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世の中の流れを読むこと

世の中の流れを的確に読み取って、将来の大きな方向づけをすることが、社長の最も大事

な役割だ、と本書で何度も強調してきた。

「更なる発展のためには、どのような事業をやるべきか」、これは会社の将来を決める最も

肝心な要素である。そのためには社長の先見力が必要となるのは当然のことだ。これから良

くなるものを手掛け、悪くなるものを捨てる。これほど単純で明快な経営の定石はない。し

かし単純だから簡単かといえば、社長にとっても一番難しい仕事なのである。

わたしが物心ついた時代の花形産業といえば、製糸産業や石炭産業であり、製粉。精糖産

業も元気であった。しかし今や昔日の面影はない。わたしが事業を始めた時代から、家電や

自動車が脚光を浴びつつあった。しかし、現在この業界に飛び込んで、将来事業を大きく伸

ばす余地が市場に残されているのであろうか。世の中の流れは、常に、確実に動いており、

その流れの見極めが会社の将来を決するのである。

ところが、世の中の流れを百パーセント読み切れる経営者なんているのだろうか。日本に

は、百万人以上の経営者がいるのだから、きっと何人かは例外的に、天才的な先見力に恵ま

れた方もいらっしゃるかもしれない。しかし大方の経営者が、先の見通しに悩み迷いつつ経

営しているというのが現実ではないか。

だからこそ、経済学者だけではなく経済評論家という職業が成り立つのだ。経営者には案

外、占いとか気学のようなものにこだわる方も多い。それだけ先を的確に読むことは難しい。

一度の大儲けに終わることなく会社を永続的に発展させるためには、五年、 一〇年の期間

で事業を眺めて、世の中の流れに合うように方向を修正していかなければならない。天才的

な先見力を持ち合わせていない大方の社長にとって、そのための最も確実な方法は何かとい

えば、手前みそになるが、社長の立てる長期計画、と思うのである。

では、それで十分かというと、そうではない。

長期計画の企画段階で、あるいは実践段階で、これまでに本書で説明する機会のなかった

大事な要素が抜けているのだ。それらをまとめて、次から述べてみる。

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