【急所83】日本の中小企業が造るもの:雑貨は新興国と大企業に任せよ。
これまで多くの日本の製造業は、「良いモノを速く安く造る」ことを追求してきた。それは、アナログ製品の場合、日本が得意とする「すり合わせ」が不可欠でマネが非常に難しかった。このため、速さと安さが大きな強みとなったからだ。だが、時代は変わっている。
いまや金型もデータで地球の裏側に送れる時代になった。デジタルは、多くの製品のすり合わせを不要にし、機械さえ揃えれば誰でも造れる「雑貨化」を進めた。家電を見れば分かるように、売れると分かると新興国の企業もすぐにマネて一斉に参入できるようになった。
土地も人件費も安い新興国と、安さだけを競えば勝ち日はない。すり合わせが必須の「お客様に密着してご要望に合わせて丁寧に造る」モノづくりを行なうことだ。いつの時代も、生身の人間のニーズはアナログである。
【急所84】日本が目指すモノづくり:製口”づくりから魅力づくりに転換せよ。
日本の製品が世界を席巻した時には、「〓a①一”』8留」はとにかく性能が良く壊れないことを示す品質表示であった。
すなわちその時は「機能性」で評価され、売れていたことが分かる。ところが機能性というレベルだけなら世界中のどこでも達成できるようになり、今ではそれが当たり前になってしまった。供給過剰で価格下落が止まらないデジタル製品はその最たる例だ。新興国で造られる製品と日本製で大差がなくなった。製品の機能性で戦っているうちは、世界を相手にした価格競争を強いられることになるのだ。
中小メーカーが目指すべきは、スペックや機能といったものを越えて、魅力があるから買うと言われる次のステージのモノづくりに転換していくことだ。小さくてもブランドを育てれば、魅力で売れるようになる。
【急所85】下請け発想の未来:売れているモノを受注しようとするな。会社をあげて、売れるモノを造れ。
下請け発想が染み付いている中小企業の場合、何とか売れている製品の仕事を受注しようとしたり、マネた製品を造ろうとする。当然ながら買い叩かれることになる。
それでも、市場全体が大きくなっている間は、安くても量で稼げた。だが、これからの成熟社会では市場は縮み量も減る。しかも格安で造る新興国勢がたくさん参入してくるとなると、よほど価格競争に自信がない限り、下請け発想ではまず経営が立ち行かなくなってしまう。
経営トップを先頭にして、営業や生産、開発、購買…、すべての社員が「売れるモノを造る」という強い意識を持ち、会社をあげて自ら造ったモノを自ら売ることだ。「独自の製品を造るメーカー」を目指すことで、小さくても儲かる強い企業になれる。
【急所86】QCDの意義と限界:QCDを越えて、お客様のことばかりやってみよ。
QCD(品質・コスト・納期)は、モノづくりのキーワードとして掲げられ、日本の製造業の実力向上に大きく貢献してきた。しかし、これらは基本的に製造ありきの視点であり、大量生産を前提としたプロダクトアウトの、内向きの考え方であることに気づかなければならない。
品質もコストも納期も重要なことには間違いない。だが、欲しくないものや要らないものに、お客様は品質など求めないし、そもそも売れなければ納期も関係がない。マーケットという視点、お客様のご要望という視点、自分がモノを買うとき、まったく違った視点や感情で購入を考えていることが多いことに気づくはずだ。これからのマーケットインのモノづくりを行なうには、むしろQCDを忘れるくらいに、お客様のことばかりやってみることだ。
【急所87】求められる人材と組織:モノづくりの体制を、野球型からバレーボール型に変えよ。
大量生産の時代には、明確に作業分担をした方が効率が良かった。 一度ラインを動かせば当分変更しないので、各作業ごと慣れた人を揃えた方が製造スピードも品質も上がりやすいし訓練も容易だからだ。スポーツで例えるならチームプレーだが各ポジションごとに専門家がいる「野球」が近い。
しかし、多品種ク変量″生産の時代には、各々、融通が利かないと小回りが利かず、注文に対応できなくなる。求められるのは、ほぼ全員がすべてのポジションをカバーでき、状況に応じてお互いが協力し合える「バレーボール」型だ。全員がネットの向こうの相手の動きを見ながら反応する。目標の共有化と多能工化が見事に行なわれている。次はサッカーのように、敵味方が直接ぶつかり合う激しいモノづくりの世界がやってくるかもしれない。
【急所88】付加価値を付けるヒント:花をつくって売るには、安く大量につくるだけが方法ではない。
モノづくりを花で例えてみると面白い。花をつくって売ろうとするとき、安くすればもっと売れるだろうと、ある人は大量生産を考える。
一方で、珍しい花を栽培すれば、もっと高く売れると考える人や、これまでにない新種を開発すれば儲かると考える人もいる。ただし、そのようま」
なことは凄い技術力やお金がかかるので、やはり生産性を上げたリコストダウンで「一〇〇本まとめていくら」の花づくりをする人が多い。モノを造っていては見えないことがある。たった一本の花でも、綺麗にラッピングしてリボンを結べば、手づくりの心がこもった商品ができる。品種開発はごく一握りにしかできないが、花屋は全国にたくさんある。これまでのお客様は流通業者であったかもしれないが、本当に使う直接のお客様を見て、製品を機能品質でなく魅力品質で考えることだ。
【急所89】技術力をアピールするヒント:あらわデザインは口”質のえれである。
日本の中小メーカー企業は、生産性を上げることや技術力を磨くことには熱心だが、売リモノのアピールには不熱心なところが多い。それは製品のデザインを見比べればすぐに分かる。
購入する人にとっては、デザインも立派な品質の一部である。いくら性能が良くても、もの凄く古臭い形をしていたら性能を疑ってしまうし、新型と言われても旧モデルとほとんど同じ形なら、性能も変わっていないと思うのが人情である。
部品だから、加工業だからという人もいるが、その部品の色や形をひと目で他社のモノと区別できるようにデザインしたり、納入するときのケースを斬新なモノにするなど、アピールできるところは山ほどある。生産財や設備でも、世界の一流のモノは必ず美しくデザインされている。
【急所90】作業着の役割:作業着は、見ただけで違いが伝わるユニフォームにせよ。
中小企業の工場では、いまだに作業着がねずみ色というところが多い。作業着がねずみ色なのは、汚れが目立たないからだ。冷静に考えればこれは汚くても構わないという意思表示である。
食品工場や医薬品工場ではまず考えられないことだが、見学者がおらず、見られることを前提にしていないのも理由だ。「ウチは機械加工だから」と言う人がいるが、高品質やブランドを売り物にしている工場であればあるほど、それが伝わるカッコイイ作業着を使っている。実際、スポーツカーのフェラーリの工場では、Flのメカニックさながら、皆がバリッとした凄いユニフォームで作業している。作業着も品質の一部なのだ。高い作業着でなくていい。見た日で品質や他社との違いが伝わるユニフォームにすれば、みんな自然と意識が高まり、製品の品質も上がる。
【急所91】工場の立地:十小メーカーは、都会に工場を造れ。
これまで工場は、広くて安い土地を求めて地方へ地方へと移っていった。良い製品を安く速く造るには、大きな設備が置ける広さやコストの安さは非常に重要だからだ。この延長で、さらに安い土地、安い人件費を求めて大企業を中心に、こぞって海外に工場を移している。
だが、中小企業で多品種変量生産するなら、考え方は別だ。まず、地方に居たらマーケットの情報は入らない。お客様が望むモノ、これから何が売れるようになるのかといった感覚的なことまで含めて、人がたくさんいる都会でなければ情報オンチの下請けになってしまう。
お客様が望むモノを、多能工化した最少の人と機械でゆっくリジャストインタイムで造るなら、場所は小さくて済む。都会に立地できるメリットに気づき、活かせるように、自社のモノづくりを変えることだ。
【急所92】新しい分業スタイル:分業を、大量生産のために使うな。職人レベルロ”質の量産に使え。
これまで、分業生産はスピードを上げ量を増やすための手段として大きな成果を上げてきた。しかし、マーケットが細分化し縮小する環境下ではそのメリットは生かせず、日本国内での生産はセル生産方式に移行しつつあると言える。
しかし、これからの中小企業が目指す「マーケット密着の高付加価値商品の生産」を考えると、セル生産だけでは心もとない。新たなレベルの分業生産を創造してセル生産との連携で新たな日本のモノづくりを築きたい。新しい分業生産は量ではなく質のために行なう。最高のモノづくりをする職人の一連の作業を一〇工程などに分解し、 一〇人が一工程ずつ覚えることで安定生産する。 一人のすごい職人に頼ることなく、ノウハウの流出も防ぎ職人レベルの品質の製品を量産するのだ。
【急所93】技術者による商品開発法:少なくとも一〇倍や一〇分の一など、桁違いを追求して新製口”を造れ。
新商品は、お客様のニーズをつかまなければ決してヒットしない。だから製造部門が手前味噌で造った製品はまず売れない。だが、市場調査でも、営業部門でも絶対にできない、強力な商品開発手法が一つある。それは、技術を磨きに磨き、現在の製品のスペックを、少なくとも一〇倍とか一〇分の一のように、まさに一桁違うレベルにしてしまい、他社製品との間に圧倒的な差別化をはかることだ。
大きさ、重さ、厚さ、速さ、品質、リードタイム、均一性…など、管理している項目は色々あるはずだ。食品工場でリードタイムを一〇分の一にしたところ、製品が空気に触れず、雑菌が発生しないために衛生検査で他社と圧倒的な差が明確になり市場を独占した例もある。ケタが変わると、製品のステージが変わる可能性が出てくる。
【急所94】5Sにおける躾(しつけ)とは:人を躾けるのではなく、企業を躾けよ。
多くの工場では、5S 「整理・整頓。清掃。清潔・躾」を励行している。もちろんこれは良いことだが、ひとつ重要なことは、会社経営における「躾」とは、人に対してではなく、まず企業に対して行なわれなければならないということだ。
企業の理念や方針が躾けられていないと、どんなに社員が5Sを実行しても形だけとなる。事故の多発や様々な倫理問題、法令違反などが起きるとしたら企業が躾けられていない証拠だ。これを人の躾の問題と考えるのは間違いである。
5Sの実行は製造業の基本中の基本であるが、5Sの中の躾とは、企業に対しての言葉であり、企業が躾けられていることが前提である。その結果、5Sは商品と社員の品質として表れているのだ。
【急所95】工場のショールーム化:工場を、モノづくりを見せるショールームとして活かせ。
工場をショールーム化する利点は非常に多い。家にお客さんが来るというだけで、誰でも家の中を片付けて綺麗にしようとするのと同じように、見学者が来るようになると、綺麗に掃除していないと恥ずかしいし、什器や設備も整えて、清潔ですっきりした工場にしようとする。
また、お客さんと会ったら不思議と笑顔であいさつしようとする。見られていると思えば、 一流の作業をしようとプロ意識になる。作業服も機能的でカッコ良いものにすれば効果的だ。自然と社員は明るく元気になる。
工場を、単にモノを造る場所ではなく、ひと日で我が社のファンになっていただけるショールームにすることだ。いちいち会社の良さを説明しなくても見ればお客様に伝わるようになり、注文が増えるようになる。
【急所96】付加価値をつける方法:機械は製口”をつくるが、人の手は価値をつくる。
多くの工場で、生産性の向上や技術カアップを目指して設備を増強したり、改良を行なったりしている。チューンナップされた設備は、強いモノづくりの柱であり、差別化の強い武器になることは間違いない。
だが、いかに優れた設備でも、機械で造れるのは製品までである。そして製品である限り、価格競争から抜けることはできない。なぜなら、人は「機械で造っているモノ」には安さや機能性を求めるからだ。
製品の域を越えて、価値を売れるようにしたり、ブランドに高めていくなら、「職人技」や「手間暇」を投入することだ。製品を売って利益を出せるのは大量生産。大量販売で勝負できる大手企業だけである。中小メーカーは、付加価値で勝負できるように、むしろ人の手の作業を、どこかに加えられないかを考えることだ。
【急所97】中小工場の革新策:工場を小さくすれば、儲かる新たなビジネスが生まれる。
中小メーカーの進むべき方向は、食パンを例にあげれば分かりやすいc小売店やスーパーの店頭には、たくさんのパンが並んでいるが、多くは大手メーカーの品だ。生産性の高い大きな工場で造ったものを、トラックで運んできている大量生産品だ。価格も安く競争も厳しい。
この大手メーカーに対抗して、中小メーカーが、少しでも生産性の高い設備を導入し、作業訓練を行なっても勝ち目は薄。だが、インストアベ―カーリー(店内工房)を始めたら話は別だ。多品種少量で美味しいパンを店内で焼き、出来立てをちょっとずつ出す。少々高くても売れるし、お客さんの評価も生で聞いて、改良や新作に活かせる。
これからの中小メーカーは小型化が肝だ。工場をショップとして出店できるまで人も設備も多能工化で小さくすれば、新たな商売が見えてくる。
【急所98】投資の判断基準:社員への投資は、設備投資に勝る。
新しい機械を導入すれば、生産性を上げられると、設備投資に積極的な会社は多い。もちろん設備投資は重要で、壊れそうな機械で作業を続けていては品質にも不安が募る。必要なことは投資の判断基準だ。
設備というものは、それを完全に使いこなし、チューンナップできる能力を有して初めてその効果を発揮する。単に動かしている程度であれば、部分的な生産スピードが上がるだけで投資効果は低い。設備を使いこなしていない場合は更新にとどめ、社員への投資を優先することだ。
そもそも社員は最高の資産である。設備を動かし、設備の能カアップをはかれるのも社員である。新しい商品をつくり、売上もつくり出せる。
社員への投資は、教育という時間が必要だが、ノーリスクハイリターンの最高の投資なのだ
【急所99】仕事の評価基準:しあ幸わせ十た、楽十たで評価する。
仕事を評価する方法はいろいるあるが、多くは生産性や品質を基準とした結果指標だ。もちろんこうした指標を見ながら改善を行ない競争力を増す活動は必要である。しかし管理的である。管理は生産性や品質維持には有効な手法だが人間相手には限界がある。
人は機械と違って意思や自発性がある。だから、作業が楽で仕事が楽しく、その人が幸せかどうかを評価する指標が必要だ。従業員それぞれに課題が与えられ、それぞれに頑張れる環境があり、そして結果が出たら必ずほめられ、難しかったら手伝ってあげる体制をつくる。
皆が助け合い意欲的に改善を進めれば、会社は自然と進化向上する。効率追求と幸せ追求、前者に偏りがちな会社が多いが、人は自らの幸せのために自発的に動きだしたとき、驚くほど大きな力を発揮する。
【急所‐00】これからの日本企業の5S:これからの日本の製造業に叉妥なのは、「整理・整領。清掃oしくみ・幸せ」の新5Sである。
日本で生まれた「5S活動」は、製造業のみならずサービス業にも浸透し、社員の行動規範として掲げられて大きな成果をあげてきた。
5Sは職場環境を美しく保ち、従業員のモラルを向上させる。業務効率もあがり、不良を減らし、安全性が増す。「日本の高品質のモノづくり」を支える原動力として認められ、海外の工場にも広まった。
しかし、5Sの内容は、高品質の作業者を金太郎飴のように大量生産する、つまり作業者を一列に並べ、ベルトコンベアーでモノづくりした時代に最適な標語であることも事実だ。日本のモノづくりが世界と戦うためには、もう一段階上に進まなくてはならない時を迎えている。オンリーワンのモノづくり企業には、会社に幸せになる仕組みがある。「整理・整頓。清掃。しくみ・幸せ」の新しい5Sである。
【急所‐0‐】最強のモノづくり:改善に終わりはない
現在、世界屈指のモノづくり企業も、昔から強かった訳ではない。創業期にはわずか数名しかおらず、地道なモノづくりと改善の積み重ねで徐々に力をつけ、今日に至った企業が大半だ。
我々の身の周りには、実に様々な製品があるが、たった十年前でさえ無かったモノも多い。二〇〇年前は、電話も自動車もカップ麺も鉄道もコンクリートのビルもない。すべてモノづくりの地道な努力の結果なのだ。現在強い企業でも、それに安心して努力を怠ればすぐにライバル企業が追いついてきて、そして追い抜かれてしまう。
これまでに無い技術を育て、喜ばれる製品を生み出すために日々、改善を続けることこそ、モノづくり企業の使命である。世の中は常に変化し続けるものなのだから、改善にも終わりはないのだ。
モノづくりの言葉と解説
下請け お客様や取引先から直接仕事を受注している「元請け」に対して、元請けか
ら仕事を回してもらうのが「下請け」。製造業の場合、完成品を造っているメーカーから、
決められた仕様の部品や加工品を納入している会社を指す場合が多い。
工程 仕事や作業を進めるときの小さく分けた順序や単位。モノづくりにおける一つ
一つの作業段階を意味し、現在の工程より前を前工程、後ろを後工程という。
生産性 モノづくりにおける効率の良さや速さ、ムダの少なさなどの意味で、生産性
が良いとは、概してモノづくりの上手さを示す。
付加価値 原価を積み重ねた製品本来の価値に加えて、どれだけ利益を載せて売れる
かという、付加的な価値の意味。粗利益と考えてよく、性能や機能、デザイン、イメー
ジ‥などが良ければ高くても売れるため、そうした製品は付加価値が高い製品と言わ
れる。業界トップ企業の製品やブランド製品などがその代表例。
段取りo段取り替え 生産しているモノの種類や工程内容が変わるときに生じる、設
備につけるドリルや工具の付け替えや、部品・部材などの取り替え作業をさす。段取
り替えが速ければ、それだけ多くの種類の製品を造れるようになるため、多品種少量
生産を実現するためには非常に重要な作業となる。
手待ちのムダ 各工程において作業スピードの違いがあり、作業ができずに待ってい
る時間が発生している状態。各工程で生産・加エスピードを同じにすることが重要。
リードタイム 主に生産の現場で、工程に着手してから完成までにかかる所要時間。
自働化 トヨタ生産方式で用いられる用語で、「ニンベンのついた自動化」とも呼ばれ
る造語。不良品の生産を防ぐために、造りすぎ・加工しすぎ・加工不良…などの不都
合を「自動的に食い止める」ための停止のシステムを備えるものを指す。
ジャストインタイム トヨタ生産方式の代表的な要素の一つで、「必要な物を、必要な 232
時に、必要な量だけ造る」ための発想と仕組み。
多品種少量生産 同じ製品を大量に造る旧来の生産方式ではなく、色々な製品を少し
ずつ注文に応じて臨機応変に生産する方式。小ロットばかりでなく、大きな注文にも
自在に生産対応するには、さらに生産方式を進化させる必要があり、多品種「変量」
生産と呼び分けることがある。
棚卸 集計のために、倉庫にある部品や製品の在庫数を数え、帳簿上の数と照らし合
わせて確認する作業。理屈上、数は一致するはずだが、実際にはなかなか一致しない
ことが多いが、モノづくりの上手な工場ほど限りなく正確となる傾向がある。
烏合の衆 「鳥合」とはカラスの集団の意味で、カラスが集まってもうるさいだけで統
一性がないため、規律や統制もなくただ単に寄り集まった群衆や役立たずな人の集ま
りを意味する。
人海戦術 「人海」とは人が多数集まっていることの意味で、数の力によって敵軍を破
る戦法のこと。機械や道具、システムやチエなどを使わず、単純に人手に頼って解決
を押し通そうとする方法に例えられる。
クレーム 苦情の意味の和製英語。英語では、単に「要求」やその要求の正当性や権
利を主張する意味。日本では製品やサービスに問題があり「お客からの文句」の意味
として使われるのが一般的。
多能工。多能工化 一人で複数の工程や異なる作業ができる技能がある作業者。 一つ
の決まった作業だけを行なう作業者を単能工という。多品種少量生産、変量生産を行
なうためには、臨機応変にモノづくりができる多能工を育成することが重要となる。
データベース・データベース化 主にコンピュータを利用して、必要な情報を整理整
頓していつでも使えるようにした状態。工場においては、製品情報、スペック、機能
一覧、材料の情報、仕様一覧、必要な部品一覧、在庫情報、取引先情報…など、社内
外で必要な情報をさす。データベース化されていると、誰でも過去の仕様などを確認 2 34して作業を進められたり、在庫量を随時確認できるためムダな購入を減らせるなど、モノづくりの力を高めることができる。
汎用機 一つの作業だけに特化した専用の機械に対して、部品やパーツを交換することで色々なことができる応用性のある機械のこと。
チューンナップ(チューンアップ) 機械やシステムの一部を交換したり加工したりして、これまでできなかったことをできるようにしたり、性能をよくすること。機械に対する知識や整備のノウハウがなければできないため、ある程度高度な技術が必要だが、オリジナルの機械などをコストをかけずに用意できるようになり、モノづくりの力を強めることができる。
オンリーワン 一他に似たようなものがないこと。マネではなく独自性があること。他社製品と競合しないモノ、オリジナル製品づくりで勝負する戦略。
内製化 モノづくりを社内で行なうこと。これまで外注していた高度な加工を社内でできるようにすることなど。強いモノづくり企業は、最も重要でノウハウとなる工程をはじめ、多くの工程を内製化していることが多い。
一気通貫 麻雀における数字の1〜9を揃えたあがり役の一つ。転じて一素材から製品まで」「設計から製造まで」「最初から最後まで」…といった意味で使われる。
セル生産 作業を分担することなく、U字やコの字形に作業場をつくり、 一人または少数の作業者で製品を完成させる生産方式。製品を一つずつ造るため、多品種少量生産に強く、タイムリーな生産ができる。また半製品や在庫を減らすメリットもある。
バックアップ 不慮の事故や故障などに備えて、事前に復旧用の機械を用意しておいたり‐データをコピーして備えておくこと。強い企業では、人員配置まで含めたマニュアルを事前に用意している。バックアップの有無、準備の上手さによって復旧までの時間は大きく変わるため、日常の作業の中にバックアップを含めることが望ましい。
7つのムダ 戦前のアメリカの自動車の生産方式を研究し、トヨタの豊田喜一郎氏ら 236が提唱していた考えを同社の大野耐一氏らが体系化した「7つのムダ」削減、「ジャストインタイム」、「自働化(にんべんのついた自動化)」を軸とした「トョタ生産方式」の柱となる考えの一つ。トヨタ生産方式ではムダを、「付加価値を高めない各種現象や結果」と定義している。
5S 製造業やサービス業などで職場環境の維持改善を目的として掲げられる代表的なスローガンの一つ。 一般的には、整理(せいり、∽oま)整頓(せいとん、∽o率8)清掃(せいそう、∽oお8)清潔(せいけつ、∽o寿o一讐)躾(しつけ、∽〓お丼Φ)の5項目のローマ字の頭文字のSに由来する。各社によって内容が若千異なる場合もあり、「作法」を加えて6Sにしたりする企業もある。
自動倉庫 倉庫において荷物の出し入れ作業を自動化したもの。無人倉庫ともいう。
リフトやベルトコンベアなどの自動運搬機器を、コンピュータ制御で動かすため、人間が倉庫内で荷物の出し入れする作業がいらない。同じ面積の倉庫でも何段にも棚を組み上げて使えるため、空間効率を高められ、機械化による省力化、作業の安全性向上、
先入れ先出しが可能になるといった大きなメリットがある。
O J T 05‐手o‐」oげ日目すま∞の略。企業内で行なわれる教育訓練手法の一つ。主に若手社員に対して、
具体的な仕事を通じて仕事に必要な知識・技術・技能・態度・考え方・・・
などを先輩社員が現場指導する活動を指す。
NCマシン E日Φ露【8詳8一ヨ”o〓うoの略。加工に関する情報をコンピュータの数値
信号で動かせるようにした工作機械の総称。精度の高い複雑な立体物をコンピュータ制御で削り出す旋盤(せんばん)加工の機械などが代表例。アナログ製品 例えばネジや歯車など機械部品の組み合わせによって造られる製品のことで、デジタル製品に対する言葉として使われる旧来型製品の総称。高度な加工技術やモノづくりのノウハウが強みとなる。
デジタル製品 パソコンや携帯電話に代表される、ソフトウエアで制御、操作する電 238気製品の総称。ソフトウエアの良さや相性、パッケージングなどに重点が置かれ、パーツやユニットを組み合わせれば、新興企業でも先端の製品を造ることができる。すり合わせ 機械部品の仕上げなどの際に、部品の表面や組み付けの微調整を行ない、精密に仕上げていく作業。アナログ製品の場合、すり合わせのノウハウと技術が大きな強みとなる。
転記作業 文章や数値を、原本からコンピュータ入力したり写し替える作業。
スベック 英語で仕様書の意味で、日本では一般にカタログなどで表示される数字で、工業製品に期待される性能や約束している性能のこと。
プロダクトアウト 企業が自社の考えに基づいて製品を開発し、自社の販売・生産計画に基づき、市場へ投入すること。
マーケットイン 消費者ニーズを調べ、それを製品化して市場に出す「はじめに顧客ありき」の考え方に基づいて製品開発、販売すること。生産財 原材料や部品、加工材料、設備品など、主に工場でモノづくりの際に使用される製品のこと。産業財とも呼ばれる。これに対して、 一般消費者向けの食品や家電、雑貨などの製品を消費財という。
ノーリスクハイリターン リスク=危険性、リターン=投資効果。危険性がなく大きな投資効果の意味。ローリスクローリターン、または、ハイリスクハイリターン(少額投資なら少額効果、大きく投資すれば大きな効果)が一般的
著者 柿内幸夫(かきうちゆきお)氏について
東京工業大学卒業後、大手自動車メlヵlにて、 一貫して改善を担当。その手腕を見込まれて、社命にてスタンフォード大学大学院に留学、最新の生産効率改善(IE)を学ぶ。 帰国後、若くしてIE責任者として、全国の主力工場を指導し、抜群の成績をあげる。1991年改善コンサルタントとして独立。
家電、食品、IT関連メーカーなど、さまざまな中小メーカーの工場に深く入り込み、現場の人たちと一緒に悩み考えながら、改善を進める実践指導に、社長、工場長はもとより現場の人たちから絶大な信頼をよせられる。
現在、中小企業のドロ臭さと、最新鋭の工場ラインの双方を熟知した手腕に、国内だけでなく欧米、中国、アジアの工場の指導に東奔西走する毎日をおくっている。また、独自の改善手法「KZ法」を論文にまとめ、2006年慶應義塾大学工学部より博士号を授与される。
1951年東京生まれ。慶應義塾大学大学院経営学研究科特別招聘教授。技術士(経営工学)。工学博士。日本経団連主催洋上研修講師。
コメント