ポイント ❷ B/ Sは右から左への流れで見る B/ Sを深く理解するための2つ目のポイントは、「 B/ Sは右から左への流れで見る」です。右側は「お金の調達方法(調達リスト)」、左側はそれを「何に使い、どんな持ち物にしているか(財産リスト)」と考えると、 B/ Sの本質がよく見えます。 B/ Sの右側にある調達したお金は、そのまま左側の財産になるので、右と左の総額は必ず一致します。 一説によれば、右側の高さ(調達リストの総額)と左側の高さ(財産リストの総額)がバランスしている(一致している)ことから「バランスシート」と呼ばれ、別の説では、「残高」の英語「バランス」に由来しているともいわれています。 ここでは、さらに B/ Sの右側の「調達リスト」と、左側の「財産リスト」を少し細かく見ておきましょう。具体的には、どのような勘定科目が並ぶのかに着目します。 左の図に、右から左へのお金の役割の変化(お金から財産へ)を示しました。 B/ Sのすべての勘定科目は、「負債」「自己資本」「資産」という3つの大項目にくくられます。右側の「調達リスト」は、上が「負債」、下が「自己資本」です。
右上の負債には、「支払手形」「買掛金」「短期借入金」「長期借入金」などがあります。右下の自己資本は「資本金」と「利益剰余金」が代表的です。 左側の資産には、「現金・預金」「受取手形」「商品」(在庫)「建物」「車両運搬具」「機械・設備」「土地」などがあります。 現物がある資産とは別に、現物がない資産もあります。誰かに貸した「貸付金」や、支払ってもらえる権利である「売掛金」、「電話加入権」「敷金」「保証金」などがそれに当たります。 ●中小企業の社長は「お金の調達方法」に注目すべし 中小企業の経営者は、 B/ Sの特に右側の「お金の調達方法」に注目する必要があります。なぜなら、 B/ Sの右側には「借りたお金」と「自分のお金」が明確に分けられており、その比率がすぐにわかるからです。 B/ Sの右上の「負債」は、誰から借りているかで、さらに2つに分かれます。1つが「信用債務」で、もう1つが「金融債務」です。「信用債務」とは、簡単にいうと、取引先など金融機関以外からの借りたお金です。仕入れ先へ支払い義務のある「支払手形」や「買掛金」、まだ支払っていない代金である「未払金」「未払費用」です。顧客から請求されたら支払わなくてはならない「預かり金」もあります。どれも借金という感覚を持ちにくいのですが、支払いや返済の義務があるので実質的には借金です。ですから、これを「信用債務」と呼ぶのです。
これら「信用債務」は、利息(利子)が付かないので「無利子負債」などと呼ぶこともあります。 一方、「金融債務」は文字通り、銀行や信用組合などの金融機関からの借金です。こちらは、短期で返済しなければならない「短期借入金」と、長期で返していく「長期借入金」に分かれます。いずれも利息がつくので「有利子負債」です。 注意しなければならないのが、信用債務のほうが金融債務より「返済を強制する力」が強いことです。 金融債務の返済は、いざとなれば、金融機関にリスケジューリング(返済スケジュールの変更)を依頼すれば待ってもらえます。一方、信用債務の返済は待ったなしです。たとえば「支払手形」の返済ができなければ、俗にいう「手形の不渡り」、即倒産の危機です。 では、 B/ Sの右下にある「自己資本」はどういうものでしょうか。「自己資本」は自分のお金での調達を示すものです。「負債」と違い、返す必要がありません。自己資本には、「資本金」と「利益剰余金」が含まれます。「資本金」は「会社設立の際に自分が出したお金」です。株式会社なら株主が出資したお金であり、多くの中小企業では創業時にオーナー社長やその一族が出資しています。 いずれも、自前で調達したお金であり、返す必要のないものです。「利益剰余金」は、ひと言でいうと「過去の利益を積み立てたもの」です。 たとえば、前期の B/ Sで「利益剰余金」が 1億円だった場合、今期 1000万円の純利益が出たら、それが積み立てられ、今期の「利益剰余金」は 1・ 1億円となります。一般に、「内部留保」などと呼ばれます。 ● 自己資金での調達が財務体質強化につながる B/ Sの「負債」と「自己資本」からは、「自己資本比率」という、重要な経営指標が計算できます。「自己資本比率」とは、「負債 +自己資本」のうち「自己資本」が何%かを示すもので、調達したお金のうち、返す必要のないお金の比率です。 経営の長期的な目標は、「負債での調達」を減らしながら、「自己資金での調達」を増やしていき、財務体質を強化することです。 このために経営者は B/ Sで「自己資本比率」をチェックし、この指標を徐々に上げていくように努力していくべきなのです。 くり返しになりますが、財務体質を強くするためには、自己資本比率を高め、手元の現預金を増やすことが必要です。 まず、「現預金 >借金」となるように、預金をしっかり確保し、財務体質を改善していきましょう。現預金は、いざというときに社員の生活を守れるように年間人件費の 1・ 5倍くらいあれば安心できます。
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