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ポイント ❸  B/ Sは上から下へと見る

ポイント ❸ B/ Sは上から下へと見る   B/ Sを深く理解する3つ目のポイントは、「 B/ Sは上から下へと見る」です。このルールがわかれば、早く返さなければいけないものと、すぐに現金化できるものが簡単に見分けられます。   P/ Lは、売上高や経常利益など、経営者にとって比較的わかりやすい勘定科目が並んでいるものなので、まだハードルが低く、理解しやすいものです。  一方、 B/ Sの場合は、資産や負債、資本金といった、実体がつかみにくい勘定科目が数字と一緒に並んでいるため、難しく感じ、遠ざけられてしまうようです。  しかし、実は、 B/ Sの勘定科目の並び方には次の2つのルールがあり、これさえ押さえてしまえば、 B/ Sの理解が一気に深まります。 ① 右側は「早く返さなくてはいけないものほど上に並んでいる」 ② 左側は「早く現金に換金できるものほど上に並んでいる」  上から下へ読むルールを念頭に置いて、 B/ Sを改めて眺めると、途端にその意味がハッキリと見えてくるはずです。  ①は明らかですね。上から信用債務、金融債務、自己資本の順に並んでいます。  ②の「資産」に含まれる勘定科目は少しわかりにくいので、くわしく見ていくことにしましょう。 ●財産リストの上にあるのが「流動資産」   B/ Sの左側の「資産」、つまり「財産リスト」を上から下へ眺めてみると、どんな B/ Sでも一番上に「現金」や「預金」があることがわかります(決算公告などがサイトですぐに見られるので、いろいろな会社の B/ Sを見るといいでしょう)。  一番上には「現金」「預金」「現金・預金」などがあり、その下に、「定期預金」(固定性預金)「受取手形」「売掛金」「在庫」(仕掛品)などの勘定科目があるはずです。これらは、上から順に現金化しやすいものから並んでいるのです。「現金」は、金庫やレジにあるお札や硬貨で、すぐ支払いに使えるものです。「預金」は金融機関の普通預金や当座預金に預けたお金を示します。  今ではオンライン決済や引き落としが手軽にできるので、現金より預金のほうが使いやすくなっています。「現金」と「預金」の2つを合わせて、「現金及び預金」もしくは「現預金」などと一くくりにするのが一般的です。「定期預金」(もしくは固定性預金)は、少し性格が違うので別にします。これは解約すればすぐに現金化できますが、金融機関は解約をいやがります。解約には交渉が必要なので、多少現金化しにくいものになるわけです。  そして、すぐ下の「受取手形」や「売掛金」は、どちらも「支払ってもらえる権利」です。

「受取手形」は取引先に商品やサービスを提供して受け取る「支払ってもらえる権利の証書」です。「裏書き」して支払いに使ったり、割り引いて現金化したりすることができます。「売掛金」は、顧客に品物やサービスを販売したときの対価を「支払ってもらえる権利」です。まだ対価を回収できていない状態です。  一般的には、品物やサービスを引き渡してから入金されるまでは、多少時間がかかります。この間、 B/ Sには権利として「売掛金」と書かれるのです。  信用のおける顧客なら心配いりませんが、何らかの事情で払ってもらえない危険もあるので、比較的現金化しにくいものでもあります。  さらに、製造業なら「原材料」や「仕掛品」、小売業や卸売業なら「商品」(在庫)など、「立替金」などが順に並びます。「在庫」はまだ売れていない商品です。

 このように、 B/ Sの「財産リスト」の上にある現金化しやすい資産を、「流動資産」と呼びます。現金化しやすいとは「流動性が高い」という意味です。 ●財産リストの下にあるのが「固定資産」  そして、「流動資産」の下には、流動性が低い資産、すなわち「固定資産」が記載されます(次ページのように、実際の B/ Sには、「流動資産」の下に「固定資産」という文字があるはずです)。

固定資産は文字通り、固定的なもので、流動性はあまりありません。誰かに売って換金しようとすると、「流動資産」よりずっと手間も時間もかかるものです。  売れないこともあるので、完全に「固定された」資産の可能性もあるわけです。地震や津波によって保有する資産が倒壊したり、設備が浸水被害にあうというような最悪のケースでは、廃棄にお金がかかるマイナスの資産である可能性も含んでいます。「固定資産」には、いろいろな種類があります。「建物」「機械装置」「車両運搬具」「土地」といったものが代表的なものです。これらは、どれも形のあるもので、「有形固定資産」などと呼ばれます。  さらに固定資産の下のほうには、電話の加入権や、ソフトウェアなど、形がないもので換金性の低い資産や、「投資有価証券」や「ゴルフ会員権」「保険積立金」などが並びます。「投資有価証券」とは「株式」や「社債」「国債」など投資目的で所有している有価証券です。「固定資産」は、換金しにくい代わりに、長く所有することで、事業に役立てて利益を生み出すツールと考えるべきものです。  社屋もその土地も、製造業の製造装置、事業で使う車両などはまさしくそうです。長期で所有して会社の売上や利益、社員の福祉などに繋げるための資産といえます。  逆にいえば、会社のために役立たない固定資産は持つ意味はないということです。   B/ Sの左側の会社の財産リストにおける、現金・預金以外の資産は、現金・預金を増やしたり、借金を減らすための「手段」です。ですから、これらの勘定科目の残高はゼロが理想です。つまり、現預金以外の資産を持たず、売上・利益を上げ続ける会社です。実際にはそのような会社はありませんが、これらの科目の残高は少なければ少ないほど効率的でムダのない経営をしていることになります。  投資目的で株式を買ったり、ゴルフ会員権、リゾート会員権といった本業とは関係ないところにお金を使うことは、実は恐ろしく危険なことなのです。 ● B/ Sは左上と右下を鍛える  経営者の大きな仕事は、自分の会社の「 B/ Sを良くすること」つまり、「 B/ Sを鍛えること」です。鍛え方は、先ほどの「上から下へのルール」と関係しています。  左側の資産では「上半身」を鍛えて大きくし、右側の負債と自己資本では「下半身」を鍛えて大きくしていきましょうということです。具体的には、「自己資本比率を上げ、現預金を増やし、ムダな資産を減らす」ということになります。   B/ Sの左側の「上半身」を鍛えるためには、一番上にある「現預金」を増やしていくことが大切です。「現預金」が多ければ、いざというときに困りません。「現預金」が「信用債務」「流動負債」より多ければ、経営的にはかなり安全ですし、「現預金」が「負債」の合計より多ければ盤石と評価されるでしょう。  では、 B/ Sの右側である「下半身」(負債と自己資本)を鍛えていくと、最後はどうなるのでしょうか?  鍛えに鍛えた結果、たどり着く究極の B/ Sの形を左の図に示しました。「資産」には現預金しかなく、「負債」は 0円で、 100%「自己資本」という B/ Sです。  現実には、事業をしている会社でこうした形になることはありません。なぜなら、どの会社も、社員がいて商品・在庫・車両・建物・機械などの資産を使ってビジネスをしているからです。どの会社でも、会社の資産を使って事業をし、売上を上げ、利益を上げようとしています。  もし、こうした資産をまったく使わず現預金が増やせるのであれば、それは究極の事業になりますが、そうしたビジネスはありません。

しかし、この究極の形は、実は会社設立のときに一度だけ現れます。  皆さんの会社も、設立の瞬間はこうだったはずです。資本金を会社に入れ通帳に記帳された瞬間だけは B/ Sがこの形になります。  その後、行動を起こすと、何かしらが増え、 B/ Sの形が変わっていくのです。  たとえば、パソコンや営業車などを買えば B/ Sに載り、現預金はその分減ります。商品を買い掛けで仕入れると、左に在庫、右に買掛金が増えます。在庫が売れれば左の在庫が減ってその分が売掛金に変わるわけです。銀行からの借り入れなら、右に借入金、左に現預金が増えます。  このほか、株主から追加出資してもらえば資本金が増え、毎年の利益を積み増せば利益剰余金が増えます。売掛金を回収すれば売掛金が現預金に換わり、今度はそれを買掛金の支払いに使ったり設備投資に充てたりします。  こうした日々の事業行為がすべて B/ Sに反映され、 B/ Sの勘定科目と金額が合算され、形が変わっていきます。   B/ Sをチェックするときは、「左上と右下が大事」だと肝に銘じておいてください。

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