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第1章世界より速く動くための仕事術

一生懸命やっているのに、仕事が終わらない。

がんばっているのに、思うように仕事がはかどらない。

そして、そんな状態が続いている――。

これは、そんなあなたの悩みを根本的に解決する本です。

はじめにはじめまして、ピョートル・フェリークス・グジバチです。

ポーランドに生まれ、2000年に来日し、モルガン・スタンレーのラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデント、その後、グーグルでアジアパシフィック地域の人材開発、グローバルな人材教育戦略などに携わってきました。

現在は、企業戦略やイノベーションに関するコンサルタント、管理職育成や「新しい働き方といい会社づくり」を支援する仕事をする傍ら、人事テクノロジーのベンチャーや新規事業開発プロジェクトなども手がけています。

16年間日本に住み、モルガン・スタンレー時代から合気道をはじめ、禅にも興味を持って勉強するなど、日本びいきでもあります。

さて、みなさんは、グーグルというと、どんなイメージを持たれるでしょうか?検索サイト、最先端の企業、福利厚生がしっかりしている……など。

そのどれもが正解ではあるのですが、中で仕事をしていて印象的だったのは、世界より速く動いて成果を上げなければいけないというグーグルの強い使命感です。

常に今の10倍の成果を上げよう、そのためにはどうしたらいいかと考え、それを実現しているのです。

たとえば、1997年にグーグルの創立者であるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの二人がGoogle.comをドメインとして登録したときには、そのブランド価値は0円だったかもしれませんが、2016年にはおよそ14兆5000億円を超える価値になっています。

また、年間の生産性は、従業員一人あたり1259万円。

同じ計算で日本の大手企業と比べるとパナソニックは300万円、日立製作所は311万円となりますので、その4倍近い生産性があります。

こうした差は、仕事のしかたや、組織のあり方などから生まれるものだと思います。

さて、この本を開いたみなさんの中には、「なかなか仕事が終わらない」「大事な仕事をしたいのに、どうでもよい仕事に追われて何もできない」などと問題を抱えている方もいるでしょう。

だとしたら、本書でご紹介することは、なんらかのお役に立てるはずです。

日本企業は、なぜ生産性が低いのか僕は仕事がら、日本企業にお邪魔させていただくことが多いのですが、そこで気づくことがあります。

これは、「なぜ、みなさんの仕事が終わらないのか」という問題にも通じることだと思ったので、先に理由をいくつか挙げておきたいと思います。

1持ち帰って検討しすぎる日本で仕事をしていて気づいたのは、「持ち帰って検討します」と言って先延ばしにするケースが多いことです。

僕は大抵の作業は、その場で終わらせるようにしています。

小さくても何かひとつのことが終わると、もうその仕事のことは頭から消え、次の仕事に気持ちを切り替えることができます。

仕事を「持ち帰る」と、いつまでたっても終わりません。

どうしてもその場で解決できないときでも、「今その場でわかること」「今返事できること」を見つけて少しでも進めておくべきです。

2分析・検討しすぎる日本の企業で研修をしていて思うのは、「検討しすぎる」ということです。

筋道を立てて考えることはたしかに大事です。

でも、その場の「直感」にも、実は、大きな意味があります。

「直感」はただの思いつきではありません。

今までのあなたの経験の積み重ねからもたらされるものです。

あらゆることを「検討」してから何かを始めるのではなく、まず「直感」に従ってみる。

論理的に考えた結論が「直感」に反するときは、「直感」を信じてみる。

そのほうが、いい結果が得られることも多いはずです。

日本では、マッキンゼー流のロジカルシンキングが流行っていて、ロジックツリーやフレームワークを使って考えを深めていく人もいますが、そうやって分析することと、新しいアイデアを発想することは、実はまったく別物です。

ロジカルシンキングというのは、考えをまとめて誰かに伝える、つまり「アカウンタビリティ(説明責任)」を果たすときは強力な武器となりますが、クリエイティブに考えるためのツールではありません。

新しいアイデアは、様々な材料をテーブルに並べながら、「直感」に従ったときのほうが出るものです。

企業にもクリエイティブな発想が求められている今、そろそろ「マッキンゼー・ブロック」から離れたほうがよいのではないかと思います。

3打ち合わせ・会議など多くのコミュニケーションがコスト・ムダにしかならないみなさんが仕事の中で最もストレスを感じるのは、コミュニケーションコストが高すぎることではないでしょうか?「意味不明の会議が多すぎる」「何度も同じ説明をしなければならない」「相談したいのに上司がいつもいない」、あるいは、「部下の細かいミスが気になり、自分の仕事が終わらない」――。

そんな日本の企業を見て思うのは、コミュニケーションツールがうまく使えていないな、ということです。

直接会ったほうが速いのに、メールで何度もやりとりをしていたり、「現物」がないまま言葉だけで議論するから、イメージが食い違ったりして、頻繁にやり直しが発生していたり……。

たとえば、文章をプロジェクターに映して、みんなの前で文書をつくってしまえば合意もとりやすいですし、言葉よりも「プロトタイプ」(試作品)を見ながら意見交換したほうが、イメージが湧きやすく、より建設的に物事を進められます。

仕事を劇的に変えることが生き残る道になるそして最後に、この本で一番みなさんにお伝えしたいのは、「自分の仕事を壊す」ということです。

自分の仕事を自分でしなくて済むようにすることこそ、究極的な「効率化」であり、今後生き残るために必要なことです。

IT(情報技術)やAI(人工知能)に仕事が奪われると恐れる人がいます。

蒸気機関による機械化(第一次産業革命)、電力革命と大量生産(第二次)、コンピュータとインターネットによる情報革命(第三次)に続く第四次産業革命で、人間がすべき仕事の内容はどんどん変わっていきます。

僕自身も、5年後にどんな仕事をしているか、まったく想像がつきません。

でも、それを恐がっているわけではありません。

むしろワクワクしています。

こんな時代には、「自分の仕事がなくなる」ことを恐れるのではなく、むしろ「どうしたら自分の仕事をITに置き換えられるか」「どうすればもっと自動化・省力化できるか」を考えてほしいのです。

自動車の「自動運転」が典型的ですが、人がやっていた仕事を機械で置き換えた人が勝つ状況になっています。

動画ストリーミングサービスのネットフリックス(Netflix)も、かつては宅配レンタルDVD業者にすぎませんでした。

DVDという物理的なモノをなくし、人手を介した宅配サービスをネットに置き換えたことで、一気に自動化が進みました。

ほかにも、メディアを持たない世界最大のメディアカンパニーのフェイスブック(Facebook)や、ベッドを1台も持たない世界最大のホテル事業者・エアビーアンドビー(Airbnb)など、業界を破壊するような企業が続々と登場しています。

空いた時間に自分の車を使ってタクシー業務ができるライドシェアのウーバー(Uber)も、そのうち自動運転が主流になり、ドライバー自体不要になるかもしれません。

同じことは、みなさん一人ひとりの仕事でも実現できます。

積極的に自分の仕事をITに置き換えていけば、そこであなたは仕事を奪われる側ではなく、その業界の次の形を創造する側に立てるかもしれません。

そこまでいかなくても、空いた時間で別のことをして、より成果を上げることができるでしょう。

毎年同じことをしているだけだと、その仕事はきっと機械に取って代わられてしまうはずです。

今みなさんに求められているのは、その時間で新しいことを始めることなのです。

大事なのは、時代の変化にただ流されてしまうのではなく、その変化より速いスピードで動けたら、時代に取り残される心配はなくなる、ということです。

時代の変化より速く動けたら、時代を先読みして、自分が変化を起こしていけるようになるかもしれない。

自分が変化に踊らされるのではなく、自分が変化をコントロールするようなイメージです。

そのためには、去年の1割増、2割増を目指すのではなく、いきなり10倍の飛躍を目指すグーグルの「10x(テンエックス)」の考え方も、みなさんのヒントになるかもしれません。

10倍の成果を出そうと思ったら、従来の延長線上の発想ではとても間に合わないので、仕事のあり方そのものを根本から考え直さないといけないからです。

世の中には、効率化やスピード化に関する様々なライフハックが出回っています。

でも、たとえばキーボードのショートカットをたくさん覚えて1分1秒短縮したからといって、劇的な変化は起きません。

そもそもなぜ効率化するかといえば、仕事を1時間早く終わらせることがゴールではありません。

時間を効率的に使うことで、より大きな仕事をし、より多くの人の役に立ち、その分利益も上げること。

これが本来の目的です。

そういう視点から考えれば、「1分1秒短縮する」ことの無意味さを感じてもらえるのではないでしょうか?最後に少し大きな話になりましたが、別に難しいことではありません。

その気になれば、誰でも取り組めることばかりです。

僕はグーグルで仕事をしていましたが、スタンフォード大学やコロンビア大学などの優秀な大学を出たわけではありませんし、裕福だったわけでもありません。

むしろ、高校に進学したのは僕ひとり、というようなポーランドの田舎の小さな村で育ちました。

それでも周囲の常識に流されるのではなく、自分で世の中を見て、考えて動いてきました。

エリートでなくても、やり方がわかれば、うまく仕事を回せるのです。

なお、そんなに根を詰めて仕事をしていて疲れませんか、というお話もいただくので、リラックスのしかたも紹介していきます。

気持ちに余裕がなくなると、いい仕事はできないからです。

僕が生まれたポーランドは、途中で資本主義が導入されました。

多くの人の期待とは裏腹に、失業者があふれ、僕も高校をやめてドイツに出稼ぎにいくことになりました。

そこで、僕は、たった1日で、職人であった父が2~3か月で稼ぐのと同じくらいの給料を手にしたのです。

そのとき僕が感じたのは、「変化は突然やってくる」ということ、そして、「自分も変わっていかなければならない」ということです。

今は世の中が変化していく時代です。

本書でみなさんが、今までとは違う時間軸で仕事を進め、よりよい人生を送れるよう、心から願っています。

2017年1月ピョートル・フェリークス・グジバチ

目次はじめに第1章世界より速く動くための仕事術1回で終わらせる「持ち帰ります」で多くの人の時間がムダになる「持ち帰って検討」しない結論を「次」に回さない「自分の役割の隣」を考える「わからないときに何をすればいいかがわかる人」が成功する「今」の密度に気を配るメールに時間を奪われてはいけないメールせず、全員で同時に作業すれば10分の1の時間で終わる日程調整にメールを使ってはいけないスピードのためにも英語は必須直接会うほうが何倍も速い!メールは「持ち帰り文化」、チャットは「リアルタイム文化」アクセス制限は競争の阻害要因でしかない「なるはや」に期限を設ける依頼する人がプライオリティをつけるルールアイデア出しも期限を切るあえて締め切りを前倒しする今この瞬間に集中する……余計なことに頭のリソースを使わない洋服選びに時間をかけない「今この瞬間」の目的を明確に持つ先読みして、その場を自分でコントロール曜日でやるべきことを分ける自分が働く環境に「責任」を持つ第2章ロジカルシンキングなんてしている暇はない!論理や分析より「ひらめき」が大事結論のない分析は意味がない何のための分析なのかクリエイティブな発想には集合知を活用せよ発想のヒント(クルー)を大量に用意するカオスをつくり出して頭を活性化する集合知こそクリエイティブな発想を生む「ひらめき」は新しいつながりをつくること競合「分析」からは新商品は生まれない一見、無関係のものをつなげることに価値があるロジックが必要なとき、センスが必要なときユーチューブでの失敗マネするだけでは差別化できない企画会議にプレゼンはいらないプレゼン形式の会議は、発想が広がらないほしいのは「評価」ではなく「結果」ひとりよりみんなで考える東京はアイデア出しのパワースポット違うタイプ・立場の意見を積極的に取り入れる第3章忙しくても、10倍の結果を出すために10%アップではなく10倍を目指す!ルールを破らないと、10倍は達成できない「プチKY」になるリスクは、「成功する」ために考えるもの「前年比10%」という目標の間違い「20%ルール」の上手な使い方次のステップに進むために「自分の仕事」をなくすThinklikeanowner10xで成功する人の共通点第4章仕事の加速度を上げる人間関係のつくり方言葉よりも「プロトタイプ」でやりとりせよやりとりのムダをなくす方法上司がコスト!部下との打ち合わせは、週1回きっちりとればいいメンバーの話しやすいスタイルで「上司の使い方」を提示するなぜ、ピョートル神社が僕の机の上に建てられたのか部活で職場の「心理的安全性」を高める信頼しているからこそ、いたずらできるいかに心理的安全性をつくるか

「フィードバック・ループ」をつくる相手の意見の全否定は絶対にダメ日本企業がもともと持っていたもの仕事のレベルを上げるのは作業ではなく「人」である誰と一緒にいるかで人生が変わるキーパーソンに会って何を話すかパワーを持っている人を見抜く力人間関係の優先順位を変える狙った人とつながる「Take」ではなく「Give」キーパーソンと近づく方法大勢が参加するパーティーで印象に残るにはフェイスブックでつかず離れずの距離を維持する第5章必要なことを高速で学ぶ方法学ぶべきは、コンテンツではなく経験値である「検索時代」の学習の基本学びにつながる「質問」のルール質問をするなら、仕事ができる人に職場で「学ぶ」仕組みフィードバックで自分が気づかない情報をもらう仕事の前に行なう「フィードフォワード」研修より実践で自信を磨くコミュニティで学ぶ複数のコミュニティに顔を出す違うジャンルの人を排除しないSNSを学びに活用するひとりよりも、巻き込んで動く「for」と「with」なぜ、学ぶのか変わり続ける学び続ける第6章グーグルの疲れない働き方パソコンを閉じる時間を意図的につくるマインドフル・ミーティング同時進行の時間と、集中して仕事をする時間を分けるマルチタスクにもコツがある感情の起伏に対処する昼寝・おやつ・リラックスは自己責任性善説で会社を動かす終章自分の仕事を壊せる人が、次の時代をつくるAIに仕事をとられないために時代をどう読むかテクノロジーと親しくなるために話題のアプリはとりあえず試してみる細かな技術はわからなくても、波に乗れる変化を恐れるな習慣の奴隷になっていないか会社を出たときの自分の値段を知る「昨日と同じ」では、仕事をしたことにならないポーランドの民主化がもたらした爪痕今の世界は決して当たり前じゃない

1回で終わらせる仕事の生産性を決めるのは、「今」の使い方ではないかと思います。

後ほど紹介しますが、グーグルでは10倍の成果を上げるために「今やる」「今やらなければ、いつやるのか」という意識が強いのです。

「今すぐやる」ことは、スピード時代を生き抜くには欠かせない能力です。

ところが、「今すぐやる」という言葉ほど誤解を受けやすい言葉もありません。

ただ「今やらなければ」と焦って、優先順位もつけずに目の前のことをどんどんやる、ということではないのです。

「今どれだけの成果が出せるのか」「今どれだけ仕事を進めることができるのか」というアウトプットも含め、後回しにしないということです。

もちろん千載一遇のチャンスのときは「今着手する」ことが大事なのですが、そうでない場合も「今どこまで動かすか」という意識があるかどうかで、その仕事の進み具合は変わってくるでしょう。

「持ち帰ります」で多くの人の時間がムダになる僕が日本に来て驚いたことのひとつに、多くの人がその場でできる仕事を「では一度持ち帰ります」「後ほど」と言って先送りにする、ということがあります。

以前、役所に書類を提出しにいったときのことです。

準備した書類を提出したものの、ある部分を記入し忘れていて、「再提出してください」と言われました。

そのとき僕は、パソコンに保存していたその書類の空欄部分を記入して、ネットプリントのサービス(クラウド上に印刷したいデータを置いておき、コンビニなどでプリントするサービス)を利用して印刷し、用意していた印鑑を押して、コンビニで買ったホチキスで書類をとめ、再度役所の受付に行きました。

その間、15分もかからなかったと思います。

すると役所の受付の方が驚いて言いました。

「どうして、こんなに早く再提出できたんですか?一度家に持ち帰って、何日か後にいらっしゃる方が多いのですよ」今度は僕のほうが驚く番でした。

「えー!?だって、また来るのは手間ですし、書類の修正なんてその場でできるではないですか?」それでも、役所の方は「こんな人ははじめて見た」と、話していました。

これは、僕の役所での一件ですが、1回で終わるところを「持ち帰る」のは、ずるずると仕事が終わらない大きな理由のひとつだと思います。

二度手間になることもありますし、この仕事が終わらなかったために、次の仕事に集中できなくなり、効率も悪くなってしまいます。

細かい話と思うかもしれませんが、こういうムダは仕事の至るところにあります。

テクノロジーでできることが増えた今、大抵のことはどこにいてもできます。

ささいなことで「持ち帰って」いては時間をとるばかりです。

「会社が自分のオフィス」なのではなく、「今、自分がいるところがオフィス」という意識を持って、「今この瞬間」で終わらせようという意識が大事なのではないかと思います。

そのために使えるツールは、たくさんあります。

ここで、「1回で終わらせる」具体例をお話ししてみたいと思います。

「持ち帰って検討」しないたとえば、顧客との打ち合わせで、社内の誰かの意見を聞かないといけない場面があったとします。

そんなとき、「では、弊社の担当者に確認してから、あらためてご連絡させていただきます」と持ち帰っていないでしょうか。

でも、会社に戻って尋ねようと思ったら担当者がいなかったり、何より自分自身も次にやらなければならない仕事がありますから、全体的として仕事が延び延びになってしまいます。

「その場で終わらせることができなかったストレス」もたまることになります。

こんなときグーグルでは、客先から直接メッセンジャー(チャットができるアプリ)で担当者に質問をして、回答をもらうのが一般的です。

すると、そのまま、顧客との仕事を先に進めることができますし、帰ってから確認してまた相手にメールをする、という手間が省けます。

あなた自身も仕事の速い人だと思ってもらえることでしょう。

「今必要なら今連絡をとる」「今決めるべきことは、今決めてしまう」仕事を滞りなく、早く終わらせるために大事なことです。

また、グーグルドキュメント(GoogleDocs:ウェブ上で共有できる文書作成ソフト)などの共有ツールに資料を入れておいて、どこからでもアクセスできるようにしておくことも、「今できること」を増やします。

たとえば客先で急に資料が必要になった場合、グーグルドキュメントに入れておけば、すぐに渡せます。

会社に帰ってメールを送って……という手間がなくなり、すぐ次の仕事にとりかかれます。

結論を「次」に回さない先送りといえば、結論・決断も先送りしてはいけないものです。

会議を開いたものの何も決まらないというのでは、その後の進捗に大きな影響が出ます。

たとえば、社内の会議で何か問われて、答えられなかったがために結論が先送りになる、ということはないでしょうか。

そんなときでも「今」できることはあるのです。

たとえば、「今わかるのは、これだけです。

だからここは決めておいて、この部分は来週確認して持ってきます」と分割すれば、決定部分だけでも進めておくことができます。

仕事を速く進めたいなら、「結論を出す」ことに期限を切ることです。

明日までに決めるべきなのか、来週まで余裕があるのか。

それとも、とことん考え抜いたほうがいい案が出そうなら、ギリギリいつまで待てるのか。

お尻を決めることで、そこまでに集中して問題解決に当たるのです。

締め切りがない仕事は、いつまでもダラダラと先延ばしにしてしまいがちです。

この日までに必ず終えるという責任感が、「今この瞬間」の集中力を高めてくれます。

動くというのは、意思決定の結果です。

「こうしよう」「これはやめよう」「こっちにしよう」という決断を次々と下していくことが、スピーディな動きにつながります。

動きが遅いのは、決断するのに時間がかかるからです。

「こっちもいいけど、あっちも捨てがたい」と優柔不断な態度でいると、いつまでも次の一歩が踏み出せません。

失敗を恐れるあまり、「この選択はリスクが大きすぎる」と行動に移せない人もいます。

「これをしない」というのも決断ですが、「するか、しないか、わからない」というのは決断の先送りにすぎません。

もちろん、人生の岐路に直面したときは、すぐに結論を出さずに一歩離れて問題を俯瞰してみたほうがよいときもありますし、時間が解決してくれるタイプの問題もあります。

しかし、ことビジネスに関しては、決断を先送りにしていいことはほとんどありません。

「自分の役割の隣」を考える「わからない」「自分では判断できない」ときは、相手に返答もできず、その場で話が滞りがちになります。

でも、「わからない」ことの多くは、人間関係でカバーすることができます。

考え方のコツとしては、「自分の役割の隣」を考えることです。

たとえば、相手からの要望があったとして、自分だけでは判断や処理がしきれないと思ったら、自分の役割はここまでだけど、その隣の役割は誰が担当しているのだろうか、と考えればいいのです。

その人がすぐ答えられるものなら、その場で電話して聞いてもいいでしょう。

その後、「隣の役割」の人に実際に動いてもらう必要があるときは、その人にOKをもらってから、上司に報告し、上司から相手の上長に連絡してもらうという形をとるのが速いと思います。

結局、仕事は問題解決です。

ひとりでできるならひとりでやればいいですが、ひとりで解決できない大きな問題も出てくるでしょう。

そのとき「これは手に負えないから解決しません」と言ってしまうと、そこで終わりです。

要は、自分の範囲はここまでだからできない、というのではなく、問題解決するのに必要なリソースを集められるかどうかです。

その意味では、「この問題を解決するには、これとこれが必要だから集めていきましょう」ということを相手に伝えるのも、その場での解決法のひとつです。

こうして自分でできる仕事だけでなく、より大きな問題を解決していく人が、最終的に出世していくのです。

「わからないときに何をすればいいかがわかる人」が成功する何も意思決定のできないコミュニケーションは、すごくムダです。

相手が新しい条件を出してくるたびに、持ち帰っていたら、物事は何も進みません。

でも、自分がどう問題解決したらいいかわからない状況でも、一歩ずつなら前に進めるのです。

自分の範囲を超えた問題にぶつかると焦るかもしれませんが、結局「わからないときに何をすればいいかがわかる人」が成功するのです。

そんなときにできるのは次の3つです。

①「わかっていること」と「わからないこと」を切り分けるわかっていることと、わからないことをその場で切り分けて、「わかっていること」から手をつけます。

一部分だけでも手が打てれば、ドミノ倒しのように、わからなかったところに対処できるようになることがあります。

僕は、わからないことがあるときは、「わかること」と「わからないこと」をリストアップしていきます。

すると、「わからない」ことが明確になり、「わかること」から対処していくことができます。

もやもやとして動けないときには、手を動かすことをお勧めします。

打ち合わせや会議の途中なら、「ここまではわかりますので、こうしましょう。

一方、この部分は、今はわかりませんが、弊社の○○が詳しいので、社内で相談して新たなご提案をお送りします」といったふうにできるとよいと思います。

②質問をするこんがらがって「わからない」ものを整理するために必要なのは、「質問」です。

何が原因で何が結果なのかわからないときでも、「何が本質的な問題なのか」「そもそも何が起こっているのか」など、適切な質問をすることで、少しずつでも前進することが大切です。

図1-1に、私がよく使う質問を挙げておきます。

③時間をとる戸惑ったから動かないというのではなく、「じゃあちょっと休憩しましょう」とか、「散歩しましょう」と、時間を置いてみるのも、ひとつの方法です。

どんな状況であれ、少しずつでも動かしていかないと解決に向かうことはありません。

持ち帰ったり調整したりするだけでは、時間が余分にかかるだけで、どこにも進めないのです。

仮に持ち帰るとしても、進められるところは進めて、次の課題を明確にしておきましょう。

「今」の密度に気を配るこうしてみると、「今」できることは、もっとあるのではないでしょうか。

たとえば、同時に2つのことをする工夫もできます。

今は大抵の本が電子化されているので、電子書籍を買いますが、以前は紙の本を全部スキャンして、OCRで読み込んでパソコンに取り込んでいました。

これを音声リーダーに読ませれば、車を運転しながら必要な本の内容を知ることができます。

また、デジタル化してキーワード検索がかけられるようにしておくと、「これってどこに書いてあったっけ?」と探す時間もなくなります。

結局、何を優先するか、ということです。

コンビニで小銭で支払う人は時間がかかる。

後ろに並んでいる僕は、Suicaをピッとかざすだけです。

ムダな1分、ムダな3分を集めていけば、1日で1時間くらいにはなるはずです。

1日1時間なら、1か月で30時間、1年で365時間。

それだけあれば、かなりのことができるはずです。

たとえば、新しい知識を入れるために本を読む。

1日1時間読書にあてれば、週に2~3冊は読めるでしょう。

その時間に瞑想すれば、心身を健康に保ち、リフレッシュして次の仕事に入れるはずです。

・1回で済ませる・その場で、今この瞬間に終わらせるこうした意識を持って、今に集中して仕事をすると、その時間に得られる結果の密度も高くなり、仕事も速くなっていきます。

メールに時間を奪われてはいけないみなさんが日頃使っているツールの中で、グーグルでは、意外と使われていないものがあります。

何だと思いますか?実は、それは、メールなのです。

「毎日使っているし、メールは欠かせない」「メールがないと、仕事にならないよ」と言う人もいると思いますが、一方、こんな不満もあるのではないでしょうか?「1日中メールの処理に追われて、自分の仕事が何もできなかった」「メールのやりとりに忙殺される」これでは本末転倒ではないでしょうか?グーグルで働く人たちは、そのあたりが非常に上手です。

様々なツールを使い分けて、煩雑なやりとりを減らしてしまいます。

具体的にどんなことをしているのか、ご紹介しましょう。

メールせず、全員で同時に作業すれば10分の1の時間で終わるミーティング後、誰かに「今回の内容をまとめておいて」と頼んだり、打ち合わせをした内容をもとに「企画書」「報告書」をつくることもあると思います。

当然、打ち合わせをした後、自席に戻って作業をする必要が出てきます。

さらに、できあがった報告書の内容を何人かで確認するとなると、それぞれの待ち時間もあって、なかなか仕事が終わりません。

グーグルでは、こんな仕事は「その場で1回」で終えてしまうのです。

グーグルのオフィスには、ミーティング用の部屋に必ず大きなスクリーンが設置してあります。

議事録をとるのも、資料を作成するのも、誰かがひとりでパソコンに向かって書き込むのではなく、クラウド上のグーグルドキュメントに全員が同時に書き込めば、その場でほとんどできます。

ただし、そのとき全員がパソコンの画面とにらめっこしていると、議論が盛り上がらないので、みんなが書き込んでいる文書を部屋のスクリーンに映し出しています。

そうすれば、みんな顔を上げて、スクリーンで確認しながら、議論を進めることができるわけです。

すると資料の骨格くらいはその場でできてしまいます。

このやり方は、ミーティングに限らず、プロジェクトを進めるときにも有効です。

よくあるのは、誰かがワードやパワポで文書を作成した後、メールに添付して送信し、それを見た人が必要なコメントを書き込んで返信するというやりとりです。

同じ名前で保存してしまうと、誰がチェックしたバージョンかわからなくなってしまうので、「バージョン1」「バージョン2」のように数字を入れたり、「日付」や「チェックした人の名前」を入れて保存し直したりするわけです。

しかし、いちいち名前を変えるのは面倒で、間違いが起きやすいし、ムダな時間が発生します。

そもそもグーグルでしたら、ファイルを添付してメールで送るという方法はとりません。

メールで、「資料をアップしたので、必要があればいつまでに修正してください」と、グーグルドキュメントのリンクを添えて関係者に流しておけば、各々が各自で考えて修正を入れてくれます。

そして、締め切りがきたらそこで終了です。

この方法だと、すぐに完成させたい場合は、チャット機能や、ビデオ会議のできるグーグルハングアウトなどでお互いに話しながら、すぐその場で完成させてしまいます。

常に最新バージョンを全員で共有できるので、文書のバージョン管理からも解放されます。

編集してメールで送ってまた編集して、というのでは、時間のロスが多すぎる。

メールのやりとりではなく、その場のやりとりで仕事を完成させてしまうのです。

最近は、社外の人とも連携してひとつのプロジェクトを動かす機会が増えているので、クラウドサービスの利用は必須条件ともいえます。

これを利用すると、進捗管理などもわざわざ人を集めてやる必要がありません。

全員が共有ファイルにアップして、それを確認すればよいだけです。

そもそも順調なら報告しませんし順調でなかったら相談します。

それだけのことではないでしょうか?なお、グーグルのことばかりだと宣伝のようなので付け加えると、マイクロソフトのOffice365や、アップルのiCloudもクラウド上でファイル共有できます。

日程調整にメールを使ってはいけないメールのやりとりのうち、かなりの割合を占めるのは、日程調整です。

そしてこれが意外と面倒な仕事でもあります。

全員にメールを送っても、都合が合わない人がいると、また再度仕切り直して日程調整のメールを送る。

みんながすぐに送り返してくれるわけではないですし、招集する側にとっては一苦労になります。

実際、僕もある会社との打ち合わせの日程を決めようとしたときに、そんな場面に出くわしました。

「次は他部署の人も入れて会議をしたいので、日程を調整します」と言われてから2日間。

この仕事は、2日間もかけて行なうべきものなのでしょうか?もちろん、なんの成果もあげない仕事に、時間を使ってはいけません。

そんなムダを避けるためには、日程調整にクラウドサービスを使うことです。

最近は、社内のスケジュール管理システムで、会議室の予約ぐらいまでならできる企業は増えてきたようですが、グーグルカレンダーなどのクラウドサービスを利用すれば、できる範囲はグンと広がります。

たとえば、グーグルカレンダーを必要な人と共有して、会議などの予定をどんどん入れてもらいます。

そして、自分のカレンダーを開いてみると、いつのまにかミーティングの予定が入力されていて、クリックすると参加メンバーと会議のアジェンダが確認できる。

さらに事前配布資料もアップされている。

そこまで準備ができていれば、ミーティングの当日はいきなり本題に入って議論を深めることができます。

部下との面談も、空いている時間に勝手にどんどん入れてもらえば、調整のためのやりとりが不要になります。

どうしても急な用事が入ったときは、スケジュールを変更してもらう必要がありますが、それはカレンダーの日程を変更するだけで、相手にすぐ共有されます。

普段から、「忙しいからズラすだけで、あなたたちのことを嫌っているわけではない」と伝えておけば、いちいちメールで確認しなくても大丈夫です。

このやり方は、特に管理職の方はぜひ実践していただきたいと思います。

上司の承認を得られればすぐにスタートができるのに、また、一言相談したいだけなのに、なかなかタイミングが合わずに時間だけが過ぎていくこともあります。

カレンダーを共有しておけば、部下もその時間に合わせて、声をかけたり相談しにいくことができますので、全体のスピード感が上がるのです。

「今日、大丈夫ですか?」「いつなら空いていますか?」と、部下が頻繁に聞くようなら、上司のあなたが部下の時間を奪っているともいえます。

僕もカレンダーは、空いている時間だけを公開する設定にして、多くのお客さんと共有しています。

そのおかげで、調整に手間取ることはほぼありません。

なお、グーグルカレンダーは共有範囲をグループごとに選べるので、プライベートの予定も必要な人と共有することができます。

社内システムとは別に個人のプライベートなスケジュールを管理するのは意外と面倒なので、すべてひとつのカレンダーにまとめておいて、共有範囲だけをグループごとに使い分ければ、ダブルブッキングなどのミスも防ぐことができます。

たとえば、夫婦でカレンダーを共有して、夜の予定をお互いに書き込んで、夕飯が必要かどうかを確認している人もいるそうです。

いちいちメッセージでやりとりするよりも、あらかじめ予定を書き込んで、水曜日は残業になりそうだから外でご飯を食べてきて、といったことが、カレンダーをチェックすれば、わかるようになっているわけです。

カレンダーもうまく使えば、メッセンジャーやチャットのやりとりよりも、コミュニケーションがスムーズになります。

日程調整というのは、何も生み出さないムダな作業の典型です。

時間をうまく使いこなすには、そういうところから発想を変えていく必要があります。

スピードのためにも英語は必須意味のない仕事をなくすということでいえば、コミュニケーションを英語中心にするということも、特に海外とのやりとりが多い方にとっては重要なことです。

通訳がいれば大丈夫、文書も翻訳するから問題ないと言うかもしれませんが、英語の文書を日本語に翻訳するだけで、時間とコストが二重にムダになります。

英語のメールや資料が送られてきて、誰かが日本語に訳して伝え、それに対して日本語でコメントを加え、さらにそれを英語に翻訳して送り返すというだけで、まったく付加価値を生み出さない仕事に数日が費やされます。

グーグルでは、本社や他の支社とのやりとりは当然すべて英語です。

日本人同士でも英語で文書のやりとりをしています。

最初から英語で書いていれば、何かあったときに、そのままccで外国人のメンバーに転送することができるからです。

直接会うほうが何倍も速い!メールではうまく意思の疎通ができず、かえって仕事が遅くなることもあります。

何回メールのやりとりをしても、相手の意図がつかめず、なかなか合意にいたらない。

だったら、電話するか直接会って話せばいいのです。

どれだけ便利になっても、最後は相手の顔を見て話すことに意味があります。

オンラインチャットに書き込んでいる最中でも、「じゃあ、直接話そうか」と言って、ハングアウトを立ち上げて、いきなり会話を始めます。

表情が見えると、お互いに考えていることがダイレクトに伝わるので、文字だけや音声だけのやりとりよりもはるかに効果が高いと実感しています。

実際に会えば、先送りすることもなく、その場で問題が解決していきます。

今や、エレベーターを修理している作業員とエンジニアをビデオチャットでつなぐことで作業を効率化した、フジテックの友岡賢二さんのような例もあります。

実はグーグルは、小さなミーティングが意外と多い会社なのです(IT系企業だからすべてメールで行なうのだろうと思っていた方は、驚かれるかもしれません)。

それもあって、社内に共同スペースはもちろん、テーブルやカフェテリアなど、一緒に座って会話できるスペースが多いのです。

そしてグーグルのミーティングは、かなり効率的です。

「今、この問題を決定するために誰が必要か」を押さえたら、「今ちょっといい?」とそれぞれに伝えて、その場で4~5人ですぐ集まって、パパッと終わらせます。

会議というと、参加者のスケジュールを調整して会議招集のメールを出す、という企業が多いようですが、それだと時間も手間もかかります。

でも、「今ちょっといい?」と言われれば、意外とすぐに集まってもらえるものなのです。

会議はただ集まるのではなく、アウトプットを出すことが目的なので、アウトプットを出すために最適なメンバーを集めます。

毎週同じ曜日の同じ時間に行なわれる定期的な会議でも、毎回必ず全員参加と決めつけるのではなく、重要なメンバーが出張などで不在なら延期したり、会議のアジェンダによってメンバーを入れ替えたりしながら、必要に応じて臨機応変に回していくほうが、実のある内容になります。

期待したアウトプットが出せないようなら、その会議はキャンセルしたほうがいいこともあります。

メールは「持ち帰り文化」、チャットは「リアルタイム文化」こうして考えると、メールは意外と「面倒」を増やしているのです。

この違いは、メールとチャットの違いをイメージするとわかりやすいと思います。

メールはまず送り手が文章をまとめ、受け手がそれに返事をすることでやりとりが成り立ちます。

1往復するだけで1日、場合によっては数日待たなければいけません。

しかも、1回のやりとりだけで問題が解決しない場合、結論が出るまでに1週間以上かかることも珍しくありません。

こうした、ひとりの人が数日かけて作業を終えてから次の人にバトンタッチし、次の人がまた数日かけて自分の分の作業を終えてから、さらに次の人にバトンタッチするという従来の仕事のしかたは、よく考えてみると、非常に非効率なことがわかります。

次の人がすぐにその仕事にとりかかれるわけではなく、バトンタッチするたびに、待機時間が発生するからです。

それだけではありません。

もし、この一連の仕事のチェーンの中の誰かの仕事のクオリティが低くて、やり直しを命じられたとすると、それ以降のすべての予定が後ろにズレます。

こんなやり方では、どうがんばっても、スピーディに成果物を生み出すことはできません。

一方、メンバーが一堂に会するオンラインチャットなら、対話をしながら意見を集約して、その場で結論を出すことができます。

バラバラに作業をしていると何日もかかることでも、時間を決めて関係者全員が集まれば、一気に結論まで出せるのです。

しかも、今は「オンライン」でいつでもどこでもつながれるので、物理的に一か所に集まる必要はありません。

時差の問題はありますが、日本と米国とインドで同時にプロジェクトを進めることもできます。

僕は今、ニューヨークにコンサルティングのパートナーがいて、自分自身がやっているベンチャーのメンバーは、シリコンバレー、ブラジル、ウクライナにいます。

世界中に散らばった人たちが、日本の僕らのところに報告してきます。

おもしろいのは、それだけ頻繁にビデオチャットで顔を合わせていると、日本にいるか、ニューヨークにいるか、ロンドンにいるか、関係なくなってくるということです。

唯一気にするのは、現地は今、寝ているか起きているかだけ。

それ以外はほとんど物理的な距離を感じることがなくなってきています。

ラーメンで有名な一風堂の清宮俊之社長も、ハングアウトを使って海外とやりとりをしているそうです。

日本で無料で利用できるビデオ通話では、LINEやフェイスブックのメッセンジャー、アップルのフェイスタイムの普及率が高いので、一般のビジネスユーザーにとっては使いやすいのではないでしょうか。

僕のビジネスパートナーである経営コンサルタントの石原明先生は、顧客との打ち合わせ中、LINEを使って、今考えている仮説などを色々な人たちに確認しています。

また、石原先生は、いくつものベンチャーの立ち上げにかかわり、資金調達のサポートもしていますが、投資家たちとLINEでリアルタイムでコミュニケーションをとっています。

最近担当したある案件では、メールよりもLINEでコミュニケーションをした人たちのほうが速く投資できたそうです。

メールというのは、持ち帰り文化です。

いったん持ち帰って検討してから返事をする。

でも、チャットというのはリアルタイム・コミュニケーションです。

その場で全部解決します。

このスピード感の違いが、仕事の面で生きてきます。

みんなで集まって一気に解決まで導くというのは、10倍の成果を出す、10分の1の時間で成果を出すためのやり方のひとつです。

クラウドサービスなどのツールをうまく使いこなせば、仕事のしかたも根本から見直すことができるのです。

アクセス制限は競争の阻害要因でしかないここまでツールを使った仕事の進め方を紹介してきました。

こうしたツールを、セキュリティ上禁止している会社もあるようですが、おかしな話だと思います。

データの入ったパソコンをどこかに置き忘れるという事態を考えてみてください。

遠隔操作でデータを消去できる仕組みを持っていればよいのですが、そうでない場合、情報が流出する可能性もありますし、そのパソコンにしかないデータなどが入っていたとしたら、そのデータはもう戻ってはこないかもしれません。

一方、共有ツールだけで作業をしていたとしたら、別のパソコンからすぐにネットにつないで、リモートで情報を消すことができるわけです。

そのパソコンにエクセルファイルや様々なデータが入っているほうが、かえって危ないと思います。

また情報収集の面からも、遅れをとります。

日本の大企業は独自の社内システムを使っているところが多く、外部サイトもアクセス制限がかかって見られないケースがよくあります。

たとえば、ユーチューブが見られないと、話題の動画やCM、映画の予告編などもチェックできないし、フェイスブックが見られないと、社外の人とのメッセージのやりとりができないこともあります。

そのため、個人所有のスマホでフェイスブックにアクセスして、社外の人たちとつながることになりますが、スマホに送られたメッセージを会社のパソコンで開けないと、たとえばちょっとした記事のリンクや添付ファイルを会社で確認するためだけに、自分宛てのメールに貼り付けて送り直すなどのムダが大量に発生します。

日本では利用がそれほど広がっていませんが、海外で仕事をするときは、ビジネスSNSのリンクトイン(LinkedIn)は必須アイテムです。

名刺代わりにリンクトインの記述を見て、これから会う人のことを調べることが、当たり前になっています。

プロフィールを見て、どんなバックグラウンドで、何の仕事をしてきて、どんな話をすれば相手の心に響くのか。

経歴の中に自分との接点がないか。

そうした知識を事前に頭に入れておいて会えば、話もはずみます。

はじめて会う人の名前をググったり、フェイスブックやリンクトインで検索したりするのは、今やビジネスパーソンとしての基本動作です。

ところが、SNSというだけで、フェイスブックやリンクトインにさえアクセスできないとしたら、情報収集の面で決定的に遅れが生じます。

クラウドサービスというのは本来、どんなデバイスからも同じようにアクセスできることが売りなのに、社内のレガシーシステムがあまりに古臭い考え方で運用されているために、そうした利点をまったく活用できないとしたら、事態は思った以上に深刻です。

そんな悠長なことをしていて、本気でテック系のベンチャーとの勝負に勝てると思っているのでしょうか。

社内のIT担当者=パソコンのトラブルを解決したりセットアップしたりする人、になっているところも多いですが、今後は、パソコンをどう使って競争力を高めていくかということを考えるようになってほしいものだと思います。

「なるはや」に期限を設けるみなさんの仕事の中には「期限のない仕事」も多いと思います。

その場で1回で終わるに越したことはありませんが、最悪なのが「なるはやで」とか「できるだけ早く」と言われて、なんとなく時間がたってしまうことです。

「なるはやで」のままだと、どうなるか。

なんとなく頭の中に気になる仕事があるままで、時間だけが過ぎていく。

しかも他の仕事をしていても、「なるはや」の仕事が気になって、うまく集中できません。

「とにかく早く」と頼まれると、すべての仕事が同列に並んでしまって優先順位がつけられず、結局何もできなくなるのです。

エンジニアは、スプリントといって、「期限を決めて、それに集中する」という仕事のしかたをすることがあります。

たとえば、「今回の2週間のスプリントで、こういう機能をつくりましょう」と決めたら、今はこれが大事だからと、2週間集中してがんばる。

期限を切って集中して仕事をすることで成果を出すのです。

僕は、「なるはや」でもなんでも、「依頼された案件=プロジェクト」だと思っています。

このプロジェクトを実現するためには何が必要か。

たとえば、どんな作業をしなければならないのか、お客さんに伝えるためにどんな情報を集めなければいけないのか、どんな勉強が必要かなどと、必要なことをリストアップして、期限内に終わらせる自分なりのプランをつくって、取り組んでみてはどうでしょうか。

依頼する人がプライオリティをつけるルール本当は、仕事を依頼する人が「この仕事は、こういうチャンスがあるから、いつまでに、このくらいのクオリティでやってほしい」と伝える必要があるのです。

しかし、残念ながら、部下にとにかく投げる管理職は多いようです。

上司「とにかく早くやれ」部下「わかりました」(心の中で「じゃあ、昨日頼まれたことは?どっちを優先すればいいの?」)という経験を持つ方もいるでしょう。

そういうときには、「では、昨日依頼されたものとどちらを優先すればいいですか?」と、確認するようにします。

頼まれている仕事の基準や締め切りを明確にすることは、プロフェッショナルとしての基本でもあります。

上司のほうでプライオリティが明確でないこともあるでしょう。

上司が優先順位をつけていないものを、部下がつけられるはずがありません。

だから確認してはっきりさせておく必要があるのです。

アイデア出しも期限を切る期限を切りづらい仕事もあります。

たとえば、何かのアイデア出し。

クリエイターと呼ばれる方の中には、「降ってくるまで待つ」という人もいますが、大抵の場合、そうは言っていられません。

アイデア出しも期限を切りましょう。

僕がコンサルなどの仕事でお客さんに提案をする場合は、まず30分から1時間以内などと時間を制限して、ブレインストーミングをしています。

そして、その時間内で出たアイデアを掘り下げたり、具体的な形にするディスカッションや作業に移っています。

期限を切らないと、そこで停滞してしまいます。

締め切りを意識したほうが、最終的にはよい結果が出ると思います。

あえて締め切りを前倒しする決断のスピードをさらに高めるには、あえて締め切りを短く設定するという手も有効です。

金曜日に上司が使うプレゼンテーションの資料づくりを週の頭の月曜日に依頼されたケースを考えてみましょう。

「金曜日の朝までにつくっておきます」というのでは、修正のための時間がとれません。

「木曜の午後一までにつくっておきます」といえば、上司がチェックして微調整する時間はとれますが、上司の意図から外れた資料だった場合、根本的に修正するには、残り時間が厳しい状況です。

何より木曜日までの作業が全部ムダになってしまいます。

そこで、火曜日か、遅くとも水曜日までに簡単なアウトラインだけの資料をつくって、上司に見てもらうのです。

そのとき、言葉だけで説明するとできあがりのイメージに食い違いが起きがちなので、パワーポイントで簡単なプロトタイプを作成し、「こんなデータを入れて、こんな順番で資料をつくりたいと思いますが、いかがですか?」と聞けば、上司も指示が出しやすいはずです。

デザインやレイアウトにこだわるなら、過去の資料から2~3パターン用意して、どれがいいか確認をとっておくと、後で全面的につくり直し、という事態を避けることができます。

つまり、上司からは「金曜日までに」つくるように言われたとしても、「火曜日か、遅くとも水曜日中」にプロトタイプをつくって上司に確認をとる、という締め切りを自分で設定し直したということです。

こうして締め切りを細かく分けて前倒ししていけば、アウトプットの精度が上がるだけでなく、後から修正するというムダな作業も大きく省ける可能性が高いということです。

なお、理想は、「その仕事が楽しかったから、早く終わった」という状況です。

締め切り以上に自分の気持ちを大切にできれば一番です。

今この瞬間に集中する……余計なことに頭のリソースを使わないグーグルでも取り入れていますが、話題のマインドフルネスでは、「今この瞬間」に意識を集中します。

今に集中するというのは、妄想ではなく目の前の現実と向き合うということです。

脳科学的には、人間は「今この瞬間」しか認識できません。

過去のことを思い出したり、将来のことを考えたりするのは、認識ではなく、いってみれば妄想です。

頭の中で妄想を巡らせて、意識があっちに行ったりこっちに来たりしていては、目の前の仕事に集中することはできません。

逆にいうと、よそ見をせずに、「今この瞬間」に集中すれば、最大のパフォーマンスを発揮できるのです。

実は、グーグルではこの「よそ見をしない」仕組みが、用意されているのです。

たとえば、必要だけど頭を悩ませる問題として、「今日の昼ご飯は何にするか」「顧客とのランチミーティングはどこで行なうか」「同僚と飲みにいきたいけれど、どこにいけばいいか」といったことがあります。

これらは、ほとんど価値を生まない選択ですが、意外と悩む問題です。

しかし、こんなことに脳のリソースを割いている暇はありません。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、グーグルのカフェテリアは、無料のビュッフェになっていて、そこで好きなものを選ぶことができます。

したがって、お昼に「どの店に行こう」と悩む必要はありません。

さらに、社員は、お客さんや友人・家族を呼ぶことができますので、簡単なビジネスランチをそこでとることもできます。

同僚と飲みにいきたいときも、社内のバーを使うことができます。

他にも、マッサージにいきたいと思ったら、マッサージチェアやリラクゼーションルームがありますし、日本支社では、自分の楽器を持ち込めるスタジオや、カラオケもあります。

こうしたものは、単に社員の福利厚生ということではなく、仕事以外のことを考えずに済むようになっているのです。

洋服選びに時間をかけない不要なことに頭を使わないと、仕事に集中できますし、時間が空くので新しいことに時間を使うこともできます。

そのため、僕は日常生活はできるだけシンプルにしています。

たとえば、僕は、黒いシャツしか着ません。

夏も黒のTシャツです。

色を選ぶ時間がもったいないし、黒だとジーンズにもパンツにも合ってカッコよく見えるから便利です。

同じシャツを3枚買って、それを着回せば、毎日何を着ようと迷うことがありません。

それで節約できた時間やエネルギーを、新しいアイデアを生み出したり、面倒くさい問題の解決策を考えたりすることに使ったほうがいいと考えています。

会社で毎日同じ仕事をしている人は、もしかしたら、毎日着ていく服を選ぶのに、ものすごく時間をかけているかもしれない。

シーズンごとに流行りの服を買い揃え、コーディネートを楽しむ。

それをムダだとは思いませんが、その人は、明らかに僕とは優先順位が違います。

僕は、その時間を仕事で成果を出すことに使いたいと考えているのです。

服を買うのに何店舗も見て回る時間はもったいないから、ZARAに行って同じシャツを3枚まとめて買う。

スティーブ・ジョブズも常に同じような服装でプレゼンをしていましたが、それは本当に大事だと思っていること以外に頭のリソースを使いたくないからではないでしょうか。

身の周りを眺めてみれば、ムダな時間はたくさんあります。

そういうプロセスをできるだけ整理して、無意識で回せるようにする。

ツールを使わなくても、プロセスそのものを改善することはできます。

すると必要なことに意識を向けることができます。

その一方で、新しいスマホのアプリが出たら、できるだけダウンロードして使ってみます。

僕はよくプラクティカル(実用的)な人と言われますが、こっちのほうが便利とわかれば、すぐにそれを採用します。

新しいアプリをどんどん取り入れて、時間をどんどん短縮する。

そこに一切躊躇はありません。

「今この瞬間」の目的を明確に持つ「今すぐやる」人たちは、その前提として、目的志向で動いています。

長時間ダラダラと仕事をするということはなく、「今この瞬間」に最大のパフォーマンスを発揮するために、目の前の課題をしっかり分析して、何のためにその問題に取り組むのか、いつまでに答えを出すのか、目的とゴール(締め切り)を設定してから全力で取り組んでいます。

たとえば、ミーティングのときも、ただ集まってなんとなく話をするのではなく、そのミーティングのアジェンダを事前に決めます。

何のために集まるのか、何を決め、どんなアウトプットが求められているのか、自分はそこから何を持ち帰るか、目的をはっきりさせてミーティングに参加するわけです。

会議のメンバーに含まれていたから、なんとなくその場にいる。

別の仕事が忙しいのに、しかたなく参加する。

会議の結論はどうせ最初から決まっているから、自分はいてもいなくても同じ。

でも、何も発言しないと、仕事していないと思われるのがイヤだから、適当に相づちを打つ。

そういう人は、その会議から何も得るものはありません。

いっそのこと、「私はこの会議では不要なので、別の仕事をしています」と言ったほうがスッキリします。

先読みして、その場を自分でコントロール事前に目的をはっきりさせるためには、先読みする必要があります。

先読みするのは、その場を自分でコントロールするためです。

様々な状況を想定して、「こう来たらこう返す」というシミュレーションができているから、周囲に流されずに、主体的に動くことができるのです。

誰かと会うときは、先読みして、相手にふさわしい質問を考える。

会議に参加するときは、先読みして、ゴールを設定する。

上司の依頼を引き受けるときは、先読みして、締め切りを前倒しし、プロトタイプをつくって上司に確認をとる。

外出するときは、先読みして、その場で対応できるように、パソコンとクラウド上のデータも含めて必要な資料一式を持っていく。

「今すぐやる」人は、先読みして、あらゆることに対して準備ができているからこそ、今すぐにとりかかることができるのです。

ただ与えられた仕事を順番にこなしているわけではありません。

曜日でやるべきことを分ける「今」に集中するためには、スケジューリングでも工夫ができます。

たとえば、僕は、グーグルでアジアパシフィックのトップをサポートする仕事をしていたのですが、インドにもメンバーがいるし、オーストラリア、日本、韓国、中国、シンガポールには、それぞれの国々のトップをサポートする仕事をする人がいて、そういう人たちとも連携していかなくてはならない状況でした。

するとマネジメントミーティングにも出なければならないし、国ごとの定例会もありますから、色々調整しながら、スケジュールを設定していました。

そこで心がけたのは、曜日ごとにやることをまとめる、ということです。

たとえば部下との面談は同じ日にするとか、他のチームとの打ち合わせはすべて何曜日に入れて、金曜日は打ち合わせをできるだけ削って自分で自分の戦略やプレイングの部分に力を入れるなど。

そうすると、打ち合わせの合間で30分あるから資料をつくろうといった具合に細切れ時間を活用するよりも、一つひとつの作業に集中できます。

カレンダー上にも、絶対打ち合わせを入れない時間を決めて、みんなにも共有しておけば、急な問題が出ない限り、必要なことに集中することができます。

自分が働く環境に「責任」を持つ「今ここで」成果を出すことについて話してきましたが、みなさんは「ここで」には気を遣っていますか?グーグルでは、自分が最大限の成果を出せるよう、自分の環境にみんな気を配っています。

たとえば、僕は、高さが変えられるスタンディングデスクを使っていたことがあります。

ちょっと眠くなったときに、立ったまま仕事ができる高さにすると、ちょっとした運動になって脳が活性化されるだけでなく、普通に座って仕事をするときも、自分が心地よい高さに調整をすることができます。

また、パソコンに大きいディスプレイを2台同時につなげて使っています。

複数の画面を同時に使えると、自分の机(デスクトップ)が物理的に大きくなり、色々なものを同時に広げて一覧でき、作業環境が大きく改善されるのです。

たとえば、片方の画面で資料を広げながらもうひとつの画面でチャットなどのやりとりができたり、文書を作成しながらネットの記事を参照できたりするので便利です。

他にも、自分が大事にしているものや、モチベーションを高める写真を置いたり、必要なツールを手の届くところにまとめたり、様々な工夫をしています。

さらに、グーグルでの僕のチームのメンバーは、ほとんどデスクにいませんでした。

家で働く人もいましたし、カフェテリアに行っている人もいました。

また、オフィスの中で部屋を借りて、そこで仕事をしている人もいました。

自分なりに集中できる場所で成果を出してくれるのであれば、それでかまわないという考え方です。

こんなオフィスを見て、以前、見学にきた大手企業の管理職の方が、いぶかしげな顔をして言いました。

「デスクにいないで、メンバーのみなさんが仕事をしているかどうかわかるんですか?」僕は答えました。

「アウトプットがしっかり出ているから、問題はないでしょう」相手の方はまた質問をしてきました。

「これで、どのようにアウトプットを出しているのか、把握できるのですか?」「毎週1対1でミーティングをしているから、ゴールも目標達成までのプロセスも全部把握していますよ」それでも、彼は違和感を持ったようで、「でも、隣に座っているからこそ、わかることもあるでしょう」と言ったのです。

僕はこの方は仕事というものを取り違えているのではないかと感じました。

仕事というものは、「9時から17時までここに座っていてください」というものではありません。

優れたアウトプットを出すことが目的です。

だったら、ある人が「自分は自宅のソファで仕事をしているほうがはかどる」というのであれば、それで問題はないですし、時には休憩をとったほうがよい、公園でものを考えたほうがアイデアが出るというのであれば、自分が最も効率的に仕事ができると思った環境でやればよいと思うのです。

生産性を上げたいのであれば、もう少し自分の仕事環境にこだわりを持ちましょう。

外で仕事をするのが禁止されていても、途中で散歩にいくとか、椅子が合わなければクッションを使ってみるとか、できることがあるはずです。

ルールではなく、自分が最大限の結果を出せる環境を自分でつくることも、ひとつの責任ではないかと思います。

僕は、今リクルートと組んで働き方を変える仕事をしていますが、働き方を効率化して、労働時間を短縮し、そこで家族やコミュニティを大事にしながら、社会貢献やイノベーションに携わってほしい、と考える企業は増えてきているように思います。

まとめ□「1回」で終わらせることを考える□その場で決められるところまでは決め、少しでも次に進む□メールではなく全員で1回で仕上げられる方法を探す□すべて期限を設ける□「今この瞬間」に集中できるようにする□自分が集中して働ける環境に責任を持つ

論理や分析より「ひらめき」が大事ビジネスでは、感情論ではなく、ロジックが大事だと言われます。

エビデンスにもとづいてロジックを積み上げ、理路整然と説明する。

いわゆる「できる人」というのは、早口でロジックをまくしたてる人、というイメージを持っている人もいるかもしれません。

ロジカルシンキングや論理的な話し方の本が人気なのは、おそらく大半の日本人が「自分は論理的ではない」と思い込んでいるからではないでしょうか。

そういうときによく言われるのは、日本人は論理と感情をうまく切り離せない、論理的に異論や反論を口にしても人格攻撃と受けとられかねないといったことです。

たしかに、ロジックを積み上げて、筋道立てて話をしないと伝わらないこともあります。

でも、論理的な思考法が常に有効なわけではありません。

むしろ、場合によっては、邪魔になることさえあります。

「論理」と似たようなニュアンスの言葉に「分析」があります。

データにもとづいて「A→B」「B→C」ならば「A→C」といったロジックを組み立てて結論を導く。

エビデンス(データ)にもとづいた精緻な分析は、頭のいい人たちの得意分野です。

結論のない分析は意味がないおもしろいのは、日本人は議論が下手と言われるわりに、分析がものすごく好きだということです。

「◯◯について調べておいて」と頼むと、とにかく細かいところまでよく調べて、色々検討してくれます。

ところが、どれだけ詳しく分析してあっても、結論がすっぽり抜け落ちていることがよくあります。

「よく調べてあるけれど、だから何?」と聞くと、「さあ?」という答えが返ってくるのです。

あることについて知りたいときに、まずグーグルで検索するのは当然ですが、ググって調べて分析して、それで満足してしまうのです。

なぜそういう意味不明なことが起きるかというと、何のために調べているか、目的がはっきりしていないからです。

本来なら、次のアクションをとるために現状を分析するわけですが、分析すること自体が目的になってしまう。

何のアウトプットにもつながらないなら、はじめからそんな分析はする必要はありません。

たとえば、上司から「出版業界のことを調べて」と言われて、いきなり市場規模や成長率、出版社別・分野別のシェア、ランキング上位企業など、基礎的なデータを調べ始める人がいますが、その上司がそもそも何のために出版業界のことを知りたいのかがわからなければ、どれだけ詳しくデータを集めたところで役に立つはずがありません。

出版業界に打って出るのか、雑誌広告を出したいのか、どこかの出版社の買収を考えているのか、業務提携したいのか、自社でメディアを立ち上げたいのか、あるいはただ本が出したいだけなのか。

目的が違えば、必要な情報はおのずから違ってくるし、誰かに話を聞いたほうが早いかもしれません。

目的を把握しないまま業界研究をすれば、どこまで調べたらいいかわからないので、時間もかかります。

締め切りまで時間がなくて、徹夜で分厚いレポートをまとめたのに、上司はちらっと眺めて、必要な部分だけをつまみ読みするかもしれません。

だったら、最初からその部分だけを調べれば済むわけです。

本当に必要な情報は、紙1枚でまとまるレベルかもしれないのに、目的がわからないままひたすら分析を続けるなんて、誰のためにもなりません。

時間のムダです。

何のための分析なのかそもそも、新しいアイデアを練るときに、詳細な分析というのは、本当に必要なのでしょうか。

これは、みなさんに聞きたいのですが、どこかから拾ってきた数値データを見て、何かおもしろいことを思いつきますか?アイデアを出したいときは、ただ数字を眺めるよりも、何かのヒント、考える糸口になるような、具体的な「もの」があったほうがいいと思いませんか?たとえば、雑誌の切り抜きや、自分で撮ってきた写真、気になるウェブサイト、巷で流行っているグッズ、最近読んだインタビュー記事、たまたま行ったレストラン、感銘を受けた一言、デザインが気に入って買った本……。

そういった種々雑多なものを会議室のテーブルいっぱいに並べて、みんなで知恵を絞ったほうが、間違いなくいいアイデアが出ます。

業界分析も実行計画を立てる段階では意味があると思いますが、少なくとも、最初のアイデア出しの段階で数値分析から入って、ユーザーがおもしろがってくれるような企画が出てくるはずがありません。

僕は様々な企業でイノベーションを起こすための研修も行なっていますが、クリエイティブな発想が求められるときに、精緻な数値分析はいらないどころか、かえって邪魔になります。

必要なのはひらめき、直感、研ぎ澄まされたセンスです。

コンサルティング業界でよく使われるSWOT分析(自社と競合の強みと弱み、事業機会、脅威)や思考のためのフレームワークは、すでに出たアイデアについて誰かに説明するときに有効なツールであって、アイデアそのものを出すためにそうしたツールを使っても、まずうまくいきません。

コンサルタントはアカウンタビリティ(説明責任)を果たすために、様々なツールを開発してきたのであって、起業家(アントレプレナー)やビジネスパーソンが最初のアイデアを着想するのは、それとはまったく別の種類の出来事です。

アイデアはふとした瞬間に突然降りてくるものです。

いつもの散歩コースを歩いていたとき、通勤途中や移動中の電車の中で、雑踏の中でふと立ち止まった瞬間、お風呂でボーッとしていたとき……。

そうした「ふとした瞬間」を意図的に起こすために、刺激となる材料を大量に用意します。

雑多な情報を一度に並べ、色々組み合わせてみて、ハッと思いつく。

みんなが自由に思いつきを口にしていくと、その言葉が刺激となって、アイデアはどんどん膨らんでいきます。

ひらめきの連鎖が起きるからです。

ひとりの頭の中で考えられることは限られます。

全員が一か所に集まり、その日のうちに必ず1個は実現可能な事業プランを出すと決めて、みんなで知恵を出し合えば、ひとりで考えるよりもずっといいアイデアが出るはずです。

クリエイティブな発想には集合知を活用せよ僕が行なっているアイデア出しのやり方を具体的に紹介しましょう。

研修でもよく取り上げていますが、やり方は難しいものではありませんので、新たなアイデア出しの方法として、ぜひ試していただけると幸いです。

アイデア出しはチームで行なうものなので、この作業も会議室に集まったメンバー全員で行ないます。

メンバーの人選ですが、たとえば新商品の企画やイノベーションを考える場合でも、企画部門の人間だけを集めるのではなく、エンジニアや営業、宣伝・広報、あるいは社内きってのガジェット好きや映画通など、バラエティーに富んだ人選のほうが化学反応が起きて、おもしろいアイデアが出やすいのでお勧めです。

発想のヒント(クルー)を大量に用意するまず情報に対する感度を高めるために、透明なラミネートカードやクリアファイルを用意して、そこに様々な写真、雑誌やカタログの切り抜き、紙に書いたキーワードなどを挟み込みます。

ファイルやカードがなければ、紙にプリントしただけでも構いません。

挟む素材は、ライバル企業の新商品、斬新な切り口の広告デザイン、街中で見つけたおしゃれなお店の写真、話題のテレビドラマの1シーン、肌触りのいい服の素材、最近ハマっているアプリやゲームの画像などなど、なんでもかまわないので、各自で持ってきてもらうとよいでしょう。

これを僕は「クルー(clue)」と言っていますが、アイデアをふくらませるときの糸口、きっかけとなる素材です。

これをできるだけたくさん用意します。

次はそれをみんなで見ながら、色々な組み合わせのパターンを考えてもらいます。

壁一面に張り出したり、床の上に無造作に並べたりして、みんなでそれを見て回ります。

テーブルと椅子は全部片づけて、自由に動き回れる空間をつくったほうが効果的です。

これとこれを組み合わせると、こんな商品ができるかもしれない。

こんなサービスがあれば便利そうだ。

こんなビジネスができそうだ。

新商品や新サービス、新規事業、新しい販促手法、広告デザインなど、テーマは集まったメンバーによって異なりますが、とにかく何か新しいアイデアをみんなで考えます。

研修では、1時間なら1時間と時間を区切って、必ず成果物を出してもらいます。

カオスをつくり出して頭を活性化する何百枚もクルーカードを用意するのは、カオスをつくり出すためです。

脳科学や高パフォーマンス心理学者であり、このワークショップを一緒に行なっているアラースター・プレンティスさんによると、人は混乱するときに脳波が活性化し、深層心理や無意識にある情報にアクセスできるそうです。

こうしてカオスを生み出すことで、無意識を活性化させ、新たなアイデアを生み出そうとしているわけです。

新しいアイデアは、ロジックを組み立てて、1だから2、2だから3、3だから4のように、筋道立てて生まれるものではありません。

繰り返しますが、筋道立てて考える必要があるのは、後から誰かに説明するためです。

論理がつかさどるのは「後づけの理屈」であって、ひらめきはロジックからは生まれません。

バラバラの数百枚のクルーカードの組み合わせは無限大です。

同じ組み合わせでも、人によって思いつくものは違います。

物理的なカードを用意することで視覚に訴え、身体や手を動かして組み合わせを考え、あえてカオスをつくり出すことで、猛スピードで頭を回転させ、ひらめきを起こそうというのがクルーカードの目的です。

組み合わせを考えたら、そのアイデアをホワイトボードなどに書き出してもらいます。

みんなが出した組み合わせの中から、話し合いによって、最終的に採用する案を1個か、2~3個にまで絞ってもらいます。

テクノロジーのトレンドもあるし、業界動向もあります。

実現可能性やコストの問題もあるでしょう。

いい面もあれば、悪い面もある。

みんなで知恵を出し合って、最後は少数の案に集約してもらいます。

とにかくアウトプットを出すまで続けます。

集合知こそクリエイティブな発想を生む僕は最大60人でこの研修をやったことがありますが、真剣に取り組めば、ものすごく盛り上がります。

上司も部下も、先輩も後輩も関係なく、みんながチームの一員としてどんどん意見を述べ、それが別の意見を引き出していく。

あちこちで議論の輪ができ、立ったり座ったり車座になったり、「◯◯さんはたしか、これ、詳しかったよね」と呼ばれて、2つのグループが合流したり……。

みんなでワイワイガヤガヤ話し合っていくだけで、自分ひとりではとても思いつかないようなアイデアがポンポン出てくるはずです。

コレクティブ・インテリジェンス、つまり集合知こそ、クリエイティブな発想を生み出す秘訣なのです。

そして、チーム全員で考えるからこそ、その後の展開が速いというメリットもあります。

誰かが考えたプランが上から降ってきて、命令どおりにそれをこなすのではなく、みんなで考えたプランを実行するわけですから、力の入り方が違います。

当事者意識を植えつけるまでもなく、最初から誰もが当事者なのです。

これは強いモチベーションにつながります。

また、話し合いの中で、自然と役割分担が決まってくるので、最適なメンバーで実行部隊を組むことができます。

Aさんチームはプロトタイプを何日までに作成し、Bさんは何日までに販売計画に落とし込み……のように、その場で締め切りとセットで役割分担を決めれば、すぐにでも動き出すことができるでしょう。

プロジェクトを推進するチームビルディングも兼ねた方法になっているわけです。

「ひらめき」は新しいつながりをつくることみんなで集まって知恵を出し合うというと、ブレインストーミングと近いものと思う人がいるかもしれませんが、何百枚ものクルーカードを見ながら議論をするというのが、根本的に違います。

クルーカードは、アイデアの種であり、ヒントです。

そこに統一感もないし、決まったルールもありません。

もしかしたら今回のテーマとは無関係かもしれない。

でも、そういう種々雑多なものを一堂に並べて、うんうん頭をひねって考えていけば、「あれ?」「もしかして!」とひらめく瞬間がやってきます。

一方、よくありがちなのは、自社や競合商品の売上データの推移や来客数、顧客単価、ウェブサービスならPV数やUU数などのKPI(重要業績指標)を並べて、そこから議論を始めようとすることです。

しかし、売上の数字をどれだけ精緻に分析しても、売上を上げることはできません。

売上を上げるのは、他社にはない、自社独自の商品であり、サービスです。

その元となるのは、ロジックではなく、思いつきやひらめきです。

数字やデータは「過去」について語ってくれても、「未来」を生み出すことはできないのです。

競合「分析」からは新商品は生まれない真面目な人たちが真面目な顔をして延々と議論をしていると、ちょっと息苦しくなることがあります。

たとえば、新しい清涼飲料水の企画を考えているのに、そこにあるのは、紙の資料とプレゼンを映し出したディスプレイ、そして手持ちのパソコンだけ。

こんな状況では、脳は刺激を受けません。

コンビニ向けの飲み物のアイデアを練っているなら、テーブルの上に、スナックやパン、おにぎり、お惣菜、漬物、スイーツなどが並んでいないとおかしいのです。

味覚や嗅覚を刺激して、脳をちゃんと働かせなければ、斬新な発想は生まれません。

コップやペットボトル、タンブラーなどの容器もあったほうが視野が広がるでしょう。

近くのコンビニや100円ショップに行けば、いくらでも手に入るので、そうしたものを味わい、匂いを嗅ぎ、手にとって試してみながら考えたほうが、いいアイデアが浮かぶはずです。

少なくとも、競合の商品を分析しているだけでは差別化はできません。

他社がやっていないことをやらなければ、結局、同じようなものをつくってしまうことになります。

一見、無関係のものをつなげることに価値があるみんなの意見を最終的なアウトプットの形に落とし込むときに、ひとつ注意してほしいのは、意見を集約するからといって、優先順位の高いものを共通項でくくってひとつにまとめるといったやり方は、この際、忘れてほしいということです。

たとえば、有望なアイデアが10個出たとします。

そこで分析モードに入ってしまうと、それぞれのアイデアから共通パターンを抽出して、そこに法則性を見いだしたりして、最終的なアイデアに落とし込もうとすることです。

一見、理路整然としているように見えるのですが、実は、そのアイデアが当初持っていた「熱」が失われ、結局、どこかで見たような案に落ち着いてしまうということがよくあります。

情報を集めて、意味のあるまとまりに分けるのが「分析」だとすると、「ひらめき」というのは、神経細胞があちこちでつながってネットワークをつくるように、一見バラバラに見える情報に、それまで気づいていなかったつながりをつくることです。

これとこれは似ているから同じカテゴリに入れて、共通点をくくり出すという頭の働きと、こっちにあるものとあっちにあるものを、なんとなくつなげてみたらビビッときたという頭の働きは、似て非なるものです。

クリエイティブな発想で求められるのは後者の働きですから、理詰めで分析を加えるのではなく、素材はあくまで素材として、無造作にほっぽりだしてあるのがいいのです。

ロジックが必要なとき、センスが必要なときマッキンゼー系の仕事術やプレゼン技術の本がよく売れています。

しかし、マッキンゼー系のコンサルティングは、もともと生産性向上や効率化、ムダをなくすシックスシグマなどから派生してきたもので、いってみればメーカー向けの発想が出発点になっています。

そのため、シリコンバレーでも日本でも、テック系のベンチャーの創業者を見てみると、マッキンゼーやボストンコンサルティンググループ(BCG)出身で成功した人は、実は、ほとんどいません。

自分でベンチャーを立ち上げるシーンでは、MBA的な知識よりも、センスや直感、実行力がものをいうからです。

込み入った技術的な問題は分析して解決できるため、ロジカルシンキングが使えますが、因果関係が把握できない問題を解決するときには、プロトタイプをつくってトライアル&エラーを重ねるしかありません。

したがって、コンサル業界から人を雇うようになるのは、事業が軌道に乗り、会社をもっと大きくしていく局面からです。

どちらがいい、悪いということではなく、求められている役割が違うということです。

グーグルでも、検索連動型広告を始めたときに、マッキンゼーやBCG出身者を大量に雇い入れました。

なぜかというと、誰がどんなウェブサイトを見て、何に興味を持っているか、どんなキーワードで検索しているか、パフォーマンス・マーケティングによって個人に最適化したターゲティング広告を展開するというのは、まさにデータ分析とロジカルシンキングの世界で、コンサルタントの得意分野だからです。

ユーチューブでの失敗ところが、2006年にグーグルが買収したユーチューブ(YouTube)については、検索連動型のターゲティング広告のノウハウをそのまま活かすことができませんでした。

文字検索とは違って、動画はクリエイティブで感覚的な領域なので、パフォーマンスを分析して理詰めで人間の行動を予測するマッキンゼー方式とは相性がよくなかったのです。

どんな動画がどんなタイミングで出ると不快と思わないのか、どんな動画なら受け入れられるのかといったことは、ロジックよりも、センスやひらめきがものを言う分野だったということです。

僕は「ポケモンGO」をつくったナイアンテック(Niantic,Inc.)の若いエンジニアとも友達ですが、ポケモンのささいな動きひとつとっても、人間が快・不快を感じるポイントは無数にあって、そこはクリエイターの才能に負っている部分が大きいと言うのです。

ユーチューブを見ているユーザーは、何かを手に入れるとか、これを見たら得をするといった具体的な目的があるわけではなく、流行っているから、おもしろそうだから、暇つぶしにちょうどいいから見ている人がほとんどです。

そういう感覚が優先される分野では、ロジックよりも直感を大切にしたほうがうまくいくわけです。

ユーチューブには、企業の公式動画もたくさんアップされていますが、ここでブランディングに役に立つのは、論理や知性に訴えるものよりも、感情に訴えるタイプの動画です。

そのため、論理に強いコンサルタントではなく、センスのいいクリエイターを集める必要があります。

集まった人たちには、あらかじめバイアスを持たせないように、あえて数字などのデータは見せず、制約をなくしたところからコンセプトを考えてもらいます。

そのときやるのは、まさに僕が研修でやっているのと同じ作業です。

様々な映像、写真、デザイン、プロダクトなどを並べて、お互いに刺激し合いながら、コンセプトを詰めていくわけです。

新しいものを創造するにはこのやり方が一番だと経験的にわかっているからです。

マネするだけでは差別化できないクリエイティブな発想が求められるのは、ブランド・コンセプトづくりにとどまりません。

新製品・新サービス企画、製品パッケージのデザイン、新規事業立ち上げ、販売チャネルの開拓、販促ツールの開発、広告デザイン、広報戦略、イベント運営といったものから、社内同好会の立ち上げ、社外オフ会の企画・運営、同じ部署の飲み会の幹事に至るまで、何か新しいことをするときは、必ずアイデア出しが必要です。

前例踏襲で、毎回代わり映えのしない飲み会は盛り上がりませんが、ちょっと風変わりな出し物やゲームを取り入れるだけで、いつもの飲み会が全然違ったものに様変わりするように、どんなささいなことでも、ひらめきひとつで、おもしろくなる可能性があります。

欧米で流行ったものをちょっとアレンジして日本に持ち込むだけで儲かった時代は過去のものとなりました。

インターネットが普及して、最新の情報がリアルタイムで入ってくるだけでなく、経済がグローバル化して、外国製品が直接、時間差なく日本にも入ってくるようになったため、欧米企業と同じことをしていては差別化できません。

日本企業にも自ら新しいもの、オリジナルなコンセプト、独自のイノベーションを生み出すことが、これまで以上に求められています。

だからこそ、日本企業でもコレクティブ・インテリジェンス(集合知)をもっと活用すべきなのです。

誰かひとりの能力に頼るのではなく、チーム全員で活発に意見交換してアイデアを出し合う。

グーグルでは、様々なプロジェクトが同時に動いていますが、ちょっとしたことでも関係者が集まり、さかんにミーティングを行なっています。

それは、集合知の威力を知っているからです。

企画会議にプレゼンはいらないここでみなさんに、自分の会社の「企画会議」や「コンセプト会議」の様子を思い浮かべてほしいのですが、あなたの会社では、みんなでワイワイ楽しみながらアイデア出しをしていますか?それとも、会議に参加する人たちが一人ひとり個別に企画書をまとめ、その場でプレゼンし、それに対して他のメンバーがコメントする形で会議が進行していますか?経営者に対する報告や、外部のステークホルダー向けの発表では、ポイントを要領よくまとめ、短時間で全体像をつかめるプレゼンテーションが有効なのは言うまでもありません。

しかし、アイデア出しの段階では、ロジックよりもひらめきが大事でした。

ということは、少なくとも、企画やコンセプトをつくる段階では、ロジカルなプレゼンはいらないどころか、かえって邪魔になるかもしれないということです。

プレゼン形式の会議は、発想が広がらない社内プレゼン形式の企画会議では、ひとりでコンセプトを練り、それを全員に配布する資料にまとめ、会議の場で説明します。

それに対して、他のメンバーがコメントを加え、最終的にGOサインを出すか、ボツにするかが決まります。

当たり前のように行なわれているこうした会議では、最終的なアウトプットの質は、最初に提出された企画の出来に大きく影響されます。

つまり、ひとりの人が頭の中で考えたことが、アウトプットの上限を決めてしまっているような状況です。

他のメンバーは、その企画の枠組みでしか考えないので、制約なしに、自由に発想することができません。

その分、ひらめきが生まれる可能性が小さくなってしまうのです。

時には、もう一度企画の出し直しを命じられ、それによって劇的にクオリティが上がるケースもあるでしょう。

しかし、次の企画会議が1か月後だったとしたら、どうでしょうか。

スピード勝負のこの時代に、1か月の遅れは致命的になりかねません。

ほしいのは「評価」ではなく「結果」プレゼン形式の企画会議を通じて行なわれているのは、実は、個々のメンバーの能力や企画の評価でしかありません。

本来、何のために企画会議をするのかといえば、質の高いアウトプットを生み出すためであって、評価するためではないはずです。

最終的に、よりよいもの、より新しいコンセプトができるなら、言い出しっぺが誰であってもかまわないし、よりよいもの、より新しいコンセプトを生み出すには、ひとりで考えるよりも、みんなで知恵を絞ったほうが手っ取り早いというのは、すでに何度も説明してきたとおりです。

そうであれば、企画会議のやり方を根本から変えたほうがいいのではないか、というのが僕の提案です。

たったひとりでアイデアを練り、企画の資料をつくる時間をなくして、アバウトなテーマだけを決めて、定期的に集まる。

あるいは、何か思いついたら、すぐに心当たりのある人たちに声をかけて、いきなり企画会議を始めてしまう。

そのほうが実りある結果が得られるのではないかと思います。

そして、それをまさに実践しているのがグーグルです。

グーグルは様々なアイデアをテストし、どんどん実用化する一方で、すぐに方向転換をはかったり、撤退したりする新陳代謝の激しい会社ですが、そうしたことが可能なのも、思いつきをすぐ形にするコレクティブ・インテリジェンスをうまく活用できているからだと思います。

繰り返しますが、分析が必要なのは、誰かに説明するためです。

経営者や起業家なら株主や取引先、ビジネスパーソンなら上司や取引先などのステークホルダーを納得させる場面では、ロジカルな説明やプレゼン能力は不可欠です。

しかし、そのことと、新しく何かを生み出すこととは、まったく別次元の話なのです

ひとりよりみんなで考えるひとりで考えるよりは、みんなで集まって話し合ったほうがいいというのは、この章を通じてずっと述べてきたことです。

では、一人ひとりの発想力を高めるにはどうしたらいいのでしょうか。

ヴァージン・レコードを皮切りに、ヴァージン・アトランティック航空、宇宙旅行のヴァージン・ギャラクティックなど、数々の事業を立ち上げてきたヴァージン・グループ会長リチャード・ブランソンさんは、伝説のシリアルアントレプレナー(連続起業家)として知られていますが、失敗も数多く経験しています。

一番有名なのはヴァージン・コーラです。

また、日本では今はなきCDショップのヴァージン・メガストアーズを覚えている人も多いのではないでしょうか。

ブランソンさんはまるで子どものように、なんにでも興味を持ちます。

そして、思いつきをすぐに実行に移すためのチームづくりが上手です。

自分の周りに、自分に足りない宝物を持っている人たちを集めてチームをつくり、そこに投資家の資金を呼び込むのです。

そのあたりの手綱さばきが抜群にうまい。

だから、次々と新規事業を立ち上げることができるのです。

でも、最初の出発点は、ブランソンさんの、おもしろいことならなんでも引き寄せる、抜群に情報感度の高いアンテナです。

ブランソンさんは冒険好きでも有名で、世界中を飛び回っています。

色々な情報に接しているから、あっちとこっちをつなげて「ひらめき」が起きやすい状況を自分でつくり出しているのです。

東京はアイデア出しのパワースポット実は、東京に住んでいるみなさんは、アイデア出しの面でとても有利な状況に置かれている、と僕は考えています。

僕は様々な国に行きましたが、東京はものすごく刺激の多い街だと思います。

よく整備された美しい街並みと、繁華街の路地裏のような猥雑な空間がすぐ近くに同居しているのに、違和感がない。

アートもファッションもサブカルも伝統文化も金融も行政も大企業も、全部ひとつの都市に集まっていて、電車の駅ごとに違った風景が広がっています。

こんなにゴチャゴチャと一か所にまとまった都市というのは、他ではあまりありません。

たとえば、東京の大手町は米国東海岸のニューヨーク、霞が関はワシントンDCで、ITベンチャーが集積した渋谷は西海岸のシリコンバレー、青山や六本木あたりはロサンゼルスにたとえることができそうです。

ところが、東京だと、大手町から渋谷まで地下鉄で30分ほどで行ける。

こんなに近くに、これだけ多様な文化が共存している都市はめったにない。

他にはニューヨークとロンドンくらいしか思いつきません。

タクシーや電車に乗って数十分も行けば、まったく違う刺激を受けとることができます。

アイデアを生むには、東京はすごくおもしろい都市なのです。

秋葉原のオタク文化や、原宿のカワイイ文化など、東京がアイデアの宝庫と言われて注目を集めているのは、理由があるからだと思います。

僕は札幌や福岡にも仕事で行きますが、やる気のあるベンチャーが集まっていて、すごく元気な街だと思う一方で、東京ほどのダイバーシティ(多様性)の広がりは感じません。

東京のゴチャゴチャした感じはやはりすごく魅力です。

違うタイプ・立場の意見を積極的に取り入れる会社の組織面でいえば、発想を豊かにするためには、多様な人材を採用するしかありません。

似たようなタイプの人ばかりの集団からは、同じようなアイデアしか出てこないからです。

実はグーグルでも、以前はある一定の学校から採用していたのですが、2013年から、採用の対象とする大学数を70校から300校に拡大しました。

国籍、性別、学歴、出身地ができるだけバラけた組織のほうが、発想が豊かになるのは、当たり前です。

海外の大学の卒業生をもっとたくさん採用しなければ、多様性は生まれません。

それには、年功序列で長く勤めた人ほどエライという現状をあらため、権限を大胆に現場に下ろして、誰もが力を発揮できる組織に変えていくしかないでしょう。

とはいえ、ただそれを待つだけでは時間がもったいないので、会議に他部署の人に積極的に入ってもらったり、アルバイトや派遣で来ている人に意見を聞いてみるなど、現状でもできることはどんどん取り入れていきたいものです。

まとめ□論理や分析よりも「ひらめき」を活かす□クルーカード(ひらめきの原点)を持ち寄って、みんなで考える□企画会議はプレゼンをやめて、みんなで考える場にする□別の部署や異分野の人の発想を借りよう

10%アップではなく10倍を目指す!グーグルには、1億人のためになるサービスでないとスタートしないという考え方があります。

もともとユーザーを拡大しやすいネット業界のサービスなので、広がらないと意味がないのです。

そのため、10xといって、「現状の10倍の成果が出るように考える」ことが求められています(10%アップでなく10倍です!)。

今すぐはできなくても、1年後、2年後を考えれば、10倍の何かを達成できる。

そのために今、何が必要で、どんな仕事をするべきか、という考え方が根づいているのです。

たとえば、グーグルはニューヨーク市で無料のWi-Fiを提供していますが、10倍の成果を目指して次は全米で提供するというゴールを設定するイメージです。

実際には世の中の変化に応じて、その目的が変わっていくため、四半期ごとに見直したりするのですが、10倍を目指すことには変わりありません。

10倍で考えると、仕事がルーティンにはなりません。

10倍にするには、飛び抜けた発想で考えなければならないからです。

毎年同じなら、現状維持どころか、少しずつ減ってしまうでしょう。

10倍の成果を出すのは大変です。

実際には目標が達成できないこともあります。

しかし、10倍の目標に対して7割のゴールを達成すれば、以前の7倍の成果が出ているわけですから、実質的には成功です。

大事なのは、目標を高く設定して、それに見合うように動いていくこと。

そのためには、新しい技術についていかなければならないですし、仕事のしかたもどんどん進化させていく必要があります。

日本で急成長を遂げた有名な会社といえば、ソフトバンクが挙げられるでしょう。

300年ビジョンを掲げ、世界のテクノロジーカンパニーのランキングでは、一人あたりの生産性はマイクロソフトより高い世界第3位となっています(米・ExpertMarket社調べ。

2015年)。

ソフトバンクの孫正義さんの弟である孫泰蔵さんも「未来に直面する世界の大きな課題を解決する」として、その課題解決を行なうベンチャーを支援するMistletoeという会社を立ち上げています。

グーグルでは、こうした大きな目標は、「TGIF(ThankGoogleit’sFriday)」という金曜午後の全体ミーティングなどで、社長からドーンと発表されます。

通常の会社では「目標売上○○億円」などといった話が多いのでしょうが、TGIFで語られるのはもっと漠然とした目標です。

たとえば、こんなことをしたら世の中のためになるのではないかとか、こうしたら社会がよくなるのではないかとか。

そんなミッションなのです。

すると、その場で全員が盛り上がります。

モチベーションが高まって、すぐに「そのために何をやるべきか」「どんなプロジェクトをやれば実現できるのか」「どういうふうに達成すればいいか」「うちのチームにとって、どんな意味があるのか」といった会話が始まるのです。

もちろんその場で社長に質問をすることもできます。

トップがあまりに大きな目標をあげると、下がいぶかしがってついてこないということも耳にしますが、グーグルでは、トップが世界のため、社会のため、周りのためといって、総合的にすごく意味のあるゴールを提示してくれるので、そうした心配は不要です。

そこが大きな違いではないかと

ルールを破らないと、10倍は達成できないでは、10倍の結果を達成しようというとき、どう考えればいいのでしょうか。

単純に仕事を10倍増やしても、忙しくて大変なだけで成果は出ません。

10倍を達成するために、まずやらなくてはいけないのは、自分の前提や、固定観念を破ることです。

違うルール、違うやり方を考えるしかないのです。

今と同じことをやり続けている限り、どんなにがんばっても2倍いけばいいほうだと思います。

そういうと、何か難しいことのように感じられるかもしれませんが、要は「やりたいことがあるけれど時間がない」というときに、フリーの人にやってもらうとか、違う部署の人に協力してもらうなど、社内外のリソースをもっと上手に使ったり、人を巻き込んだりしてはじめて次のレベルまでいけると思うのです。

そのとき、周りの協力を得るためにも人間関係や信頼感が大事になります。

次のレベルまでいくためには、周囲から信頼され、尊重されることが必要なのです。

一方で、仕事のやり方を変えるには、リスクをとって手を挙げて、ルールを破らないといけません。

上司に言われたとおりの仕事をしていたところで、何も変わらないでしょう。

リーダーシップというのは、自分の安全領域から一歩出る行動でもあるのです。

リスクをとるためには、あらゆる因果関係を考えて建設的に動いていかなければいけません。

でも、組織のようにシステム化されているもののルールを変えようとすると、拒否反応が必ず起こります。

極端な言い方かもしれませんが、クビにされてもいいという覚悟を持って行動するしかないと思うのです。

そうまでする必要があるかと思う人もいるかもしれませんが、逆に、自分が達成したいことができないのであれば、その会社にいてもしかたがない、という考え方もできるのではないでしょうか。

いずれにせよ、達成すべきは「よいこと」であるべきです。

そのために10倍業績を伸ばすつもりでやって実績が出れば、会社でも出世するでしょうし、もしうまくいかなくても、「よいこと」を達成しようとしているなら、誰かがその姿を認めて引っ張り上げてくれるでしょう。

「プチKY」になるルールを破るということに関しては、僕が若手社員だった頃の経験があります。

ある上司に仕事を頼まれたときに、「もっと違うやり方をしたほうがいいのではないですか」と逆に聞き返したのです。

上司からは、最初僕が仕事を避けようとしているのではないかと思われましたが、「こういうルールを決めて、みんなでやるほうが速い」と説得して、ルールを変えてもらいました。

また、営業部から「お客さんがこういうものがほしいと言っているから、これをつくってほしい」と言われたときに、どうしてもそれが必要だとは思わなかったので、「お客さんがほしいと言っているものをつくるのは大事だけど、本当にお客さんに必要なものは何ですか?それをお客さんに教えるべきじゃないんですか?」と逆に質問をしたこともあります。

社内的には、こんなことはルール違反だったかもしれませんが、結果的に、営業担当者を説得し、顧客のニーズにより合った提案をすることができました。

もちろん、お客さんにも喜んでもらえたのはいうまでもありません。

こうした行動は、ある意味、「プチKY(空気が読めない)」でもあるのですが、それでも許してもらえるのは、普段から自分は少々変わり者だとアピールしておいたからだと思います。

少しズルいやり方かもしれませんが、日本やアジアでは「KYな外人」と思ってもらったほうが、何を言っても、ある程度は「外人だからしょうがない」と許してもらえました。

たとえば、会議がおかしな方向にいきかけたときに、かしこまった話し方ではなく、ちょっとKYのふりをして、「すみません、私、外国人で、あんまりニュアンスがわからないんですけれども、こういうことなんじゃない?」と言えば、抵抗感なく、「ああそうか」と思ってもらえます。

外国人ではなくても、「部長、お願いします」と笑顔で言って、さらっと話を通してしまう女性もいます。

最終的に、意味のある正しいことができれば、それでよいのではないでしょうか。

大事なのは、いかに空気を読んで、悪しき慣例となったルールを破るかです。

たとえば、「部長、それはデタラメだ」と言えば、その後の人間関係に差しさわりが出ますが、何も知らないふりをして「それはこういうことですか?」と質問して、間違いに気づいてもらう方法もあります。

どちらが今後、仕事が進めやすいかは明白ですね。

英語で言うところの、losethebattletowinthewar(負けて勝つ)が大事なこともあるのです。

リスクは、「成功する」ために考えるものもうひとつ破らなくてはいけないのは、「自分のルール」です。

自分の固定観念、自分に関しての印象、自己イメージを破ることが必要です。

たとえば、起業家になりたいと思っている人であれば、新卒だからといって通常の「入社1年目の人のための本」を買って勉強するのではなく、「2年間はこの会社で働いて、基本を学ぼう」と明確に目的を持って、最初から精神的に起業家になったつもりで行動すべきです。

つまり、自分は他の同僚とはまったく違う道を歩むと心に決めて、起業家が読んでいる本を読んだり、起業家に会いにいったりして、起業家がどんなことを考えているかを知り、見よう見まねで生きていくのが、結局は近道なのです。

「自分は起業家だ」と勝手に思い込んで、それを目標に行動する。

英語で、Actasif……(たとえば、Actasifyou’rerich.〈自分がお金持ちであるように行動する〉、Actasifyou’reCEO.〈CEOであるように行動する〉)と言いますが、自分がありたい姿になりきって行動するほうが達成も速いでしょう。

ヤフー・アカデミア本部長である伊藤羊一さんは、「様々な選択肢が増えてきた今、志の大小はともかく、自分の軸を持つことが大事」とお話しされていましたが、僕もそのとおりだと思います。

グーグルにはあまりいないのですが、新しいことをやろうとすると、できない理由を挙げる人もいます。

もちろん、リスクを考えることは必要です。

リスクを考えることで、現実的に何ができるのかという話ができます。

しかし前提として、それは成功させるためにリスクを挙げているのであって、やめるために挙げているわけではないのです。

「できない理由」を挙げる人がいたら、ぜひそれを建設的にとらえ直してみたらどうかと思います。

なお、グーグルでは、「あなたが高い給料をもらっているのは、誰もができる単純な仕事をするためではなくて、困難な仕事をするためだ」という理解が徹底されています。

外資系企業の給料が高いということは、最初から大きいこと、難しいことをやるしかないということなのです。

それができないと、あなたはここにいる意味はないということでもあります。

ケネディ大統領のgotothemoonという有名なスピーチがあります。

「今後10年以内に月に人を到着させ、安全に帰還させる」というものですが、当初有人ロケットを月の軌道に乗せるというプランだったものを、一気に難易度を上げたのです。

そして、単純だからやるのではなくて、難しいからこそやる価値があると高々と宣言したのです。

10倍の目標を達成するというのは、普通に考えたら無理に近いことだと思います。

でも、革命・進化を起こすには、もう無理に近いことをするしかないのです。

それこそが効率を高め、生産性を劇的に上げる道だと思うのです。

「前年比10%」という目標の間違い多くの企業は、今ある業務を100%こなしたうえで、そこに追加する形で成果を上げていこうという考え方を持っています。

そのため「前年比10%増」といった目標が出てくるのですが、こうしたやり方では、従来の延長線上の発想から抜け出せず、しかも仕事量だけが増えていくということになりかねません。

グーグルでは、今ある仕事をただこなすのではなくて、もっと賢いやり方を自分で探すことが推奨されています。

従来の8割の時間とか5割の時間でこなす一方、余った時間を使って、プラスアルファのことをしなければいけないわけです。

たとえば、自分の時間が1から10まであるとしたら、今までの仕事を1から10まで使ってやるのではなくて、5だけで終えて、残りの5を、建設的なこと、新しいことに向けていくのです。

グーグルには、就業時間の20%の時間で好きな仕事をしてよい、という「20%ルール」がありますが、そうしたものを自分で取り入れて、自分でやってみてもよいでしょう。

そうやって、1週間、1か月単位で従来の仕事を圧縮していけば、最終的にはほとんど自動化することもできるはずです。

グーグルのサービスには、「ベータ」とついているものがたくさんあります。

「コンスタントベータ」といって、永遠に続くベータ版です。

完璧なものをつくれば、そこで終わりになりますが、後になるほどいいものがいっぱい出てくるはずだから、ずっと改善していきます。

でも最終的に終わりが見えたら、そこでおしまい。

次はそれを破壊して、まったく新しいことをするという発想が根本にあります。

「20%ルール」の上手な使い方20%ルールの話が出てきたので、ここでその使われ方を紹介します。

グーグルの「20%ルール」は、勤務時間の20%を自分が関心のある仕事に使ってよいという取り組みで、ここからグーグルニュースやアドセンス(AdSense)、グーグルマップなどのサービスが生まれています。

中で働いている人から見れば、この時間を有効に活用することで、自分の仕事に広がりも生まれます。

ここでは、この20%ルールを上手に使っている方の例を紹介しましょう。

紹介するのは、かつて東京で同じチームのメンバーであり、現在はグーグル本社・マウンテンビューで仕事をしている小川高子さんの例です。

彼女は人材開発チーム時代、外国人社員が日本人社員に英語を教える語学学習プログラムを社内で立ち上げました。

このプログラムが人気になり、コーチの数や生徒数は増えていったのですが、その分この仕事に割く時間が増え、このまま拡大すると100%自分の仕事時間をこのプログラムに費やすことになるのではないかという懸念がありました。

彼女の仕事はこのプログラムだけではありません。

他の仕事の時間も確保しなければなりません。

そこで、当時のディレクターに「このままだとプログラムを終了しないといけないかもしれない」と相談したら、「運営協力者を20%ルールの枠で社内掲示板で募集してみたら?」と提案されたのです。

小川さんは迷ったそうですが、「自分でマネージできるならいいかも」と考えて、この方法を試すことにしました。

まずは、東京で「外国人社員が日本人社員に英語を教える」プログラムのプロジェクトマネジメントをしてくれる人を掲示板で募集し、適任者を選びました。

彼女は、東京でのプログラム運営をその人に任せ、自分はそのプログラムを中国・韓国に拡大していきました。

ある程度軌道に乗ったら、韓国でも東京と同様に新たなマネジャーを採用し、その人に任せます。

こうしてプログラムを、シンガポール、インドネシア、オーストラリアにも広げていきました。

最終的にこのプログラムを支えるコーチは180名を超え、大きなプロジェクトになります。

同様の研修を外注した場合と比べ、四半期で7万USドルくらいのコスト削減になったそうです。

一方で小川さんは、協力者へのフォローも忘れませんでした。

みんなに学びの機会を提供したいと、社内で行なわれるサミットに全員が出席できるよう本社にお願いして、開催地であるシドニーにみんなを送り込みました。

小川さんは、こう話します。

「みんなが『学ぶ機会』を得られるようにしないと続きません。

いい仕事をしてくれたときは、その上司に報告したり、本人の仕事が会社からも認められるようフォローしています」そんな彼女は、マネジャーからも、「たくさんの人を巻き込んで多くのことを達成している彼女の姿は高評価」と言われています。

空いた時間と人をうまく使って、より効果的な仕事のしかたはできるのです。

また、小川さんは、うまく自分を成長させるような仕事の任せ方をしています。

図3-2は、仕事を学びとインパクトで整理したものです。

仕事の優先順位を考える場合、「大きな学びがあり、かつ社内で評価されるもの、インパクトがあるもの」に自分の時間を割いたほうがよいでしょう。

一方、「社内で評価され、インパクトは高いが、学びは少ない」仕事は、他の人が引き受けてくれる可能性が高いので、巻き込みやすい仕事といえます。

こうして仕事を他の人に振りながらたくさんの仕事を回し、自分の時間は「学びとインパクト」の大きな仕事に費やす、というのが、時間と人の効果的な使い方です。

20%ルールがない会社でも、自分の仕事の振り方として、こうしたコツは覚えておくとよいでしょう。

次のステップに進むために「自分の仕事」をなくす本書の冒頭でも述べましたが、本来目指すべきは、自分の仕事をなくすことです。

これは、モルガン・スタンレーにいたときの話ですが、僕は自分のチームに、「何のためにこの仕事をしているのか」をずっと問いかけていました。

すると、段々と本来の目標を達成するために、もっとやるべきことが見つかり、これからの目標や「今はこの仕事をするけれど、次のステップを考えるなら、もうここにいないほうがいい」などというキャリアプランが見えてくるのです。

その人の成長によって、やるべき仕事は変わってくるのです。

管理職にとっては、自分の仕事をなくすというのが、最大のゴールです。

上司としては、自分が見なくてもメンバーががんばって成果を上げてくれる状況が一番いいはずです。

すると、自動的に管理職の仕事はなくなるわけです。

ただ、なかなか自分の仕事を手放せない人も多いようです。

今やっている仕事をなくせば、自分のやるべきことがなくなってしまう。

だから、自分のチームや、自分の業務の非効率性を、必死に隠しているのではないかと思うことすらあります。

変な言い方ではありますが、そもそも「自分の仕事はムダ」と疑ってみるべきだと思います。

全部でなくても、必ずどこかにムダがあるはず。

もっと賢い、もっといいやり方は必ずある。

自分はまだ完璧ではないと思っておくことが大事です。

何がムダなのかに気づくためには、他の人の体験・経験を知ることです。

本を読んでもいいし、他の人たち、たとえば違う部署の人、違う会社の人たちは、どんなふうに仕事をしているのかとか、成功している人たちは何をやってきたのかとか、気づきになる経験を探すのもよいでしょう。

また、ひとつ上のレイヤーで見るというのも有効です。

チームとしても個人としても、「会社の中で、自分にはこういう大事な役割がある」と勝手に思っているだけで、そうではないことは意外とあるものです。

ひとつ上のレベルで見て、大事でない仕事は思い切って減らしてもよいわけです。

今まで課のレベルで見ていたのを部のレベルで見るとか、事業部単位で見るとか。

出世したいと思っているなら、最初から、その視線で見る訓練も必要でしょう。

Thinklikeanowner外資系企業では、Thinklikeanowner.とよく言われます。

「オーナーのような考え方を持ちなさい」ということなのですが、そうした姿勢で物事を見ていくことは、今後ますます大事なことになってくるでしょう。

僕はいつも「社員ではない(オーナーだ)」という自覚で仕事をしてきました。

社員であるときから、「自分はコンサルタントであって、今の年収ならどれぐらいの成果を出さなければならないか、そのためにはどんな仕事をして、どんな結果を出さなければならないのか」を考えるのです。

その視点で見ると、自分がもらっている給料より結果が出ないことがリスクなのです。

「あいつは成果が出ていないから、クビにしたほうがいい」と部長や社長に思われることを考えたら、ムダなことや、意味のないタスクをやるというのは危険です。

だからこそ、自分からムダをなくしていくのです。

このくらいのお金が入るなら、このくらいの成果を上げなければいけないというのは、独立していても会社員でも同じです。

今の仕事が永遠に続くというのは、妄想です。

だから、自分の仕事は続かないという前提に立って、そこからさらに、自分の仕事をなくすためにどうすればいいかと考えていけば、まったく違う結果が出るはずなのです。

10xを達成するためには、自分のミッションやパッションも大事です。

ソフトバンクでは、個人的なミッションを持っている社員のほうが、持っていない社員よりも生産性が高いことを発見し、今個人的なミッションを見つける研修を行なっているそうです。

グーグルでは「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SearchInsideYourself)」という研修を通して自己の振り返りや個人のミッションを見つけようとしています。

また、登山家の栗城史多さんは、自分の冒険を中継することで、見た人に挑戦する気持ちを持ってほしいと、単独無酸素でのエベレスト登頂に挑戦しています。

そのために、毎回スポンサーを集めて、クラウドファンディングもやっています。

彼にはミッションとパッションがあるからこそ、その実現が近くなりますし、他の人も巻き込んでいけるのです。

10xで成功する人の共通点最後に10xで成功する人が意識していることについて挙げておきます。

グーグルなら新入社員から期待される内容でもあります。

①先を予見する先見性がある人は、常に人より一歩先にいることができます。

そのためにできることは、次の3つです。

・チャンスと脅威を予見する仕事のうえでチャンスと脅威が存在する領域を挙げ、それぞれどんな可能性があるか、それが起こった場合ステークホルダーにどう影響するかを明確にして、それぞれのレベルで考えてみます。

たとえば、組織、部門、チーム、個人などと挙げて、それぞれのチャンスや脅威について考えます。

・サイクル、トレンド、パターンを探すマーケットやセールスなどのサイクル・トレンドを見つけたり、ある一定のスタイル(コミュニケーションスタイル、オフィスのレイアウトなど)を見つけて、上手に利用します。

動きのあるものと、パターンで動けるものを分けておきます。

・短期・中期・長期で考える「5/5/5ルール」を使います。

今から5週、5か月、5年後に何が起こるのかを考えます。

1年や3年はよく言われるところですが、少し長めに時間をとって、未来を考えます。

また、そこから自分とステークホルダーがリスクとチャンスに上手に対処するには、今何をする必要があるかを考えておきます。

②相手の立場になる自分の視点で相手を見るだけでなく、相手の立場や第三者の立場で自分自身を想像してみます。

より深く共感を分かち合うには、相手と一緒にいる時間を増やし、相手のニーズや夢を知り、サポートしていきます。

③見解を明らかにする見解や助言を必要とする人はどこにでもいます。

とはいえ、それが必要になるときはわからないものです。

そのため、仕事でも、また仕事以外でも、重要だと思われるトピックについては自分の見解を持つようにします。

常に情報収集を怠らず、洞察を深めておくことが必要です。

また、自分の安全領域の境界で考えることも大事です。

具体的には、自分の専門領域よりも上のレイヤーで考えることです。

最終的に見解を伝えるときは自信をもったほうがよいでしょう。

とはいえ、知らないことがある場合は、それを認める覚悟も必要です。

謙虚さと弱みを見せるほうが、信頼度は向上します。

④空気を読んで空気を壊す時には、人が言わないことを言うことも大切です。

つまり、空気を読んで、あえて空気を壊す発言をすることです。

たとえば、課長のこだわりで非効率な業務プロセスになっているのに、課長に指摘をするのをみんなが怖がっている場合もあります。

そんなときは勇気を持って伝えるべきです。

グーグルのTGIFミーティングでは、全社員の前で、マイクを持って社長や会長になんでも聞くことができます。

どんな質問でも指摘でも構いません(エンジニアはかなりきつめな指摘もしていました)。

でも、それで仕事や組織がよりうまく回っていくこともあるのです。

グーグルでは、こうしたことが、チームのレベルで日常業務で行なえることが当たり前になっているのです。

現状を認めることはしばしば勇気のいることですが、特にリーダーであれば、これを認めて、メンバーに伝えることは大事な仕事です。

⑤自分から責任を負う誰のものでもない問題は、放っておかれがちですが、まず、そこに対処する必要があることを明確にし、行動します。

たとえば、ファイルが溢れすぎているキャビネットがあって、みんなが文句を言っているのに誰もそれを整理しない、ということがあります(面倒で誰も触らない問題です)。

そんなときは「みんなの時間がムダになるので、整理しましょう」と自分から進めていきましょう。

自ら仕事を始めることは、やりがいにも通じます。

どうせその場にいるのなら、自主的にその場にかかわり、貢献をしていくべきだと思います。

⑥参加する出席して姿を現すことは、成功の基本です。

電話でも雑談でも、責任を持ってかかわっていくこと、そしてタイミングを見て、相手を巻き込むことです。

⑦ハートに耳を傾ける洞察は事実とカンにもとづきます。

直感が正しいことは、よくあります。

自分の身体が示す繊細な信号に耳を澄ませましょう。

また、洞察力にかかわる脳の状態を気にかけ、感情と身体をリラックスさせることが大事です。

⑧常識を破るアインシュタインは、「愚か者は同じことを繰り返し、異なった結果を期待する」と言いましたが、異なる結果を得たいなら、規則を破っていかなくてはなりません。

たとえば、今やっていることと反対のことをしたらどうなるでしょうか?無関係に見えるものを関係づけるとどうでしょうか?⑨前向きに失敗する失敗は誰にでも起こります。

失敗を認め、学ぶことを通じてのみ、最終的な成功をおさめることができます。

だからこそ、早く失敗すること。

あえて自分が苦手なことをして失敗の訓練をしておくこともよいトレーニングになります。

⑩問いかけを続ける新しい発想を生むには、好奇心を持って新しい洞察を常に探求することです。

最初の説明が正解であると決めつけないことが大事です。

表面だけでは見えないもの、通常の視野の外にあるものを探し求めるために、「なぜ、そうなのか」と隠れた視点を探し、「もしも」と思考実験をしてみます。

解決方法がわからない出来事があったときに、それを避けるビジネスパーソンも多いですが、問いや直感で新たな洞察が生まれれば、それがチャンスになることもあります。

⑪視点を変える新しい視点で見ることで、対話が前進したり、見逃していた全体像が見えることがあります。

たとえば、こんな視点を使ってみてはいかがでしょうか?・全体をズームアウト・細部にズームイン・裏面・未来からの視点・顧客の視点

・ライバルの視点・普通でない視点(普通は?深いのは?おかしいのは?)

まとめ□10倍の成果を出せるように考える□そのためには、ルールを破ること□次のステップに進むためには、「自分の仕事」をなくすことも必要□オーナーのように考える

言葉よりも「プロトタイプ」でやりとりせよコミュニケーションは、コストにもメリットにもなります。

第1章のメールのところでも紹介したように、ムダなコミュニケーションは何も生み出しませんが、プラスに働けば、一足飛びに大きな結果を生み出すこともあります。

本章では、そうしたコミュニケーションや人間関係に目を向けてお話しします。

まずは、目の前のコストから解決していきましょう。

第1章で、日程調整ならカレンダーアプリ、議事録ならその場でみんなで作成するなど、メールではなく現物でやりとりをして仕事を速く進める方法を紹介しました。

こうした、言葉ではなく「試作品」でやりとりする方法を「プロトタイプシンキング」と言います。

プログラマーの世界では、「ここにこういう機能をつけて……」と説明するよりも、実際にそのプログラムをつくってしまうほうが速いことが結構あるのです。

なぜなら、プログラムを発注した側は、プログラマーから「こんなプログラムですよ」と言われたところで、実際に見てみないと具体的なイメージがわかりません。

プログラムが完成したところで「これじゃなかった」ということでは困るので、先に簡単なプロトタイプ(試作品)をつくって、それを見てもらうわけです。

こうすると、それぞれの認識の違いがなくなるので、やり直しもなく、仕事がスムーズにいきます。

このやり方は他の仕事でも応用できます。

たとえば、仕事の依頼があった場合、こちらから何点か質問をした後、「つまり、こういう感じではないですか?」というドラフトを描いて、見せてしまうのです。

そこで、「これは違う」とか、「そうそうそんな感じ」という感触をつかんでおけば、その後、やり直しを命じられたり、ムダな仕事をすることもなく、最短で仕事が進められます。

モティファイという会社を僕と共同設立したグスタボー・ドリーは、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科出身のデザイナーなのですが、彼は打ち合わせ中でも、すぐにA4の紙を持ってきて、「こういうことなんじゃない?」と自分なりの図を描き始めます。

すると打ち合わせが終わったときには、もうほとんどイメージができあがっているのです。

もちろん、スライドに書き込んで、みんなで共有してもよいでしょう。

すると、次のアウトプットも、お互いが期待したものに近いものができあがります。

以前、ある会社の方から、「プロジェクトについて打ち合わせをしたい」と言われ、「打ち合わせで何を話すのか?」と尋ねたことがあるのですが、「例のプロジェクトについてです」と曖昧な返事しか返ってきません。

「今後、どんなふうに進めるの?」と聞いても、「それは全体のミーティングで話したほうがいいんじゃないか」と言います。

相手の方には申し訳ないのですが、これでは時間のムダになるのが目に見えています。

完璧でなくていいので、「こんなふうにやりたい」というものをA4の紙1枚ででもまとめてあれば、相手もその中で意見を出せるので、次のステップまで速く進めるでしょう。

「①こういう理由で、②いつまでに、③何をやりたいのか」を簡単にまとめただけでもかまわないので、現物を示す何かがあるのとないのとでは、その後の進み具合が違います。

みなさんも、ぜひ「プロトタイプ」のやりとりを心がけてください。

やりとりのムダをなくす方法上司がコスト!残念ながら、上司が障害になって仕事が進まないことがあります。

英語で、ManageyourManager.(マネジャーをマネジメントする)と言うのですが、自分の上司をうまく使いこなすことは、とても大事です。

自分の上司の足りないところに気づいたら、いかに上司にそれを気づいてもらうか。

気づいてもらえないなら、行動で示す必要があるかもしれません。

自分の仕事を適切に進めたいなら、それも大事な視点です。

たとえば、上司が打ち合わせの準備をしてこない人なら、「今度の打ち合わせのアジェンダは私がつくります。

もしプラスアルファの追加の部分があれば、後からアジェンダに追加してください」と先回りして動きます。

このようなことを繰り返すと、マネジャーも、自分がやるべきことに気づいてくれるかもしれません。

部下との打ち合わせは、週1回きっちりとればいいプレイングマネジャーで、自分の仕事が忙しく、部下指導ができない。

ちょくちょく部下が相談しにくるので、自分の仕事がまったく進まない。

日本の管理職の方から時折聞く話です。

グーグルではプレイングマネジャーがほとんどですが、それでもチームのマネジメントと自分の仕事をしっかり回していました。

ここでは、僕が行なっていた方法をお話ししたいと思います。

僕は、原則としてメンバーひとりにつき、1週間に1時間ずつ時間をとってミーティングをしていました。

それだけの時間でも、うまく対話をすれば、その中で解決できることはたくさんあるものです。

たとえば、進行中の仕事の相談に乗るのはもちろん、顧客に提出する資料をつくりたいというときは、プロトタイプを持ってきてもらって具体的に指導することもありました。

また、人間関係に問題があったときは改善に向けて話を聞きますし、その1時間の中でコーチングのセッションもできるし、キャリアの話もできます。

話すことがなければ時間を短くしたり、そのミーティング自体をなくすこともありましたが、それはあくまで相手から希望があった場合だけ。

僕のほうからなくしたり短くすることはなく、どうしても自分が忙しいときは、日程を変えてもらっていました。

1週間に1回、時間をとるだけで、大抵の問題は解決できますから、突発的な問題も起きにくくなり、そのフォローに時間をとられることもあまりありませんでした。

メンバーの進捗管理もそのミーティングで行ないます。

ミーティングに先立って、「今週はこうしたい」「これからこうしたい」というメモを書いてもらい、それを見ながら話し合います。

もしできていなかったら、「なぜ、できていないのですか?」「今、何が起きているのですか?」と質問することができます。

また、こちらからは、「次はチームミーティングでこういうプレゼンをすれば、みんなが喜ぶよ」とか、「Aさんはあなたに話を聞いてもらいたがっているみたいだよ」などという提案もします。

メンバーと信頼関係ができると、チームの誰が誰をどう思っているといったことまで話してくれるので、メンバー同士の関係構築も手伝えるし、チームミーティングでその人がうまく立ち回れるように導くこともできます。

1対1のミーティングが行なわれていない場合は、自分のほうから上司に依頼するといいかもしれません。

たとえば、上司に、「課長はいろんな経験を持っていらっしゃるので、毎週1回、お時間をいただいて、その週の仕事の進め方について、相談させていただくことはできますか?」「アジェンダをつくって持ってきますので、プロジェクトの〝ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)〟を含め、仕事についてディスカッションさせていただけたらと思っています。

課長は、どんな進め方が望ましいですか?」などと聞けば、きっとあなたのために時間をとってくれるはずです。

メンバーの話しやすいスタイルでこのミーティングの一番の目的は関係構築でしたから、相手が話しやすいスタイルで行なっていました。

たとえば、小川さんとはワインバーで2週間に1回、1時間半とってアイデア出しをしていました。

マイケルさんは常に自分のアジェンダを用意してくるので、しっかりした打ち合わせをします。

長谷川さんからは「今日はちょっとクレープを食べに行きましょう」と外に誘われ、悩み相談をされたりしました。

相手が話しやすい場づくりを意識して、相手のコミュニケーションスタイルに合わせていました。

その理由は、相手が「上司が自分のために時間をとってくれている」と思うか、「自分が上司のために時間をとっている」と思うかによって、その1対1の時間の意味がかなり違ってくるからです。

僕は、「1オン1はあなたの時間。

いかにピョートルを使いこなすかということを考えてきてください」と伝えていました。

だから、今後の踏み込んだ話もできるし、時々すごくパーソナルな話も出てきます。

その結果、家族の病気など、プライベートに問題があったときも、事前にわかって、サポートがしやすくなったのです。

そうやって信頼関係を構築したメンバーの何人かとは、今でも連絡をとっていて、彼らの次のキャリアや独立の相談に乗ったり、お互いが独立した後は、僕の仕事の手伝いをしてもらったりしています。

「上司の使い方」を提示する僕は個人的に「Howtouseme」、つまり「ピョートルの使い方」というファイルを共有ドキュメントに入れておきました。

そこに、たとえば、・自分で決められることは自分で決めておいてください・問題ではなくて解決策を持ってきてください・解決できない場合は、何が必要なのか、何をしてほしいのかを伝えてください(たとえば、アドバイスがほしいとか、決定がほしいとか、社内政治的なところで動いてほしいとか)などといくつか書いておきました。

自分のスタイルを押しつけると、押しつけられたほうは引いてしまいますが、「ピョートルの使い方」という形で文書化することで、意識してもらっていたのです。

なぜ、ピョートル神社が僕の机の上に建てられたのか以前、グーグルで行なわれた研究では、チームで仕事をしていくときに、職場の「心理的安全性(サイコロジカル・セーフティ)」が高くないと、個々のメンバーがうまく力を発揮できないということがわかっています。

「心理的安全性」は、「CanItrustyou?(あなたを信頼できますか?)」と「CanIrespectyou?(あなたを尊重できますか?)」という2つの質問に「イエス」と答えられるかどうかで決まります。

人は誰でも、信頼されている、尊重されているという実感があれば、相手と深くつながることができます。

自分は信頼されている、必要とされているというのは、安心感につながります。

この人は、自分のことを気にかけてくれている、自分のことを見ていてくれると思うと、人はその相手を信頼します。

私の話に耳を傾けてくれる。

私のよさに気づいてくれている。

私の仕事のアウトプット(成果物)だけで評価するのではなく、私そのものを見てくれる。

私の努力をわかってくれる。

そう信じられる人が自分の上司だったり、自分のチームにいたりすると、気持ちが楽になって、今まで以上に成果を出せるようになります。

また、信頼関係があると、友人にも近いメンタリティになります。

すると、お互いに意見が言いやすくなり、場も活発になります。

部活で職場の「心理的安全性」を高めるグーグルでこうした関係を醸成するもののひとつに「部活」があります。

部活は趣味の集まりです。

趣味から始まっているので、何か聞きたいときに気軽に質問することができます。

たとえば、経理で知りたいことが出たとき、部活に経理の人がいたから、その人に聞いてみようとか。

こうした部活は活発で、社内イベントでもよく活動しています。

グーグルの東京オフィスで一番流行っている部活はダンスクラブです。

運営している人はニューヨークでプロダンサーをやっていた方で、本当にかっこいいのです。

こうした部活がグーグルのお客さん向けの大きなイベントに出演することもあります。

参加したお客さんも「この人たちも社員なの!」とビックリしていたので、PR効果にもなったのではないかと思います。

リクルートの常務執行役員の北村吉弘氏も、「Stayyoung(若い考え方を持ちましょう)」と社内で呼びかけ、今、部活の活性化に力を入れているそうです。

信頼しているからこそ、いたずらできるまた、グーグルでよくあったのは、悪意のないいたずらです。

グーグルに勤めていたとき、大の日本びいきの僕は、チームのみんなを「初詣でに行こうよ」と誘いました。

しかしみんなの返事は「お正月だからのんびりしたい」「行くならピョートルさん、自分で行けばいいじゃないですか」などと、つれないもの。

少しガッカリして、ひとりで初詣でに行ったのですが、その後、出社してビックリ!自分のデスクに「ピョートル神社」と名づけられた神社のディスプレイがあったのです。

なんでも、僕があまりに寂しそうにしていたので、みんなで気を遣って置いてくれたそうで、それを聞いた僕はうれしくなりました。

いたずらは、相手との関係を大事にしていたり、信頼しているからできることです。

仕事の顔以外のあなたの顔も認めていますよ、というメッセージでもあるのです。

ほかにも、先に紹介した小川高子さんは、携帯のアドレス情報を変えて「God」から電話がきているかのように見せかけたり、同僚のパソコンを隠して、代わりにパソコンにそっくりなA4サイズのノートをデスクに置いておいたり、「チームのモットーを書いたバナー(垂れ幕)を飾りたい」という話をしたら、翌週モットーを書いた巨大なロケットをダンボールでつくったりしていました。

こんなふうに相手が嫌がらない範囲の遊びが結構あるのです。

そういうちょっとしたいたずらが、チームの雰囲気をやわらかくし、職場の心理的安全性を高めてくれるのです。

他にも、グーグルでは、メッセンジャーやオンラインチャットなどでのやりとりも活発ですが、社内の交流会・勉強会もたくさんありますし、カフェテリアなど、実際に会って交流する場も意図的につくり出しています。

このように、「自分は尊重されている」「大事にされている」という実感が得られると、心のバリアを解き放つことができます。

「この人は自分のためになるものを提供してくれる」「自分のために何かをしてくれる」と思うと、人はその人のことを尊重します。

その気持ちは相手にも伝わり、「自分は大事にされている」と実感することができます。

すると、自分もその相手のことを大事にしよう、その人のために何かしたいと考えるようになります。

そのことが、チーム全体のパフォーマンスを向上させるのです。

いかに心理的安全性をつくるかお互いに信頼し合い、メンバー同士がリスペクトし合うような「心理的安全性」の高い職場のほうが、意思疎通がスムーズになります。

余計な腹の探り合いがない分、誤解も生じにくいため、間違いなくコミュニケーションコストは下がります。

ところが、お互いに疑心暗鬼で、誰を信じていいかわからない状態で話をすると、心のバリアを解くだけで時間がかかるため、チームとして結果を出すためのハードルはグンと跳ね上がります。

チームリーダーの立場からすると、心理的安全性の高い職場をつくるには、まずリーダー自身の態度を見直すことが重要です。

自分だけが一方的に話したり、上意下達で指示を与えるだけでなく、相手の話に耳を傾ける。

部下が失敗したからといって、むやみに叱りつけるのではなく、どこに問題があったか、どうすればよかったか、よりよい方法を一緒に考えるのです。

心理的安全性の高い職場では、人間関係はフラットで、双方向のコミュニケーションが活発になります。

一方通行のやりとりでは、チームの信頼を勝ちとることはできません。

数値目標やプランをつくっても、誰もついてきてくれないでしょう。

マネジャーとしては失格です。

ここでは、心理的安全性を高めるためのヒントを紹介していきます。

「フィードバック・ループ」をつくる組織全体で信頼感を高めるには、それぞれの意見を伝え合うフィードバックループがしっかりしているほうがよいと思います。

グーグルは風通しがよい組織なので、フィードバックの仕組みがしっかりあります。

たとえば、何度か登場したTGIFという金曜日の夕方に行なわれる全社的なミーティングが有名です。

本社では、その場で社長や幹部がプレゼンをして、参加者は手を挙げて質問できます。

各会場の後ろにはお酒と食べ物があって、社員同士の交流もできます。

ビデオ会議を使って世界中のオフィスがつながっているので、たとえば東京で手を挙げて社長に質問をしても、その場で答えてくれるわけです。

たまに「社長の意見は間違っていると思うのですが、どうでしょうか?」のように、はじめて見た人がビックリするような質問も出ますが、それでも社長は丁寧に答えてくれます。

もちろん、後で上司から「お前、TGIFで失礼な質問してたな」と言われることもありません。

さらに、TGIFについては、プレゼンの写真を撮って、コメントをつけてサーバーにアップする人たちもいます。

そのコメントを読むと、同意しているものもあれば、皮肉っぽいものもあって、読むだけでも楽しめます。

匿名で質問ができる制度もあります。

掲示板のようなシステムに、匿名で質問を書き出し、他の人は「この質問にはぜひ答えてもらいたい」という質問に投票します。

そして1時間程度のミーティングの中で、投票数が多い質問から幹部が答えていくのです。

こんなふうにすると、会議の参加意識も高くなります。

こうしてフィードバックが確実にでき、風通しのよい社内になるような仕組みができると、お互いを信頼でき、集中して仕事ができます。

相手の意見の全否定は絶対にダメ信頼関係をつくり、相手の意見を引き出したければ、まずは相手の話に耳を傾けることが大切です。

2人で対話するときは、身体を斜めに向けたまま話をすると、話半分で聞いているように見えます。

真正面から向き合い、相手の目を見て、全身全霊で相手の話を聞く。

といっても、あまり堅苦しく考えず、相手にちゃんと興味を持てばいいのです。

その人のことをもっと知りたいと思えば、自然と聞く耳を持ち、聞く姿勢になります。

そうした態度が伝われば、相手もリラックスして話をすることができます。

お互いに聞く姿勢ができると、「自分が」「自分が」とアピール合戦をしていたときよりも、よほど建設的な意見交換ができます。

逆に、絶対にやってはいけないのは、せっかく聞き出した相手の意見を頭から否定すること。

「全然ダメ」「そんなこと、できっこないよ」という一言は、相手の心に壁をつくります。

その人は、「言ってもムダなんだ」「自分の意見なんか求められていないんだ」と思い込んで、もう二度と前向きな意見を言わなくなるでしょう。

「心理的安全性」が崩れた状態です。

ハーバード大学のエイミー・エドモントン教授は、問題を、「解決すべき問題」ではなく、「学ぶべき問題」として検討すると、わからない部分が見えてきて、チーム全体で知恵を絞ろうという姿勢をつくりやすくなると話しています。

これも、メンバーの見方を広げるにあたり、大事なことだと思います。

日本企業がもともと持っていたものグーグルが無料でランチを提供したり、福利厚生の制度を充実させていることについて、他社から見ると、バカげたことをやっているように見えるかもしれません。

しかし実際には、風通しのよい職場をつくるため、優秀な人材を集めるために必要なことなのです。

これは、グーグルだけができるわけではありません。

実は、日本企業は昔から、これに近い社風があったように思うのです。

みんなで運動会をやったり、飲みにいったり、泊まりにいったりして、人間関係をつくっていました。

僕が個人的に日本企業でおもしろいと思ったのは、一番大事なことが決まるのは、アフター6の飲み会においてだったということです。

ところが、効率化やコンプライアンス、またコストの問題などが出てきたために、飲み会も夜の会合もなくなって、きちんとした意思決定ができなくなったのではないかと思うのです。

本来なら、社員のキャリアや成長にかかわるような根本的な会話は、就業時間中に行なわれるのが望ましいのですが、「飲みニケーション」を通じて部下のガス抜きが行なわれていた日本企業では、飲み会がなくなった後、上司と部下との距離感が微妙に遠くなってしまったのではないかと感じています。

これはもったいないというのが僕の意見です。

ただ、日本のみなさんに誤解してほしくないのは、日本企業イコール「悪い」とか「古い」と言いたいわけではないということです。

グーグルもアップルもアマゾンも、社風も、働き方も、何に目を向けているのかも全然違います。

日本企業も、自分たちなりのやり方をもう一度見直してほしいと思います。

飲みニケーションや社員運動会が必ずしも正解ではないかもしれませんが、それでチームが一体感を持てるなら、再び取り組んでみる価値はあるのではないでしょうか。

僕は色々な会社にお邪魔してきて、この会社はすごい、おもしろいと感じることがたくさんありますが、本人たちが気づいていなかったり、自信を持っていなかったりすることが多いです。

そこはもったいないと思います。

仕事のレベルを上げるのは作業ではなく「人」である次に、コミュニケーションのプラスの部分について、お話ししていきましょう。

ところで、何のために速く仕事をするのでしょうか。

それは間違いなく、早く結果を出すためです。

そのために大事なのは、実は「人」との関係です。

なぜなら、社内でひとりで考えているだけでは解決できなかったことも、社外や他部署の人に相談すれば解決できるかもしれないし、もしかしたら、より広い仕事のチャンスをもらえるかもしれないからです。

アインシュタインの言葉に、「いかなる問題も、それが発生したのと同じ次元で解決することはできない」というものがあります。

会社にいると、どうしてもその会社の枠の中でしかものが見られないようになりがちですが、枠を超えて、たくさんの人に会って解決のアイデアやチャンスをもらうほうが、長い目で見て、その人の成長や仕事の速さや質が高まると思うのです。

僕は人と会うのが好きなので、たくさん友達がいます。

でも、いつも同じ友達と、同じような会話ばかりしていると、だんだん刺激がほしくなってきます。

海外在住の友達が東京に来て、一緒にピッチコンテスト(事業アイデアをプレゼンするコンテスト)を見にいったときのことです。

スタートアップの人たちが様々なアイデアを売り込んでいましたが、その友達はすごく退屈そうでした。

新しいことに興味がないのです。

僕はいくつかプレゼンを見て、これとこれを組み合わせれば、こんなことができそうだと刺激を受けたのですが、友達はただそれをぼんやり眺めていただけ。

たぶん仕事でもそんな感じなのではないかな、と考えてしまいました。

何年かぶりに会ったので、昔の話をしたい気持ちはわかります。

でも、10年前と同じような話しかしないのであれば、僕は別の人と話したい。

もっとおもしろい人、会っておきたい大事な人がたくさんいます。

極端なことをいえば、僕にはそういう友達と会っている時間がもったいない。

それくらい、僕は自分自身も変わっているし、付き合う人の顔ぶれもどんどん変わってきています。

特にグーグルを辞めて独立してから、人脈が一気に広がりました。

毎週のように新しい人たちと出会い、刺激を受けています。

僕自身も、この人とこの人をつなげると、おもしろいことが起きるはずだと思って、色々な場をセッティングしています。

こっちのアイデアとあっちのアイデアをつなげると、まったく新しいモノができます。

あの人とこの人をくっつければ、きっとすごいことが起きるに違いない。

自分のこれまでの知識や経験を、これまでとは別のジャンルに持ち込めば、何かおもしろいことができそうだ。

自分の直感に従って、次から次へと、おもしろそうな組み合わせを探していけば、いつのまにか自分のレベルが上がっています。

不思議の国に迷い込んだアリスのように、好奇心の赴くままに、おもしろいと思うことを追求していけば、それが自分のキャリアパスになるのです。

会う人のレベルも、知識の水準も、経験も、あらゆる事態に対応する能力も、気がついたらいつのまにかワンランク上になっているというのが理想です。

成功している人たちに共通するのは、子どものような好奇心を持っていて、関心領域がすごく広いということです。

なんにでも興味を持ち、本を書いたり、自分でバンドを持っていたりしながら、本業でも活躍しています。

そういう人たちと一緒にいると、自分も視野が開けるし、人のつながりもどんどん広がる。

そしてそのつながりから仕事も生まれる。

いいことばかりです。

たとえば、グーグルで一緒に働いていた尾原和啓さんは、『ITビジネスの原理』や『ザ・プラットフォーム』(いずれもNHK出版)のようなベストセラーを執筆していますが、独立後の僕にニューズピックスの佐々木紀彦編集長を紹介してくれて、ニューズピックスと共同企画を立てることになりました。

また、「happy」というドキュメンタリーをプロデュースした清水ハン栄治さんも紹介してくれて、新たなプロジェクトにかかわることもできました。

誰と一緒にいるかで人生が変わる誰と一緒にいるかというのは、仕事のうえでも、人生でも、すごく大きな意味を持ちます。

いつも同じで、昔から全然変わらない人は、数年に1回会えば十分です。

僕はよく若い人から相談を受けます。

メンターになってほしいと頼まれることもあります。

僕は人が好きだから、頼まれれば話を聞きます。

でも、1回会って話を聞いて、次回までに何も成長がなければ、「まだ会わなくてもいいんじゃない?半年たって成果が出たら、またそのとき声をかけてください」と言うのです。

もちろん、若い人から教えられることもたくさんあります。

だから、半年に1回くらいのペースで会って話をします。

その一方で、僕自身は新しい人に会うことにはすごく積極的で、交流会にも参加するし、知らない人に声をかけることも平気です。

バーやレストランでも、隣になった人にどんどん話しかけます。

こちらがオープンな姿勢でいると、相手も大抵心を開いてくれます。

そうして出会った新しい人の中には、強烈なエネルギーを発している人がいます。

どんな話題でもおもしろそうに話をして、まったく新しい切り口や見方を提供してくれる人。

頭の回転が速く、次から次へとネタを繰り出して、相手をまったく飽きさせない話題豊富な人。

落ち着いた話しぶりなのに、一言一言に重みがあって、思わず聞き入ってしまう人。

そういう人と会っていると、自分も刺激を受けて、どんどん成長できます。

すごい人の集まりにはすごい人ばかり集まるから、そんな話は自分には関係ないと感じてしまう方もいるかもしれません。

でも、ほんのささいなことからでも、つながりは生まれます。

たとえば、僕はある交流会でソニーのリーガルカウンセラーの方にお会いし、近いうちにお茶をしようということになりました。

彼は、AI関係の買収などにかかわっていて、最先端の仕事をしている方です。

後日、あらためてお会いしたときに、僕が今かかわっているスタートアップの話をしたら、「では、紹介したい人がいるから」と、その場で、日本のベンチャー企業では有名な方にメールをして、僕と引き合わせてくれたのです。

3人で話をしているうちに、さらに「だったらこの人にも会うといいよ」と言われ、今度は別の、成功した起業家の方を呼んでくださいました。

いかにいい人たちと出会い、人間関係を構築することができるか。

友達になったり、メンターになってもらったりすれば、人生が豊かになり、仕事も自分の世界も大きく広がります。

キーパーソンに会って何を話すか自分を一足飛びに成長させ、仕事のフィールドを上げてしまうには、キーパーソンと会うことです。

機会があれば、積極的に会いに行きましょう。

ただ、そういう偉い人が相手だと、ビビッてしまってうまく話せない人がいます。

あの人は有名人だから、お金持ちだからと気後れして、結局、何も話さないまま帰ってきてしまう。

それではチャンスはつかめません。

僕は初対面の人でもまったく気にせず話をすることができます。

相手の肩書や地位でビビることはありません。

恐怖心がないのは、結局同じ人間だと思っているからです。

相手をリスペクトすることと、相手を畏れ敬うことは違います。

むしろ、こちらがオープンでフラットな態度で接すれば、相手も気持ちよく話してくれるものです。

偉い人たちは忙しいから、自分のためにわざわざ時間をとってもらうのは申し訳ないと遠慮してしまう人がいるかもしれません。

超多忙なのは間違いありませんが、その人たちが会ってくれるのは、間に入って紹介した人を信用しているからです。

つまり、あの人の紹介だから、あなたと会う価値がある。

それがわかったうえで会ってくれるから、「自分と会うことが相手の時間をムダにするのではないか」と心配する必要はないのです。

だから、自己紹介などの前置きはほどほどにして、いきなり本題を切り出すくらいでちょうどいいと思います。

むしろ、そこでこちらが遠慮して、相手に価値を提供できなければ、次はないことを肝に銘じておきましょう。

僕がよくやるのは、「相手の課題」を想定して、それに質問を投げかける、という方法です。

以前、勤めていたときに、800人くらいの部下がいる部長に会う機会ができました。

部署の戦略を考えるようなポジションにいる人です。

そのとき僕は、「あまり時間がないのですが、知りたいことがあるのです。

あなたの部署の戦略を教えてください」と聞きました。

彼は当初「は?」という顔をしましたが、「自分の部下は誰もこのことについて聞いてこない」と言いながら、今の課題を説明してくれました。

そしてその後、ヘッドが集まるミーティングに僕も呼ばれることになったのです。

会議の冒頭でその部長は、「ピョートルからこんな質問をされたのだけど、そのことについて話し合いをしましょう」と話し始めました。

キーパーソンやポジションの高い人と話をするときは、表面的なことに終わらず、今現在この人はこういう課題を持っているのではないか、今この人はこんなことが大事で、こんなことに興味を持っているのではないか、という部分について質問を投げかけるのがよいと思います。

そのためには、ある程度相手のことを調べておかないといけません。

そのうえで質問を投げかけると「お、よくわかっているね」と相手に思われるわけです。

反対に、その人自身に興味がなく、偉い人だから当たり障りのない質問をしておこうという姿勢だと、たぶん相手もつまらないでしょう。

時間をムダにされたと思われることもあるので、注意したいところです。

パワーを持っている人を見抜く力社内でもポジションの高い人と関係を構築しておくことは大事です。

たとえば、外資系企業など、本社から高いポジションの人が来て、スピーチをすることがあります。

そのときに、鋭い質問をして、会議が終わった後に、すぐ話しかけて、答えてくれたことへの御礼と簡単な自己紹介をしておく。

そして後からメールを送って自分を印象づけるのです。

結局こうした関係は、社内においては自分だけでなく、自分の周囲の役に立つことが多いので、積極的に行なったほうがよいと思います。

「誰がその場でパワーを持っているか」を見極める力も、早く結果を出すためには必要なことです。

僕の仕事を手伝ってくれているグーグルの小川さんは、その能力に長けていて、一番力のある人とすぐに関係が構築できます。

今、グーグルの本社(マウンテンビュー)で勤めていますが、様々なつながりを持ってスピード感のある仕事をしています。

人間関係の優先順位を変える僕自身、モルガン・スタンレー、グーグル、そして独立と、だんだんと仕事のレベルが上がってきたように思います。

その理由は、自分自身の優先順位を変えたからです。

人間関係についていえば、「今知っている人」よりも「新しい人」、「新しい人でも代わり映えのしない人」よりも「新しい人で、どんどん自分自身を変化させていそうな人」を優先させることで、人付き合いのレベルが変わってきたようにも思います。

人付き合いも「常識」を破らないと、ライバルに勝てません。

たとえば、現在の僕は、人事関係のコンサルティングをしていますが、人事担当者の来る交流会に行って、そこで名刺交換をして、次にアポをとり営業して、という流れが普通です。

でも、それではライバルがやっていることと同じです。

それよりもポジションの高い人や、大きな仕事をしている人と会えるのであれば、僕はそちらをとります。

たとえば、同業者の交流会と同じタイミングで、アメリカにいる有力ベンチャー企業の創業者と会わせてくれる、と言われたら、飛行機代がかかっても、後者をとります。

そのほうが、今までになかった可能性が生まれますし、今までとまったく違うレベルまでいけるのであれば、それが最終的には、いち早く飛び抜けた結果を生むことにつながるからです。

狙った人とつながるこの章の最後に、上手にキーパーソンと人脈をつくる方法を紹介してみます。

会社の外に飛び出して人と会うのはいいことです。

ただし、社外の交流会や勉強会に参加したとき、名刺交換だけしておしまいでは、人脈は広がりません。

名刺をもらったら、できるだけフォローします。

経験上、名刺を渡して後からメールやメッセージをくれる人は1%くらいしかいません。

ただし、全員にフォローすると決めてしまうと、それ自体が目的になってしまって、いい人脈は広がらないので、優先順位を決めます。

「Take」ではなく「Give」まず、名刺をもらったら、名刺管理アプリを使って、全部スマホでスキャンして、情報をデジタル化しておきます。

僕が使っているのは、CamCardとEvernoteScannable。

名刺やレシートなどをスキャンしてPDF形式で保存できるほか、連絡先をデータベース化することもできます。

その後、最近聞いた話や会った人と関係がありそうな人に、連絡を入れます。

お礼のメールもいいですが、お礼だけで終わってしまうと、相手の印象に残りません。

必ず相手に何か情報を提供します。

たとえば、その人と関係が深そうな人の名前を挙げて「◯◯さんをご存知ですか?もし興味があれば、ご紹介しますよ」とメールをする。

業界の最新ネタの英文記事のリンクを張って、「こんな記事を見つけたんですが、ご存知でしたか?」と情報提供する。

こちらから相手がほしそうな情報をギブすれば、反応が違います。

せっかく機会に恵まれて会ったのだから、その人に何かをギブしたい。

相手のためを考えて何か行動を起こせば、それがホスピタリティにつながります。

こちらが相手を尊重して接していれば、必ず相手も返してくれる。

そうやって人間関係を深めていけば、いざというときに役に立ちます。

こうして、まずは覚えてもらうことに全力を傾けます。

自分にとって必要な人でも、相手にとって自分がそうだとは限りません。

自分とつながっておくと、こんないいことがありますよ、という印象を持ってもらうことが当面の目標になります。

キーパーソンと近づく方法会社の外で人脈をつくろうと思っても、特に若い人たちは、名刺交換する相手が担当者どまりで、なかなかキーパーソンにたどり着かないという問題があります。

営業に行けば、窓口の担当者とは会えても、決定権を持つ人にはなかなか会えません。

担当者を介して話をしている限り、「持ち帰って検討します」「後日お返事さしあげます」という返事ばかりで、成果が出るまでどうしても時間がかかります。

その壁をどうやって越えたらいいのでしょうか。

通常ルートから攻めているだけでは、どうしてもキーパーソンに会えないというときは、そのキーパーソンの動向を徹底的に調べます。

たとえば、どこかのセミナーで講師として登壇する予定がないか、どこかの交流会や勉強会に参加していないか、自分と共通の知り合いはいないか、知り合いがいた場合は紹介してもらえないか、その人に興味を持って調べていけば、どこかに接点はあるものです。

接点を見つけたら、そこを突破口にして近づきます。

ただ、そういうキーパーソンは大抵人気者で、セミナーや交流会など、大勢の人が集まる場にいても、色々な人から話しかけられるので、話すタイミングが難しいということもあるでしょう。

セミナー後に登壇者に話しかけたとしても、みんなと同じ行列に並んで名刺交換して終わり、ということもあるはずです。

大勢が参加するパーティーで印象に残るには僕なら、そういうときこそ周囲の人たちとは真逆の作戦をとります。

勉強会後の懇親会でも、立食パーティーでも、人気者は大勢の人に囲まれて、気が休まる時間もありません。

でも、ふとした瞬間、人垣がなくなるときがあります。

そのタイミングで、ビールを片手に「1杯どうぞ」と言って近づけば、「ああ、ありがとうございます。

ちょうど喉が渇いていたんです」と受けとってもらえるでしょう。

「ずっとしゃべっていて大変ですよね」とねぎらいの言葉のひとつもかければ、大勢の輪の中で話しかけるよりも印象に残りやすいものです。

最初から狙いをつけたターゲットがいないパーティーでは、一番盛り上がっているところに行くのが鉄則です。

「みなさん、何の話をしているんですか?」と聞けば、誰か親切な人がすぐに説明してくれます。

壁沿いに立っていて、ひとりでお酒を飲んでいても何も起きないので、輪の中に入って自分も一緒に楽しんでしまうという姿勢が大事です。

そうやって会話に参加すれば、誰がキーパーソンで誰が取り巻きなのか、会話の方向を決めているのは誰か、みんなは誰と話したくてここに集まっているのかが、手にとるようにわかります。

そして、いつのまにか自分が輪の中心にいる。

これが一番いいやり方です。

フェイスブックでつかず離れずの距離を維持するせっかくの出会いを一度限りで終わらせないためには、どうすればいいでしょうか。

自分の周りに、いつでも話を聞きにいけるプロのネットワークをつくっておくことが大事です。

インターネットである程度のことは調べることができますが、専門家に直接質問できれば、表面的な説明にとどまらない、より深い、リアルな話が聞けるし、何より自分の問題意識や関心事にダイレクトに返事をもらえるので、役に立つ度合いがまるで違います。

もちろん、相手から一方的に情報をもらうだけの関係では長続きしないのは言うまでもありません。

相手から何かをギブしてもらうためには、こちらからも何かをギブすること。

専門知識を教えてもらう代わりに、こちらからも業界のトレンドやそのジャンルに対するニーズなどの情報をシェアして、自分と付き合っておくと得だということを、印象づけることが大切です。

様々なジャンルのプロフェッショナルとの接点は大事ですが、そういう人たちと常に仕事上で接点があるとは限りません。

普段なかなか会うチャンスがない人たちと、どうやって関係を維持したらいいのでしょうか。

そういうときこそ役に立つのが、フェイスブックです。

フェイスブックには誕生日を表示する機能がついているので、「誕生日おめでとう。

最近、何をやっているんですか?」と一言メッセージを送るだけで、自分の存在を思い出してもらうことができます。

「今はこんなことをしています」という返事が来て、もしそれが自分の関心領域と重なる部分があったら、話を聞きにいけばいいのです。

何かの機会にせっかく知り合いになっても、そのまま放置しておけば、自分のことを覚えていてくれる可能性はあまりありません。

大勢の人が参加するセミナーや交流会で、名刺交換しただけの関係ならなおさらです。

だから、まずはフェイスブックなどのSNSでつながっておいて、ことあるごとにメッセージを交換して関係を維持しておく必要があるのです。

ただし、やりすぎると迷惑がられるかもしれないので、節度を保って、たまに自分の存在を思い出してもらうくらいの距離感が、お互いに気持ちいいのではないかと思います。

まとめ□「プロトタイプ」でやりとりをすれば、仕事は速く回る□不要な会議は定例のものでもやめる□部下との打ち合わせは週1回でいい□仕事外でも付き合える関係は、仕事の効率をよくする□「新しい人」「変化する人」「レベルの高い人」と優先して付き合う

学ぶべきは、コンテンツではなく経験値である「学び」も大きく変わってきています。

ネットにつなげば大抵のことはわかりますし、「コンテンツ」もどんどん古びてしまいます。

したがって、グーグルでは「学ぶべきは、コンテンツではなく経験値である」ということで、研修よりも、社員同士の学びを高めようとしています。

第一、コンテンツを学ぼうと学校や教室に通うことこそ、時間がもったいないのです。

根本を学ぶのは大事でも、学びすぎて時間をムダにしてしまっては元も子もありません。

たとえば、投資について勉強したいときは、まず投資の基本的なことを調べて大事なキーワードを見つけたら、その後は、詳しい人に会って直接知りたいことを聞いたほうが速いでしょう。

そして、ほとんどの場合、それで十分なのです。

にもかかわらず、ファイナンスを一から勉強しなければと思い込み、そのためにわざわざビジネススクールに行こうというのは、専門家を目指すのではない限り、必要ないと思います。

それよりも、相手が持っているノウハウを、今の自分に必要な形で聞いてしまうのです。

そのほうが、よっぽど早く自分の仕事に役立ちますし、そもそもいつ変わるかわからないコンテンツを自分で知っている必要もありません。

一方で、新しく起こっていることや新しい知見を、速いサイクルで学んで仕事に活かしていくことは、すごく大事になっています。

JTの経営企画部長・大瀧裕樹さんは、「オペレーションで成功するためには、自分の枠の中での『達成』が必要だが、新しい価値を生むためには、自分の枠を超えなければならない『成長』が必要」と言っていますが、まさにそのとおりです。

少し神秘的なたとえですが、僕はよくフィボナッチ数列の話もします。

フィボナッチ数列とは、前の2つの数を加えると次の数になるという数列で、1、1、2(=1+1)、3(=1+2)、5(=2+3)、8(=3+5)、13(=5+8)、21(=8+13)、34(=13+21)……と続いていきます。

昨日の自分、一昨日の自分を足すと今の自分になり、先月の自分、先々月の自分を足すと今の自分になるわけですが、今の自分もまた将来の自分の元になっていて、どんどん成長していきます。

そのスピードは、1、2、3、4、5……のように一歩ずつ成長するのではなく、後になるほど加速するわけです。

成功するというのは、今の自分を踏み台にして、どんどん超えていくということです。

「検索時代」の学習の基本わからないことがあれば、まず「ググる」。

これが今の時代の学習の基本です。

ところが、いまだにこれができていない方も、たまに見かけます。

ある会社のシステム担当者に、「うちもこういうシステムを入れたいんだけど、どうしたらいいのかわからないんだよ」と尋ねられたことがあるのですが、そんなことは、ググれば、すぐにわかります。

検索してある程度の知識を得たら、それをもっと詳しい人にぶつけます。

すると、様々な情報がもらえるでしょう。

要は、「検索」→「プロに聞く」というサイクルを回していくわけです。

情報収集を速く行なうというのは、より大事なことになっています。

そのためにも、第4章で紹介したような方法で、プロのネットワークをつくっておくとよいでしょう。

学びにつながる「質問」のルール何かというと社内研修をする会社も多いですが、手っとり早く自分の成長につなげるには、人に聞くことがすごく大事です。

「コレクティブ・インテリジェンス」という言葉があるように、自分の知りたいことの80%は同僚が知っているのです。

様々な人が持っている知識や経験を組み合わせることで、最適な方法が見つかります。

それなのに、外部の研修を受けたり講義を受けたり、ということが多すぎる。

本当は手近な人に聞いてしまえばいいのです。

でも、質問にもルールがあります。

わからないからといって、「すみません、何もわからないんですが、どうしたらいいですか?」と言うだけでは、相手は何を教えていいのかわかりません。

1回だけならそれでもいいかもしれませんが、これが何度も繰り返されると、相手は、「何で自分で勉強しない人に教えなければいけないの?」とイライラしてきます。

質問するときは、自分の仮説を持ち出すことが必要です。

たとえば、まったく担当したことがない仕事をやることになったときも、まずネットで検索して、大体こういうふうに取り組んでいけばよいのではないか、という見当をつけておく。

そのうえで、「この仕事ははじめてなのですが、こんなふうにやればいいのでしょうか?」と、自分の説を出して尋ねます。

自分なりの準備をしてきた人に対しては、誰でも丁寧に答えてくれるでしょう。

慣れてくると、相手の立場を考えながら、「この人はこういう質問のしかたのほうが答えやすい」といったこともわかってきます。

たとえば、現場のエキスパートの方なら詳しい話が聞けるとしても、役員クラスに現場のことを聞いてもしかたがないですし、聞くにしても「以前あなたがこの仕事をやっていたときはどうしましたか?」とか、「○○さんの立場から、今の現場を見てどうですか?」といった聞き方になるでしょう。

質問をするなら、仕事ができる人にどうせ質問をするなら、一流の人に聞くべきです。

まず、人材育成のプロの視点から見れば、成功している人たちは、色々と丁寧に教えてくれることが多いからです。

なぜかというと、誰でも自分の得意分野のことを話すのは楽しいので、「こうしたらいいよ」「こうすると、あなたもこんなふうになれるよ」と親切に教えてくれるのです。

もうひとつの理由は、仕事のできる人は、言語化する能力も高いからです。

だからこそ、自分の分野のことを、違う分野の人たちに説明できます。

一般に「すごい選手は、すごいコーチになれるわけではない」という説がありますが、ビジネスの分野では、僕は必ずしも当てはまらないと思います。

また、できる人は、勢いがあります。

人に興味を持ち、共感して話をしてくれます。

逆に、仕事はがんばっているのだけれど、質問すると嫌そうな顔をする人は、目の前の仕事に追われているだけで、全体への興味が薄かったり、「自分の仕事を言語化できていない=深く考えていない」可能性もあります。

そういう人は、最終的に成功しないと思います。

僕も、何かその分野について聞くならば、コツコツやっているだけの人ではなくて、超成功している人に話を聞きにいきます。

超成功しているわけですから、「今時間がないから」と断られる可能性もなくはないのですが、その場合でも、他に適した人を紹介してくれることがあるのです。

できる人から紹介していただいた人は、大抵筋がよいので、最終的によい情報を提供してくれるのです。

職場で「学ぶ」仕組み同僚や社内でのコミュニケーションがうまくいっていれば、わからないことは、チャットでもメールでも聞くことができます。

さらに、僕がグーグルやモルガン・スタンレーでやっていたのは、違う部署の人に「あなたの仕事が知りたいので、隣に座って見ていていいですか?」とお願いすることです。

「忙しいので30分くらいなら」という制限がつくことがありますが、大抵の場合は、OKをもらえます。

こういうことができない会社もあります。

下手をすると、自分の上司にクレームがきてしまう。

しかし、社内で埋もれている知見には様々なものがありますし、交流を深めることで新たな発見もあるので、もったいないことだと思います。

フィードバックで自分が気づかない情報をもらう仕事が終わった後の「フィードバック」を自分でしている方もいらっしゃるのではないかと思います。

「これがうまくいってる」「これがうまくいってない」と自分なりの説を立て、自己評価しながら振り返ります。

それ自体は意味のあることですが、他人からの評価は、それとはまた違うものです。

たとえば、自分では「ここがあまりうまくいかなかった」と思っていても、他の人に聞いたら、「それはあまり心配することはないと思うけれど、逆に、この分野にもっと力を入れたほうがいい」という意外な指摘を受けることがあります。

僕もよくあるのですが、こうした「自分が気づいてない情報」は、今後のことを考えるにあたって、一番の宝物になると思います。

こうしたフィードバックは、グーグルでは当然のこととして行なわれています。

日本では、聞くのは恥ずかしいという方もいるかもしれませんが、周りにどんどん聞いていく習慣をつくって慣れてしまえば、楽に聞けるようになるはずです。

最初のきっかけが難しいなら、職場の飲み会などでお酒が入ったときに、「あのー、私はこんなことに困っていて、これがまだできないのですが、どう思われますか?」と、さっと上司に聞いてみましょう。

少しでも意見がもらえたら、次の日の朝、「色々ご指摘いただいて、ありがとうございます。

具体的にもっと教えてください」などと言って、より詳細なフィードバックをもらう習慣をつくっていくとよいでしょう。

仕事の前に行なう「フィードフォワード」さて、「フィードバック」は行なっている方が多いと思いますが、「フィードフォワード」はどうでしょうか?この言葉を聞いたこと自体はじめてという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「フィードバック」というのは過去の振り返りです。

「フィードフォワード」というのは、単純にいえば、「私はこれから、どうすればいいのですか?」という話です。

たとえば、何かの仕事をした後に振り返るのではなく、その仕事をする前に、「これを解決するには、どうしたらいいですか?」と、人に聞いてみるのです。

先に情報を仕入れてから動くと、仕事がうまくいく確率は上がります。

聞かれたほうも、頼られていると思えば、喜んでアドバイスをくれるはずです。

また、仕事を依頼されたときに、すぐフィードフォワードをすると、仕事のムダがなくなります。

「この件について次の会議で部長に報告して」などと曖昧な指示が出たとします。

依頼されたほうはあれも必要、これも必要と想像しながら調べて持っていきますが、部長が求める情報が何もなかったら、「貴重な時間を割いたのに、ムダ足だった」と怒られてしまうかもしれません。

しかし先に、「部長はどんなことを知りたいのでしょうか?」「何をこの報告で伝えなければならないのですか?」と一言聞いておきさえすれば、つまらないことに時間を割かなくて済むのです。

そして上司のほうも、ぜひ、「自分で考えろ」で終わらないようにしてほしいものです。

事前にフィードフォワードで、「こうやってみたら、もっとよくなるのではないか」と具体的な行動に落とし込んで伝えてあげるのがよいでしょう。

人材育成部門にいて実感するのは、上司に「私はこうしようと考えているのですが、いかがですか?」と聞ける人は、すごく伸びるということです。

よい情報を聞き出す質問は、「①具体的に、②私はどこで、③何を変えて、④どうすれば、うまくできるようになるのですか?」という4つのポイントが入ったものです。

ぜひ、試していただけたらと思います。

「成功していない人」というのは、「頭の中が整理されていない人」であり、うまくいかないときというのは、「うまく情報をまとめられず、状況を把握できない」ときなのです。

そのためにもよく知る人に話を聞くことは大事です。

もしあなたがリーダーで、メンバーの指導にまわる立場であれば、相談してきた人の頭の中の整理を手伝ってあげることで、相手がスムーズに次の段階まで進めることは多いでしょう。

研修より実践で自信を磨く不得手なことや弱点を克服するなら、日常業務で改善していくのが一番です。

たとえば、僕がやったのは、人の前で話すのは苦手という人に対して、日常の中で少しずつ実践の場を設けるということです。

「次のチームミーティングで、あなたの仕事をみんなに説明してください」と依頼して、それがうまくできたら、「よくがんばってくれましたね。

今度はもう一歩踏み出して、その内容を整理して、スライドにまとめてみましょう」「スライドがすごくよくできたので、もっと大きいミーティングで発表してみましょう」と、一歩ずつ自信を深めていけるように仕向けるのです。

研修で1回学ぶだけでは、それで忘れてしまうこともありますが、現場で実践できれば、そのほうが自信になるし、身につくのも速いのです。

図5-3は、NLP理論で著名なロバート・ディルツ氏の、人が学習したり変化したりする際の階層構造を示したモデルです(ニューロロジカルレベルと呼んでいます)。

6つのレベルがあり、上位のレベルの変化は必ず下位のレベルに影響し、なんらかの変化を起こします。

僕たちは、行動を変えたいと思ったら、習慣から変えなくてはなりません。

大雑把に「あなたはこれができないから直してください」と言われても、相手はどうしてよいのかわからないのです。

そこでこの階層に従って、変化を起こしていくのです。

信念を変え、態度を変え、能力やスキルが変わり、そしてやっと行動が変わります。

結局、深い部分から変わらないと、行動は変わっていかないということなのです。

だからこそ、少しずつ成功体験を積んで自信を持てるようにするのが望ましいのです。

コミュニティで学ぶ「検索」→「プロに聞く」という学びのサイクルについてお話ししましたが、「人」に会うためのコミュニティが、自分の成長や学びのために、大きな価値を持つようになっています。

ここでは、自分の学びのための「コミュニティ」に関する話をしていきます。

グーグルにいたときは、毎週金曜日のTGIFでお酒を飲みながら意見交換したり、あるいは、ランチも毎回できるだけ違う人と一緒に食べて、知らない人たちと話をするのが僕の日課でした。

他部署の人たちに会って、彼らの課題や希望、目的などを聞いておき、仕事上のつながりをつくっておくのも、いざというときのために大切です。

また、仕事ではじめて会った人にも、「あなたのことをもっと知りたいから今度ランチを食べましょう」と誘えば、断られることはまずありません。

モルガン・スタンレー時代は、気軽に話す機会があまりなかったので、自分で飲み会を企画していました。

といっても、そんなに大がかりなものではありません。

近くのバーに毎週金曜日の夜に集まると決めておけば、みんな来てくれるはずと思って始めたら、これが当たりました。

会う人みんなに「金曜日の夜に1杯いかが?7時以降は出入り自由。

キャッシュ・オン・デリバリーだから、自分が飲みたい分だけ払えばOKです」と声をかけて、毎週続けていたら、最初は数人の集まりだったのが、来た人がみんな自分の友達を連れてくるようになって、多いときは50人くらい集まるようになりました。

そうなると、言い出しっぺの僕がいなくても、みなさん勝手に集まって、ワイワイ騒いでいるわけです。

金融業界だけでなく、色々な業種の人が集まってきて、とてもおもしろい会になりました。

こうした集まりは、インフォーマルのものですが、そのほうが情報のやりとりが速く、学ぶスピードも速くなります。

それはそのまま仕事の速度にも影響していきます。

複数のコミュニティに顔を出すまた、モルガン・スタンレー時代に、同僚の誘いで人材育成の勉強会を月に1回、証券会社や投資銀行などの人たちを集めてやっていました。

その同僚はその後、シンガポールに行ってしまったので、会の存続が危ぶまれたのですが、僕が後を引き継いで、モルガン・スタンレーを辞めてグーグルに入った後も続けていました。

僕が別の業界に移った以降は、金融業界の人たちだけではもったいないので、ITやベンチャー業界の人たちも連れていくようになり、今もずっと回っています。

毎月誰かが手を挙げて、次回はうちの会社でやりましょうと申し出てくれています。

こういう社外コミュニティも、人間関係を広げるよい機会になります。

会社にすべて依存してしまうと、もしその会社が危機に陥ったら、自分の依って立つ足場を失います。

自分が生き残るためには、いくつかのコミュニティに属して、複数の足で立つことが重要です。

今の日本では、地域社会のコミュニティがとても希薄になっているので、周りになければ、自分でつくるしかありません。

しかも自分でつくったコミュニティでは、自分がリーダーになるので、影響力を発揮しやすいというメリットもあります。

そして中にいる、影響力のある人がサポートもしてくれるので、物事の進み具合が速くなります。

違うジャンルの人を排除しないなお、コミュニティをつくっていくうえでは、この人は自分とは関係ないという思い込みはやめること。

どこでどんな接点があるか、わからないからです。

僕は前著『0秒リーダーシップ』(すばる舎)の八重洲ブックセンターでの本のサイン会に来てくれた9歳の男の子の朋迦くんのご両親と仲良くなったのですが、お父さんの染谷昌利さんはなんと有名なブロガーで、お母さんの染谷亜記子さんは漫画家でした。

その後、染谷さんの紹介で、シンガーソングライターの阿部敏郎さんと元歌手の惣領智子さんにお会いしました。

二人ともマインドフルネスの研究をしているご縁で、一緒に講演をさせてもらったり、そのまた知り合いで2017年に民間宇宙飛行士として宇宙飛行を行なうことになっている山崎大地さんを紹介してもらいました。

年齢も職業も違う方たちですが、様々な方と出会い、毎日刺激を受けています。

今すぐに何かが得られるわけではなくても、その人とつながっていることで、いつか何か新しいことが始まるかもしれません。

相手がすごいネットワークを持っている人なら、ちょうどいいタイミングで人を紹介してもらえるかもしれない。

だから、勝手に自分には関係ないと決めつけないことが大事です。

僕は人事の仕事をしているので、交流会や勉強会に参加して、人事系の人たちと名刺交換をする機会が多いのですが、その枠から意識的にはみ出していかないと、同業者の輪の中でグルグル回っているだけで、人脈はそれ以上に広がっていきません。

しかも、僕のようにコンサルティングを仕事にしていると、人事担当者と会うよりも、予算を握っている管理職の人たちと会ったほうが話が早いということもあります。

たとえば、医師の交流会に出たことで、「自分の患者さんに、こんな人がいるから今度紹介してあげるよ」とお客さんになる方をご紹介いただいたこともありました。

相手が医師だと競争相手でもないので、相手も「双方のメリットになるなら」と気軽に紹介してくれたのです。

回りまわって、自分の仕事にもつながることだってあるのです。

社内にこもっているより、外に出たほうが何倍もいいのはもちろん、同業者の集まりだけではなく、意識的に自分の枠を外してみると、新しい出会いがあるはずです。

フェイスブックの友達リクエストも、自分の友達の友達で、職業などがわかれば、大抵みなさんOKしてくださいます。

その後、「一度お会いしませんか」とお誘いして、コミュニティを増やしていくこともできます。

SNSを学びに活用する何かを学びたいときも、SNSを活用します。

フェイスブックのコミュニティに参加してもいいですし、最近は「ミートアップ(Meetup)」という、その地域の趣味のコミュニティやイベントに参加できるサービスもあります。

そうした会に参加して、一番うまくできる人、知識がある人をメンターにして、教えてもらいます。

こうした会で教えてもらえば無料ですし、何より速く学べます。

最近よく活用している方法です。

いずれにせよ、エキスパートに素早くアクセスできるような自分なりの仕組みやネットワークをつくっておくのが大事です。

おもしろいことに、得るものが大きいのは、強いつながりよりも、「ウィークタイズ(weakties)」といって、むしろ「弱いつながり」なのです。

同じ業種・同じ年齢の人たちと集まると、内輪向けの話はできても得られるものは少ないです。

ところが、仕事上なんのつながりもない人のほうが、バラエティに富んだ人を紹介してくれますし、自分と同じようなキャラクターも少ないので、チャンスを与えてくれることが多いようです。

一方で、ただ相手からもらうというだけでなく、「こちらからどんな情報を提供すれば、相手は喜んでくれるだろう?」という意識を持つことも大切です。

自分から何を提供すればいいのかわからなくても、たとえば、「交流会をやりますから、あなたも来ませんか?」ということでもいいのです。

交流会を開催するなら、フェイスブックのグループを利用するのもいいでしょう。

つくるのはとても簡単なので、そこでイベントの日程や場所を共有すれば、それほど手間をかけずにイベントを実施することができます。

僕は、いくつものグループを使い分けて、グループによって別々のメッセージを送っています。

仕事でつながっている人には役に立つ情報を流し、ネコ動画でつながっている人には新しいネコ動画をシェアして「いいね!」をもらう。

そうやってグループを分けておけば、今度こういう飲み会をやりたいというときに、特定のグループだけに情報をシェアすればいいいので、とても便利です。

ひとりよりも、巻き込んで動く今、個人が成功するには、大きく2つのやり方があります。

ひとつは、とにかくお金を儲けたいから、お客さんを明確にして戦略的に営業する、というもの。

もうひとつのやり方は、たとえば、自分が情熱を持っていること、世の中をよくしたいとか、こういうミッションで社会貢献したいとか、そういったことを大きな声でSNSなどで訴えていく。

それで集まってきた人たちと活動していくとお金が入ってくるという方法です。

実際、どちらが早く成功するのかというABテストをやってみたのですが、実は後者でした(ABテストはウェブページなどの効果を測定するためによく行なわれています)。

信頼関係ができて、利益につながったのは、まず自分がやりたいことを世界に向けて発信するほうだったのです。

これは僕にとっても大きな気づきとなりました。

自分がゼロからコミュニティをつくって、周りの人たちに何かを提供していくほうが、結局は早道だということです。

営業では信頼関係はそれほど構築できないのですが、こうしたコミュニティの場合、不思議とギブしてギブしてギブして、たくさんあげたら戻ってくるのです。

「for」と「with」会社のミッションとかビジョンには、英語で言うと「forのミッション」と「withのミッション」があります。

forというのは、お客さんのために何かすることです。

たとえば、ダンキンドーナッツでは、「美味しいドーナツとコーヒーを提供する」といったミッションを掲げています。

一方、スターバックスの場合は、「ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティ」という言葉で示されるように、「地域のみなさんとのつながり(居場所)をつくる」というミッションです。

これが「withのミッション」です。

自分たちのサービスや商品をいかに宣伝して、自分たちのブランディングをつくるかという「forのミッション」は、カスタマーが受け身です。

対して、スタバの場合は、いかにお客さんを巻き込むか、そして巻き込みながらフィードバックをもらうかを大事にしているのです。

スタバでサンプリングをしているのはご存知ですか?いかにみんなから情報をもらうかということは、今後の成長のヒントになるのだと思います。

なぜ、学ぶのか今、なぜ学ぶことが大事なのかというと、「選択肢」をたくさん持っていたほうが生き残れる可能性が高くなるからです。

ダーウィンの進化論によると、生き残る生物は、必ずしも一番強い生物ではなくて、一番柔軟性のある生物なのだそうです。

進化論的にも、今の環境に適応した種ほど、環境が変わった瞬間から生き残れなくなってしまう。

ある環境にすごく合っているというのは、環境が変わったときに、対応しきれない可能性があるというわけです。

未来が予想できない今、どのように柔軟性を身につけるかというと、学んで選択肢を増やす、ということになるのではないかと思います。

たとえば、選択肢がひとつしかない人は、たとえ今、成果を出していたとしても、「今のシチュエーションでこれを使える」というだけのことです。

しかし、今後は、今とは違う状況が訪れて、新しい選択をしなければならないこともたくさん出てくるでしょう。

そのときにそれに対応できるかどうか。

そのためには、武器(選択肢)をいっぱい持っておく必要があります。

忍者みたいに、手裏剣やまきびしや水ぐもなど、懐に色々なツールを持っておけば、状況に応じて選んで使うことができます。

変わり続ける学び続ける人は誰でも学べます。

学ぶことで変わるのです。

人は、意識やパーソナリティといった固定したものではなくて、プロセスそのものであると僕は考えています。

ここで終わりというものはなく、生きている限り、変わり続ける存在です。

だから、変わっていくのはよいことです。

そして、すべての失敗は学びになります。

「勝つか」「負けるか」ではなく、「勝つか」「学ぶか」です。

「勝たなかった人」も「そこで学べた」という経験が残ります。

結局どちらもプラスしかないのですから、恐がらずに変わっていくことが何より大事なのだと思います。

ここで「成長思考」(グロース・マインドセット:growthmindset)のお話をしたいと思います。

「成長思考」「学習思考」「回避思考」「証明思考」というものがあります。

それは、その人にどれかひとつが当てはまるというわけではなく、ひとりの人間は様々な思考で成り立っているものだと思ってください。

「成長思考」は、言葉そのままで、成長しようという思考です。

「学習思考」は、学んでいこうという意識。

自分はこういう人だという思い込みにとらわれず、まだまだ学んでいこうという姿勢です。

この2つをグロース・マインドセットと呼びます。

スポーツ心理学では、伸びるスポーツ選手は、勝つためではなく、それが好きだから、伸びるために練習していると言われますが、成長思考・学習思考が強い人も同じで、他人と競争するのではなく、自分のために伸びようとしています。

たとえば、「できなかったら、次はどうしたらいいか」「うまくいったら、なぜうまくいったか」を研究して、常に自分の課題を持ち、いつも、「自分はまだまだだから、学んでいこう。

今はそのプロセスである」と、考えているのです。

一方、「証明思考」は、周りの目が恐いがゆえに、自分ができる人だと見せかけようとすることです。

自己証明をしようという傾向です。

最後の、「回避思考」は、失敗を避けるような考え方です。

この2つを「フィックスト・マインドセット(fixedmindset)」と呼ぶことにします。

「回避思考」と「証明思考」が上がると、パフォーマンスが下がり、失敗しやすくなります。

逆に「学習思考」と「成長思考」が上がったら、成功するチャンスが高くなることがわかっています。

アメリカには多いのですが、うまくいかないときに、「自分はできる」と人に証明しようと、躍起になってしまう人がいます。

でも、それでは成長できません。

誰にでも負けることはありますし、うまくいかないこともあります。

そのときに、失敗を「学び」に変えるか、失敗を「認めないか」という選択で、その後の成長がまったく変わってきてしまうのです。

ハーバード大学のエイミー・エドモンソン教授によると、成功するチームは実は失敗が多いのです。

すぐに試して、素早くプチ失敗を経験し、フィードバックループを高速に回すから成功するのです。

そしてそれには第4章でお話しした職場の「心理的安全性」が不可欠です。

チームとして、「失敗」ができる環境をつくること、個人としてはプチ失敗から学ぶサイクルを速く回せるようにしていくことが大事だと思います。

まとめ□学ぶ=検索+プロ・同僚・人に聞く□フィードバックだけでなくフィードフォワードを活用しよう□気軽に聞けるコミュニティをつくっておく□学び続けて変わり続けていく

 

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