は、消すより消えるようにしろ。

ムダを減らし、電気代を少しでも節約するために、明かりを間引いたり、お昼時には消灯の号令を掛けている工場は多い。

もちろん電気でも水でも、ムダに使うのは論外だが、人間の意識による努力に頼った節約やコストダウンを実現しようとすると、ある一定以上の要求レベルに達すると、必ず品質の劣化や事故が起きるようになる。

何度も「消し忘れている」と注意されて、電気を消すことに意識が行って作業が疎かになったり、電気が消されているかチェックばかりする監督者がでてくる。工場内の暗い階段の電灯でも通ったら消すようにしたため、人がいるのに気づかずに消して事故が起きたりする。

今はセンサーも安い。人の気配で自動点灯。消灯できるし、確実に効果が上がる。無理なく自然にできるようにすることが強さになるのだ。

【急所62】工場の構造:とびら工場内の扉は、防犯、防音、安全、衛生、着エネ、保温、法律上…叉要なものに限定せよ。

扉がやたらに多い工場がある。出入回の扉にはじまり、機械の扉、廊下の扉、資材収納ロッカーの扉、事務所の扉、トイレの扉、倉庫の扉…と、何をするにもどこに行くにも扉の開け閉めが要る。

当然だが、扉があれば開け閉めの動作が必要になる。絶対に必要なもの以外、理想はゼロなのだ。工場内に扉があったら、本当に必要かどうかを疑ってかかることだ。

防犯、防音、安全、衛生、省エネ、保温、法律上…といった必要不可欠の理由以外は美観上か、なんとなくだったりする。

そもそも、ひねって開けるドアノブは、左利きの人には開けにくいし、両手が塞がっていたら開けられない。電車の各車両にある連結の所の扉は本当に必要か。ムダに気付いて最近は扉が無いものが普及してきた。

【急所63】設備への考え方:設備はチューンナップできて一人前。内製化でオンリーワンを目指せ。

どんな仕事でも、プロと呼ばれる人たちは、自分の使う道具の調整や改造はできて当たり前だ。ときには道具自体を造ったりする。買ってきたまま使っているレベルなら、それはアマチュアの仕事なのだ。

出来ていないなら、まずはメンテナンスから始める。日常点検や給油といったレベルから、もう一歩進めたメンテナンスをし、次は一部分でいいから分解してオーバーホールをする。最初は専門家に頼んでも、その作業をじっと観察・研究して、自分たちでできるようにしていく。

徐々に実力を向上させていき、設備に独自のチューンナップを施せるようになったら一人前だ。安く速く他にない製品を造れるようになる。

最終的に、自分たちで設備自体を内製化できるようになれば、圧倒的な強みを持つことができ、間違いなくオンリーワン企業になれる。 

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