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マンガでやさしくわかる貿易実務

はじめにみなさん、こんにちは。

片山立志です。

本書は、ストーリーのある斬新なタッチで描かれたマンガを使って、「貿易実務の基本」をわかりやすく解説しようという、おそらく日本で初めての書籍です。

そしてさらに著者であるわたしが貿易実務をわかりやすく指南するという、たいへんぜいたくな入門書です。

さて、国際貿易には、さまざまなリスクが潜んでいます。

貿易契約を結ぶにも言葉・慣習・文化などが異なった相手と契約を結ぶのですから、当然といえば当然ですね。

例えば、契約後も売主は、果たして代金は回収できるのだろうかと、心配になります。

一方の買主は、注文した貨物がきちんと届くのだろうかと、不安になります。

その他、異なる通貨で支払いをするので、為替リスクがつきまとったりと、心配事の種は尽きません。

また、近年は国家間で自由貿易を推進すべく、大幅な関税の撤廃・削減などを定めた協定(EPA/FTA)が次々に締結され、これらを有効に活用し、より有利な貿易条件で取引を行うことが求められています。

EPA/FTAを活用することで様々な恩恵を受けることができる反面、その適用を誤るとペナルティが生じる可能性があり、リスクもあります。

貿易実務を学ぶということは、これらのリスクをどのように解決し、カバーしていくかを学ぶということです。きちんとした知識を持たずに貿易実務を行うことは、たいへんに危険です。

そこで、本書の主人公・中堅食品商社に入社した和泉かもめは、猛勉強をします。

各々の手続きは、それぞれどのようなリスクをカバーするためにあるのか、先輩の指導を受けながら、理解していきます。

かもめは人一倍、がんばり屋です。みなさんもかもめに負けないよう、ぜひがんばって貿易実務の基礎を学んでいただきたいと思います。きっと、ロマンあふれる貿易の世界が、これまでよりずっと広がって見えてくることでしょう。

片山立志

マンガでやさしくわかる貿易実務

目次

目次

はじめに

Prologue

貿易実務って何?

Story0貿易実務の世界へ

00貿易実務とは何だろう?

Part1貿易実務の流れをつかもう

  • Story1流れをつかめ!
  • 01貿易の流れ
  • 02取引条件を決定する

Part2輸出実務をおさえよう

  • ①インコタームズとは何か?
  • Story2インコタームズって?
  • 03輸出実務の流れ
  • 04輸出貨物の価格の建て方
  • 05インコタームズとは
  • 062020年版インコタームズ①いかなる単数または複数の輸送手段にも適した規則
  • 072020年版インコタームズ②海上および内陸水路輸送のための規則
  • Column1日本の食文化の普及と農林水産物・食品の輸出──FBI戦略

Part3輸出実務をおさえよう②信用状など書類の手続き

  • Story3実務・開始!
  • 08契約書の記載内容とチェック方法
  • 09代金決済をするまでに負うリスク
  • 10信用状の入手とチェック方法
  • 11輸出の準備
  • 12安全保障貿易管理
  • Column2商談スキルを高めよう
  • 13輸出書類を作成する(Invoice)
  • 14船積依頼書(ShippingInstructions)
  • 15ブッキング(Booking)
  • 16海貨業者へ通関船積を依頼する
  • 17保税地域へ搬入する
  • 18航空貨物のポイント
  • 19航空貨物の搬入と通関

Part4輸出実務をおさえよう③保険の申込みと船積み、運送

  • Story4コンテナに乗せた夢
  • 20貨物海上保険を申込む
  • 21輸出申告と輸出許可
  • 22輸出とAEO
  • 23コンテナ船への船積み①FCL貨物
  • 24コンテナ船への船積み②LCL貨物
  • 25在来船への船積み
  • 26貨物にキズがあった場合
  • 27船積通知をする
  • 28船荷証券(B/L)
  • 29航空運送状(AWB)
  • 30保険証券
  • 31代金の回収①L/Cの場合
  • 32代金の回収②D/P、D/Aの場合

Part5輸出実務をおさえよう④EPA/FTAの活用

  • 33EPA/FTAとは
  • 34メガEPAとは
  • 35様々なEPA
  • 36EPA活用のためのプロセス①
  • 37EPA活用のためのプロセス②
  • 38事前教示制度

Story0貿易実務の世界へ

貿易実務とは何だろう?00

貿易実務とは中堅食品商社『グッドトレード』の貿易事務課に配属された和泉かもめ。彼女が任されることになる(?)のは、貿易実務です。

貿易取引では『モノ・カネ・カミ(書類)』が密接に関わっています。貿易事務では、そのうちの『カミ(書類)』を専門的に扱い、スムーズに貿易取引が成立するようにしていくのが仕事です。

貿易取引において、カミ(書類)はときにモノやカネと同等の価値を持つことになるので、ちょっとした書類上のミスが大損害につながる場合もあります。

また、単に書類の整合性をチェックするだけではなく、輸出する商品が法的に問題ないかどうか、事前に許可や申請が必要かどうかも含めて、確認する必要があります。

法的な問題がクリアされていない場合、モノは予定通りに輸出することができなくなるのです。

さらに貿易実務全般では、モノやカネの流れにも関わっていくことになります。

ときにオフィスではなく、製造元の工場や港、空港に足を運び、モノ(商品)の品質や梱包状態をチェックする必要もあるでしょう。

また、代金回収手続きのため、銀行に赴くことがあるかもしれません。

一口に貿易実務、貿易事務、貿易営業事務といっても、企業によって任される業務は様々で、一部の書類だけを作成、チェックする業務もあれば、品質、輸送、代金回収……と『モノ・カネ・カミ(書類)』の管理すべてを任される場合もあります。

任される業務の分だけ、より専門的な知識が必要になってくるでしょう。

貿易実務は、たいへん責任のある仕事ですが、その分、やりがいもあります。

まずはこの本で、貿易全体の知識と、基本的な専門用語を身に付けていきましょう。

いろいろな貿易取引貿易取引には、商取引上の要望に応じて、いろいろな取引形態があります。

主な形態として、次の①~⑧が挙げられます。

①直接貿易②間接貿易③並行輸入④委託加工貿易⑤開発輸入⑥OEM輸入⑦仲介貿易(三国間貿易)⑧逆輸入①直接貿易とは、異なる国の売主と買主が、商社や流通業者を介さず、直接貿易取引を行う形態です。

メリットとしては、価格や取引条件について、取引相手と直接交渉できるので、商社や流通業者のマージンを省くことができます。

ただし買主は、品質や納期についてのリスクを直接負担しなければなりません。

また、貿易取引に不慣れな場合や、取引数量がそれほどまとまらない小口取引の場合は、かえって割高になる場合もあります。

②間接貿易とは、商社など貿易取引のプロを介して行う貿易です。

プロを介在させることで、トラブルの回避や対処も的確に行うことができます。

また、商社が数量をまとめ、効率的な検品を実施するなど、価格や品質、納期の面で有利となる場合もあります。

③並行輸入とは、ブランドのメーカーからではなく、第三国の専門店・販売店などを経由して、「真正品」を輸入する貿易です。

並行輸入品は違法なコピー商品ではありませんが、輸入してもメリットのある内外価格差の大きい商品、たとえば、付加価値の高いブランド製品や、高級外車などが対象になります。

また、メーカーが第三国向けに販売している商品なので、家電など、そのままでは日本の規格や仕様に合わない商品もあります。

④委託加工貿易とは、異なる国の委託者と受託者との間で行われる貿易です。

委託者(買主)は製品の原材料や部品を受託者(製造メーカー、工場など)に提供し、受託者がそれら材料を組立・加工したものを、委託者が輸入します。

委託者(買主)が外国にある企業などで、受託者が日本のメーカーなどである場合、それを「順委託加工貿易」といい、委託者が日本にある企業などで、受託者が外国の工場などである場合を「逆委託加工貿易」といいます。

⑤開発輸入とは、買主の仕様書に基づいて、海外の工場で生産・加工を行い、その製品を輸入する貿易です。

海外のメーカーに買主の自社ブランド製品を生産してもらい、それを輸入するので、製品は自社オリジナルといえます。

人件費や材料調達費など価格面において、自国で生産するよりもメリットがある場合に行われます。

⑥OEM輸入とは、海外メーカー側の仕様書に基づいて製造している商品に、買主側のブランドやロゴを付けて製造してもらい、買主の自社ブランド商品として販売するために輸入する貿易です。

したがって、商品の中身は買主側の自社オリジナルではありません。

⑦仲介貿易(三国間貿易)とは、日本の業者が仲介して、海外の輸出者と海外の輸入者間で行われる貿易です。

売買契約は輸出者と日本の仲介業者、輸入者と日本の仲介業者との間でそれぞれ交わされますが、商品である貨物は、海外の輸出者から直接、海外の輸入者宛てに輸出されます。

⑧逆輸入には、2つのケースがあります。

1つは、某国内メーカーAが海外に輸出販売した商品を、Aとは関係のない某商社Bが、某国内で独自に販売するために再輸入するケースです。

もう1つは、某国内メーカーCが、海外にある自社工場で、海外市場での販売を目的として製造した商品を、自国で販売するために輸入するケースです。

Part1貿易実務の流れをつかもう

Story1流れをつかめ!

貿易の流れ01

貿易取引の基本的な流れをつかむ貿易取引の基本的な流れを理解するためには、信用状を用いた取引について、しっかり理解することが重要です。

信用状はL/C(LetterofCreditの略)とも呼ばれ、輸入者の取引銀行が、輸出者への代金支払いを確約した保証状です。

信用状を用いた貿易取引の流れをまとめると、①~⑩のようになります。

①取引相手の選定②取引交渉③売買契約④信用状の開設(輸入者)⑤船積書類の作成(輸出者)⑥輸出通関、船積手続き⑦商品代金の回収(輸出者)⑧商品代金の決済(輸入者)⑨輸入通関⑩貨物の受領では①~⑩の項目について、それぞれ解説していきましょう。

①取引相手の選定貿易取引は、文化や商習慣が異なる外国との取引です。

そのため、取引先の選定にあたっては、国内取引と比べ、細心の注意が必要です。

契約から船積み、決済までに相当の期間を要することもあり、特に輸出をする上では、きちんと代金の回収ができるかどうかという、相手の信用状態を確認することが重要になります。

基本的には、銀行が支払いを保証する「信用状」を用いて代金回収リスクを回避しますが、場合によっては、取引契約時、支払条件について、代金の前払いや、代金の一部を着手金として前払いすることを、輸入者側に求める必要もあります。

特に、初回取引となる相手とは、取引交渉と並行して、その取引先候補と契約を交わして問題がないかどうか、相手の信用調査を行います。

よりよい取引先を選定するために、取引相手について、一般的に次の項目をチェックします。

Capital(資産、財政状態)Capacity(営業能力、経験、取引量)Character(品格、誠実性)Conditions(政治・経済的事情)~を3C(3CofCredit)、~を4Cと呼んでいます。

信用調査の具体的な方法としては、❶銀行に照会して行う方法、❷信用調査機関(ジェトロ、ダン社など)に調査を依頼する方法、❸取引先候補の取引先や同業者に照会して行う方法、❹海外商社名簿やムーディーズ社などの格付けを利用する方法などが挙げられます。

一般に広く利用されているのは❶の銀行照会で、自社の取引銀行を経由して、取引先候補の銀行信用照会先(BankReference)へ問合せしてもらいます。

②取引交渉取引交渉から契約成立までの流れは、次のようになります。

売手の市場調査(Marketing)および勧誘(Proposal)買手の引合い(Inquiry)申込み(Offer)・反対申込み(CounterOffer)承諾(Acceptance)もっとも実際の取引交渉は必ず輸出者(売主)側の勧誘から始まるというわけではなく、輸入者(買主)側の引合いから始まる場合もあります。

取引交渉の中心となるのが、申込みと反対申込みのやりとりです。

通常、相手の提示した条件をすんなり承諾することはほとんどなく、契約に向けて希望の条件を相手に提示していきます。

具体的には、商品の品質・規格、数量、価格、納期、支払条件などについて要望を挙げ、合意できるまでやりとりを行います。

の価格について、貿易取引では一般的に、インコタームズを用いて取り決めます。

インコタームズはFOB、CIFなどと称される貿易条件(TradeTerms)のことです。

インコタームズを用いることで、保険は売主と買主のどちらが付保するか、商品の引渡し場所はどこにするか、売主と買主それぞれの危険負担はどこからどこまでになるか、といった詳細条件を明確に取り決めることができます。

インコタームズについては、後ほど詳しく学びます。

ここではまず、申込みの種類について理解しましょう。

申込み(Offer)の種類には、次のものが挙げられます。

ア.確定申込み(FirmOffer)承諾回答の到着期限を定めたオファーで、期限までに相手から承諾の回答があれば、その時点で契約が成立します。

承諾の回答がない場合には、オファーは失効します。

イ.反対申込み(CounterOffer)数量、価格、納期など、相手から提示された条件の一部に修正や変更を求める申込み。

通常、この反対申込みを売手と買手との間で何回か繰り返し、互いの希望条件を歩み寄らせていきます。

ウ.サブコン・オファー(OfferSubjecttoSeller’sFinalConfirmation)買手(輸入者)の承諾で直ちに契約が成立するのではなく、オファーした売主(輸出者)の最終的な確認があって初めて契約が成立する、という条件をつけたオファーです。

たとえば、商社が売主となる場合、その商社は仕入先となる製造元に、最終的な確認をする必要があるときにこのオファーを利用します。

英語の”Subjectto…”は、「~を条件に」という意味です。

エ.先売り御免オファー(OfferSubjecttoPriorSale)買主(輸入者)の承諾前に商品が売り切れてしまった場合には、オファーは無効とする、と定めた条件付きオファーのことです。

③売買契約取引交渉の末、双方が承諾に至ったら、その条件を書面にまとめて売買契約を交わします。

売買契約自体は諾成契約といって、一方のオファーに他方が承諾すれば、口頭でも成立します。

ただし、貿易取引は法制度や商習慣が異なる、異国間の取引なので、契約の履行を円滑に進めるためにも、実務上は契約書を書面で交わします。

契約書は、売主(輸出者)が作成する注文請書型(SalesContract)と、買主(輸入者)が作成する注文書型(PurchaseOrder)があります。

売主、買主いずれかが作成し、相手方が署名すると、契約書として成立します。

また、契約書は、表裏の条項で構成されています。

表面は、取引交渉において合意した内容を所定の条件欄にタイプすることから、タイプ条項と呼ばれています。

裏面には、すべての取引に共通となる一般的な取引条件があらかじめ印刷されており、印刷条項または裏面約款と呼ばれています。

④信用状の開設契約書を交わしたら、輸入者は信用状(L/C)を開設します。

信用状を発行するのは、輸入者の取引銀行です。

信用状を発行する銀行を、信用状発行銀行(IssuingBank)または開設銀行(OpeningBank)と呼びます。

輸入地の信用状発行銀行は、信用状を発行したら、輸出地の銀行経由で、輸出者に信用状の内容を伝えます。

輸出者は、信用状の内容が契約内容通りか確認した上で、商品の製造、出荷準備にとりかかります。

この、輸出者に信用状の内容を通知する銀行は、通知銀行(AdvisingBank)と呼ばれます。

信用状とは、輸入者の取引銀行である信用状発行銀行が、海外の輸出者に対して、輸出者が信用状条件通りの船積書類を銀行に呈示することを条件に、輸入者に代わって代金の支払いを確約する保証状なのです。

輸出者と輸入者は、貿易取引に信用状を用いることによって、お金と商品の引換えを安心して行うことができます。

⑤船積書類の作成輸出者は、商品の製造、出荷準備、船腹予約(SpaceBooking)と並行して、船積書類を作成します。

船積書類は、信用状に記載された条件通りに揃えなくてはなりません。

信用状を用いた貿易取引では、基本的に次の3つの書類が求められます。

これらは三大船積書類といわれています。

商業送り状・インボイス(Invoice)船荷証券(B/L)保険証券(InsurancePolicy)保険証券は、輸出者が保険を付保する場合のみ、求められます。

、、の三大船積書類に加え、必要に応じて、梱包明細書・パッキングリスト(PackingList)、原産地証明書(CertificateofOrigin)などが求められることもあります。

⑥輸出通関、船積手続き商品出荷の準備が整ったら、いよいよ輸出通関と船積手続きです。

この手続きは、実際には輸出者自らが行うのではなく、通関業の許可をあわせ持つ海貨業者(通称、乙仲)と呼ばれる業者に委託します。

港湾内で貨物を扱う作業ができるのは、国土交通大臣の許可を受けた業者に限られています。

一方、税関への通関手続は、税関長の許可を受けた通関業者に限られています。

より円滑な船積み・荷卸し業務を行うために、最近では倉庫業や通関業、物流関連の幅広い免許をあわせ持つ海貨業者(港湾運送事業者)が増えています。

輸出用に梱包された貨物はまず、港湾近くにある、海貨業者の倉庫(保税蔵置場)に搬入され、検量されます。

検量とは、梱包された貨物の数量、寸法、重量の計測作業です。

輸出通関は通関業者(または通関業の許可を持つ海貨業者)が行います。

貨物を輸出通関するためには、税関へ輸出申告し、原則として貨物を保税地域へ搬入しなければなりません。

通常、海貨業者の倉庫が保税地域としての許可を受けています。

貨物は保税地域において、税関による検査を受け、問題がなければ輸出許可がおり、通関は完了します。

実際には、輸出申告は、ナックス(NACCS)という通関のオンラインシステムによって行われ、基本的に書面上で税関のチェックを受けます。

税関から商品内容などに関する質疑を受け、その後、輸出許可がおります。

必要に応じて、税関職員が貨物を開梱し、中身を検査する場合もあります。

輸出許可がおりた貨物は、船会社が指定する保税地域(埠頭やコンテナヤードなど)に運び込まれ、船積みされます。

貨物の船積みが完了すると、積込日が記載された船荷証券(B/L)が船会社から発行されます。

船荷証券は、貨物と同等の価値を持つ有価証券です。

輸出者は、船積みが完了したら、すみやかに輸入者に、船会社名や船舶名、出港(予定)日などを通知します。

これを船積通知(ShippingAdvice)といいます。

⑦商品代金の回収商品の船積みが完了したら、輸出者は信用状に記載された条件通りの船積書類と、これに為替手形を添えた「荷為替手形」を、自身の取引銀行に持ち込み、手形の買取り依頼をします。

これらの書類と引換えに、輸出者は商品の代金を受け取ることができます。

輸出者の荷為替手形を買い取る取引銀行を、買取銀行(NegotiatingBank)と呼び、通常、貿易取引をスムーズに進めるため、買取銀行と通知銀行は同じ銀行とすることがほとんどです。

ただし、買取銀行と信用状発行銀行との間でコルレス契約が交わされていない場合は、買取銀行と通知銀行が異なることもあります。

コルレス契約(為替取引契約)とは、異なる国の銀行間で資金の清算をする場合、どういう方法で清算するかについて、銀行同士であらかじめ取り決めている契約です。

輸入地側の銀行と、輸出地側の買取銀行との間では、コルレス契約に基づいて、信用状内容通りにお金の清算をします。

⑧商品代金の決済輸出地側の買取銀行は、輸出者から受け取った船積書類一式を、輸入地側の信用状発行銀行へ送ります。

信用状発行銀行は、船積書類一式が届き次第、輸入者に連絡を入れます。

輸入者が信用状に記載された通りに代金決済の手続きを行うと、信用状発行銀行は、輸入者に船積書類一式を渡します。

船積書類には船荷証券(B/L)の原本が含まれており、この書類がなければ輸入者は貨物を受け取ることができません。

⑨輸入通関輸入者は、貨物の輸入通関、荷受け作業を、海貨業者に依頼します。

依頼する際、輸入者は必要な作業を明記した輸入作業依頼書と、手続きに必要な書類一式を海貨業者に渡します。

必要な書類は、船荷証券(B/L)、インボイス、パッキングリスト、その他必要に応じて保険証券、原産地証明書、商品内容がわかるカタログなどの資料を添付します。

輸入地に到着した貨物は、港湾の、船会社が管理する保税地域(コンテナヤードやコンテナフレートステーション)に荷卸しされます。

通関業者(または通関業の許可を受けた海貨業者)は、税関に輸入・納税申告を行い、問題がなければそのまま輸入許可となります。

日本の場合、申告はNACCSを通じて行われます。

輸入税(関税、消費税、地方税)は原則として輸入許可の日までに、納税する必要があります。

なお、税関が必要に応じて、貨物自体を検査する場合もあります。

この場合の検査費用は荷主(輸入者)負担となります。

⑩貨物の受領輸入者から依頼を受けた海貨業者は、船会社に船荷証券(B/L)を呈示して、荷渡指図書(D/O:DeliveryOrder)の交付を受けます。

輸入許可がされたら、輸入許可通知書(ImportPermit)と荷渡指図書(D/O)を、船会社が管理する保税地域のオペレーター(在来船の場合は船長)に提出し、貨物を受け取ります。

海貨業者は、輸入作業依頼書の内容にしたがって、受け取った貨物を輸入者が指定する場所まで運搬し、輸入者へ貨物を引き渡します。

輸入者は貨物を受け取ったら、ただちに検品を行わなければなりません。

受け取った商品に不備があれば、ただちに輸出者に連絡をする必要があります。

場合によっては保険会社に連絡します。

取引条件を決定する02商慣習や文化が異なる外国との取引では、「これが常識だと思っていた」という、思い込みによる誤解が生じがちです。

貿易取引の際には、売主と買主の間で、取引条件を明確に決めておくことが重要になります。

お互いに確認しておくべき取引条件には、主に、①品質に関すること、②数量に関すること、③受渡しに関することなどが挙げられます。

ここでは、それぞれ確認しておくべき重要なポイントを押さえておきましょう。

①品質条件品質条件を決める方法としては、主に次の5つがあります。

見本売買(SalebySample)標準品売買(SalebyStandardQuality)銘柄売買(商標売買)(SalebyTrademarkorBrand)仕様書売買(SalebySpecification)規格売買(SalebyGradeorType)見本売買は、主に製品、加工品の取引に用いられます。

売主と買主との間で商品の見本を決め、その見本の品質を基準とする方法です。

標準品売買は、自然条件に左右されがちな農産物、水産物、畜産物などに用いられる方法です。

標準品を決めて、その品質とのずれを価格で調整します。

農産物、穀物類の取引では、当該季節の収穫物の中等品質を基準とする平均中等品質条件(FAQ:FairAverageQualityTerms)が用いられ、漁労品や木材などでは、売買するのに足る品質であることを基準とする適商品質条件(GMQ:GoodMerchantableQualityTerms)があります。

銘柄売買(商標売買)は、世界的に知られているトレードマークやブランドの高品質さを基準とする方法です。

仕様書売買は、機械類や化学品などの工業品について用いられる方法です。

設計図をもとに構造、成分、材質、耐久性などを詳細に取り決めて品質を明らかにします。

規格売買は、ISO(国際標準化機構)やJIS(日本産業規格)、JAS(日本農林規格)など公的に定められた規格を条件として品質を決める方法です。

これらの品質は、商品によって海上輸送中に品質が変化したり、劣化したりするものもあります。

そこで、品質に関する最終決定を、船積み時点にするか、陸揚げ時点にするか、決めておく必要もあります。

②数量条件商品の数量単位について、たとえば日本では重さには㎏(キロ)、長さにはm(メートル)などが用いられていますが、アメリカでは重さをlb(ポンド)、長さをft(フィート)などで表しています。

売主と買主の間で考え違いがあると、大きなトラブルの原因にもなります。

取引条件で数量を決める際には、使用する単位も明確にしておくことが大切です。

数量も、商品によって海上輸送中に増減が生じる場合があります。

そこで、数量の決定時点を、船積み時にするか、陸揚げ時にするか決めておくことが大切です。

鉱産物や穀物などのように、契約数量通りの引渡しが困難な場合は、あらかじめ”5%moreorlessatSeller’s(orBuyer’s)option”のように、数量過不足容認条件を取り決め、合意しておく必要があります。

③受渡条件受渡条件とは、受渡場所、受渡方法、受渡時期などについて取り決めることをいいます。

受渡場所は、商品をどこで引渡すかについて取り決めることです。

多くは売主の工場、売主側の国の港、買主側の国の港など、貿易取引では一般的にインコタームズのルールにしたがって取り決めます。

受渡方法は、貿易取引では原則、第三者である運送人が介在する間接引渡しになります。

受渡時期は、貿易取引では一般的に船積時期(TimeofShipment)のことをいいます。

天候などの自然条件や船会社都合の遅延などで変更が生じるケースが多いので、船積時期は特定の日に限定せず、ある一定の期間を定めて取り決める場合がほとんどです。

そのほか、船積港(PortofShipment)や仕向地(PortofDestination)を定めたり、積替え(Transshipment)を認めるかどうか、一契約の商品について分割船積(PartialShipment)を許容するかどうかについても、事前に取り決めておきます。

輸出貨物の価格の建て方04輸出貨物の価格を決めるには、まず、商品の製造にかかる費用と、その輸送に必要なコストを算出します。

商品の製造にかかる費用(製造原価・仕入原価)を基本原価とします。

その輸送に必要なコストには、輸出経費と利益、輸出諸掛があります。

輸出経費と利益、輸出諸掛の主な項目は、次の表のようになります。

輸出諸掛のうち、どこからどこまでの費用を輸出者が負担するかについて、貿易取引では一般的にインコタームズを用いて取り決めます。

インコタームズを用いると、輸出諸掛のうち、主に通関費用、船積費用、海上運賃、海上保険料について、輸出者(売主)と輸入者(買主)のどちらが負担するかを、簡潔かつ明確に取り決めることができます。

また、インコタームズを用いると、貨物の引渡しをどの時点とするか、つまり、貨物の危険負担がどの時点で売主から買主に移転するかについても明確に定めることができます。

危険負担が移転する時点を明確にすることで、輸送中の事故で貨物に損害が生じた場合には、どちらがその損害を負担するかが明確になります。

インコタームズとは05インコタームズ(Incoterms)とは、貿易条件を3つのアルファベットの記号で表した貿易条件です。

Internationalの”In”と、Commercialの”Co”に「条件」を意味する”Terms”を組み合わせた造語で、貿易取引上の紛争や摩擦を避けることを目的に、国際商業会議所(ICC:本部フランス・パリ)によって定められました。

昔からの慣習を定型化して、解釈基準を明確にしているインコタームズは、1936年に誕生し、時代背景に応じてその後何度か改正され、現在、2020年版が最新となっています。

2020年版インコタームズは、次の表のように、2分類11規則に定型化されています。

2分類とは、「いかなる単数または複数の輸送手段にも適した規則」と「海上および内陸水路輸送のための規則」です。

貿易取引条件で、価格を決める際には、一般的にこのインコタームズを用います。

インコタームズの表記方法は、たとえばFCAYOKOHAMACYや、CIPBANGKOKCYなどのように、3つのアルファベット記号の後に「売主(輸出者)が輸送費を負担するまでの場所」を明記します。

この場所は、インコタームズの条件によって、指定引渡地(船積港)や指定仕向地(仕向港)などが記されます。

FCAYOKOHAMACYは、横浜港(輸出地)のコンテナヤードまでの運送人渡条件、CIPBANGKOKCYは、バンコク港(輸入地)のコンテナヤードまでの輸送費・保険料込条件です。

インコタームズは、売買する当事者間の、費用負担の範囲と、貨物の危険負担の範囲(貨物の受渡時点)を同時に示しています。

なお、インコタームズは、所有権の移転や支払方法、契約違反については規定していません。

これらは売買契約の条項や、契約を規律する法律で取り扱うことになります。

インコタームズのみでは完全な売買契約とはなりませんので、注意しましょう。

2020年版インコタームズ①いかなる単数または複数の輸送手段にも適した規則06「いかなる単数または複数の輸送手段にも適した規則」の「いかなる輸送手段」とは、トラックや鉄道などを利用した陸送、船舶を利用した海上輸送、航空機を利用した航空輸送のことを示します。

「単数または複数の輸送手段」とは、陸送のみ、といった単数の輸送手段の場合も、陸送+海上輸送のように複数の輸送手段を組み合わせた場合も、いずれも使用できる貿易条件である、ということを意味しています。

この規則には、次の7種類があります。

①EXW(ExWorks):工場渡条件②FCA(FreeCarrier):運送人渡条件③CPT(CarriagePaidTo):輸送費込条件④CIP(CarriageandInsurancePaidTo):輸送費・保険料込条件⑤DAP(DeliveredAtPlace):仕向地持込渡条件⑥DPU(DeliveredAtPlaceUnloaded):荷卸込持込渡条件⑦DDP(DeliveredDutyPaid):関税込持込渡条件これら条件は、一文字目のアルファベット別に、E、F、C、Dの4類型に分類することもできます。

E類型は出荷条件(売主の施設で受渡し)、F類型は主要運送費買主負担条件(売主は買主が指定した運送人に貨物を受け渡す)、C類型は主要運送費込条件(売主が主要運送費を負担する)、D類型は到着条件(売主が貨物を輸入国の目的地まで輸送するのに必要な費用と危険を負担する)です。

では、それぞれの貿易条件について詳しくみていきましょう。

①EXW(ExWorks):工場渡条件輸出地(積み地)の工場や倉庫など、売主(輸出者)が指定した場所で貨物を引き渡す条件です。

輸出地内で貨物を引き渡した時点で、危険負担も費用負担も買主に移転します。

輸出地の引渡場所から輸入地までの輸送費・海上保険の手配はもちろん、輸出通関も買主(輸入者)側の手配となります。

EXWは、売主の費用負担、危険負担が最も少ない条件です。

売主が貿易取引に不慣れな場合などによく用いられます。

EXWの後には、輸出地における指定引渡地を明記します。

例:EXWABCFACTORYINYOKOHAMA(横浜のABC社工場渡し。

売主は横浜のABC社工場内までの費用を負担)場合によっては、引渡場所(工場や倉庫)の住所も明記し、引渡地を明確にします。

②FCA(FreeCarrier):運送人渡条件売主が、輸出地の指定場所で、買主の指定した運送人に貨物を引き渡す条件で、このときに貨物の危険負担・費用負担が売主から買主に移転します。

「運送人に貨物を引き渡す」とは具体的には、コンテナ貨物をコンテナターミナルのCY(コンテナヤード)やCFS(コンテナフレートステーション)で引き渡す場合や、航空貨物を航空会社又は代理店に引き渡した場合などのことをいいます。

この運送人は、海上運賃や航空運賃など、運賃を負担する買主が指定します。

なお、輸出通関の義務は売主(輸出者)にあります。

海上保険の負担は、買主です。

FCAの後には、輸出地における指定引渡地を明記します。

コンテナ貨物の場合は、輸出する港のコンテナヤードになります。

例:FCAYOKOHAMACY(横浜港CY渡し。

売主は横浜港のコンテナヤードまでの費用を負担)場合によっては、引渡場所の住所も明記し、引渡地を明確にします。

③CPT(CarriagePaidTo):輸送費込条件輸出通関と、輸入地までの輸送費を売主が負担する条件です。

海上保険は買主が負担します。

ただし、貨物の危険負担は、輸出地の指定場所で、売主が指定した運送人に貨物が引き渡されたときに移転します。

海上運賃や航空運賃など、運賃を負担する売主が、運送人を指定します。

「費用負担」と「危険負担」が売主から買主に移転する時点が異なることに注意しましょう。

CPTの後には、輸入地における指定仕向地を明記します。

コンテナ貨物の場合は、輸入する港のコンテナヤードになります。

例:CPTBANGKOKCY(売主はバンコク港のコンテナヤードまでの費用を負担)場合によっては、仕向地の住所も明記し、引渡場所を明確にします。

④CIP(CarriageandInsurancePaidTo):輸送費・保険料込条件輸出通関と、輸入地までの輸送費に加え、海上保険も売主が負担する条件です。

ただし、貨物の危険負担は、CPTと同様、輸出地の指定場所で、売主が指定した運送人に貨物が引き渡されたときに移転します。

CIPの後には、輸入地における指定仕向地を明記します。

コンテナ貨物の場合は、輸入する港のコンテナヤードになります。

例:CIPBANGKOKCY(売主はバンコク港のコンテナヤードまでの費用および海上保険を負担)場合によっては、仕向地の住所も明記し、引渡場所を明確にします。

⑤DAP(DeliveredAtPlace):仕向地持込渡条件輸入地の指定場所に到着した輸送手段(トラックや船舶など)上で、貨物が引き渡されたときに、貨物の危険負担と費用負担が買主に移転する条件です。

輸入地の指定場所は、ヨーロッパのように陸や川が地続きで、そこに国境がある場合、国境における輸送手段上での引渡しとなりますが、日本のような島国の場合は、通常、ターミナルから運び出された貨物が、トラックなどで指定の荷受場所まで輸送され、その輸送手段上(トラック上)での引渡しとなります。

輸送手段上での受渡しですので、そこからの荷卸し作業費は買主が負担します。

また、貨物到着後、国内輸送される前に行う必要のある輸入通関や、輸入税の納付についても買主が行います。

海上保険の負担については、インコタームズでは定めていないので、売主と買主の間で契約時に取り決めた内容に準じます。

DAPの後には、輸入地における指定仕向地を明記します。

例:DAPABCOFFICEINBANGKOK(バンコクのABC社オフィス渡し。

売主は、バンコクにあるABC社オフィスまでの費用を負担、ただし輸入通関と輸入税は買主負担)場合によっては、仕向地の住所も明記し、引渡場所を明確にします。

なお、D類型(到着条件)では、海上保険の負担について、インコタームズでは特に定めていません。

危険負担の移転が輸入地となるので、そこまでの危険を負担する売主が、実務上、必然的に海上保険を負担する場合が多いといえます。

もしくは売主が子会社、買主が親会社となるケースで、親会社が一括して保険を負担する、という場合もあります。

また、サンプル品などのため海上保険は不要、といったケースもあります。

ですので、海上保険の負担をどうするかについては、契約時にしっかり確認しておくことが大切です。

⑥DPU(DeliveredAtPlaceUnloaded):荷卸込持込渡条件輸入地の指定場所に到着した運送手段から荷卸しされ、貨物が引き渡されたときに、貨物の危険負担と費用負担が買主に移転する条件です。

DAPとは異なり、輸送手段からの荷卸し作業費を売主が負担します。

輸入通関や輸入税納付については買主が行います。

DPUの後には、輸入地における指定仕向地を明記します。

例:DPUABCOFFICEBANGKOK(バンコクのABC社オフィス渡し。

売主は、バンコクにあるABC社オフィスでの荷卸し費用までを負担、ただし輸入通関と輸入税は買主負担)

⑦DDP(DeliveredDutyPaid):関税込持込渡条件輸入地の指定場所に到着した輸送手段上で、貨物が引き渡されたときに、貨物の危険負担と費用負担が買主に移転する条件で、輸入通関や、輸入税の納付も売主が行います。

海上保険の負担については定めがありません。

DDPでいう「指定場所」はターミナル、倉庫、工場、事務所など輸入地のいずれの場所も含んでいます。

したがって、DDPは、DAP・DPU条件に、売主が輸入通関や輸入税の納付も済ませる、という条件を加えたものになります。

DDPの後には、輸入地における指定仕向地を明記します。

例:DDPABCOFFICEINBANGKOK(バンコクのABC社オフィス渡し。

売主はバンコクにあるABC社オフィスまでの費用および輸入通関・輸入税を負担)場合によっては、仕向地の住所も明記し、引渡場所を明確にします。

2020年版インコタームズ②海上および内陸水路輸送のための規則07「海上および内陸水路輸送のための規則」は、輸送手段を船舶に限定した貿易条件です。

海に囲まれた我が国の場合は、海上輸送のうち、主に在来船での貿易取引に使用されます。

コンテナ船の場合は、前出「いかなる単数または複数の輸送手段にも適した規則」を適用します。

内陸水路を利用した貿易取引は、ヨーロッパ圏のように地理的条件上、河川が国境をまたぐような場合に行われます。

この規則には、次の4種類があります。

①FAS(FreeAlongsideShip):船側渡条件②FOB(FreeOnBoard):本船渡条件③CFR(CostandFreight):運賃込条件④CIF(Cost,InsuranceandFreight):運賃・保険料込条件なお、実務では慣習上、従来のインコタームズ条件を用いて、CFRをC&Fと表記したり、コンテナ船での貿易取引にFOBやCFR、CIFと表記している場合もみられますが、ICCでは貿易取引の現状に最も適した最新版のインコタームズを用い、コンテナ船での貿易取引にはFCAやCPT、CIPを適用すべき、と推奨しています。

また、売主と買主が合意すれば、2010年版や2000年版など、改訂前のインコタームズを適用することも可能ですが、費用負担や危険負担などについて、現状の貿易取引に最も即しているのが最新版といえます。

では、それぞれの貿易条件について詳しくみていきましょう。

①FAS(FreeAlongsideShip):船側渡条件輸出地の指定された船積港で、貨物が埠頭上、または艀上に積み込まれて、本船(輸入地へ向かう船)に横付けされたときに、危険負担・費用負担が売主から買主へ移転します。

貨物は、本船上に積み込まれていない状態で引渡しとなり、本船への積込みは買主の負担となります。

(なお、はしけとは、港から沖合いにある本船に貨物を積み込むために使用する小さな船で、今はほとんど見られません。

)輸出通関は売主が行い、海上運賃・海上保険の負担は買主となります。

FASの後には、輸出地における指定船積港を明記します。

例:FASYOKOHAMA(横浜港の埠頭船側渡し。

売主は横浜港に停泊する本船の船側までの費用を負担)②FOB(FreeOnBoard):本船渡条件売主が、輸出地の船積港で、買主の指定した本船の船上に貨物を置いたときに引渡しとなり、危険負担・費用負担が売主から買主に移転します。

貨物が輸送中に転売されるケースでは、すでに船積みされている貨物を「調達したとき」に、危険負担・費用負担が売主から買主に移転します。

輸出通関は売主が行い、海上運賃・海上保険の負担は買主となります。

海上運賃を負担する買主が、本船を指定します。

FOBの後には、輸出地における指定船積港を明記します。

例:FOBYOKOHAMA(横浜港の本船渡し。

売主は横浜港に停泊する本船に積み込むまでの費用を負担)船上渡しであることを明確にするため、FOBYOKOHAMAONVESSELと表記する場合もあります。

VESSELは本船を指します。

③CFR(CostandFreight):運賃込条件売主が、輸出地の船積港で、売主の指定した本船の船上に貨物を置いたときに引渡しとなり、このとき危険負担が売主から買主に移転します。

輸出通関と本船への船積費用、海上運賃の負担は売主となります。

CFRでは、海上運賃を負担する売主が、本船を指定します。

輸入港に到着した本船からの荷卸し作業にかかる費用、海上保険の負担は買主となります。

「費用負担」と「危険負担」が売主から買主に移転する時点が異なることに注意しましょう。

CFRの後には、輸入地の指定仕向港を明記します。

例:CFRBANGKOK(売主は本船がバンコク港に到着するまでの運賃を負担)④CIF(Cost,InsuranceandFreight):運賃・保険料込条件CFRと同様、売主が、輸出地の船積港で、売主の指定した本船の船上に貨物を置いたときに引渡しとなり、危険負担が売主から買主に移転します。

輸出通関と本船への船積費用、海上運賃に加え、海上保険の負担も売主となります。

輸入港に到着した本船からの荷卸し作業にかかる費用は買主負担となります。

CIFの後には、輸入地の指定仕向港を明記します。

例:CIFBANGKOK(売主は本船がバンコク港に到着するまでの運賃および海上保険を負担)インコタームズ条件における「運賃」と「輸送費」の違いCIFは「運賃・保険料込条件」、CIPは「輸送費・保険料込条件」といいます。

「運賃」と「輸送費」にはどのような違いがあるのでしょうか。

CIFは主に在来船輸送の場合に用いられ、ここでいう「運賃」はFreight、つまり船積港から陸揚港までの海上運賃のことを指しています。

CIPは主にコンテナ船輸送や航空輸送の場合などに用いられ、ここでいう「輸送費」はCarriage、これはコンテナ船輸送では海上運賃に加え、港のコンテナヤードと本船との間の輸送費を含んでいます。

また、航空輸送では航空運賃に加え、航空貨物ターミナルと機内との間の輸送費を含んでいます。

Column1日本の食文化の普及と農林水産物・食品の輸出──FBI戦略店頭に青森産のリンゴやリンゴジュースがたくさん並べられていて、まるで日本のスーパーの売り場のように見えますが、これは、台北の写真です。

日本政府は日本の食文化を海外に普及させるべく、日本の農林水産物・食品の海外展開を積極的に進めています。

この戦略は3本の柱からなっていて、それぞれ「日本の食材の活用推進」(MadeFromJapan)、「日本の食文化・食産業の海外展開」(MadeByJapan)、「日本の農林水産物・食品の輸出」(MadeInJapan)を掲げています。

そして、このFrom、By、Inの頭文字をとって「FBI戦略」と呼んでいます。

輸出に際しては、検疫、衛生条件、放射性物質に関する規制、残留農薬、動物衣料品に対する規制、宗教に関わる基準・認証など、様々な課題があります。

たとえば、本書に出てくる海苔などの水産品については、EUでは大変厳しい規制がかけられており、EU圏での展開の拡大は非常に厳しいのが実情です。

事実、欧州のお寿司屋さんでは、日本産の海苔はほとんど使われていません。

とはいえ、2012年度に約4,500億円だった農林水産物・食品の輸出額は、2020年までに約9,200億円規模に拡大しており、FBI戦略が一定の効果を奏し、日本の食文化が海外で受け入れられてきていることがうかがえます。

日本の食文化・素材が海外でより広まっていくよう、期待したいところです。

Part3輸出実務をおさえよう②信用状など書類の手続き

Story3実務・開始!

契約書の記載内容とチェック方法08

契約書には輸入者(買主)が作成する注文書型(PurchaseOrder)と、輸出者(売主)が作成する注文請書型(SalesContract)の書式があります。

契約書の記載内容には、所定の条件欄にタイプしたタイプ条項と、その裏面に一般的な取引条項を印刷した印刷条項(裏面約款)があります。

ここでは、タイプ条項について、次の例をもとに記載内容を確認しましょう。

①輸出者(売主)が作成した、注文請書型契約書(SalesContract)の例です。

②輸入者(買主)の社名、住所、連絡先をBuyerの欄に明記します。

③品名、数量、単価、合計金額を明記します。

価格条件はインコタームズを用います。

④船積港、仕向港、船積時期、保険条件について、明記します。

⑤支払方法、梱包、その他売主と買主との間で取り決めた特別条件を明記します。

⑥売主が作成した内容に買主が合意して署名すると、売買契約書として成立します。

売主と買主との間で、申込み・反対申込みのやりとりを行った結果、双方が合意した内容通りになっているか、しっかり確認しましょう。

記載内容に漏れがないか、誤字脱字がないかはもちろん、品名・数量単位は適切か、数量・単価・合計の数字は、計算が合っているかどうかも確認しましょう。

また、船積港、仕向港、保険について、契約内容と合致しているかどうかも再度確認します。

支払条件はお互い誤解のないよう、契約書にしっかり明記しましょう。

買主は、この契約書の内容に準じて信用状を開設します。

前述の注文請書型契約書の内容は、売主が横浜のグッドトレード社、買主がアメリカのABCトレーディング社。

商品は日本産の緑茶LuckyLeavesBrand計1200㎏分。

横浜港からロサンゼルス港までのコンテナ貨物で、インコタームズはCIPLOSANGELESCY。

売主のグッドトレード社が、ロサンゼルス港CYまでの輸送費と海上保険料を負担します。

船積時期は、横浜港出港が20XX年1月末まで。

ETDはEstimatedTimeofDepartureの略で、出港予定日を示します。

支払方法は、一覧払いの取消不能信用状、買取銀行は東京シティ銀行です。

梱包は、標準的な輸出梱包で。

その他条件として、原産地証明書を添付します。

代金決済をするまでに負うリスク09輸出者が、外国の輸入者との代金決済をするまでには、様々なリスクがあります。

主なリスクには、輸入者から代金を回収できるかどうかという代金回収リスク、代金が回収できるまで製造原価の経費を負担する資金負担リスク、さらに、外貨決済の場合には、契約時から代金回収までに為替相場が変動して為替差損が発生するかもしれないという為替変動リスクが挙げられます。

これらのリスクを回避するため、貿易取引では「信用状」を用います。

信用状取引では、銀行が支払を保証するので、輸出者は代金回収リスクが回避できます。

また、信用状に記載された船積書類と引換えに、輸出者はすぐに代金を回収できるので、資金負担リスクを軽減することができます。

為替変動リスクを回避するには、為替先物予約という、事前に外貨建手形を買い取ってもらうレートを、買取銀行に予約しておく方法があります。

信用状の入手とチェック方法10輸出者は、輸入者が自身の取引銀行に依頼して発行した信用状(L/C)を、輸出地の通知銀行から入手します。

次の信用状(例)をもとに、輸出者が確認しておくべき内容をチェックしていきましょう。

①レターヘッドには、IssuingBank、すなわち信用状発行銀行名(輸入者の取引銀行)が記されます。

②ここには信用状の種類が記されます。

IrrevocableL/C(取消不能信用状)とは一度開設されたら、信用状発行銀行、輸入者、輸出者(確認信用状の場合は、確認銀行)全員の同意がない限り変更や取消ができない信用状のことで、貿易取引ではこの信用状が用いられています。

③PlaceandDateofIssueは信用状の発行地および発行日です。

④CreditNumberは信用状番号のこと。

⑤AdvisingBankは通知銀行のこと。

輸出地側の銀行で、輸出者はここに記された銀行から信用状を入手します。

⑥Applicantは信用状発行依頼人、つまり輸入者のことです。

⑦Beneficialyは受益者(信用状に記された金額の受取人)、つまり輸出者です。

⑧Amountは信用状金額です。

契約で定めた取引金額が記載されます。

⑨LatestShipmentは船積期限です。

輸出者は、この日までに船積が可能かどうか、商品の納期と船積のスケジュール(輸出通関および指定場所への搬入日)を確認します。

また、船荷証券(B/L)に記される船積日は、この期限内でなければなりません。

期限を過ぎた場合、銀行は書類の買取りを拒否します。

⑩ExpiryDateandPlaceforPresentationは信用状金額の支払の有効期限と、その呈示場所です。

FEB10,20XX,Yokohama,Japanの場合、20XX年2月10日までに横浜で、買取銀行に必要書類を呈示しなければなりません。

⑪信用状はDearSir(s),で始まる文書(レター)形式となっています。

信用状発行銀行は、一覧払いの為替手形(draft(s)atsight)を⑫に明記された条件通りの書類とともに買取ることを保証する、という文言です。

⑫船積書類として呈示が必要な書類です。

輸出者は為替手形とともに、ここに明記された船積書類を買取銀行に提出します。

書類は原則として原本(Original)です。

この例では、(1)インボイス3通、(2)パッキングリスト3通、(3)原産地証明書2通、(4)品質検査証明書2通、(5)船荷証券全通、(6)貨物海上保険証券または証明書2通となっています。

なお、インボイスには信用状番号を記して署名すること、B/Lは無故障(clean)で船積式(OnBoard)、指図式(totheorder)かつ白地裏書(blankendorsed)されたもの、という条件が付されています。

保険証券も付保内容や条件についての指定がここに明記されています。

⑬Coveringは品名、TradeTermsはインコタームズによる貿易条件です。

⑭Shipmentfrom(積出地、船積港)、to(到着地、仕向地)を明記します。

⑮PartialShipmentsは分割船積です。

信用状金額に相当する貨物を一度に全部ではなく、複数回に分けて船積みすることを承認(Allowed)するか禁じるか(prohibited)を示します。

⑯Transshipmentは積替えです。

Prohibited(禁止)の場合は、経由便ではなく直行便の船に積載しなければなりません。

ただし、仕向地によっては直行便がない場合もあり、その場合はAllowed(積替え可)と表記します。

⑰SpecialConditionsには、その他特別条項が明記されます。

⑱Wehereby…は、信用状発行銀行が支払いを確約する旨の定型文言で、署名欄に信用状発行銀行責任者の署名がなされます。

輸出の準備11輸出する商品の準備が整ったら、輸出輸送に適した梱包が必要です。

梱包する際には、貨物の形態や性質をよく理解して、輸送経路や輸送手段に最も適した梱包を施す必要があります。

輸出貨物では通常、梱包された貨物の中身が何であるかがすぐわかるように、荷印を梱包の外部に付けます。

荷印として、任意の記号によるマーク、ケースナンバー、仕向地(港)、原産地を明記します。

必要に応じて注文番号や品番、数量、取扱注意マークなども明記します。

梱包が完了したら、梱包明細書、パッキングリスト(PackingList)を作成します。

契約した商品のうち、それぞれの品がどの梱包の中に入っているかがわかるよう、梱包ごとの内容を明記した書類です。

海上輸送や航空輸送などの運賃は、重さや容積によって決まるので、各梱包について、個数、重量(梱包前の重量と梱包後の重量)、梱包サイズ、容積を明記し、さらにそれらの合計も記載します。

パッキングリストは通関時にも必要な場合があります。

安全保障貿易管理12輸出の際、税関へ輸出申告する前に、商品によっては、事前に主務官庁の許可や承認などを受けなければならないことがあります。

輸出申告時、これら許認可が取得済みであることを税関長に証明しなければなりません。

輸出を規制する法令には、関税関係法以外に、外為法およびその政令である「輸出貿易管理令(以下、輸出令)」、植物防疫法や家畜伝染病予防法などがあります。

ここでは特に重要な輸出令について学んでいきましょう。

輸出令には、輸出の際、事前に経済産業大臣の許可又は承認が必要な貨物について、具体的に規定されています。

「輸出許可」が必要な貨物は、国際的な平和、安全の維持を妨げる恐れのある貨物(戦略物資)で、輸出令の別表第1・第1~16項に明記されています。

第1~15項には核燃料や半導体基板など、武器や兵器およびそれらに関連するものが挙げられています。

第16項には食料品、木材、皮革製品、紙類などを除くすべての貨物について、キャッチオール規制(補完的輸出規制)が規定されています。

大量破壊兵器開発用途に使用されるおそれがある場合や、通常兵器開発用途に使用されるおそれがある場合は、経済産業大臣の許可が必要になります。

ただし仕向地が、輸出管理制度の整備が徹底されている26カ国(グループA26カ国、次図参照)の場合は、規制対象外の地域とされています。

「輸出承認」が必要な貨物は、①特定貨物(輸出令・別表第2)、②特定地域(輸出令・別表第2の2)、③委託加工貿易(輸出令・第2条第1項第2号及び輸出規則3条)に定められています。

①特定貨物には、国内需要物資を確保するための品(配合飼料など)や取引秩序維持のための品(漁ろう設備等を有する船舶など)、国際協定による品(ワシントン条約の動植物など)、麻薬、偽造通貨、知的財産権侵害物品などが該当します。

②特定地域には、北朝鮮を仕向地として、冷凍牛肉や乗用自動車、アルコール飲料、万年筆などを輸出する場合が該当します。

しかし現在、北朝鮮への輸出については、原則としてすべての貨物について禁じられています。

③委託加工貿易には、皮革および皮革製品の半製品で、指定された加工を行うために輸出される場合が該当します(ただし100万円以下は承認不要)。

Column2商談スキルを高めよう輸出に必要な技量は「貿易実務の知識」であることに間違いはありませんが、このほかに「マーケティングの知識」も必要です。

そしてこれらに裏付けされた「商談スキル」が、重要です。

まず、マーケティングには「4P戦略」というものがあります。

「Product」(製品)、「Price」(価格)、「Place」(流通)、「Promotion」(広告)それぞれについて戦略をきちんと立てるということです。

すなわち、どの商品を、いくらで、どのように流通させ、どのようなプロモーション作戦を行うかという輸出計画を立てます。

この計画を作成するために、競合する商品や、売り込む「国」あるいは「地」の消費者の嗜好、所得、輸入規制、通関制度、インフラなどを調査します。

次に、商談のためには最低限「価格表」「商品情報シート」「商品プレゼン用資料」の3つの内容を英語で準備すべきと、日本貿易振興機構(JETRO)もアドバイスしています。

特に「商品プレゼン用資料」は、外国人を相手にするということを意識して作成する必要があります。

可能ならば現地の言葉で作成すると、インパクトが強くなります。

また、実際の商談は名刺交換から始まります。

英文の名刺は必ず作成しておきます。

そして売り込もうとする商品の説明ですが、利便性や競合商品に対する競争優位性をアピールし、アグレッシブに、熱意を込めかつ誠実に行うことが相手の共感を生みます。

そして商談後も細かくフォローし、コミュニケーションを継続していくと、契約に結び付く可能性が高まります。

輸出書類を作成する(Invoice)13商業送り状は輸出書類の一つで、インボイス(Invoice)と呼ばれ、輸出者が輸入者にあてて作成する貨物の明細書であり代金請求書でもあります。

輸入者は必要に応じ、このインボイスで輸入通関を行います。

信用状取引の場合には、インボイスは三大船積書類の一つであり、インボイス上の商品記載は信用状上の記載と一致していなければなりません。

また、輸出通関の際に必要に応じ税関へインボイスを提出する場合もあります。

インボイスにはおおよそ次のような内容が記載されています。

①貨物の記号、番号、品質、数量、価格②仕入書の作成地、作成年月日、仕向地、仕向人③価格の決定に関係のある契約条件(FOB、CIF等)輸出者は、商業用と通関用でインボイスを別々に作成する場合もあれば、同じインボイスを流用する場合もあります。

船積依頼書(ShippingInstructions)14船積みについて、輸出者は海貨業者に作業を依頼しますが、その際、依頼する内容を明確に記した船積依頼書(シッピングインストラクションズ、以下S/I)を作成します。

輸出者はS/Iに、依頼する作業内容、貨物の情報、書類について明記し、通関や船積みに必要な書類を添付して海貨業者に引き渡します。

次の例では、貨物は20フィートのドライコンテナ1本で、Shipper(輸出者)の倉庫にてコンテナ詰めされたものを、横浜港のCYへ運搬する、という内容になっています。

海貨業者はS/Iの内容にしたがって船積み作業を行います。

船荷証券(B/L)への記載事項もこのS/Iをもとに海貨業者が作成して船会社に提出します。

そのため、信用状取引の際は、信用状条件に合致した船荷証券を発行してもらう必要があるので、輸出者はこのS/Iに信用状条件通りの記載を正確に行うことが重要です。

ブッキング(Booking)15売買契約がインコタームズのC条件、D条件の場合には、輸出者が輸送の手配を行います。

ここではコンテナを利用した海上輸送の場合を例に、ブッキングのポイントを解説します。

輸出者は、ブッキングを海貨業者(またはフォワダー)に依頼して行う場合と、船会社またはその代理店に依頼して行う場合があります。

海貨業者に依頼する場合、海貨業者独自の有利な割引運賃が適用されたり、支払を他の作業費とまとめられるというメリットがあります。

船会社やその代理店にブッキングする場合、ボリュームや輸出頻度が大きくまとまるときなどは、運賃の割引を直接交渉できるというメリットがあります。

輸出者はブッキング前にあらかじめ、海貨業者もしくは船会社(または代理店)に、運賃の見積依頼とスケジュールの確認を行います。

スケジュールは船会社のホームページや「シッピングガゼット」という専門誌で調べることもできます。

見積依頼の際には、①コンテナの種類(一般的な貨物はドライコンテナ)、大きさ(20フィート、40フィートなど:それぞれコンテナの全長を示します)、本数、②船積港と仕向港、③出港予定日(※ETD)、④貨物の内容を伝え、海上運賃とターミナルハンドリングチャージ(THC)、船荷証券発行料(B/LFee)その他かかる費用および支払方法を確認します。

ブッキングの際には、右記事項に加え、⑤輸出者名(Shipper)、⑥海貨業者名、⑦本船名および航海番号(Vessel&VoyageNo.)、⑧その他必要事項(荷受人:Consignee名など)を伝え、貨物搬入場所と搬入予定日時、ブッキングナンバーを確認します。

船会社やその代理店に直接ブッキングした場合は、船会社名とブッキングナンバーを海貨業者に伝えると、その後の手配がスムーズです。

※ETDはEstimatedTimeofDepartureの略。

なお、着港予定日はETA(EstimatedTimeofArrivalの略)と表記します。

いずれもブッキングの際によく用いられる貿易用語です。

海貨業者へ通関船積を依頼する16輸出者は、輸出通関を一般的に、通関業の許可をあわせ持つ海貨業者に、船積み作業と一緒に依頼します。

依頼内容はS/Iに明記し、必要書類を添えて渡します。

輸出通関に必要となるだろうという書類は次のようなものがあります。

①通関用インボイス(仕入書)②通関用パッキングリスト③他法令に規定する輸出許可証、輸出承認証、検査完了の証明書など(必要な場合)④貨物内容を説明できる資料(商品カタログ、写真、仕様書など)輸出通関の際、関税法の定めにより、税関ではすべてFOB価格にして輸出通関統計を計上しています。

そのため、必要に応じ輸出通関用のインボイス上の価格は、実契約上のインコタームズ条件がC条件やD条件の場合には、FOB価格に換算して記載すると、通関手続きがスムーズです。

保税地域へ搬入する17輸出通関の流れですが、通関に必要な書類を揃えて税関へ輸出申告をし、原則としてその後、貨物を保税地域へ搬入します。

貨物が保税地域に搬入されると、税関による検査が行われ、輸出許可を受けると通関は完了します。

保税地域の多くは、許可を受けた海貨業者の営業倉庫です。

保税とは、関税の賦課を留保するという意味で、保税地域から貨物を搬出する際には関税を納付しなければなりません。

ただし日本では、輸出について関税は課せられていません。

保税地域には、次の5種類があります。

①指定保税地域(国や地方公共団体などが管理する建物などで、原則1カ月間蔵置可能)、②保税蔵置場(原則3カ月間、蔵入承認で最長2年間蔵置可能)、③保税工場(外国から届いた原材料を関税保留の状態で製造加工できる工場)、④保税展示場(見本市などで利用される)、⑤総合保税地域(②~④の機能を総合的に持つ)、です。

航空貨物のポイント18航空輸送の利点は、短期間で貨物を輸送できる、そのスピードにあります。

航空輸送の貿易量は、全体の0・3%ほどしかありませんが、主に緊急品や高額商品、生鮮品などに利用され、金額的には成田空港だけでも貿易全体の17・6%を占めています。

海上輸送の船荷証券(B/L)的な役割を担うのが、航空輸送では航空輸送状(AirWaybill,AWB)です。

ただし、AWBは船荷証券と違って、有価証券ではなく、単なる受取証に過ぎません。

しかもAWBは貨物に添付され輸送されます。

AWBの荷受人(Consignee)欄に記載された者がすぐに貨物を受取れるようにするためです。

そこで、信用状取引の場合は、荷受人を信用状発行銀行にして、輸入者に直接貨物が渡らないようにします。

航空輸送契約には主に①直接貨物輸送契約、②混載貨物輸送契約、③チャーター輸送契約があります。

①直接貨物輸送契約は、航空会社またはその代理店を通して行う輸送契約です。

航空会社が発行するAWBはMasterAirWaybill(MAWB)といいます。

②混載貨物輸送契約は、自らは航空機を持たない運送人(利用航空運送事業者)が、複数の荷主の小口貨物を1つの大口貨物にまとめ、自ら荷主となって航空会社と輸送契約をする形態です。

航空運賃は重量が大きくなるにしたがって運賃率が安くなるので、個々の小口貨物の荷主が直接航空会社に貨物を依頼するよりも安い運賃を提供できます。

航空会社は利用航空運送事業者にMAWBを発行し、利用航空運送事業者は個々の荷主に対してHouseAirWaybill(HAWB)を発行します。

③チャーター輸送契約は、航空機の全スペースを貸し切る契約で、荷主と航空会社との間で運送期間、運航日時を取り決めます。

運賃は各航空会社が独自に設定します。

航空輸送の運賃は原則、発地国の通貨建てです。

日本からの輸出では円建てになります。

なお、航空輸送ではIATA危険物規則書に準拠し、危険物に該当する貨物は、事前に航空会社に承認をとり、必要な梱包を施さなければ、積載できません。

危険物とはたとえば、接着剤や塗料のような引火性、可燃性がある物質、毒性物質などが該当します。

航空貨物の搬入と通関19輸出する商品に、航空輸送に必要な梱包を行ったら、貨物を指定場所に搬入します。

航空貨物の搬入先は、直接貨物輸送契約の場合は航空会社の貨物ターミナル、混載貨物輸送契約の場合は空港近くの指定倉庫となります。

通関は、海上輸送と同様、海貨業者に依頼する場合もあれば、航空貨物専門の物流会社や混載貨物輸送契約をした利用航空運送事業者に依頼する場合もあります。

いずれにせよ、税関長による通関業の許可をあわせ持つ業者です。

なお、海貨業者によっては、航空貨物の通関を行っていない場合もありますので、事前に問い合わせておきましょう。

また、航空輸送は、搬入輸出通関/許可航空機に搭載AWBの発行仕向地に到着、という流れが数日間で行われる、スピーディな輸送手段です。

特に短納期の契約では、スケジュールの確認や事前の段取りをしっかり行うことが大切です。

Part4輸出実務をおさえよう③保険の申込みと船積み、運送

Story4コンテナに乗せた夢

貨物海上保険を申込む20

貿易条件がCIFやCIPの場合は、輸出者が保険を申込み、保険料も負担します(付保する、といいます)。

この場合、保険の申込みをした輸出者が被保険者になるので、事故が発生したときに金額を受け取る権利は、輸出者にあります。

しかし、CIFでは輸出地で貨物が船上に置かれたときに、CIPでは輸出地で貨物が運送人に引き渡されたときに、危険負担は輸入者側へ移ります。

したがって、それ以降に発生した事故に対する保険金は、輸入者が受け取れるようにする必要があります。

そこで輸出者は、輸出者名義となっている保険証券の裏面に署名だけ(白地裏書)し、保険金を受け取る権利について、保険証券を所持する者に譲渡できるようにします。

信用状取引の場合、輸出者は、白地裏書した保険証券を、船積書類としてインボイスや船荷証券とともに買取銀行へ提出し、銀行を通じて輸入者の手に渡るようにします。

では、保険申込書の例を参考に、記載事項について確認していきましょう。

①被保険者名。

原則として、保険契約者(保険を申込む者)の名前です。

②輸出者が発行するインボイス番号を記載します。

③保険金額。

事故が起きた場合に、損害のてん補として支払われる最高限度額です。

通常、貨物のCIFまたはCIP金額の110%の金額(輸入者の希望利益として10%を加算したもの)となります。

④保険条件(どのような損害をカバーするか)を選びます。

貨物海上保険の対象となる損害には、貨物自体の損害(共同海損、単独海損)と費用損害があります。

共同海損:本船が座礁や沈没の危機にさらされた場合、船長の判断で貨物を海中へ投棄することがあります。

この場合に犠牲となった貨物などについて、船会社と全荷主が、定められた割合に応じて負担する費用的損害です。

単独海損:海上輸送中、個々の貨物に発生した損害で、被害を受けた荷主が単独で負担する損害です。

損害の度合いによって、全損と分損に分けられます。

費用損害:貨物への損害のほか、損害を防止するための費用、救助費用、サーベイ(調査)費用など、事故に付帯して発生した費用の損害です。

具体的にどのような損害をてん補するかについては保険約款で定められています。

この約款は、ロンドン保険業者協会が制定した約款(ICC)に準拠しており、従来からの約款(旧ICC)ではAllRisks,W.A.,F.P.A.、1982年に定められた新約款(新ICC)では(A)、(B)、(C)という、約款の基本条件が定められています。

FPA(FreefromParticularAverage):分損不担保・単独海損不担保/新ICC(C):共同海損と全損、本船やはしけの座礁・沈没・大火災があった場合の分損(特定分損)および本船の衝突に起因する分損事故(SSBC)、防止費用などの費用損害のみをてん補する条件です。

WA(WithAverage):分損担保・単独海損担保/新ICC(B):FPAがカバーする条件に加え、海水ぬれ損など海固有の危険によって被った分損を、一定の損害割合以上の場合にてん補する条件です。

A/R(AllRisks):全危険担保/新ICC(A):FPAやWAでカバーする危険に加え、貨物の運送に付随して生じた事故による損害もてん補する条件です。

ただし、戦争やストライキ、暴動などのリスクは免責(別途、特別約款を追加契約する必要あり)となります。

前述の図『保険申込書の例』では、新ICC(A)が保険条件として選択されています。

なお、貨物海上保険では、貨物固有の瑕疵(キズ)または性質による損害、梱包不備による損害、自然消耗、放射能汚染、航海の遅延による損害、被保険者の故意による損害などについては、免責(保険の対象外)となります。

⑤積載船(機)名、積込地、出港(予定)日、仕向地を記載します。

⑥貨物の荷印、個数と荷姿、貨物の明細や数量を記載します。

⑦発行依頼書類と部数。

ここでは信用状の要求にしたがって保険証券(InsurancePolicy)を2部としています。

⑧保険金額付保割合は、契約上特に定めのない限り、CIF/CIP価格の110%となります。

インボイス金額US$45,000.00の場合、10%のUS$4,500.00を加えたUS$49,500.00が保険金額となります。

⑨CIPまたはCIF建てのインボイス金額を記入します。

契約金額がFCAやDDPなどの場合は、CIP/CIF建てに換算した場合の金額を記入します。

⑩申込日と申込者名を記入し、署名します。

輸出申告と輸出許可21通関業者による申告業務は、NACCS(ナックス)という、通信回線で接続された端末機システムで行われます。

この端末機の回線は税関とつながっています。

NACCSによって輸出申告が税関になされると、税関長は申告内容と、必要に応じて別途提出された添付書類(通関用インボイス、パッキングリスト、カタログ、許可証など)を審査します。

また、必要に応じて保税地域に置かれている輸出貨物の現物検査を行います。

そして問題がなければ出力情報により輸出許可(E/P:ExportPermit)を通知します。

なお、コンテナ詰めされた貨物は、コンテナに詰め込まれた状態のまま輸出申告を行うことができます。

コンテナ貨物が現物検査となった場合は、保税地域であるCY(コンテナヤード)の検査場にて行われ、輸出許可を受けると船積みとなります。

輸出とAEO22テロに対するセキュリティ強化の一環として、税関による輸出検査がより厳格化されました。

しかしすべての貨物の検査を厳しくすると、迅速に通関することが難しくなります。

そこで、安全な通関システムを確保すべくAEO制度が設けられました。

AEO制度は、業者の申請によりコンプライアンスの側面およびセキュリティ管理の側面から審査を行い、税関が承認や認定した業者については、「リスクの低い荷主」として検査率を低くし、さらに通関上のベネフィットを与え、そうでない者の検査を重点的に行うようにするための制度です。

AEO制度によって承認や認定された輸出者は「特定輸出者」、通関業者は「認定通関業者」、自ら輸出しないメーカーは「認定製造者」で、その貨物を輸出する業者は「特定製造貨物輸出者」となります。

輸出貨物は原則、申告後速やかに保税地域に搬入しなければなりませんが、これら認定された業者が輸出通関を行う場合は、貨物を保税地域に搬入せずに、輸出申告から輸出許可までを受けることができます。

コンテナ船への船積み①FCL貨物23コンテナ単位の貨物(FCL:FullContainerLoad)の場合、輸出者(またはその委託者)は商品をコンテナ詰め(バン詰め)し、コンテナに施封(シール)します。

バン詰め後、商品をどのように積み込んだかわかるようにコンテナ内積付表(CLP:ContainerLoadPlan)を作成します。

その後、コンテナは運送人に引き渡され、船会社指定のCY(コンテナヤード)に持ち込まれることになります。

輸出者からのS/Iの指示にしたがって海貨業者は船会社に、船積申込書であるドック・レシート(D/R:DockReceipt)を提出します。

D/Rは8枚程度の複写式書類で、船会社はこの書類をもとにB/Lを作成します。

海貨業者はD/RとCLP、そして輸出許可後、輸出許可証(E/P)もCYのオペレーターに提出します。

海貨業者がコンテナをCYに搬入し終えると、D/Rの控え(B/L交換用)が渡され、それを船会社に提出するとB/Lを受領することができます。

その後、CYに搬入されたコンテナは、積載船が到着したらガントリークレーンにより船積みされます。

コンテナ船への船積み②LCL貨物24コンテナ単位未満の小口貨物(LCL:LessthanContainerLoad)の場合、輸出者は商品を、LCL貨物輸送を専門とする業者の指定倉庫(CFS:コンテナ・フレート・ステーション)に搬入します。

様々な荷主からの小口貨物はCFSでまとめられ、LCL貨物輸送の業者によりコンテナ詰めされ、コンテナ単位の貨物となります。

輸出者からのS/Iの指示にしたがって海貨業者はLCL貨物輸送業者に、船積申込書であるドック・レシート(D/R)を提出します。

LCL貨物の業者はこの書類をもとにB/Lを作成します。

海貨業者はD/R、そして輸出許可後、輸出許可証(E/P)をCFSのオペレーターに提出します。

海貨業者が小口貨物をCFSに搬入し終えると、D/Rの控え(B/L交換用)が渡され、それをLCL貨物輸送業者に提出するとB/Lを受領することができます。

なお、CLPはCFSで作成されます。

CFSでコンテナにまとめられた小口貨物は、コンテナ貨物としてCYに搬入され、積載船が到着したらガントリークレーンにより船積みされます。

在来船への船積み25コンテナに入らない形状の貨物の場合は、在来船に船積みします。

大口貨物の場合は、荷主が本船の船側まで貨物を持ち込む自家積み(直積み)、小口貨物の場合は船会社が他の貨物とまとめて積む総積みとなります。

海貨業者はS/Iの指示にしたがって船積申込書となるS/A(ShippingApplication)を船会社に提出します。

S/Aは8枚程度の綴りになっていて、ここに船積指示書(S/O:ShippingOrder)やメイツレシート(M/R:Mate’sReceipt)が含まれています。

海貨業者はS/Aと引換えにS/Oを船会社から受領し、S/O、輸出許可書(E/P)とともに貨物を本船(総積みの場合は船会社倉庫)へ引き渡します。

船積みには検数人が立会い確認の上、検数人が一等航海士へS/OとM/Rを提出します。

一等航海士はM/Rにサインして検数人に書類を返却します。

検数人はM/RとE/Pを税関に呈示し船積みの確認を受け、書類を海貨業者に返却します。

海貨業者はM/Rと引換えにB/Lを受け取り、輸出者にB/LとE/Pを渡します。

以上が在来船への船積みの流れです。

貨物にキズがあった場合26本船に持ち込まれた貨物にキズなどの瑕疵があった場合、コンテナ船ではD/R(B/L交換用)、在来船ではM/Rにその旨が記されます。

これがリマーク(Remark)です。

リマーク付きのD/RやM/Rを船会社に持ち込むと、発行されるB/LはFoulB/L(故障付船荷証券)となります。

信用状取引の場合、リマークのない無故障船荷証券(CleanB/L)が条件となっているので、リマーク付きB/Lは銀行から買取拒否されます。

この場合、輸出者は船会社に「瑕疵の責任はすべて輸出者が負う」とする補償状(L/I:LetterofIndemnity)を差し入れ、リマークをB/L上から消してもらうことができます。

ただし、貨物自体はキズがある状態のままですので、後に輸入者とトラブルになる危険は大です。

なお、コンテナ貨物の場合、船会社はコンテナの中身を確認できないため、B/L上に”Shipper’sLoadandCount”,”SaidtoContain”(荷主が中身の状態や数量を確認した)という不知文言が記載されますが、この文言は信用状取引に影響を与えません。

船積通知をする27輸出者は船積みが完了次第すみやかに船積通知(S/A:ShippingAdvice)を輸入者に発信しなければなりません。

通知は通常、メールやFAXで行います。

船積通知には一般的に、貨物の明細、金額、船名、出港日を記載します。

必要に応じて、B/Lのコピー(航空貨物の場合はAWB)を、船積みの証明として輸入者へ送信します。

輸入者は船積通知により、貨物の受け入れ準備を整えます。

輸入者が保険を付保するFOBやFCA条件などの場合は、船積通知により、輸入者は事前に申し込んでおいた予定保険(船名など一部情報が未確定なまま保険を申込むこと)を確定保険に切り替える手続きを行うことになります。

ですので、スムーズな貿易取引を実現するために、輸出者は輸入者へ、すみやかに船積通知を行うことが大切です。

船荷証券(B/L)28船荷証券(B/L:BillofLading)の重要な性質として、(1)受取証、(2)引換証、(3)有価証券、(4)流通証券の4つが挙げられます。

(1)受取証:船会社が輸出地で貨物を受け取ったことを証明する書類。

(2)引換証:輸入港で貨物を船会社から受け取るための引換証となる。

(3)有価証券:小切手などと同様の有価証券で、貨物引渡し請求権が証券化されたもの。

(4)流通証券:裏書することによって貨物引渡し請求権が、B/Lを所持する者に移転する(流通する)。

つまり、B/Lは単なる書類ではなく、記載されている貨物と同等の金銭的価値を持つ重要な書類なのです。

では、コンテナ貨物の場合のB/Lを参考に、B/Lについて学んでいきましょう。

①B/L番号。

船会社が発行します。

②船会社名。

その下の文章は、RECEIVED…から始まっており、このB/Lが受取式船荷証券(ReceivedB/L)であることがわかります。

コンテナ貨物はCYで船会社に貨物を受け渡すので、受取式船荷証券が発行されます。

なお、貨物を本船船側まで運ぶ在来船貨物の場合は、文章がSHIPPED…から始まる船積式船荷証券(ShippedB/L)が発行されます。

③荷送人(Shipper)。

通常、輸出者(ここではグッドトレード社)のこと。

④荷受人(Consignee:コンサイニー)。

貨物引渡し請求権を持つ者。

信用状取引ではここに”TOORDER”と記載します。

これはB/Lに流通性を持たせるためで、Orderは指図人(B/Lの権利者であるShipperに指図された不特定の者)を指します。

これを指図式船荷証券(OrderB/L)といい、輸出者はB/Lの裏面に署名(裏書)をして他の船積書類とともに買取銀行に持ち込みます。

なお、荷受人欄に特定人名(輸入者など)を記載したB/Lは記名式船荷証券(StraightB/L)と呼ばれ、流通性がありません。

これは、信用状を用いない送金による取引などの場合に利用されます。

⑤貨物の到着案内先(NotifyParty)。

仕向港に貨物(本船)が到着する際、運送人(船会社または代理店)はここにArrivalNotice(着荷通知)を発信し、貨物の到着を知らせます。

⑥貨物の受取地(コンテナの場合はCY)、と船積港が明記されます。

⑦OceanVesselは本船名です。

V.はVoyageの略で、航海次数を示しています。

⑧陸揚港(仕向港)と貨物引渡し地(コンテナの場合はCY)が明記されます。

⑨貨物のコンテナ番号、シール番号、荷印が記載されます。

⑩コンテナ本数(LCL貨物の場合は貨物の個数)が明記されます。

1×20’GPは20フィートのドライコンテナ1本(GPはGeneralPurpose:汎用コンテナの意味)を示します。

一般的に多用されるドライコンテナ(DryContainer)はGPやDV(DryVanの略)と表記されることがあります。

また、ドライコンテナの天井部分がないタイプのコンテナをオープントップコンテナ(OT)、天井部分および側壁部分がないコンテナをフラットラックコンテナ(FR)といいます。

これらは高さや幅が、コンテナの規定寸法を超える貨物を輸送する場合に用いられます。

⑪商品名、梱包情報、その他リマークなどが記載されます。

SHIPPER’SLOAD&COUNTは荷送人がコンテナに積み込んで検数した、という意味の不知文言です。

FREIGHTPREPAIDは運賃前払いで、船積港で運賃が支払われたことを意味します。

CIPやCPTの場合はFREIGHTPREPAID、FOBやFCAの場合はFREIGHTCOLLECT(運賃着払い、運賃は陸揚港で支払われる)と表記されます。

⑫貨物の重量です。

NetWeight(N.W.)は梱包を除いた重量、GrossWeight(G.W.)は梱包込みの重量です。

⑬貨物の容積です。

CBMはCubicMeterの略で、立法メートル(㎥)のことです。

㎥はM3(エムスリー)とも表記されます。

⑭海上運賃その他諸チャージがここに明記されます。

FREIGHTASARRANGEDは「事前に取り決めた運賃」の意味です。

⑮B/L原本の発行部数が記されます。

ここでは原本3部となっています。

⑯船積日と署名欄です。

船積した日が確定するとここに日付が明記されます。

受取式船荷書証券はここに船積日が明記されることによって、船積式船荷証券となります。

ここでPart3の図『信用状の例』と、前述のB/Lの例の書類を照らし合わせてみましょう。

信用状を見ると、⑫の5にB/Lの条件が記されています。

この意味は、「Fullsetof(B/L全通、3部発行なら3通)clean(無故障の、リマークのない)OnBoardOceanBillsofLading(船積式船荷証券)madeouttotheorder(指図式の)andblankendorsed(白地裏書されている)」、となっており、このB/Lと合致しています。

航空運送状(AWB)29ここでは、利用航空運送事業者(混載業者)が発行するHAWB(HouseAirWaybill)を例に見ていきましょう。

①荷送人。

輸出者名および住所を記載します。

②荷受人。

通常は輸入者。

信用状取引の場合は信用状発行銀行となります。

③混載業者名。

④出発空港。

⑤到着空港。

⑥積載便名および出発日が記されます。

⑦貨物の到着案内先。

⑧梱包込みの実重量。

⑨運賃重量(チャージャブルウエイト)。

貨物の寸法の縦(㎝)×横(㎝)×高さ(㎝)の合計を6000(6,000=1kgとして換算します)で割り、実重量と比較して数字の大きい方を運賃重量とします。

⑩航空運賃の合計額が記されます。

通貨は発地国建てです。

⑪商品名や荷印などを記載します。

⑫航空運賃その他諸チャージが記されます。

インコタームズがC条件・D条件の場合はPrepaid(前払い)欄に、F条件の場合はCollect(着払い)欄に明記されます。

⑬混載業者の署名。

保険証券30保険証券(表面)の例を参考に、その内容を確認していきましょう。

①被保険者(Assured):保険を申込み、保険の支払いを受ける者。

CIP/CIF条件では輸出者が付保します。

②保険金額(AmountInsured):通常、CIP/CIF金額の110%が限度額となります。

③保険金の支払地。

信用状取引でCIP/CIFの場合、輸出者が付保しますが、ここでは輸入者が輸入地で保険金を請求できるように、輸入地を記入しています。

④保険条件。

ここでは新ICC(A)条件に、戦争およびストライキ特約を付保しています。

⑤船積港、本船名および出港日、仕向地が明記されます。

⑥商品の数量・明細が記されます。

⑦保険証券の発行部数です。

ここでは信用状の要求にしたがって2部発行しています。

代金の回収①L/Cの場合31商品の輸出手配を終えたら、輸出者は輸入者から商品代金を回収しなければなりません。

ここでは、信用状取引の場合の、代金回収方法について学びましょう。

輸出者は信用状に記載された条件通りの船積書類をすべて揃え終えたら、それら書類に加え、為替手形(BillofExchange)を作成し、買取銀行に持ち込みます。

為替手形は通常2枚1組の組手形です。

この為替手形に船積書類(=荷)が添えられたものを、荷為替手形といいます。

荷為替手形には、手形金額(原則、信用状に記載された金額)と、その金額の請求先(輸入者名)、信用状発行銀行名と信用状番号などを明記します。

このようにして、輸出者は荷為替手形と引換えに、買取銀行経由で代金を回収することができます。

信用状と荷為替手形を組み合わせることで、輸出者は前払いでも後払いでもなく、輸出手配の完了とほぼ同時に、出荷後速やかに代金を回収できるのです。

では、見本を参考に、荷為替手形作成のポイントを確認していきましょう。

①手形番号。

②手形金額。

③手形振出地および振出日。

④手形の支払い期日。

AtXXXXSightは、AtSight(一覧払手形)の意味。

期限付手形(ユーザンス手形)は、At30daysSight(一覧後30日払い)のように、支払期日を明記。

⑤手形の受取人。

買取銀行名を明記。

⑥手形金額を文字で表記します。

⑦手形金額の請求先として、信用状発行依頼者である輸入者名と住所を記載。

⑧信用状発行銀行名。

⑨信用状番号および発行日。

⑩手形の名宛人(支払人)名および住所。

信用状の要求に応じて明記し、Drawnonusと信用状にあれば、信用状発行銀行名を記載します。

DrawnonApplicantならば輸入者名を記載します。

⑪手形の振出人(輸出者)名と署名。

なお、手形を買い取ってもらうには、輸出者が提出した書類が信用状に記載されている条件と合致していなければなりません。

船積書類と信用状が要求する内容とが不一致であることを、ディスクレ(Discrepancy)といいます。

輸出者が呈示した書類にディスクレがあると、買取銀行は荷為替手形の買取りができません。

ディスクレが見つかった場合、原則として、信用状の条件通りに船積書類の修正を行います。

船積書類の修正ができない場合は、信用状条件の変更(アメンド:Amendment)を行います。

アメンドには、信用状発行銀行および輸入者の同意も必要となり時間がかかります。

もしくは、書類にディスクレがある状態のまま買い取ってもらうため、輸出者が銀行にL/G(LetterofGuarantee:保証状)を差し入れる方法もあります。

これは、もし信用状発行銀行が買取を拒絶した場合、輸出者は銀行に買い取ってもらった手形を異議なく買い戻すという念書のことをいいます。

なお、アメンドやL/Gの差し入れを行わない場合は、代金取立手形(D/P手形やD/A手形)として処理されることになります。

代金の回収②D/P、D/Aの場合32信用状なしの取引で、輸出者が手形買取りにより代金を回収する方法には、D/P(支払時書類渡し)手形、またはD/A(引受時書類渡し)手形による決済があります。

D/P手形はDocumentsagainstPayment(手形支払書類渡し)で、支払人(輸入者)が一覧払手形の支払いを行うと同時に船積書類を引き渡す条件の手形です。

D/A手形はDocumentsagainstAcceptance(手形引受書類渡し)で、支払人(輸入者)が期限付手形の引受けを行うと同時に船積書類を引き渡す条件の手形です。

いずれも代金回収が保証されないので、原則として代金は取立ての方法で行われます。

この方法で輸出者が代金を回収できるのは、輸入者(支払人)が輸入地の銀行に代金の支払を行い、輸入地の銀行が輸出地の銀行へ支払いを行ってからとなります。

Part5輸出実務をおさえよう④EPA/FTAの活用

EPA/FTAとは33輸出をする上で、どのEPA/FTAを利用してもらうか、ということを考える必要があります。

EPA税率よりMNF税率が有利な場合もあるので、そのときはEPAを利用しないこともできます。

EPAは締約国間で必ず適用されるものではないので、利用する・しないかは輸入者が決めます。

そもそもEPA/FTAとはなにか、という点から説明していきます。

EPA:EconomicPartnershipAgreementとは経済連携協定のことをいいます。

FTA:FreeTradeAgreementとは自由貿易協定のことをいいます。

EPAは貿易取引の他、投資、人の移動など経済活動に関する様々なルールを定めた協定です。

FTAは自由貿易を目指す協定ですが、貿易に関してはEPAとFTAは同義ですので、以下本書ではこれらの自由貿易の拡大に関する協定を「EPA」と表記します。

EPAは日本での呼称で、世界的にはFTAと表現されています。

EPAは国家または地域間の協定により、加盟国間にのみ適用されるルールです。

世界の統一ルールと異なり、柔軟かつ、先進的なルールが定められていることが特徴です。

加盟国でのみ、特定の品目の関税を撤廃したり、税関での手数料をかからないようにしたりするルールが定められており、EPAを利用することで関税コストを削減できます。

そして、同じ国との間でも複数のEPAを締結している場合があるため、輸入者は各EPAの、各品目ごとに定められている関税の税率を比較し、最も有利なEPAを選択する必要があります。

単純に関税率を比較するだけではなく、EPAの規定の適用のしやすさ、手続きのしやすさなども加味する必要があるので、EPAを理解し、使いこなすことは、なかなか骨が折れます。

輸出者は輸入者にただ、EPAの選択を委ねるのではなく、輸入者がEPAを活用しやすいように、輸出品の原材料や、サプライチェーンを工夫することで、商材のアドバンテージとすることができます。

メガEPAとは34EPAは各加盟国ごとのルールですので、非加盟国が関わると適用できなくなってしまいます。

A国と日A・EPAを締結した場合、加盟国であるA国にはこのEPAの条件で輸出できるけれども、非加盟国であるA国にはこの条件では輸出できないのは当然ですね。

また、加盟国であるA国に対し、A国で生産した物を輸出したいとき、あるいはA国から輸入した素材をちょっと加工してA国に輸出したいときも、A国が非加盟国であると、EPAの条件が適用できませんね。

また、様々な国と個別にEPAを締結していくと、それぞれの国へ輸出する際に、それぞれの別々のEPAのルールを理解し、別々のEPAに則った手続きをしなければならず、お互い大変です。

このように、世界経済の中で様々なEPAが複雑にからまって、煩雑な様子は「スパゲッティボウル現象」と呼ばれています。

複数の国にまたがったサプライチェーンを構築している企業は、この「スパゲッティボウル現象」に頭を悩ませていることでしょう。

このような状況を解決するものとして、複数の国にまたがるサプライチェーンを全てカバーできるような、広域のEPAが指向されるようになりました。

そして、このような広域のEPAや、経済規模の大きなEPAを「メガEPA」といいます。

近年、続々とメガEPAが発効し、自由貿易圏の拡大とともに、よりEPAの活用が期待されるようになりました。

様々なEPA352021年3月現在、日本が締結し、発効済みのEPAは19件です。

日本で初めて発効したEPAは2002年の日シンガポールEPAです。

その後、メキシコ、マレーシア、チリ…と2国間のEPAが発効し、2008年に日ASEAN・EPAが発効しました。

日本にとって初の多国間EPAですね。

2020年に合意にいたったRCEPはこのASEAN他、中国・韓国等を含むEPAであり、これらの国にサプライチェーンを持つ日本企業は少なくないため、使い勝手の良いEPAとして注目・期待されています。

2018年には11か国が加盟するメガEPAであるCPTPP(TPP11)が発効し、翌年には日EU・EPA、その翌々年には日米貿易協定と、経済規模の大きなEPAが続々と発効しています。

ブレクジット(英国のEU離脱)をカバーすべく、2021年には日英EPAが発効しました。

日英EPAでは、非加盟であるEU諸国の原産品を互いの国へ輸出する場合などにも、日英EPAの協定税率を適用するといった、他のEPAでは見られないユニークな制度を採用しています。

EPA活用のためのプロセス①36実際にEPA税率を適用するにはどうすればよいでしょうか。

EPA税率は各EPAで定められている原産地規則に則り、原産品と認められる貨物を輸入するときに適用することができます。

EPA適用について選択・決定するのは輸入者ですが、輸出者は自身の商材と有利なEPAを併せて売り込むことで、営業活動に繋げることが可能です。

そのために輸出者は、まず、輸出したい貨物の原産性を確認しなければなりません。

原産性を判断するには、貨物のHSコードを特定します。

貨物が「EPA加盟国の完全生産品であること」、「加盟国の原産材料のみから生産される産品であること」または「品目ごとに定められたPSR(品目別規則)を満たす産品であること」のいずれかに該当することが、原産性が認められる条件のうちの一つです。

他の条件も満たし、原産性が認められたら、次に原産性を証明する手続きを行います。

EPA活用のためのプロセス②37EPAでは手続方法についても自由に定めることができるので、EPAによって証明手段は異なります。

原産地手続は大きく3つに分けられます。

①第三者証明制度②認定輸出者による自己証明制度③自己申告制度早い時期に発効したEPAは①の制度を採用するものが多くありました。

近年発効しているメガEPAなどは③のみを採用するものがほとんどです。

また、①~③を選択的に利用できるEPAもあります。

それぞれ、どのような制度か見ていきましょう。

①第三者証明制度第三者が発行する「原産地証明書」による証明手続です。

日本の場合は、経済産業大臣が指定した日本商工会議所が原産地証明書を発給します。

輸出国政府のお墨付きがある書面での証明手続ですね。

日本が初めて発効した日シンガポールEPAでは、第三者証明制度が採用されています。

②認定輸出者による自己証明制度権限のある政府当局から原産地の自己証明ができる輸出者として認定を受けた、認定輸出者による自己証明制度です。

日本では、経済産業大臣が認定を行います。

日本の認定輸出者は日スイスEPA、日ペルーEPA、日メキシコEPAの3つの協定については原産地証明書の提出に代えて、自ら原産地であることの証明証を作成し、申告することができます。

輸出者自らが申告できるため、手続きの簡素化が図れます。

③自己申告制度自己証明制度は、輸入者、輸出者又は生産者自らが原産地に関する申告書を作成することができます。

CPTPP、日EU・EPA、日米貿易協定、日英EPAでは自己申告制度のみが採用されていますので、原産地証明書の発給など、輸出国政府の関与なく、原産性を証明することができます。

日米貿易協定では、輸入者のみが申告でき、日本への輸入の際には原産品申告書の提出が必要ですが、米国に貨物を輸入する場合には原産品申告書の提出は不要です。

米国への輸入者は、「原産品である」との申告を「輸入申告書」の一部を構成する形で行います。

自己申告制度にはEPAによって様々な方法があり、誰がどんな書類を作成すべきか、注意が必要ですね。

事前教示制度38輸出先の税関で、いざEPA税率を適用して輸入しよう、という段階で多いトラブルは、取引事業者が想定していた貨物のHSコードと、輸入国側が認定するHSコードが異なることです。

貨物のHSコードが異なれば、原産性判断の基準も異なり、結果EPA税率を適用することができなくなってしまうおそれがあります。

このような不都合を避けるために、「事前教示制度」というものがあります。

輸入者、輸出者が、輸入国のしかるべき機関に対し、ある貨物のHSコードと、原産品にあたるかということなどを事前に確認できる制度です。

WTOは加盟国に対し、このような事前教示制度を導入するよう勧告しています。

近年のEPAの多くは、加盟国に対し、事前教示制度の提供を義務付ける規定を設けています。

事前教示制度による回答があれば、EPAの適用に関して、安心して輸出できますね。

著者プロフィール片山立志(かたやまたつし)株式会社マウンハーフジャパン代表取締役社長、日本貿易実務検定協会®理事長。

また、早稲田大学エクステンションセンター非常勤講師、嘉悦大学経営経済学部非常勤講師などを務める。

金融法学会会員。

主な著書に『よくわかる貿易実務入門』『絵で見る貿易のしくみ』『マンガでやさしくわかる貿易実務輸入編』『「通関士」合格の基礎知識』『通関士試験合格ハンドブック』『どこでもできる通関士選択式徹底対策』(以上日本能率協会マネジメントセンター)、『グローバル・マーケティング』(税務経理協会)他多数。

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